第4話 あばら家とおねしょ幽霊(11)
「えへへ……」
「ふふふ、腹掛けのほうもおねしょでベチョベチョになったね」
柿五郎は照れた顔つきで自分の腹掛けを外すと、それをおしずに差し出しました。柿五郎の腹掛けは、夜中のおねしょ2連発でベチョベチョになっています。
「柿五郎くんの腹掛けもちゃんと洗っておくからね。心配しなくてもいいよ」
おしずは、柿五郎の腹掛けをたらいの中で洗っています。すると、裸になった柿五郎の横に座敷童子がやってきました。
「柿五郎くん、柿五郎くん」
「座敷童子、それってぼくの腹掛け?」
座敷童子は自分の腹掛けの中から、何かたたんでいる布のようなものを右手で出しました。すると、柿五郎はすぐに自分の腹掛けであると分かりました。
「こういうこともあるから、ぼくは柿五郎くんのために新しい腹掛けを用意しておいたよ」
「座敷童子、どうもありがとう」
柿五郎は、自分のために新しい腹掛けを用意してくれた座敷童子に感謝しました。そして、柿五郎はすぐに新しい腹掛けを自分でつけました。
「柿五郎くん、朝ご飯ができたよ!」
「わあ~い! ぼくの大好きなおイモとスイカだ!」
おしずが持ってきた朝ご飯を見た柿五郎は、目の前にあるおイモとスイカを見て大喜びです。柿五郎は、おイモとスイカが一番の大好物だからです。
「そうそう、ついでに座敷童子もここにいるから、柿五郎と同じ朝ご飯を持ってきたよ」
おしずは、座敷童子にも柿五郎と同じ朝ご飯を用意しました。座敷童子の姿が全く見えないおしずですが、柿五郎と一心同体の関係にある座敷童子を無視することはありません。
柿五郎と座敷童子は、早速朝ご飯を食べ始めました。柿五郎は、ホクホクのおイモをおいしそうに食べ続けています。
「このおイモ、とってもおいしいぞ!」
「わたしが丹念に育てたイモをおいしく食べて、本当にありがとうね」
柿五郎は、獲れたてのおイモを最後まで残さずにたべると、続けてスイカもかぶりつくように食べています。柿五郎は、出された食べ物は必ず残さないで食べています。
「ふふふ、柿五郎くんは好き嫌いなく何でも食べているね。えらいわ!」
朝ご飯を残さないで食べた柿五郎と座敷童子は、そろそろこのあばら家から出なければなりません。早いうちに、柿五郎のお母さんを探さなければならないからです。でも、その前に柿五郎はいつも欠かせないことがあります。
柿五郎は、おしずの前でモジモジしながら何か言おうとしています。
「柿五郎くん、どうしたの?」
「おっぱい! おっぱい!」
おしずは、柿五郎が何を言おうとしているのか聞いてみました。すると、柿五郎はおっぱいが飲みたくておしずのところへやってきたのです。
「ふふふ、しょうがないわね。柿五郎くん、こっちへおいで」
「わ~い! おっぱい! おっぱい!」
柿五郎は、おしずのおっぱいをチュパチュパとおいしそうに飲み続けています。どんなにおねしょやおもらしの大失敗をしようとも、柿五郎は元気の源であるおっぱいを飲むことを欠かすことはありません。




