第6話 大きな池から現れた恐怖の大グモ(5)
柿五郎は、自分の体がクモの糸に引っ付いてもクモの巣を揺らし続けています。一方、大グモは柿五郎のでっかいおならのにおいが漂っていることもあり、なかなか反撃に転じることができません。
「まだまだ行くぞ! それっ! それっ! それっ!」
「同じ手がおれさまに何度も通用するとは限らないぜ! それに、お前へのお仕置きはまだ終わってないからな! ぐふふふふ!」
柿五郎はクモの巣を何度も揺らしていますが、大グモは柿五郎へのお仕置きを行うタイミングをうかがっています。そして、大グモは赤く腫れあがっている柿五郎のお尻に噛みつきました。
「いてっ、いてててっ! かゆい、かゆい! かゆい、かゆい!」
「これだけ腫れ上がっていれば、ものすごいかゆみがお前に襲ってくるからなあ。ぐふふふふ!」
柿五郎は、大グモに噛まれて凄まじい痛みとかゆみが同時に襲ってきました。これを見た大グモは、柿五郎のお尻を何度も噛みつきながら不気味な笑い声を上げています。
「うわあっ、もうかゆいのがガマン……。ギュルルギュルルゴロゴロッ、ギュルルギュルルゴロゴロロッ……」
柿五郎は、大グモに何度も繰り返し噛みつかれたことで、凄まじいかゆみがついにガマンできなくなりました。そして、お腹から大きな音が鳴ると、柿五郎は急激な腹痛で再びうんちが出そうになりました。
そのとき、柿五郎が揺らし続けたクモの巣が破れると、そのまま地面にドシンと落下しました。柿五郎は地面に叩きつけられたにもかかわらず、全く無傷で済んだようです。落下したところが池の縁で柔らかい地面であったことが不幸中の幸いです。
すると、柿五郎はさっきまで痛かったお腹の調子がよくなりました。それと同時に、柿五郎の周りにあるにおいが漂ってきたので、すぐに立ち上がりました。
「えへへ、またうんちの大失敗をしちゃったよ!」
「よくも、おれさまを押しつぶしながら、うんちを思い切りしやがって……。おぼえてろよ……」
柿五郎は、トウセン坊と戦ったときに続いて、今日2回目のうんちおもらしをしてしまいました。そして、同時に地面に落下したときに大グモをそのまま押しつぶすことに成功しました。大グモは、柿五郎に恨み節を吐くとそのまま息絶えることになりました。
座敷童子は、柿五郎がクモの巣から脱出したのを見てすぐに駆け寄りました。
「柿五郎くん、大グモに何度もお尻を噛まれたみたいだけど大丈夫?」
「大グモにこんなに噛まれて赤くなっちゃったし、うんちの大失敗をしちゃったよ!」
柿五郎は、座敷童子に自分のお尻を見せました。柿五郎のお尻は、大グモに何度も噛まれた赤く腫れている上に、うんちのおもらしで再びベットリと汚してしまいました。
「でも、これだけうんちが出るのはお腹の調子がいい証拠だよ」
「これも、朝ご飯のおイモをいっぱい食べたおかげだね」
柿五郎は、改めて池の水でうんちを洗い流しました。そして、柿五郎と座敷童子はお互いに笑顔を見せながら再び魔の山へ続く坂道へ戻っていきました。




