表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/116

間章その2:ギャラクティカの帰還

完全復活までいましばし・・・。まあ投稿はちょいちょいします。

 

 

 商会連という組織は、もともとは現国王のセラストによって作られた組織である。

 まだ国内において、大きな力を持っていなかったセラスト青年。その後押しを現法務大臣が行い、マグノリア現王妃と共に立ち上げた組織こそが、商工会連合組合ギルド、通称商会連だ。

 現在の正式名称は、そこから更に拡大し「大連結型商会連合連合組合ギルド」となっている。長いので大体みな「商会連」や「大商会連合」などと略しているが、そこのところの誤差は許容範囲だ。要するに、何を指し示している組織なのかがわかれば良い。

 その商会連。

 現在は、立ち上げの時と組織の目的は大きく変わった理屈で動いている。

 言ってしまえば、現在の商会連は「流通の自浄作用を促す一大管理組織」だ。

 王国内に流通している商品は、実にその七割が「商会連」所属の商会や商人を経由して人々の手に渡っている。

 残りの部分は個人での販売などを含むが……ともかく、殆どが商会連を一旦経由している。

 別にそこで、マージンを取られているわけではない。現在の商会連は、所属組織や商人たちから徴収する会費で賄えており、表向き、商会連が独自に何か商売をしているわけではない。

 では何が商会連という組織のメリットなのかといえば――言うなれば、ある種の証明書代わりだ。

 商会連経由の商品は、それぞれに魔術的な刻印と、商会連を示す「銀貨の盾」の模様が値札などに描かれる。魔編紙 (魔力を用いて書く紙、王国内での流通している紙の実に八割以上がこれ)のラベルなどに記載するようなものだ。

 これがあるのと、ないのとでは大きく違う。

 早い話、このマークの有無が「商品の安全性」やら「トラブル発生時の申請先証明」などになっており、無印の商品と比べた時、著しく売れ行きが違うのだ。

 モノというのは、当然のように盗んだ品の販売や転売も可能であり、また不当な利益率で販売を行っている商品もありうる。そしてそれは、個人利益と経済原則に照らし合わせてみれば、あまり良いものとは言いがたい。

 そういった部分の自浄作用を、商会連は促す形になっている。様々な事情からそう簡単に商会連設定の基準をちょろまかすことも出来ず、当然、賄賂も受け付けられない。

 いわば、商人たちを縁の下から支える力持ちな組織である。

 ただ、表向きがあれば当然裏向きもあり。

 今回は、主にそこのお話である。

 王都、マグノリリス。

 初代王妃マグノリアにちなんで名づけられたこの土地の、王城からどれほど離れた場所だろうか。

 山近くの盆地の一角、小さな村ほどの大きさの場所を商会連本部は保有していた。

 今日も絶え間なく、注文表やら商会の在庫管理表やら苦情やら何やらが、大量に飛び交う事務所。

 その裏手にある屋敷にて、数人の男達が顔をそろえていた。

「だ、か、ら! 今ここで魔術兵装を購入しないと――」

「既にステイツの方で話をつけてあるが――」

「いえいえ、それ以前に『開戦』にあわせるのでしたら、何を注文するかはもう少し見極めが――」

 顎鬚の、戦士のような雰囲気を持つ男性を筆頭に、同じくらい商売やら何やらで切磋琢磨してきた商人たち。彼らは、他の商会などから引き抜かれてきたものが多い。無論、スパイなどは出来ないように選定もされていはいたりするが、その氏素姓よりも、注目すべきは会話内容である。

「――とにかく、隠れてやるんだから慎重にやらねぇと」

 話し合われているのは、他国との武器売買――要するに密貿易についてだ。

 二章十四話あたりで言及されていた記憶があるが、オルバニア王国は、表向き多くの国から経済封鎖の憂き目にあっている。紙の流通が偏っていたり、映像通信装置が輸入されていなかったり、様々な点で他国の技術に劣っている部分があるのは、そういった点が主である。もっとも魔族側の経済状況についてはノータッチであり、王国側も多くは知らない。

 さて、その王国の経済を、どうやれば支えることが出来るだろうか。

 内部の成長そのものは、非常に緩やかな右肩上がりであるが――新規産業が出にくい現状、どういった形で経済を回すべきか。

 その結果が、密貿易である。他国との貿易――無論、仲介に商会連が入るが、これで国内の品を売り、また他国の品を輸入するというわけだ。

 オルバニアに限らず、周辺国家は共に同一の通過を用いて商売を行っている。そのため、裏取引自体も案外ガバガバに行えなくはない。

 当然、個人間や一部の小規模な商人たちなら、多少それくらいのことは暴利とかもつけて、やっているかもしれない。

 それを、商会管理組織自体が行っている、というのは、はなはだおかしいことではあった。

 しかし――それをしなければ、国内に流入しないものも多い。

 例えば、紙。そして例えば、魔法石。魔法石は大半の魔法使いにとって、魔法発動に必ず必要な道具であり、これがないとそもそも元素操作すら簡単に行えない。使い捨てではないがある程度の期間で消耗し、国内での生産が少なすぎると来れば、海外との取引は必須である。

 王国側とて、他国にない商品も少なからずある。そのため、両者がお互いの利益を確約するという前提に基づき、密貿易は存在自体が秘匿されていた。

 まあ、そもそもそれをかつて実行していたのが現国王だということは、余人の知るところではないだろうが。

 さて、その裏取引をしきる商会連が、全うな組織か否かと問われれば、難しいところである。

 少なからず、暴力装置的なエキスパートが、裏方には在籍していたりはするのだった。

 閑話休題。

 彼らが話し合っている内容は、武器についてだ。

 魔法剣や魔法矢、魔法槍など様々な武器がある。それぞれが戦争において一般的な武装であり、この世界の戦争の一般的な価値基準――戦士と武器の多さがモノを言うというのを、如実に表している会談だ。

「使い捨ての魔法石も、購入は必要でしょう。いざとなれば騎士団に融通しても――」

「国軍も魔法使いは居るだろう、そちらにも力を仰げば――」

 一般的に、魔法使いは前衛職となりうる人材が少ない。

 魔法の構築に一定以上の集中力が必要なのだから、当然である。

 無防備な状態で前戦にさらされれば、どうなるかは日の目を見るより明らか。

 必然、後方からの攻撃や支援となるわけである。

 さて、そういう構成である場合、もしそんな魔法使いを軍や騎士団に組み込むとなれば、どういう構成になるか。必然、全体の比率として魔法使いの人数が減る。

 なぜならば、この世界の戦争は未だ斬りあい殴りあいが主流なのだ。

 後方の人数ばかり多ければ、そもそも戦争にならない。

 そして一般的に、特殊な魔法具の開発や発掘でも起こらない限り、地形を変容させたり、天候を操作したりといったレベルでの、著しく威力の高い魔法の使用は、不可能であるからだ。

 そしてそれが、竜王が戦場に参加した際の被害につながる。

 竜王にとってのわずかな火炎でさえ、周囲一帯は大きく焼き払われる。

 爪を振るえば数十人は消し飛び、尻尾ではたけば地面を震わせる。

 いかにかの王が規格外であるか、ということがうかがい知れるわけだ。

 そのことを前提として、どういった商品を売買すべきか、という点についてだが――竜王の後継者が居るとなる以上、必ず特殊な魔法具も必要になってくる。

 そのことについてどう算段をつけるか。

 そんな感じのことを彼らが話している時である。


「――――♪」


 なんだかこう、聞き覚えのあるようなメロディである。

 流暢な発音の英語は、オルバニアにとって異国の歌。

 というか、間違いようもなく英語版き○きら星である。

 そのメロディを口ずさみながら、何者かが扉の前に近づいてくるではないか。

 ぺたぺたと、まるで小さな少女のような足音。

 その背後には、数人の大人の足音。言うまでもなく、それは「彼女」の護衛たちに他なるまい。

 やがて、扉が開かれる。

 燕尾服に身を包んだ、一糸乱れぬ動きをする護衛の男女たち。

 その中央にいるは、周辺の背丈に比べだいぶ小さな少女。

 耳は大きく、蝶の羽根を連想させる。

 肌は浅黒く、しかしどこか魅惑的。

 髪は白く、瞳は炎のように紅色。

 彼女は、部屋の中の男らを睨みつけて、嗜虐的に笑った。


「今、帰った……でぃん☆」


 ダークエルフの、ギャリル・クー・ティッカ。通称はギャラクティカ。

 彼女こそ、商会連の「総帥」。

 この場で、一番偉い人である。


「さて。良い知らせと悪い知らせがあるが、どちらが良いでぃん☆」


 その登場に、男達は、頬を引きつらせて笑った。

 

 

状況:兄弟しか家に居ない状態でビール飲んだり焼肉やいたり親秘蔵のワインをあけたりして好き勝手やっていたら、頭に角を生やした母親が帰って来た

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ