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間章その2:ギャラクティカの確信

筆者「どうだ、待望のロリBBAエルフだぞ」

???「誰にとっての待望なのよっ!」



 

 

 ギャラクティカは、正座で座らせられている男達に、こつこつと説教(?)を飛ばした。

「そ、れ、で? 私が居ない間に、一体なにをしていたでぃん☆? このボンクラ共が」

 ギャラクティカの背後には、怒気が渦巻いている。

 下手に手を出せば、首が飛ぶどころか酔わされて焼かれてぶっ飛ばされて気絶させられることは目に見えていた。

 にこにこ笑顔で妖精剣を肩に乗せる少女――もっとも見た目通りの年齢では決してないが、彼女に逆らうのは、とてつもなく愚行であることくらい、彼らも理解していた。

 しかし、彼らも彼らなりに考えて動いている。

 ゆえに、事情説明くらいはしようとした。

「お、お待ちを、総帥――」

「あくまでも、私たちは国内外における商会の影響力を上げるために――」

 もっとも、それがギャラクティカの逆鱗に触れるわけだが。

「――『炎景(えんけい)』――」

 振るわれる妖精剣。

 と、その動き合わせて、周囲の元素が刀の軌跡に集っていく。ただし、火の元素のみを除いてだ。

 この技は、周囲から水、土、風の元素を強引に吸収する効果を持つ。

 その結果、周囲の火の元素の濃度が上昇し――

「ぎゃああ!」

「んな!?」

「ひ、ひぃ!」

 結果として、火を噴き出すのだ。

 効果範囲を広げれば、それこそ周囲一帯は炎の海に飲まれるだろう。

 もっともギャラクティカとて、手加減の覚えくらいある。目的は殺害でなくおしおきなので、せいぜい彼らの足元一帯を数秒焼くに留めておいた (それもそれで大問題だが、滅多にあることではないので護衛たちも口出しはしなかった)。

 鎮火したのを確認してから、ギャラクティカは数歩前に出て、一人の男を見下(みお)ろし――いや、見下(みくだ)した。

「……こうしてお前を焼くのは、配属されたての頃セラストから回された書類を誤って処分したとき以来かな? ネメス……でぃん☆」

「ま、マザー……?」

 髭面の男、ネメスは――商会連の会長、今回の「計画」への直接参加責任者たる男は、ギャラクティカの剣幕に、恐怖と共に疑問を覚えた。

「そ、そうは言いやすがね? そもそも武器や魔法関係の商品の販売は、お隣さんのところから色々言われてたことじゃねぇですかい。それに昨日まとめた書類でも閲覧されてるお思いますが、そもそも今回のこれは、法務大臣から回ってきた――」

「……これじゃオチオチ、里帰りも出来ないな……。これを見ろ、これを。でぃん☆」

 ギャラクティカが護衛に持たせていたカバンから、一枚の書状を取り出した。突き出されたそれを確認し、会長たる男は顎をあんぐりとさせた。

「『デュオニソス司祭』……!?」

「そうだ。悪評高いデュオニソス。情報中継地として信頼でき、同時に最も情報中継地として使用してはいけない男。岩盤の魔王相手に一歩も引かず土地転がしをして、しかも辛勝した上無傷で国を出れた、あの守銭奴でぃん☆」

 どうやらギャラクティカ的にも、デュオのことはあんまり好きではないらしい。

「そこにお前等のやろうとしていた計画だか何だか? 知らんが、それを知られている段階で、既に詰みだ、この馬鹿者が、でぃん☆」

 手紙に書かれていることは、デュオニソスがつかんだ情報――開戦に向けて動いているくさい、という部分である。本来この書状は、特定の段階まで届かないはずだったが、エースとの接触によりデュオの方の策が中止となったため、めでたく配達される運びとなっていた。

 無論、かかれている内容は詳細についてではない。

 しかしギャラクティカが本気で調べれば、充分に結論をはじき出せるような内容のものであった。

「お前等で、あの男に勝てたと思うのか?」

 ギャラクティカの言ってることは、要するに、強請りの一種である。

 まずこの計画、前提として王室の大半は知りえていないというのが一つ。知られれば当然反対にあうか、人事変更、最悪何らかのペナルティは免れないような類のものだ。だからこそ、秘密裏に隠れて動いているわけだ。

 それを知っているからこそ、デュオがその気になれば何が起こるか。

 彼らの首は、風前の灯だったということである。

「いや、でもおかしくないですかい? その情報を、わざわざこちらに教えてきたというのは」

「何らかの不都合か何かがあったんだろうさ。本来ならあと半年は『禊』に時間を使いたかったというのに、お前等は……でぃん☆」

 事情は、二章三十四話をご参照である。

「ただ私がお前等に言うべきは、それだけじゃない。デュオニソスが本気で動いたら、おそらく計画の中に参加し、内部を混乱させ中枢に食い込み、あわよくば全体を支配されていた可能性があるでぃん☆ お前等なら当然保身に走るだろうから、そうすれば、間違いなく経済機能は我々の手をはなれるでぃん☆」

「そこまでですかい?」

「当たり前でぃん☆ 何度マグもセラも私も、煮え湯を飲まされたことかこの十年……」

 少なからず、デュオは国王、王妃、商会連総帥に嫌われるだけのことをきっちりしているらしい。

 頭をかかえるギャラクティカに、しかし、会長は毅然と挑みかかる。

「でも、総帥。これはチャンスでしょうよ。俺たち一同で会議した結果、これは間違いなく乗るべき提案だと考えた――」

「あー、大方軍部と大臣たち個人にコネを作るなリして、あるいは武器の消耗度の検査や何を必要とするかのピンポイント精査などを考えていたんだろうが、はっきり言って穴だらけだぞ?」

 一同を見回すギャラクティカ。

「お前達は、何か致命的な勘違いをしているようだな……でぃん☆」

 彼女の言葉に疑問符を浮かべる男達に、心底呆れたような声で言った。

「裏取引は必要悪でやっているだけで、本意なわけではない。本来、あってはならないものだから必要悪なんだ。それが主になったら、信頼関係も何もあったものではないだろう。なにせ――表向きの法律を、平気で無視する治安の国内だと判断されるのだから、わかるな。でぃん☆」

 まともな説明をすると、本作が何を目指している小説なのかわからなくなるので、少々説明を軽くさせてもらう。

 要するに、荒廃した街中を「ひゃっはー!」な連中が爆走したりしてるような、そんな場所と誰が好き好んで取引をするか、という話だ。

「ともかく、商会連は今回の件から手を引く。すぐさま引き上げるのは後々問題を引き起こすから、徐々に取引量を例年並みに戻して――」

「――っ、総帥!」

 会長が立ち上がり、背を向けたギャラクティカの肩をつかむ。

 何だ、という前に彼女をくるりと回転させ、目と目を近くで覗き込む体勢に。

「総帥。アンタもうわかってるだろ? もう止められないんだよ、本当に。ここまで来ちまったら。俺たちがどう足掻いても、結局は始まっちまう。そうなった時、武器がなきゃ誰も勝てっこない。武器があったって勝てるかどうかわからないのが、総力戦、殲滅戦だろ。急場で足元すくわれたら、他の国に見下されて結局ダメじゃねぇか」

 男の手は、少し震えている。

 ギャラクティカは、無表情でそんな彼の目を見つめ返すばかり。


「そんなんで、戦争に勝てると思ってるんですか?」

「――何故、戦争が起こるという前提でお前たちは話している、でぃん☆」


 彼女の言葉は、すぐさま理解はされなかった。

 彼女が指をはじくと、会長がやんわりと護衛たちによって引き離された。

 ギャラクティカは、周囲をなんとも言えない苦笑いで見返しながら、かばん持ちの護衛からまた一枚紙、というか「割引券つきチラシ」を取り出させた。


「情報収集不足以前に、まず私に相談しなかったのがお前の失敗だ。

 確かにお前が考えているような状況なら、私とてそう動いた可能性はあるがな。まあ、それでも国王に話を通せば、これはそもそも成り立たないのだが……。

 さて、じゃあ次は良い知らせといこうか。()()から聞いてきた情報で――この国の、新しい魔王についてだ」


 そこから先、彼ら果てしない驚愕と、果てしない混乱と、果てしない混沌に襲われることとなった。ギャラクティカ自身、話しながら「本当にわけがわからない」という顔をしていた。

 だが、しかし。


「キャラクターライセンスか……。ウチのを泣かせた小僧が、少しはマシなことを考えるようになったかな、でぃん☆」


 こころなし、チラシに目を通す彼女は、楽しそうに見えたとか何とか。

 

 

ちなみに妖精剣は、割とありふれています。


商会連の会長たちは、鬼のいぬ間に色々やって片付けてしまおうと考えていた感じです。ということで、エースがもしデュオに屈していたら、このお手紙は脅迫材料に使われていたというお話。


そしてこれ、別に商会連が味方になったとかじゃないというのがギャラクティカのギャラクティカらしいところ。


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