第14話 最強の妖怪フーライとの最後の戦い(7)
「どうだ! ぼくの握り拳はこんなに強い力を出すことができるぞ!」
「そんなもの、おれに命中したのはたまたまだろ! 同じような攻撃がおれに通用……」
柿五郎は、フーライに向かい合いながら自信満々に立ち構えています。ヤマンバのおっぱいを飲んだおかげで、柿五郎は最強の妖怪に対しても力を発揮しています。
フーライは何とかして形勢逆転を図ろうと、柿五郎の右肩に手をかけようと襲いかかってきました。しかし、新しい力を得た柿五郎はフーライの反撃を素早くかわしました。
そして、柿五郎はフーライの胴体を両手でつかむと、そのまま軽々と持ち上げました。フーライは、幼い子供である柿五郎が軽々と自分を持ち上げていることに驚きを隠せない様子です。
「うわあっ、わわわああっ! いったい何をするつもりだ! 早く下ろせ! 下ろせ!」
「これでどうだ! ええ~いっ! とりゃああっ!」
フーライは、柿五郎に早く下ろせと怒鳴り散らすような口調で叫びました。しかし、柿五郎は自分のお母さんを鎖にかけて人質に取ったフーライを許すことができません。
柿五郎は、渾身の力を込めてフーライを思い切り石壁に向かってぶつけました。柿五郎のあまりにも強い気迫に、フーライはそのまま石壁に背中から突っ込むように衝突しました。
「いててててっ、いてててててっ……。んぐぐぐぐぐ……」
さすがのフーライも、柿五郎の凄まじい力で石壁に投げつけられると、そのままぐったりと倒れ込みました。これを見た柿五郎は、急いで鎖につながれたままのお母さんのところへ行きました。
「かあちゃ! かあちゃ! 今から助けてあげるからね」
「あれだけお化けや幽霊を恐がっていた柿五郎くんが、私を助けるために魔の山まで1人でやってきたんだね」
柿五郎は、お母さんの手足につながれていた鎖を自らの力で砕くように外しました。お母さんは、ようやく自由の身になったことにホッとしている様子です。そして、お母さんは恐い妖怪や幽霊がたくさんいる魔の山へ入って行った柿五郎にやさしい声で接しています。
しかし、倒れ込んだはずのフーライが柿五郎たちの背後に迫ってきました。
「よくもおれの体をこんなに痛めつけやがって……。おめえをこの場で殺してやるからな……」
フーライは鋭い眼つきで殺気を見せながら、拳を握りながら柿五郎への怒りをあらわにしています。




