二章三十三話: 究極的な二択は無理ゲー
とれぬなら
どうしましょうか
選択肢 (字あまり)
ガンドレイの“りゅーおーらんど”ゲート付近が聖騎士たちにより取り囲まれたという一報がエースたちの元に届いたのは、わずかに五日後であった。
「……え? いや、いくら何でも早すぎない?」
「同意でございます。が……、エース様の予想が当たっていたということでございましょう」
肩をすくめるエミリーであったが、その表情はエースと同じく優れない。
二章十六話あたりで出てきたマダラの研究室にて、エース、エミリー、バルドスキー、マダラはそろって頭を抱えていた。
「先ほどT・T・Kが伝えてきた情報にございます」
「T・T・Tは何やってるの?」
「一時里帰りでございます。この間T・T・Kを同伴したのも、それが理由かと」
「なるほど、一時的に仕事を引き継がせるってことだったのか……。全然喋ってなかったけど」
「人見知りでございます」
「仕事してくれるなら別にいいけどね」
なんだかんだで福利厚生、休日産休サポートなんでもこいな“りゅーおーらんど”の雇用形態である。エミリーの直属は若干ブラックに片足突っ込みかけている部分もあるが、彼女とて鬼ではない(竜ではあるが)。
ちなみにケティも本日は休暇である。
今頃同じく休暇中なリリアンに、ジェットコースター連れ回されているかもしれない。
「……いや、というかここから蛇人間の集落までって、普通に半年くらいかかったような……?」
「“りゅーおーくん”が送ったでございます」
「あ、なら納得」
「……いや、納得なんですかい?」
少し眠そうに目を細めているマダラの言葉に、エミリーは肩をすくめた。
正直、彼女自身“りゅーおーくん”については計りかねている。そのうちエースから説明があるだろうことは分かっているので、深く考えるのをやめているのだった。
バルドスキーが、エミリーに質問する。
「取り囲んでいるだけ、でしょうか」
「ええ。周辺の亜人達からの情報だと、どうも表向きは文化研究としているそうでございます」
「まぁ“ストーンワイズの王宮”だしなぁ……」
本編で説明したかちょっと妖しいストーンワイズの王宮だが、要するに古い遺跡である。オルバニア王国がまだ小さかったころに、吸収した小国にあった遺跡だ。古い術式が多く使われており、現在でも魔術師や錬金術師の研究者が後をたたない。
もっとも時折、石像が唸り声を上げてやってくるのが目撃されている、という噂もあるがそれはまた別な話。
ともかく、聖騎士たちが来訪するのに言い訳が立つように手配されているのだった。
「実際動きの早さを見れば、魔王様の予想がほとんど正解だったということでございましょう。そうなると、やはり相手の動きがいまいち読めないというか……」
「まぁ営業妨害もいいところだけどねぇ」
実際問題、入り口からヒトが入れないとなれば、そういうことである。
誰だってコンビニの入り口に、ファンキーヤンキーマフィアンな方々が列席なさっていたら、身を引いてしまうだろう。
「スタッフに関してはポータルポイント経由でゲート移動させてるからいいとしても、やっぱりちょっとねぇ……」
と、のほほ~んと構えているエースであったが。
『……急げ』
ディアが扉をノックなしで開け放った姿を見て、状況が一変する。
「あ、おかえり。鎧の整備はどうだった?」
『問題はないそうだ。相変わらず無駄にこちらの体系に合わせてくれる……、ではない。魔王、急いだほうが良い。急いで防衛線を固めろ』
「? どこの?」
『ここのだ――!』
ことここに至って、相手の用意周到さが斜め上をいってることが発覚した。
※ ※ ※ ※
『丁度、鎧の手入れに行っていたら“森姫”と会ったんだが――』
ディアから齎された情報は、はっきり言ってエースたちを辟易させるものであった。
森姫は、自分の種族のものたちがきちんと働きっぷりを見るために鉄の町ラニアールの視察をしていたのだが、その際ディアと出会い、忠告をしてきたようだ。
さて。ここで一つ解説をするが、今代の“森姫”、亜人族の部族長は、割と人間社会と仲が良い。王国において魔族と人間との戦争で中立を保ち続けている亜人族であるが、その歴代の部族長の中でも今の“森姫”は、戦後に就任したこともあってか人間に悪感情を持っていなかった。
それゆえ人間達とのコネクションが多少なりとも出来上がっており、必然、それは教会関係にも波及している。
そうなれば――考えても見て欲しい。
お偉いさんが持つコネクションである。
お偉いさん同士以外ありえないだろう。
そしてことここに至って教会関係のお偉いさんと言えば、オルバニアにおいてそれは司祭をおいて他に居ない。
そして、デュオもデュオで相手が人間よりであること、基本亜人が中立だということから察して、多少彼女に忠告めいたことをしたのだった。
『シャルパンの“りゅーおーらんど”の客が、最近減っていないか?』
「んー、ここ数日に関してはねぇ。何かイベントでもあるのかと思ってたけど」
『そういうことだ』
「……んー、俺は意味がわかるけど、説明不足過ぎない? ほら、みんな見てみなよ」
バルドスキーは不可解そうに口元を覆い、マダラは「あん?」みたいな顔で眉間をつまんでいる。エミリーもエミリーで無表情ではあるが、両目が「意味ワカラン」と訴えかけている。
総じて言葉少なく、理解が難しいということだ。
それに対してディアはノーコメントだったが、軽くエースのスネを蹴飛ばした。
「いちち……。まぁ口調こっちのせいだから仕方ないとはいえ、泣き所は痛いって」
「「?」」
頭を傾げるマダラとバルドスキー。
エミリーは一瞬けっとそっぽを向いた後、いつも通りの無表情に戻った。
「まあ要するにさ。向こうが攻める準備してるとか、もう既にシャルパン付近に拠点を張ってるとか――何日もしないうちに、竜王城に攻めてくるだろうってことになってるんだろうさ」
「「「っ!?」」」
「そ、それは、一体どれほど手早く――」
「いや、そう考えれば相手がそれだけ下準備してたんだろうってことだし、そこは別にいいんだけど……。最悪何日くらいかな?」
『おそらく、二、三日もないだろう』
「大打撃だなぁ……。セィーブたちの方もまだ使えるレベルじゃないし……」
そうこう話しているうちに、どこかで聞き覚えのある声が竜王城にこだまする。
「大変ですよおおおおおっ!」
そう叫びつつ、バンと扉を開けてきたのは、ケティに相違ない。
いつもならエミリーから鉄拳が飛んでいそうだが、彼女も思考に意識をさいているため、攻撃ひたりはしてこなかった。
「どうした、でございます?」
「り、リリアンちゃんと一緒に里帰りしてたら、あの、その、これ……!」
ケティが取り出した封筒。
中身は要するに手紙であったが――。
「じ、獣王様からです!」
「……え?」
そこの表には、こう書かれていた。
――部族長会議:開催のお知らせ――
デュオニソス「盛 り 上 が っ て き た」
リリー(助手少女)「最低です」
りゅーおーくん→何でもあり。でもあんまり具体的な戦闘への干渉は出来ないのです、扱いがダンジョンのボス(≒核)なので・・・。
次回も一週間以内を目指します。
いやーペ○ソナQたのしくt・・・何でもありませんorz




