第2話 かあちゃを探しに魔の山へ(6)
「ぼくは、おねしょやおもらしを大失敗しちゃっても、かあちゃがいつもやさしくしてくれるぞ!」
柿五郎はお母さんがいつもやさしいので、妖怪たちに自分のおねしょやおもらしの大失敗が知れ渡っていても気にすることはありません。しかし、柿五郎がおねしょやおもらしを気にしていないと言っても、森の中から聞こえる声の不気味さに相変わらず足が震えています。
それを見透かすかのように、怪しげな声が笑い声とともに森の中から再び聞こえてきました。
「ふひひひひ! この魔の山では、わしの仲間である幽霊や妖怪がどこかに潜んでいるぞ……」
「うわっ、わわっ……。やっぱり、本当にお化けや幽霊がいるの……」
柿五郎は、魔の山に幽霊や妖怪がいることにかなりおびえています。いくらお母さんを探したいという思いがあっても、柿五郎は大嫌いな幽霊や妖怪という言葉を聞いただけで、森の中になかなか足を踏み入れることができません。
「まあ、この森の中に入るかどうかはお前次第だけどね。わしの仲間である妖怪や幽霊の前で、お前がおしっこやうんちを大失敗するのを今から楽しみにしているぞ、ふひひひひ!」
「んぐぐぐ……。ぼくは、絶対にかあちゃを必ず見つけるからな!」
森の中からは、妖怪や幽霊の前で柿五郎のおもらしの大失敗を楽しみにしているという不気味な笑い声が聞こえてきました。これを聞いた柿五郎は、魔の山には行ってお母さんを見つけると強がった表情で言いました。
柿五郎は、すぐに深い森の中へ踏み入れることにしました。しかし、そこは魔の山といわれる通り、周りを見渡しても不気味さが漂っています。
「早くかあちゃを見つけたいけど……。ここに幽霊やお化けが出たら本当に恐いよ……」
柿五郎は、相変わらず妖怪や幽霊が出てくるかもしれないとしきりにおびえ続けています。しかも、森の中は大きな木々と草が生い茂っているのでかなり歩きづらそうです。
すると、柿五郎が歩いている目の前に、いきなり何か光るようなものが突然現しました。
「うわあっ、目の前に妖怪が……。妖怪が出たあ……」
柿五郎は目の前に現れた光るものを見た瞬間、あまりの恐さに尻餅をついておびえています。そのとき、目の前に光っていたものから人間らしき姿が現れました。それは、敬太と同じくらいの年齢らしき子供の姿です。




