第3話 柿五郎くんが大ピンチ!? カラマン坊との対決(2)
「座敷童子はスイカを食べるのは初めて?」
「ぼくは、スイカを見るのも食べるのも初めてだよ。でも、スイカがこんなに大きくてとってもおいしいことを初めて知ったよ!」
スイカを初めて食べた座敷童子は、そのおいしさに大満足しています。そして、隣にいる柿五郎はスイカの赤い実の部分を1つも残さずに食べ切りました。
いつも柿五郎が食べるスイカは、半分に切ったうえでさらに6等分したものを1切れ食べます。しかし、今日は半分に割れたのを1人で丸ごと食べました。すると、座敷童子のスイカがまだ半分ほど残っています。
「もう食べないのだったら、ぼくが残りを全部食べるよ!」
「柿五郎くん、スイカが大好きなのは分かるけど……。そんなに食べても大丈夫かな?」
「だって、食べ物を残したらもったいないんだもん!」
柿五郎は家でご飯を食べるときも、好き嫌いをしないで何でも残さずに食べます。そういったこともあり、座敷童子が食べきれないスイカの残りもかぶりつきながら食べています。
あまりの食欲ぶりに、座敷童子も柿五郎の食べすぎを少し心配になってきました。それでも、柿五郎は大好きなスイカをたくさん食べたおかげで、いつもの元気を取り戻すことができました。
スイカを食べ終えた柿五郎と座敷童子は、再び森の中を歩き始めました。2人がいる場所は、魔の山ではまだほんの序の口に過ぎません。
「かあちゃ! かあちゃ! どこなの?」
柿五郎は大きな声でお母さんを何回も呼びましたが、それに対する反応は全くありません。どうやら、お母さんはもっと奥のほうにいるのではと柿五郎は思いました。
「お母さんが見つかるように、ぼくも柿五郎くんを応援するからね!」
「座敷童子、ぼくもかあちゃを見つけるよう……」
それでも、2人はくじけることなくお母さんを探そうと一歩ずつ奥のほうへ進んでいきました。しかし、その途中でのことです。
「お、おしっこがもれそう……。もれそう……」
柿五郎は、突然おしっこがしたくなると、腹掛けの下を両手で押さえながら急いで近くの大木のところへ行きました。どうやら、柿五郎がおしっこをしたくなったのは、スイカをあまりにもたくさん食べすぎたのが原因のようです。
すると、座敷童子は柿五郎が向かって行った大木を見た途端、なにか嫌な予感がしてきました。
「柿五郎くん、気をつけて! その大木は……」
座敷童子は柿五郎に注意を促そうとしましたが、柿五郎はおしっこがしたくてそれどころではありません。
「おしっこ、おしっこがもれそう……」
柿五郎は、早くおしっこがしたくて大木の前で足をバタバタしています。そのとき、目の前の大木から怪しげな声が聞こえてきました。
「げはははは! そこで何をしているのかな?」
「わわわっ、わわわっ! 大きな木がしゃべった!」
柿五郎は、目の前の大木の怪しい声に足を震わせながら恐がっています。




