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overture

舞台最初のシーン、ナレーション後。

剣が、彼女の体に吸い込まれていく・・・・・・。


否、彼女の体に吸い込まれるように刺さっていく。


呆然とジャックはその光景をみつめていた。

前に出ることも、声を出すことも、腕を伸ばすこともできなかった。ましてや、止めることなど。


キングでさえ、その銃口を上げられなかった。


それほど自然に、ジョーカーはその動作を行っていた。

流れるように、当然のように、必然的であるかのように、



彼女を刺したのだ。



その瞳に、表情に、今だなんの躊躇いや気負いは読み取れない。まるでコーヒーでも飲んでいるかのように人を刺しているのだ。


非現実的な動作と結末を彼は、日常的な自然さで行っていた。



彼女の体からふっ、と力が抜けいく。

ジョーカーは左手で彼女を支え、静かに、優しく、だが空虚な瞳で・・・微笑んでいた。



「 !!」


ジャックの叫びだけが無情に響いた。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



キングによって呼び出された2人の連携攻撃の中をジョーカーはどうということもなく歩んでいく。歯牙にもかけないのだろうか?時折、薄く笑ってさえいる。といっても、以前としてその瞳は空虚なままではあるが。


2人が攻めあぐねる中、ジャックがその流れを変えるかのように後ろから走りこんでいく。

そのまま体のバネを使い跳躍、全体重をのせ拳を振り抜いていく!

が、見えない位置から放たれた3連撃目とも言えるその攻撃をジョーカーはあろことか


、、、、、、、、、、、、

ジャックの後ろに回りこみ、避ける。



背後を盗られる形になってしまったジャックはたまらずに左手で裏拳を背後に打つ。

ジョーカーはそれも見越していたのか右手で受け掴み下ろしていく。


「どうした?怒りで邪気が溢れているぞ!」

微笑を残したまま、ジョーカーが問いかける。


「ぐっ・・・お前‼︎」

体を超えていく今まで感じたことのない怒りを持て余しながらジャックは叫ぶ。

声と同時に右のストレートから左ストレートを放っていき、間髪入れずに左右のボディ、フック、右の飛び回し蹴りまで打っていくがいずれもジョーカーに届いていかない。それどころか蹴りの後の開いた体にジョーカーのソバットが流れ打たれる!


「! がっ・・ふっ・・」


動きの止まったジャックに、今度はジョーカーの連撃がまったく同じ手順で放たれる。左右のフックまでまともにくらい、視界のボヤけたジャックに最後は飛び回し蹴りがダメ押しに叩きこまれていく。


「〜〜〜〜〜〜‼︎」


苦痛を堪えながらもジャックは飛ばされていく。


「まぁ、カードを使うまでもないな」

悠然と言い放ち、キングの臣下たる2人に視線を移していくジョーカー。


(少し数を減らしていくか・・・・・)



それも悪くないな、と思い始めた彼は2人に向かっていく。

いずれにせよ彼ら2人はゲームのキャストではない。煩わしいと言えば、そうである。

明らかに最強のカードであるブランクはまだ健在であり、

できれば「キングとぶつけたい」という欲求はある。

しかしそれはジョーカーにとってはさほど重要なことではない。あくまで戦術の範囲での小さな希望でしかないと言い切れることだ。

であるなら、先にキングを手に入れるのも一興と言えた。


(歴代最強と謳われたカードの組み合わせ、か。面白みには欠けるが興味深くはあるな)


そこまで思案し、ジョーカーは戦術を決した。

「せっかくだが・・・消えてもらおう」

言葉と同時に2人が体を入れ替え・・・・


「あまり私をみくびらないで欲しいですね?」

「‼︎」

パンッ‼︎

と銃声が弾ける。


ジョーカーはすぐさま飛びのけ、先ほどまでいた位置には弾着の後がある。


「1番後から来ておいて、その言い草とは・・・。つくづく面倒なヤツだ、君は」

振り替えりながらジョーカーが言う。


「何より大事にされることが私は好きなんです。もちろん、他人のことだって大事にしますよ」

歩きながらキングも応えていく。


「現実の彼らとは違い、ヴァーチャルだと言っても部下は部下です。みすみすヤらせるはずがない。と言っても・・・」

足取りはゆるやかだが的確にジョーカーを挟み込む陣形をキングはとっていく。さらに先ほど蹴り飛ばされたジャックをカバーすることも同時に成されていた。


「簡単にクイーンを殺した貴方には、理解できない感覚でしょうか?それとも・・・そのぐらいの感情は残っている?」


「・・理解はしている。まだ、な。だが、そういった感情に従う意義はもう見出せないな」

「なるほど、無用に命を奪ったわけですね・・・やはり貴方は許せないタイプだ」

静かで、いや、たしかな怒気を言葉に乗せキングが銃を構える。ジョーカーは例の薄い、そう、ゆうならば死人の笑みを浮かべながら唯、立っているだけだ。

視線が、交錯する。

「高潔な意思を持っているな・・・」


不意に口を開くジョーカー。そして・・・その手には、


「だが」


ついにカードが握られている。


キンッ‼︎


空気が震え能力の行使が伝わっていく。同時に微妙にだが視界が歪むのをキングは感じる。が、瞬きほどの間だけであったようだ、キングは部下2人を探るが違和感はない。


「・・・彼女を救ったの俺だよ、カウル」


「く、何を‼︎」

キングがたまらず引き金を引く。ジョーカーは前にでながら避け、2人のユニットへ向かう。


2人は先ほどと同じように連携して攻撃するがやはり当たらない。今度は1撃、2撃とジョーカーも攻撃を打っていく。

ちょうど2人を投げ飛ばした時、そのタイミングでキングの銃弾が割って入る。

ジョーカーは危なげなく避けるが、キングは始めて前に打ち出てくる。さすがに連射は避けきれない、はず。だがキングが狙いを付けた逆にジョーカーは動いていく。


(なんだ・・先読みしている?・・いや、速すぎる‼︎)

戸惑いをキングは感じていた。当たらない。いや、そもそもずれている。

「く、なら‼︎」

ジョーカーの足元に向かって、銃弾をばらまく。さすがにこれは無理なのか、ジョーカーは飛び下がった状態で膝をつく。

それをヴァーチャルユニットの2人は見逃さずに最高のタイミングで飛びかかっていく‼︎



ガキン!


[・・狡猾という言葉ではまさか、たりないとは・・)

キングはもはや呆れてきていた。隠し玉を小出しにし過ぎだ。カードとしてのジョーカーの能力を先ほど、ようやく使わせたばかりだというのに、



ジョーカーの手には一振りのダガー。逆手にもち1人を受け、もう1人の剣は避けたのだろうか?足で踏み抑えている。

明らかに考える時間を自分から奪うことが目的と言える行動だった。つまり、狙って剣を抜いたのだ。


「さすがはキング。少し本気でいこう」


そう告げるとジョーカーは踏んだ方を蹴り、もう1人は斬りつける。その間にキングは改めて距離とり部下2人がやられると守るように再び前に出、連射。

それをジョーカーはもう一振りのダガーを抜き放ち打ち払いながらさがり距離をとる。

ジョーカーを真ん中に左右に各人が挟む形となり、場が止まった。そして、


ダメージが回復したのか立ち上がるジャック、


部下であるユニット2人が前に出、体制を整えるキング、


手の中でダガーを回し遊ぶジョーカー、


正に王に挑むが如き様相が構築された。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆








ナレーションの後に先出ししたクライマックス前のシーン。実際は後半を少し削る形で見せる。

この後暗転しまたナレーションが入り、ストーリーが始まる。

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