第8話 おついの愛情と赤ちゃん姿の柿五郎くん(6)
柿五郎は、元気いっぱいのおしっこでおついの家の火事を消すことができて安堵していました。そのとき、柿五郎の耳元に何か聞き覚えのある声が聞こえてきました。
「柿五郎くん、柿五郎くん、もう朝になったから起きようね」
その声は、さっき柿五郎が登った木の手前で見守っていたおついのやさしい声です。その声を聞いた柿五郎は、今までの出来事は全て夢の中であることに気づきました。
「柿五郎くん、目が覚めたんだね。おはよう!」
柿五郎が目を開けると、そこにはやさしい顔つきのおついと伝吉がお布団のそばで座っていました。柿五郎は2人の呼びかけに対して何か言おうとしました。しかし、柿五郎はおついたちに何か言いたいことがあっても、それを言葉に出すことがなかなかできません。
「柿五郎くんのほっぺを見ると、赤ちゃんらしさがあってかわいいね」
「とうちゃ、とうちゃ! かあちゃ、かあちゃ!」
柿五郎が元の姿に戻ったのは夢の中の出来事であって、お布団で寝ていた柿五郎はまだ赤ちゃん姿のままです。それでも、柿五郎は自分の存在を2人に対してアピールしようと笑顔で言葉を発しています。
「それじゃあ、掛け布団をめくって起こそうかな」
伝吉は、目を覚ました柿五郎の掛け布団をすぐにめくりました。柿五郎のお布団を見た2人は、赤ちゃんらしい元気な証拠を見て目を細めました。
「ふふふ、柿五郎くんはこんなに元気なおねしょをするんだね」
「元気な男の子だったら、これぐらいのおねしょをするぐらい当たり前だぞ」
柿五郎のお布団には、でっかくて元気いっぱいのおねしょが見事に描かれていました。そのおねしょは、柿五郎は夢の中で火事を大量のおしっこで鎮火させた立派な証拠といえるものです。
おついも伝吉も、赤ちゃんらしさの証拠といえるおねしょをお布団にしちゃった柿五郎のことがとてもうれしそうです。しかし、柿五郎の元気さはそれだけではありません。
おついが、柿五郎をお布団から起こして抱きかかえようとしたときのことです。
「ジョジョジョジョジョ~ッ、ジョジョジョジョジョ~ッ……」
「わわっ、わわわっ! もう、柿五郎くんったら!」
柿五郎は、おついの顔に勢いよくおしっこ噴水を命中させました。柿五郎は、おねしょに続いておしっこ噴水という赤ちゃんらしさを見事に発揮しました。
おついは柿五郎のおしっこ噴水に思わずびっくりしましたが、これも元気な赤ちゃんなら当たり前のことなのでそんなことを気にする様子はありません。柿五郎は、おねしょとおしっこ噴水をしちゃってすっきりしたことで、大の字の格好で元気な笑顔を見せています。




