第8話 おついの愛情と赤ちゃん姿の柿五郎くん(8)
柿五郎は光に包まれながら、赤ちゃん姿から次第に元の姿へ戻っていきました。そして、おついと伝吉の目の前には、元の姿に戻った柿五郎が現れました。これには、2人とも驚きを隠せない様子です。
「今まで赤ちゃんだったのが、いつの間にこんなにかわいい男の子に成長するとは……」
「赤ちゃんが急に成長するなんて……。もしかして、あたしたちは夢を見ているのかな?」
おついと伝吉が、柿五郎の姿を見て驚くのは無理もありません。なぜなら、2人は柿五郎の本当の姿を見たことがないからです。
「驚かせてごめんなさい! だって、ぼくはトウマワリというお化けに赤ちゃんにされちゃったの……」
柿五郎は、自分の本当の姿に戻ったことで驚かせてしまったことを謝りました。そして、自分が赤ちゃんの姿にされたことを2人に話しました。
すると、おついと伝吉は柿五郎の言ったことを聞いた瞬間、大きな口を開けて笑い出しました。
「はっはっは、お化けによって赤ちゃんにされたのか! こりゃあ愉快だな!」
「ふふふ、柿五郎くんが赤ちゃんの姿になったのはこういうことだったんだね」
2人は柿五郎の本当の姿を見て大笑いしながらも、一晩だけながらも亡くなった子供の生まれ変わりとして赤ちゃんに出会えたことに感謝の気持ちでいっぱいです。
「えへへ、ここでおっぱいをたくさん飲んで元気なおねしょをお布団にしちゃった」
「ふふふ、それにあたしの顔へのおしっこ噴水も元気いっぱいだったね」
柿五郎とおついは、お互いに柿五郎がやってしまったおねしょとおしっこ噴水のことを笑顔で話しています。これを見ている伝吉も、柿五郎の子供らしいところを聞きながら目を細めています。
そして、柿五郎は自分の目的を2人に話し始めました。
「ぼくは、かあちゃを探しに魔の山へ行くところなの。そして、かあちゃに会うことができたら、かあちゃのおっぱいをたくさん飲むんだ」
「ふふふ、柿五郎くんはすくすく育っても、おっぱいをたくさん飲むのが大好きなんだね」
「ぼくはねえ、今でも朝ご飯と晩ご飯のときにかあちゃのおっぱいを飲むのが大好きだよ!」
柿五郎はお母さんに再び会ったら、大好きなおっぱいをたくさん飲みたいと大きな声で言い出しました。柿五郎にとって、おっぱいをいつも飲むのは元気な子供として成長している証拠といえるものです。
「それじゃあ、もうすぐここからお別れすることになるね」
「ぼくも、ここでお世話になったことを……。ギュルルル! ギュルゴロゴロゴロッ!」
柿五郎は、一晩過ごしたおついの家からお別れのあいさつをしようとすると、急激にお腹が痛くなり出しました。それは、あまりにも急激な痛みでうんちのガマンが限界に近づいています。
「う、うんちがもれる……。ガマンが、ガマンができない……」
「柿五郎くん、大丈夫なの?」
柿五郎は、うんちがガマンできなくなったので急いで引戸を開けると、すぐに外にある便所の中へ入りました。おついと伝吉は、柿五郎の様子が心配になったので2人そろって外へ出ました。
そのとき、便所から柿五郎の声とみられる悲鳴が聞こえてきました。2人は、柿五郎がいる便所のところまで行きました。
すると、便所の前で尻餅をついてしまった柿五郎の姿がありました。その姿を見たおついと伝吉は、尻餅をついたところの手前に何かを見つけました。これを見た2人は、柿五郎に笑顔を見せながらやさしい言葉をかけました。
「柿五郎くん、見事なうんちをもらしてしまったんだね」
「だって、便所でしゃがみ込もうとしたら、恐いお化けが近づいてきたのであわてて逃げ出したの……」
「はっはっは、それで尻餅をついてうんちが出ちゃったんだ。でも、こんなに元気なうんちが出ることぐらい当たり前なんだし、気にしなくてもいいぞ」
柿五郎は、今日も妖怪を恐がって便所でうんちをすることができませんでした。そして、便所の前で尻餅をついた柿五郎は見事に元気いっぱいの黄色いうんちをもらしてしまいました。
でも、でっかいうんちをおもらししちゃっても、おついと伝吉は柿五郎をやさしく接しながら励ましています。その励ましを受けた柿五郎は、いつもの明るい笑顔に戻りました。




