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バージルーズの狙い

 ジェルラードという惑星は、もともと人の住めるような場所ではない。人間に必要な空気中の成分、水、光、全てが不足していた。その荒れ果てた地に、巨大なドーム型の施設を建設し、五大惑星を纏めようと計画、実行したのが五聖官と呼ばれる人達。

 この五聖官は、五大惑星それぞれのトップに立っていた人間が集結したもので、計画をしたのが25年前。施設が出来たのはその五年後という、まだ新しい組織である。そして、優秀な戦力や、科学者などを集め、特殊部隊や戦艦を創立してその存在を無二のものとしていった。それがジェルラードである。

「なあスティーブ。五聖官ってどんな人達なんだ?」

 ジェルラードへ向かっているグリンピアの中で、レイドが尋ねた。

「そうだな。簡単に説明しとくよ。まず、ジーマ聖官。この方が一番の年配で76歳。ジェルラード計画を初めに提案した人らしい。次に、ハーリー聖官。59歳の女性で、強力な戦艦の製造を計画した人だ。このグリンピアもハーリー聖官が考え出した。次に、ダミア聖官。こちらも女性の48歳。一番若く、見た目は20代と言っても信用する程の美しさだ。次に、グラゼン聖官。彼は元オアランドの王で、60歳。ジェルラード部隊を纏めている。次に、ヴァルログ聖官。65歳の強引な方だ。この方はあまりジェルラードにいることがないから詳しい事はわからない。まあこんなところだ!」

「成る程ね。とにかく凄い人物だってことはわかったよ。」

「私達は五聖官って言葉しか聞いたことないから。なんだか楽しみね。」

「そうだね。ジェルラードに関係してる人間でないと、顔を合わせることはないですからね。ほら、もう着くよ。」

 スティーブばガラス越に見える施設を指差す。

「でかいなぁ。」

 レイドはその施設を見て呟いた。

 そして発着場の屋根が開き、グリンピアはジェルラードの内部へ降りていった。

 そこには、数々の戦艦や小型の戦闘機が並べられており、ジェルラードの戦力が窺える。

「おかしいな…。」

 スティーブが周りを見回す。

「どうしたんだ?」

「人が誰もいないんだ。普通、着陸、離陸する時は、何人か出て来るんだが、…誰も来ない。」

 そのいつもと違う光景に、スティーブだけでなく、同じ第三部隊員も戸惑っている。

「入り口は他にもあるの?」

「いや、此処からしか中へは入れない。それにこのIDカードがないとそこの扉は開かないようになっている。」 

「……とにかく、入ってみよう。」

 スティーブはIDカードを機械に通し、更にパスワードを打ち込むと、巨大な扉が開いていった。その中の光景に、一同は驚愕する。血まみれで横たわるジェルラード関係者。それが真っ直ぐ続いた廊下の至る所に倒れている。

「だめだ、死んでる。」

「まだ温かい。そんなに時間は経ってないわ。」

 レイドとシリアが一人の死体を冷静に分析をする。

「そんな……ジェルラードの内部を攻撃するなんて不可能だ!内部紛争でも起こったのか…。」

「そうとは言い切れないよ、スティーブ。」

「メテオカノンの時から予想してたんだけど、ジェルラード内に裏切り者がいるわ。」

「そんな馬鹿な!!」

 いきり立つスティーブをレイドが宥める。

「とにかく、五聖官が心配だ。案内してくれ、スティーブ。」

「……急ごう!」

 スティーブを先頭に、一行は五聖官のいる場所へ走る。10分は走った時に、スティーブの足が止まる。

「ここだ!」

 スティーブは扉を開ける。その広い会議室のような場所では、数人のジェルラード部隊と戦っている一体の人造生命体。ジェルラード部隊の後ろには四人の人物。人造生命体の後ろでは三人の人物が立っている。その三人の内、一人の顔を見て、レイドが叫ぶ。 

「ラーグ!!」

 レイドの声で、戦闘は中止され全員がレイドの方へ振り向く。

「聖官!これは何事ですか!?」

 スティーブが四人の人物に近寄る。 

「スティーブ、良いところで来てくれたな。ヴァルログの奴が裏切ったんじゃ!」

「ヴァルログ聖官が!?」

 白い髭を伸ばした老人の言葉で、奥にいる三人の内、大柄の男が笑い声を上げる。

「裏切ったとは人聞きの悪い、ジーマ。私は元からバージルーズ側の人間だよ!」

「ヴァルログ様はバージルーズの創立者だ。ジェルラードができる前からのな。」

 ヴァルログの隣にいたホスト風の男が割って入った。

「ジェルラード計画に参加したのはその方が都合良かったんでな。私一人が五大惑星の頂点に立つ為のな!」

「初めからそれが狙いだったのね!」

 五聖官の一人、ハーリーがヴァルログを睨む。それにヴァルログは笑いながら言葉を出す。

「その通りだよ、ハーリー聖官!」

「そんな簡単に五大惑星のトップに立つことが出来ると思っているのか!?」

「グラゼン…。貴様には今の状況が見えていないのか?現にこうやってジェルラードは我々四人にここまで追い詰められている。そして、メテオカノンも既にバージルーズの手の中。お前達に勝ち目はないだろう。」

「それに、我々には人造生命体の製造技術も持っている。完全体さえ出来上がれば、お前達など敵ではない。もっとも、ラーグ一人でも充分だがな」

「ラーグは完全体じゃないのか!?」

 レイドが驚きの声を上げる。

「確か、君達二人はラーグと顔見知りだったね。折角だから教えといてやろう!ラーグは完全体ではないんだよ。完全体とは一から体の構成を造り上げた、正に最強の生物兵器。人間から造られたラーグとは段違いなんだよ。」

「そんなものが造れるの!?」

 ダミアが信じられないという顔で問い詰める。それをホスト風の男が答える。

「時間はかかるがな。それにまだ最後の材料が足りない。しかし、今のお前達ではラーグにすら勝てない。」

「何だと!?」

 レイドとシリアは武器を構えた。

「ふむ…。レイドにシリア、だったか?何故無関係のお前達がバージルーズに刃向かう?只の正義感からか?」

「無関係…?言ってくれるわね!父を殺した事が無関係だって言うの!?」

「父?名前はなんと言う?」

「…ヤマト・マグレーナ。」

 シリアがそう言うと、ヴァルログはこれまでになく笑い声を上げた。

「ヤマトの娘か!良く覚えているよ!アイツは優秀な科学者だったからな。今のバージルーズが有るのもヤマトのお陰だ。」

「殺しておきながらよく言うわね!」 

「殺した?違うな!君のお父さんはまだ生きているよ。」

「嘘…。何処にいるの!」

「グザリスの研究所だよ。詳しい場所までは教えないがな!」

「ヴァルログ様。そろそろ行きましょう。」

「そうだな。五聖官達よ、…いや、既に四聖官か!我々は引き上げさせて貰う。精々苦しむがいい。NO、4。後はお前に任せる。」

 最初に戦っていた人造生命体にそう言うと、ヴァルログ達は転送されていった。

「そんな…、ヴァルログ聖官が…。」

「スティーブ、思い詰めるのはコイツを倒してからにしろ。シリアも父に会いたければ闘え!」

 二人はレイドの言葉に頷くと武器を構え、敵に向かって行った。

 ジェルラード部隊とレイド、シリアは人造生命体を難なく倒した後、四聖官と場所を変え、話し合う。

「君達は強いな。先程の人造生命体は我々の部隊でさえ手子ずっていた奴だ。本当に助かった。」

 一番の老人、ジーマが二人に御礼を言う。それに続き、髪の長い女性、一番若いダミアも口を開く。

「本当ね。アルバートから多少の事は聞いていたけど、ここまでとは…。」

「そんな大袈裟な事じゃないですよ。それより、ヴァルログがこれから何をするかが問題だ。」 

「そうね。メテオカノンも盗られた今、いつ攻撃してきてもおかしくないわ。メテオカノンは一体、どのくらいの物なの?」

 シリアが向かいに座っている四聖官の方を見る。それに、眼鏡を掛けたハーリーが答える。

「メテオカノンは戦闘機用の砲撃として造られた強力な物よ。最新式の高密度エネルギーを凝縮して打ち出すことが出来る。最大限にチャージすれば大陸一つ軽く滅ぼせるわ。」

「でも、奴等にはジェルラード戦艦に匹敵する戦闘機は持ってないでしょう?戦闘機を作り直すつもりかしら?」

「シリアさんの言う通りよ。でも、メテオカノンはそんな使い方だけではないの。」

「どういう事ですか?」

 レイドがハーリーに聞き返す。

「メテオカノンは500万フィーロは届く強力なレーザーを撃つことが出来る。」

「500万フィーロ?」

「あぁ、ごめんなさい。簡単に言えばこの6つの惑星のどこから撃っても、全ての惑星の正確な位置を破壊する事が出来るってことよ。」

「ということは、戦闘機に装備させなくても、地上から簡単に他の惑星を攻撃出来る、と…。」

「そういう事ね。」

「最悪な物を造ったわね。」

 シリアは呆れ顔で言った。そこへダミアが割って入る。 

「今思えばシリアさんの言う通りね。でも、それはこの五大惑星を守る為でもあるのよ。」

「それはどういう意図で?」

「私達は、これほどの科学技術を持ってしても、全宇宙の5%しか解明していない。その5%の中に、5つも惑星が有るのなら、きっとどこかに同じような惑星が存在するのよ。そしてそれは五大惑星を脅かす存在になるかもしれない。その対策としてのことよ。」

「その対策として造られた物が、逆に五大惑星の脅威となるとはね。」

 レイドの言葉に、グラゼンが反論する。

「造らせたのは我々の命令だ。当然、それに耐えれるバリアシールドも開発された。他の星が襲われる事はない。」

「でも、惑星の中でその場に撃たれたら終わりよ。」

「それは…そうだが。」

 そこでレイドは少し考えてから口を開いた。

「ハーリーさん。メテオカノンはどれくらいで作れますか?」

「そうねぇ。製造技術データは無事だったから、急げば2、3日ってとこかしら。」

「じゃあ急いで開発に取り組んで貰えますか?」

「…そうじゃのう。バージルーズを破壊するために必要かもしれんな。」

 ジーマも納得する。

「そうね。急いで取り掛かるわ。あなた達はどうするつもりなの?」 

「俺達はこれからグザリスへ向かう。恐らくどこかに研究所が有る筈だ。」

 

「二人で行くつもりか!ジェルラード部隊を何人か――」

「今のあなた達にそんな余裕無いでしょ?今度攻められてきたら確実に終わるわよ。」

 グラゼンの言葉を遮り、シリアがその要望を断った。

「それに、俺達二人の方が攻めやすい。」

「しかし、それでは……。」

「じゃあ代わりに欲しい物があります。」

「何だね?」

「小型爆弾です。」

「それなら、グリンピアの中に有るじゃろう。ついでにマッドに送って貰うといい。」

「分かりました。」

 そこでレイドとシリアはその部屋を後にした。そして、マッドに説明をして、小型爆弾を受け取り、水の惑星、グザリスへと向かって行った。

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