第7話 妖怪トウマワリと赤ちゃんになった柿五郎くん(1)
「何とか妖怪をやっつけたけど、最後はうんちを妖怪の顔に思い切り大失敗しちゃったなあ……」
「そんなにモジモジしなくてもいいのに。うんちを大失敗したときだって、柿五郎くんは照れながらも笑顔を見せていたでしょ」
柿五郎は、トウセン坊と大グモを何とかやっつけることができましたが、これらの妖怪のとどめ技はいずれも柿五郎のうんちおもらしによるものです。
そういうこともあって、柿五郎は赤面しながらモジモジしています。これを見た座敷童子は、うんちの大失敗をしても大丈夫と柿五郎を励ましています。
「それにしても、魔の山の坂道はどこまで続いているのだろう」
「まだ先は長いけど、とりあえず歩くしかないなあ」
魔の山へ向かう坂道は、深い森の中を進んで行きます。しかし、その終着点がどこにあるかは、柿五郎も座敷童子も全く知りません。妖怪たちがいつ現れてもおかしくない坂道ですが、柿五郎は自分のお母さんに会いたいという思いで勇気を出しながら歩き続けています。
すると、坂道の途中で二手に分かれるところがあります。そこには、「山ヘ上ルベキ道」と記した木製の道標が右側の坂道のほうにあります。
「座敷童子、ここを通れば魔の山へ行けるということかな?」
「この道標にもそう書いているし、これに沿って行ったほうがいいよ」
柿五郎と座敷童子は、右側の坂道を選んで進んで行くことにしました。それがある妖怪によるワナであるとは知らずに……。
そのとき、坂道の途中で分かれるところに、不気味さを漂わせる妖怪が姿を現しました。それは、般若のような顔とツノを持つ妖怪です。
「ぐふふふふ! わしが道標を変えただけですぐに引っかかるとはなあ。右側の坂道へ行ったらどんなことになるか、今から楽しみだなあ」




