第10話 火の玉妖怪ヒダルマと柿五郎くん(3)
「うわわっ! こっちにこないで! こないで!」
「おめえがそんなことを言えば言うほど、わしにとってはおめえの後をついて行くことになるのさ。ぐふふふふ!」
柿五郎は、ヒダルマから再び逃げようと上り坂を走っています。しかし、ヒダルマもその後を追うように上り坂を転がり続けています。
「逃げても逃げても、これじゃあヒダルマに巻き込まれてしまうよ~」
「これじゃあ、ヒダルマから逃げようにもどうすることができないぞ」
このままでは、柿五郎がヒダルマにいつ巻き込まれてもおかしくありません。しかし、ヒダルマから逃れる最良の方法は、柿五郎も座敷童子もまだ見つかりません。
すると、柿五郎たちの目の前に大きな木がありました。しかし、その木は柿五郎がおしっこしようとしたときにカラスの大群に襲われた場所でもあります。
「あそこにカラスがいたら、また突かれるかもしれないなあ……」
柿五郎は、カラスに襲われるのを非常に恐がっています。しかし、何もしなかったらヒダルマのエジキになってしまう可能性が高いのです。
「こうなったら、あの木に急いで登るしかないぞ」
柿五郎は、勇気を出して大きな木へ急いで登ることにしました。たとえ、その木にカラスがいようとも、ヒダルマから逃れるためにはこの方法しかないからです。
「よいしょ、よいしょ、よいしょ」
「柿五郎くん、もうちょっとだからがんばって!」
柿五郎は、座敷童子の励ましを受けながら大きな木を登っています。すると、いままで柿五郎を追いかけてきたヒダルマが、大きな木に目をくれずにそのまま上り坂を転がりながら通過して行きました。
これを見た柿五郎は、とりあえずホッとした様子です。幸いなことに、さっきみたいなカラスの大群は1羽も見当たりませんでした。




