第15話 再び戻った柿五郎とかあちゃの日常(4)
「お、おしっこがもれる……。う、うんちがもれる……」
柿五郎は、おしっこやうんちがもれるのを必死にガマンしながら便所までやってきました。いよいよ、柿五郎にとって最後の関門となる便所へ入るところです。
「ど、どうかお化けや幽霊が出ませんように……」
柿五郎は妖怪や幽霊がいないことを願いながら、そのまま便所の中へ急いで入りました。おしっことうんちのガマンが限界に近づいているので、柿五郎はすぐにしゃがみこみました。
柿五郎は、便所の周りをキョロキョロと見回しました。周りに妖怪たちがいないことを確認すると、柿五郎はホッと胸をなで下ろしました。
そうするうちに、柿五郎はガマンしていたおしっことうんちをしようとお腹に力を入れようとしました。しかし、そのときのことです。
「ぐふふふふ! ぐふふふふ!」
便所の下から聞こえる不気味な笑い声を聞いて、柿五郎は不安を感じずにはいられません。そして、次第に身震いしてきた柿五郎の目の前に、見覚えのあるものが現れました。
「ぐふふふふ! 毎日のように大失敗しているのに、わしらがいるこの便所へ入ってくるとは……」
柿五郎の前に現れたのは、夢の中に度々出てくる幽霊です。しかも、今日は1人ではなく2人もいます。幽霊たちの周囲には、人魂がいくつも飛び交っています。
「うわっ、うわわわっ……」
「そんなに恐がらなくても……。わしらが見守ってやるからさ、ぐふふふふ!」
「うわっ、うわあああああああ~っ!」
柿五郎は、自分に近づいてくる幽霊や人魂をかなり恐がっています。そして、便所の中から幽霊の手が出てくるのを見ると、柿五郎は大きな悲鳴を上げました。
柿五郎は、幽霊や人魂から逃げようと後ろ向きのままで便所から出ました。しかし、その便所から出たとき、柿五郎は思わず後ろにこけて尻餅をついてしまいました。
その瞬間、柿五郎は元気なおならが出ると同時に、おしっことうんちがついにガマンできなくなりました。
「プウッ! ププウウ~ッ! プププウウウウウ~ッ!」
一方、お母さんは柿五郎の大きな悲鳴を聞いて、すぐに便所のところまでやってきました。お母さんの右手には、あることに備えて木ぐわを持っています。
お母さんは、便所の前で尻餅をついている柿五郎のそばまでやってきました。すると、柿五郎は照れた表情を見せながらこう言いました。
「かあちゃ、今日も幽霊や人魂がいて便所でできなかったの……」
「ふふふ、今日も柿五郎くんはおしっことうんちの大失敗をしちゃったんだね」
尻餅をついた柿五郎は、便所の前の地面におしっことうんちをおもらししてしまいました。それも、おしっこは腹掛けをぬらすほどたくさんもらしている上に、でっかくて元気な黄色いうんちも出てしまいました。
しかし、お母さんは笑顔を見せながら、おもらしの大失敗をした柿五郎をやさしく接しています。




