第8話 おついの愛情と赤ちゃん姿の柿五郎くん(4)
「ふふふ、柿五郎くんはおっぱいを飲むのも、おしっこ噴水をするのも元気いっぱいなんだね」
「キャッキャ、キャッキャ!」
おついは、仰向けになっている柿五郎が声を出して笑っているのをやさしい眼差しで見ています。たとえ自分が生んだ子供で無くても、柿五郎を自分の子供同然に育てることに喜びを感じています。
そのとき、柿五郎は急に眠たそうな顔をすると、そのまま目をつむってぐっすりと眠り始めました。
「柿五郎くん、よっぽど遊び疲れたんだね」
「端太くんが使っていたお布団があるし、そこに寝かせるとするかな」
おついと伝吉は、すやすやと眠っている柿五郎のかわいい寝顔を見つめています。そして、2人は柿五郎を起こさないようにしながら、端太が使っていた小さいお布団へ柿五郎を運びました。
「う~ん……。おしっこ、おしっこがもれる……」
柿五郎は、いつものように真夜中におしっこがしたくなって目を覚ましました。すると、トウマワリの鋭い爪で赤ちゃん姿にされていたのが、いつの間にか元の姿に戻っています。
「あれあれ、今まで赤ちゃんだったのにいつの間にか元の姿に戻っているぞ!」
今まで柿五郎は赤ちゃん姿だったので、うまく言葉をしゃべることができませんでした。しかし、元の姿に戻ったことで不通に言葉をしゃべることができます。
いずれにせよ、柿五郎にとってはすぐにおしっこを便所でするのが先決です。しかし、妖怪や幽霊を見るのが恐い柿五郎は、おしっこを便所でするのに成功したことが一度もありません。当然ながら、翌朝にはおねしょで大失敗したお布団を物干しに干されるのが柿五郎の日常です。
「お外に便所があるけど……。どうかお化けや幽霊が出ませんように……」
柿五郎は足を震えながら土間に下りると、外へ出るために引戸を開けました。すると、家の外から何か焦げくさいにおいがしてきました。
「何か焦げくさいなあ……。ま、まさか……」
柿五郎は、焦げくさいにおいが気になって外へ出ました。すると、おついの家から火が出ているのを柿五郎が発見しました。
「火事だ! すぐに寝ている人を起こさないと!」
柿五郎はおついの家が火事になっているのを見て、布団で寝ているおついと伝吉を助けようと家の中へ戻っていきました。




