第9話 妖怪トウマワリ再び現わる(4)
「カァ~! カァ~! カァ~! バサバサバサバサッ!」
「うわあっ! わわわっ! やめてよ! やめてよ!」
カラスの大群は、柿五郎に向かって次々と襲ってきました。柿五郎はカラスたちから逃げようとしますが、カラスのほうも後ろからバサバサと羽音を響かせながら柿五郎を追いかけています。
一方、トウマワリのほうはカラスに追いかけられる柿五郎の姿に、ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべながら眺めています。
「ぐふふふふ! わしが手を下さなくても、あのカラスの大群が始末してくれるからなあ」
トウマワリは、カラスが柿五郎に襲い続けているのを見ながら、高みの見物を決め込んでいます。しかし、カラスに追いかけられる柿五郎が次第に自分のところへ近づくと、トウマワリの様子が一変します。
「おいっ! まさか、おめえはわしのところへ突っ込むつもりなのか!」
「わわわわっ! ぼくの頭を突かないでよ! 頼むから、突かないで!」
トウマワリは、目の前に迫ってくる柿五郎の姿を見ながらあわてている様子です。しかし、カラスに頭を突かれている柿五郎は、トウマワリが自分に対して言っている言葉を聞く余裕はありません。
そして、柿五郎がトウマワリに真正面から強くぶつかった瞬間のことです。
「わわわわっ、わわわわっ! カラスめ、よくもわしの顔を突きやがって!」
「カァ~! カァ~! バサバサッ!」「カァ~! カァ~! バサバサバサッ!」
カラスの大群は、目の前にいるトウマワリに向かって次々と襲いかかりました。トウマワリは、カラスがくちばしで自分の顔を突かれるたびに痛々しい表情を見せています。
そのとき、トウマワリと強くぶつかった地面に倒れ込んだ柿五郎は、カラスに襲われているトウマワリの姿を目の当たりにしました。そして、柿五郎はすぐに立ち上がると、トウマワリの右手をよく見ました。
「あの爪でぼくは赤ちゃんになったということは、もしかして……」
柿五郎は自分が赤ちゃん姿にされたことを思い出しながら、頭の中で良いアイデアを思いつきました。




