第2話 かあちゃを探しに魔の山へ(8)
「柿五郎くんが好きなのは何かな?」
「う~ん、ぼくが大好きな食べ物はスイカとおイモだよ! だって、とってもおいしいからいっぱい食べちゃうの」
柿五郎は、いつもお母さんといっしょに食べるスイカとおイモが大好きです。座敷童子は、柿五郎の大好きな食べ物を聞いて興味津々です。
でも、柿五郎はそれ以上に大好きなものがあります。
「それと、ぼくはいつもかあちゃのおっぱいをいっぱい飲んでいるよ!」
「柿五郎くんは5歳になっても、まだ赤ちゃんみたいにお母さんのおっぱいを飲んでいるんだね」
「えへへ、だってかあちゃのおっぱい、とってもおいしいんだもん!」
柿五郎は、5歳になっても朝と夜にお母さんのおっぱいを飲むことを欠かしたことがありません。でも、柿五郎がいつも元気なのは、お母さんのおっぱいをいっぱい飲んでいるおかげです。
もちろん、これだけおっぱいやスイカ、おイモをいっぱい飲んだり食べたりするので、おしっこやうんちの量もかなりのものになります。加えて、おしっこがもれそうになって便所に行っても、そこに幽霊や妖怪がいるだけで柿五郎は逃げ出してしまいます。
「便所に行っても、幽霊やお化けが本当に恐いもん……」
「そんなことを何度も気にしなくてもいいよ。ぼくが守り神としてついているから大丈夫だよ!」
柿五郎は、妖怪や幽霊が恐くておねしょやおもらしの大失敗をしちゃうので少し赤らめた表情になりました。これを見た座敷童子は、改めて自分が柿五郎を守ってやるからとやさしい笑顔で言いました。
「それに、柿五郎がいつも家で大失敗しちゃうことであっても、魔の山でお化けが出たときに役に立つかもしれないよ」
「お化けが出たときに役に立つって、どういうことかな?」
「えへへ、それはそのときのお楽しみ」
これから妖怪に出くわしたときに役立つかもしれないと座敷童子が言ったのは、柿五郎が毎日のようにしちゃう大失敗です。しかし、それがどう役立つかは、柿五郎が妖怪に出会うまで分かりません。




