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薄幸かぐや

作者: 染井めそ

竹取物語と桃太郎を混ぜようとして混ざらなかったコメディー(になってるかは分からない)短編です。

むかーしむかし、あるところに、おジーサンとおヴァーサンが住んでいました。


ある日、おジーサンが一人竹取に行きますと、金色に輝く一本の竹がありました。

普通ならそんな異質な竹なんて怖くて近づこうともしませんが、そこは流石おジーサン。

躊躇無く素手、しかも片手で竹をへし折りました。


ベキャキャッ! と、音をたてて折れた竹の中には、一人の小さなかわいい女の子があまりに突拍子も無い現象に腰をぬかしていました。


実は彼女、この星の調査をすべく送り込まれた異星人。空間移動の際に体を小さくしたため、体が元の大きさになるしばらくの間、竹の中に身を隠しておくつもりでした。

しかし皮肉な事に、転送された瞬間の光をおジーサンに発見された為、計画がいきなり頓挫してしまったようです。


女の子は早々のピンチに「逃げないと死ぬ!」と感じ、折れた竹から脱出を試みました。


が、




竹を覗き込もうと顔を近づけていたおジーサンを見た瞬間、動けなくなりました。


まだ描写していなかったので気付かなかったと思いますが、実はおジーサン、 猿人でした。



「い、い……




 いやあああああああああああああぁぁぁ!!」


未知との遭遇を果たした女の子は、あまりの恐怖にあらんかぎりの叫び声をあげました。

すると、今度は猿人が驚きのあまりに


「グヴオオオオオオオオオォォオ、オォオオオ!!」


吠えました。


もうそこまでいくと両者パニックです。

二人は顔を突き合わせたまま、叫び続けました。


「いぎゃああああぁああぁぁぁぁあああああああああ!! ひゃあああああああぁぁぁぁぁぁ!!」


「ブゴォオオオオオオォォォオオオォォォオ!! ググゴオオオオオオオオォォォォオオオオオ!!」






それはともかく突然ですが、パニックとは恐ろしいもので、「“何故”そんな」という行動をとってしまいがちです。

身に覚えのある方も多いかと思います。


猿人は“何故”か叫び続ける女の子を掴むと、へし折った竹と共に家へ持って帰ってしまいました。


キ〇グコ〇グが美女を連れ去るシーンを彷彿とさせるような中、女の子は「ああ、私の人生これで終わりなのね……」と、涙を流しました。





一方その頃、一人のおねーさんが、川に洗濯……ではなく、生体サンプルを採取する為に赴いていました。


ちなみに、おねーさんは猿人ではありません。


すると、川上からどんぶらこ、どんぶらこ、どん、どんぶらこ、どーん、どんぶらーんこ、どんぶらーららー……と、擬音がやけにうざく、無駄にでかい桃が流れてきました。


おねーさんは、不自然な軌道で徐々に近づいてきていたそれを、無言で対岸近くまで蹴っ飛ばすと、何事も無かったかのように家へ帰りました。






家につくと、おねーさんを待っていたのは、竹取に行っていた猿人のおジーサンでした。


おジーサンはおねーさんに「竹取に行くと一本の竹が金色に輝いており、興味本位にへし折ってみたら、中から女の子が出てきて絶叫された」という旨をボディーランゲージを交えた猿人言語で伝えました。

しかし、おねーさんの


「何言ってるか解らん」


に心を痛め、手に持っていたものをそっと机の上に置くと、部屋の角で小さくなりました。

おジーサン、見た目に反してナイーブな心の持ち主でした。しかし、おねーさんは見向きもしません。完全無視に徹するようです。

机に目を向けたおねーさんは「何だコレ」と言いながらおジーサンが置いたものへ近づきます。そこでは、小さな少女が見上げていました。


すると、猿人に対してとは打って変わって、おねーさんが人の良さそうな笑顔で少女に話しかけます。


「初めましておちびさん。あたしは(自称)天才のヴァージニア・シュタイン博士だ。そして、あっちにいる猿が、助手であり実験体のOG-3だ」


少女はそれを聞き、ぱっと目を輝かせてこう言いました。

この星に来る以前、資料として読んだ本に「知的生命体で親しみを持つ個体同士は、個体名を省略した呼称を好んで使う」と書いてあったのを思い出したのです。


要するにあだ名です。


なので、少女は嬉々として二人(一人と一匹?)にあだ名をつけました。


「なるほど、オジーさんとおヴァーさんですね!」






それを聞いた瞬間、おヴァーさんことヴァージニア博士は、張り付けていた笑顔を大きく引き攣らせました。


どうやら、早々に逆鱗に触れてしまったようです。




「あのサルはいいが、私を同じように呼んでみろ。


 人の形をしていられると思うなよ」




ヴァージニア博士、何気に恐ろし過ぎる言葉を呟きます。


その脅し文句がよーく聞こえた少女は、叫ぶこともできないような恐怖に全身を支配されながら、頭を縦にガクガクと何度も振って了承しました。


どうやらここに、新たな上下関係が生まれたようです。


まあ、そういう無駄な話は置いといて。




なんだかんだで少女は「かぐや」と名付けられ、ヴァージニア博士の家、もとい研究施設へと無理矢理収容……いやいや、ご好意で養ってもらえる事になりました。


数ヶ月後、かぐやは普通の人や今のぼくには理解出来ないスピードですくすくと成長し、あっという間に成人女性の体型にメタモルフォーゼしました。


実際は元の大きさに戻っただけなのですが、博士からは「成長」もとい「周囲の生物に擬態」したように見えたらしく、毎日成長する度に生体サンプルを採取されたようです。


いつしか、かぐやは任務も忘れておジーサンと遊んだり、おヴァーさ……ヴァージニア博士の手伝いをして暮らしていました。


まあ手伝いっていうか、いつ死んでもおかしくないハードな人体実k(ry






何でもありません。続けます。






そんなある日の事……。


かぐやが庭で栽培されている自立歩行植物通称“アルキマスデス”に水と栄養剤をやっていると、来客がありました。


「す、すみませーん。鬼ヶ島組合の者ですが。シュタイン博士はいらっしゃいますか?」


見れば、スーツを着て眼鏡をかけた気弱そうな赤鬼がチャイムを連打していました。

チャイムの音が博士の声で「帰れ」と言っているのには、この際目をつむりましょう。


かぐやはとりあえず、柵越しにその鬼へと声をかけてみる事にしました。


「どうされましたか? 博士は今、ナナホシオオナマズを捕まえに川へ行ってますが……」


赤鬼はかぐやの方を見と、元から赤い顔を赤く。要するに赤くなって呟きました。


「か、かわいい……」


次の瞬間、赤鬼は3mはある柵をひとっ跳びにて飛び越えると、かぐやに襲い掛かりました。


流石赤鬼、気弱になっても鬼なだけはあります。


しかし、更に次の瞬間。


かぐやは華麗なるフットワークで赤鬼の攻撃をかわすと、頭部へのエルボーバットを食らわせます。そして相手が怯んだ隙に背後に回り込むと、ドラゴン・スープレックスでフィニッシュを決めました。

どうやら、ヴァージニア博士の趣味であるプロレス観戦が役にたったようです。


※見ただけで決められる程、プロレスは易しくありません。大きな事故となる可能性が高いので、実際にプロレス技をかける時は、プロの監督者を同行させましょう。


「……はっ! いけない! 大丈夫ですか!?」


我にかえったかぐやがそう言って揺り起こすも、完璧なまでに決まったドラゴン・スープレックスは、赤鬼を昏睡させる事に成功してしまったようです。


その後、かぐやは帰ってきた博士と、ナナホシオオナマズを担いだおジーサンに泣き付き、赤鬼を蘇生させました。

目をさました赤鬼は、畏縮しながらも自分が訪ねてきた理由を話し始めました。

その内容は、鬼族の長である鬼島保(おにしまたもつ)(通称タモさん)の婚約者捜しのために、各地から美人の娘さんを掻っ攫いに来たという事でした。


「……と、いう事でお二方。是非ともお見合いに」


「断る」


博士が即答した瞬間、おジーサンが赤鬼を窓の外へとぶん投げてしまいました。


あまりの急展開に唖然としているかぐやを尻目に、博士とおジーサンは夕食をとるために奥へと引っ込んでしまいました。




その後も、赤鬼は博士の機嫌をとろうと(ほとけ)ブランドの高級食器セットなどを手土産に施設へと訪ねて来ましたが、二度と相手にされる事はありませんでした。



またある日の事、再び来客がありました。


「チーッス。ちょっ、誰もいねーんスか~?」


そこにいたのは、どう見ても(主に顔が)残念なチャラ男でした。

よく見ると、背中に『ガチ日本一』と書かれた幟を背負っています。


「どうされましたか? 博士は今、フタユビカミキリソウの採取に山へ行ってますが……」


今回も留守番で庭に水を撒いていたかぐやが柵越しに対応しました。

すると、残念なチャラ男は「パネェ! マジパネェ!」を連呼しながら近づいてきました。


「オレ~、桃太郎っていうんスけど~。今ババアにオニガシマ行けって言われて~、ダチ集めてるんスけど~~つか何すかレベル高すぎなんすけど! ちょ、ヤバくね!? つかフィーリング? つかマジパネェっ!」


一方かぐやは、言いようの無い恐怖感に震えていました。


この場合、言いようの無い生理的嫌悪感とも言えるでしょう。


その時、何とも言えないような獣臭と、恐ろしい唸り声が桃太郎の背後から聞こえてきました。


彼が振り返ると、そこにはおジーサンが牙を剥き出しにして立っていました。


身の危険を感じたのか、桃太郎は「サーセン、ガチでサーセン」と言いながらきびだんごを差し出します。


しかし、おジーサンの無慈悲な一撃が桃太郎の横っ面にクリーンヒットすると、彼はお山の向こうへと吹き飛ばされてしまいました。


それからというもの、桃太郎は研究施設に二度と現れませんでしたとさ。




またまたある日の事、今度は軍人の犬、次の日におジーサンの友人(猿)、それまた次の日にIT社長のキジ、というように、連日訪れます。


三人(?)ともかぐやのかわいらしさに初対面だというのに求婚に踏み切りました。

いやはや、この世界は馬鹿しかいないのでしょうか。


しかし軍人の犬はおジーサンと反りが合わずに追い返され、

おジーサンの友人は博士から「臭い」「馬鹿面」「この****」と、散々罵られた揚句泣かされて帰り、

キジは庭で飼育している肉食動物アカトゲマイマイに食われかけ、這々の体にて逃げ帰ったのでした。






それからおジーサンと博士の尽力(??)により、かぐやに求婚してくる馬鹿がいなくなり、ゆっくりと毎日が過ぎていきました。


ゆっくりとは言っても、毎日のようにハードな人体実験は行わ(以下省略)




しかし、ある満月の夜、悲劇が起こりました。


かぐやの母星から、突然迎えが来たのです。


ステルス迷彩を施した箱型の巨大宇宙船が、満月輝く夜空にじんわりと姿を現します。


そして宇宙船の船長が、かぐやに向けてテレパシー的な特殊能力を使って語りかけました。


『かぐにゃん、かぐにゃん。調査終わっていいにょん! この星にはボクらの探しているものは見つからなかったにょん……。帰って作戦を練り直すにょ!』


それに対してかぐやは、一瞬だけおジーサンや博士と別れる寂しさに口ごもりましたが、今まで博士にやらされた実験の数々が走馬灯のように思い出されたため、即行で感情を切り捨てられました。


『了解しました。直ちに帰還します』


ちなみに船長の外見は、バンダナ巻いた肥満の人間の頭部から、緑の触手が30本出ているえげつない外見をしているので悪しからず。





「……と、いう事です。私、母星に帰ります」


自分の正体やら何やらをカミングアウトしたかぐやは、博士とおジーサンに頭を下げ、「長くお世話になりました」と言いました。

おジーサンは耳障りな音量でオンオンと泣きだし、博士は静かに窓の外を眺めています。


身を切るような痛い沈黙。

別れの沈黙……。


すると突然、何の脈絡も無く、博士が部屋から出ていきました。

やはり、突然の別れは彼女にとっても辛いものなのでしょう。いつも攻撃的な言動をしていた博士も、人の子なのです。

そう思った瞬間、かぐやの目から涙が零れました。切り捨てたはずの感情は、かぐやの心にしっかり根を張っていたのです。


「……博士っ、ヴァージニア博士ぇ! 待って下さい!!」


溢れる涙を拭いながら、博士を追って部屋の外へ出るかぐや。


――ちゃんとお別れを言わなくちゃ。全てを忘れてしまう前に……!


そして、施設の屋上に出た時、博士の背中が見えたのでした。


「博士っ!」


そう言ってヴァージニア博士に駆け寄るかぐや。


「……沈めー!!」


叫ぶ博士。








沈め?




そう思った瞬間、いつの間にか屋上に姿を現していた対戦艦用超巨大レーザー砲10基が一斉に発射されました。






『うぎゃあぁああぁぁぁぁぁぁ!!!』


船長の断末魔が聞こえた瞬間、空中に浮かんでいた宇宙船が炎を噴きました。






宇宙船、炎上。






そして、墜落と同時に追撃が加えられ、宇宙船は原形を留めない程木っ端微塵に砕け散りました。


かぐやは、しばらく開いた口が塞がりませんでした。


「な、な、ななな何してくれてるんですか!」


ようやく開いた口が塞がったかぐやは、驚きでどもりながらも博士に詰め寄りました。


「あたしの研究の邪魔をする奴は誰であろうとゆるさねぇ」


この人、全世界の住民をを敵に回すつもりのようです。


「そんな事聞いてません! 何であんな酷い事を! これじゃ私、お家に帰れないじゃないですかあぁ!」


かぐやもかぐやで、船長とその他が爆発した事よりも、家に帰れるかどうかの方が重要だったようです。

そしてかぐやは、博士の服を掴んだままびいびい激しく泣き始めました。


「うわっ! 何す……鼻水拭くな馬鹿!」


そして数分の攻防の末、


「解った解った解った! ウチに代わりの小型宇宙船があるからそいつを使え!」


遂に、博士から母星へと戻る手段を取り替えしたのです。

そう、かぐやの勝利なのです。


っていうか、個人的には小型宇宙船まであるこの研究施設の謎が知りたいです。






そして、次の日。


身支度を即行で済ませたかぐやは、博士やおジーサンの手をとり、(形だけ)別れを惜しみました。

まあそれでもおジーサンは号泣してましたが。




いよいよ出発の時、かぐやは晴れ晴れとした表情をしていました。


しかし、ヴァージニア博士は……






カウントダウンの終了と共に、かぐやの乗った宇宙船のエンジンから高温の炎が噴きだし、ゆっくりと機体を宇宙(そら)へと押し上げました。


その場はただ彼女を見守る者達の沈黙と、激しいエンジンの音、紅く煌めく炎の光に支配され、まるで厳かな儀式を観覧しているかのようでした。


かぐやは窓の外に目を向けます。厚いガラスの向こうでは、今まで見てきたこの世界が、彼女の思い出が、流れて消えていきました。

その時になって、彼女は初めて自分が涙を流しているのに気付きました。


顔は怖いけど、人間じゃないけど、優しかったおジーサン。


美人だけど、かなり鬼畜だけど、なんだかんだで助けてくれたヴァージニア博士。


かぐやは、博士が何故宇宙船を撃ち落とすという凶行に及んだのかも、今なら解る気がしました。






そして、かぐやの乗った小型宇宙船は、大気圏を突破する前に落ちました。








「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………え?」






一方地上では、推進力を失い真っ逆さまに墜ちていく宇宙船を見ながら、ヴァージニア博士が呟きます。


「あたしの研究の邪魔をする奴は許さねぇ。そして、裏切る奴も絶対に許さねぇ」


そう言って高笑いました。

その表情は、おジーサンが思わずちびってしまう程に恐ろしいものでした。


「いやあああああああああぁぁぁぁぁぁぁ……………」


回転しながら墜落する宇宙船の中、まさか博士が原因とは知らないかぐやは、涙と鼻水を垂れ流しながら地上へと引き戻されていきました。


果たして、彼女の運命はいかに!






その頃、ある離島では鬼島 保ことタモさんが、軍人の犬と、おジーサンの友人(猿)と、IT会社の社長のキジに追い詰められていました。

彼らは昔、タモさんに借りたくもない金を無理矢理押し付けられ、法外な利子を取り立てられていました。

しかし今日、桃太郎という青年の(少々の)活躍により、とうとうタモさんは社会的制裁を受ける事と相成った訳です。


ちなみに桃太郎は、皮張りの高級ソファーに座って「マジハンパねぇ!」を連呼しています。


「観念しろ! タモさん、あんたは負けたんだ!」


と、軍人の犬は言います。


「ぐおおお! ぎいいいいぃぃ!(これ以上あがいても何の意味も無いはずだ)」


と、おジーサンの友人(実は弁護士)も言います。


「さあ、巻き上げた金を皆さんに返しなさい」


と、IT会社の社長のキジが言った時、タモさんはくつくつと笑い始めました。


「何がおかしい!」


犬が声を張り上げます。

すると、タモさんは携帯電話を取り出し、どこかにかけ始めました。


「君達は知らないだろうが、私は負けず嫌いなものでね。こういう時の為に何時も用意しているんだ……」


その言葉にキジがはっと目を見開き、「まさか……!」と呟きます。


「やめろ! やめるんだ!」


キジの叫びも虚しく、携帯はどこかの電話へと繋がりました。


「もう遅い」








「今から、爆破してくれるかな?」


『いいともー!』


通話口の向こうで、タモさんの部下が爽やかに返事をしました。


しかし次の瞬間、予想を超える出来事が起こりました。


なんと、かぐやの乗った小型宇宙船が桃太郎やタモさん達の居る部屋に激突したのです。


小型と言っても人間よりは大きな機械です。

犬、猿、キジ、タモさんは宇宙船の下敷きになってしまいました。




で、何故か無事なのが桃太郎。

彼はソファーの上で何も言えずに座っていました。


「……スゲー! ちょ、マジスゲー! 犬さんの援軍的な? チョーカッケー!」


いや、ウザイくらいに喋り始めました。


すると、宇宙船のハッチが開き、中から満身創痍……とはいかないものの、余りの絶叫刑アトラクションでへとへとになったかぐやが現れました。


すると、桃太郎が目を輝かせてかぐやへと詰め寄りました。


「え、あん時の女子じゃね? 何コレ、フィーリング? チョー運命感じない? 的な? もしかしてオレに会いに来たとか? マジで!」


「ぎゃああぁぁぁ! あの時のおおぉ!」


桃太郎の顔を見た瞬間、かぐやは絶叫して逃げました。


「ちょ、待ってくんね? もしかして『ワタシ捕まえたらごほーびよはーと』的な展開?」


しかし、桃太郎は何か勘違いしまくって追い掛けてきました。


「いやああぁぁぁぁ! こないでええぇぇ!」


泣き叫ぶ美少女、それを追うブサメン。

宇宙船の下敷きとなった仲間達。(生きてるよ)

同じく下敷きとなったタモさん。(こっちも生きてるよ)


まるでその空間だけ世紀末のように変わり果てた中、タモさんの携帯の向こうから『親父、親父いぃ!!』と、耳障りな声が断続的に響いていました。






それでも世界は、何事も無く回っているのでした。






おしまい★


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