次なる目的地
「旨いな!ここの飯は!」
「ほとんどが海だもの。漁業が盛んで、新鮮な魚がすぐに食べられるわ。」
昨日の雨が嘘みたいに晴れている朝。二人はグザリスの海鮮料理を堪能していた。
「で、これからどうする?」
「そうね…。一旦ジェルラードへ戻るべきかしらね。」
その時、ジェルラードの聖官から受け取っていた通信機が音を鳴らす。
「あら、噂をすれば聖官から通信ね。」
シリアがボタンを押すと、二人の間にモニターが現れ、四聖官が映る。
「二人とも、大丈夫だったかね?」
ジーマが二人に尋ねた。
「ええ。こちらは大丈夫です。」
「研究所も破壊しました。何かあったんですか?」
「実はな…、先程オアランドの街で謎の船艦が現れたらしい。」
ジーマに代わり、グラゼンが口を開いた。
「謎の船艦?バージルーズですか?」
「恐らくそうだろう!目的は分からんが、このままほっとく訳にはいかない。オアランドには騎士団がいるが、一応君達にも向かって貰いたい。」
「別にそれは構わないわ。でもオアランドでどうすればいいの?」
「オアランドは王制の惑星だ。まずはその宮殿へ行って貰いたい。話はもう付けてある。今グリンピアがグザリスに向かっているから、もう暫く待っといてくれ。」
「わかったわ!」
そこで通信は切れた。
「今度はオアランドか。何を狙っているのやら。」
レイドは料理を食べながら呟いた。
「そうね。選択肢が有りすぎるわね。」
「とりあえず、ステーションに行ってみるか。」
二人は店を出ると、ステーションへ向かった。
「あら?ファーニだわ。」
「本当だ。何してんだ?こんな所で。」
二人が見たのは、ステーションの入口付近で座っているファーニの姿。
「どうしたの?」
シリアが声を掛けるとファーニは顔を上げ、笑顔で駆け寄って来た。
「ファーニね!シリアお姉ちゃんとレイドお兄ちゃんを見送りにきたの!」
シリアに抱きつき元気な声を出す。
「あれから毎日来ていたのか?」
「そーだよ。だっていつ行っちゃうかわからなかったんだもん!」
「はぁ。元気だねぇ。」
ファーニの行動に少し呆れるレイド。
「ごめんねファーニ。今度遊びに来るから。」
「うん!絶対だからね!」
ファーニはシリアと指切りをすると、元気よく去っていった。
「……何?」
シリアは見つめてくるレイドを睨む。
「いや、…お前、なんか子供には優しいな。」
「レイドもあんな風に接して欲しい訳?」
「………それは気持ち悪い。吐き気がするな…。」
「……撃つわよ。」
「おっ!ついに仲間割れか!?」
二人の後ろに笑顔のマッドが現れた。
「おっ。さあシリア!早く行かないとオアランドが危ない。」
「俺にはオアランドよりお前の身の方が危ないと思うぞ。」
シリアを見た後にマッドが呟いた。
その後、オアランドへ向かうグリンピアの中で、レイドはシリアからの殺気を感じながら縮こまっていた。




