ジェノサイド パート3
メタルが子供っぽく。
あと、少し文章の変更。
俺は今、ゴブリンの巣の入り口の上にいる。
「やっぱ、精神が弄くられているのは確定だな」
ここに来るまでに何体もゴブリンに出会ったが瞬殺していた。サーチ&デストロイだ。にもかかわらず、全く罪悪感も忌避感も無い。
「ま、確定したから何かが変わるわけでもない。さぁ、始めるとするか!」
俺はここに来るまでにどうやって効率良くゴブリンを殺すか考えていた。あの住みかにはかなりのゴブリンがいると思ったからだ。外にいるゴブリンは恐らくだが偵察もしくは食料の確保だろう。外にいるゴブリンだけであの数だ。中は一体どれ程いるか分からない。しかも、洞窟の中は広いと予測される。時間が掛かりすぎて逃げられる可能性がある。で、考えた結果一つ思いついた。
「まぁ、出来るかどうか微妙なんだが・・・」
それが、これだ。
ドッッッッガーーン
俺は洞窟の入り口を破壊した。正確には洞窟の入り口の上で地面を全力で殴って崩れた。
「これで退路は塞がったか」
足元が崩れ、洞窟の前にいた体格の良いゴブリンたち、4体が俺に気がついた。
「キサマ、ナニモノダ!コノ、サンジョウハ、キサマノシワザカ!!」
片言で聞きづらかったが、リーダーっぽいゴブリンが俺に問い詰めてきた。
「その通り。これは俺がやったよ。ついでに御免な」
「イマサラ、ナニヲ、」
リーダーっぽいゴブリンはそれ以上喋ることが出来なかった。首と胴体が離れたからだ。その瞬間、他のゴブリンは一斉に俺から距離をとる。が、大きな弓を持っていたゴブリンはリーダーっぽいゴブリンと同じ運命を辿った。一気に距離を詰め、殺したのだ。残りは2体。槍を持っているゴブリンと剣を持っているゴブリンだ。剣を持っているゴブリンは勇敢にも俺に飛びかかり、槍を持っているゴブリンは逃げ出した。アイコンタクトのようなことをしていたので恐らく槍を持っているゴブリンを逃がす作戦なんだろう。が、
「瞬時に考えたにしては良い作戦だし、思い切りもいいが無駄だ」
俺は飛びかかってきたゴブリンの腕を引きちぎり、剣を掴んでそのまま逃げているゴブリンに投げつけた。
ドンッッッ
小さなクレーターが出来たがゴブリンは死んだ。残るは腕を引きちぎられたゴブリンだけだ。
「コ、コノバケモノガッ!!」
俺を化け物扱いしやがった。まぁ、相手から見てどんどん同胞が殺されていくのを見ればそう言いたくもなるな。
「だから、最初に言ったろ。――御免なって」
そう言って、俺はゴブリンを殺した。
さて、いろいろ大きな音たてたからな。すぐに近くにいるゴブリンが来るかも知れん。その前に移動しないと。
「っと。大体この辺だったな」
洞窟の入り口に行く前に目星をつけていた場所に来た。
「始めるか。ふん!!」
ドッッッッガーーン
入り口と同じように全力で地面を殴った。が、少々地面が揺れただけだ。
ここまでくれば、俺のやりたいことが分かるだろう。俺は洞窟に入ってゴブリンたちを倒すのが面倒で洞窟ごと破壊して生き埋めにすることに決めたのだ。
(ま、ちょっと悩んだんだけどな。これをして経験値手に入るか分からないし、DPも入るか分からない。それに洞窟を破壊できるか微妙だし)
洞窟を破壊できなかった場合は放置する。恐らく、入り口の石や土を退けて出て来るからその時に洞窟の中に入って殺す。
周りにいたゴブリンたちを倒しまくってたらだんだん飽きてきたのだ。多分、100体くらいは倒してる。
「っと。続き続きっと!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
連続で殴り続ける。俺はこれを10分間続けようと思う。一発で多少は揺れたんだから連続で殴り続ければ崩れるだろ。
「この体で本当に良かったよ!この体じゃなかったら拳が砕けてたところだ。それに全然、疲れないしな!」
ドガッッッ
「うん?」
ドガッッッドガッドガッッ
「音は聞こえど何も変わらんのだが・・・。―――嫌な予感」
恐らく、洞窟が崩れかけてる音なのだが嫌な予感が止まらない。ここは、
「逃げるに限る!!」
前世でもこれ以上にないくらい全力で走っている。つーか、
(どんどん嫌な予感がしてくるんだけど!昔からこういう勘って外れたこと無いんだよ!!)
ドガッッッドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーゴゴゴゴーーーーゴゴゴゴーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
見た感じ洞窟は崩れた。うん。これは、これは嬉しいんだけどね。けどな、けどな、
「土砂崩れまで起きちまったじゃねぇかーーーーーーーーーーーー!!?」
そう俺は洞窟を壊すだけのつもりだったんだが土砂崩れまで発生した。しかも、山の三分の一が崩れるほどの大規模なものに。山の麓には誰もいなかったが洞窟の入り口近くに集まっていたゴブリンは巻き込まれたな。
「しかし、後少しでも遅かったら100パー巻き込まれてたな。死ぬかどうかは別として」
少し先には土が川のように流れている。あれに巻き込まれて生きているゴブリンはいないだろ。むしろ、生きていたら奇跡だ。
「あー、ダンジョン平気かな?一応、土砂崩れが起きた場所とは正反対だけど」
少し不安だが、ま、なんとかなるだろ。
【ユニーク能力:"破壊スル者"を取得しました】
【称号:"破壊者"を獲得しました】
「は!?」
(オイオイオイオイ!!!なんか、凄そうなの手に入れたぞ!)
俺はすぐに手にいれた能力を確認する。
破壊スル者:あらゆる防御を無効化
破壊者:地形が破壊しやすくなる
「来たーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!?これでゴーレム、作り放題じゃん!!」
実は俺は自身の体でゴーレムを作ることが出来なくなるのではないかと不安だった。自分の体を殴って体を壊した結果、物理耐性を得た。なら、それ以上に続けたら物理無効を手に入れてしまうのではないかと思ったのだ。それなら魔法を覚えれば良いと思うのだがいつかは無効化してしまう。時間の問題だったのだがそれが解決した。
(よしよし。ステータスを見た限り、あの土砂崩れでは経験値は手に入らなかったがDPは手に入れた。しかも、かなり多いな。ゴブリンの上位種、もしくは他の種族でもいたのかね。ま、)
「帰るか!帰ったらやること腐るほどあるしな。主にトゥースの改造」
俺はゴーレム作りにハマった。もともと物を作るのは好きだったが、向こうの世界じゃ金がないと好きなものって作れない。しかし、この世界では好きなものを作り放題だ。ハマるのも当然といえる。
俺はトゥースをどんなふうに改造するか考えながらダンジョン、自身の家に向かった。
~~~
(大変だった。本当に・・・)
俺はあの後、ダンジョンに着いて早速、トゥースを改造しようとしたんだが血まみれだった。ゴブリンを倒しまくっていたので当たり前なんだが、この血を落とすのが大変だった。平原に水が無いためDPを使い、川を作くり血を流そうとしたのだが問題発生。血を流すためにトゥースを川に浸かるように命じたのだが入って、ちょうどゴーレムのコアが届くくらいの深さまで入ったときに起きた。水に弱かった。そのせいで川のど真ん中で停止したのだ。そこからが大変だった。重いから川に流されることはなかったが持ち上げようとしたら足が滑るし、川で動きずらいし大変だ。
「やっと、やっと改造出来る・・・」
胸の辺りまでは完全に血を流せていたがそこから上はまだまだ血が残っていたので必死に落としたよ。
「さて、ではゴーレムの応用知識を買って改造するか!」
今の俺は顔があったら間違いなく口がつり上がってるだろう。
(あーー、楽しすぎる!!)
俺はダンジョンコア、ドライさんを通し、ゴーレムの応用知識を購入した。
(・・・参ったわ。凄い、凄すぎる。ははは、はっはは、サイッッッッッッッッッッッッッッッコーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!)
ただでさえ、知識を購入する前からテンションが上がっているところに予想を遥かに越える知識が来たもんだからテンションが最高になったのだ。
(なんだよ、コレ!!こんなこと出来るのか!?いや、待てよ!これをボディチェンジ(人型)に組み込んだらどうなんだ?やってみる価値はあるな!)
「フフフ、ははははっっは!!楽しい、楽しすぎるなぁ!!」
『マスター。大丈夫ですか?』
一人でテンションが高い状態で笑い続けていたら、ドライさんが心配して話しかけてきた。
「ん?ああ、大丈夫だ!少し、いや、最高に楽しいことが出来そうでな!それを想像して笑っていただけだ」
ドライさんに心配されて少し落ち着きを取り戻した。さすがに本気で心配している声、まぁ機械的な声だがそのように感じたからな。落ち着きもする。
「ドライ、これから俺はトゥースの改造に専念する。もし、侵入者が来た場合、俺に知らせろ。すぐに撃退する」
『了解』
俺はドライさんの声を聞きながら平原の方へ向かった。
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「これは・・・。そんな、まさか・・・。」
ギルドに所属する冒険者でゴブリンの大量発生ため、近々、大規模な掃討作戦が始まるもんだから、偵察として雇われたんだ。
(こりゃぁ、やべぇな。)
前回の偵察でゴブリンの巣らしきものがあるという所に来たんだが俺はある事実に気がつき、警戒レベルを最大限に上げた。
「はっ。こら、あたしたちが来なくてもよかったんじゃない?土砂崩れでゴブリンがほぼ全滅してるよ!はぁ。追加報酬でないぞ、コレ」
俺の仲間が落胆した表情をしながらそんな気楽なことを言い出した。
「ま、しょうがないさ。むしろ、こんな楽なクエストで金まで貰えんだ。ラッキーだと思え」
もう一人の仲間までこんな有り様だ。
(ああ。勘がいいっていうのも良いことだけじゃねぇなぁ。悪いことにも気がついちまう)
「お前ら、もっと警戒しろ!はっきり言って今回のクエスト、やべぇもんになっちまったかも知れねぇんだぞ!!」
俺の様子を見て冗談じゃないと判断したのか真剣な顔になって辺りを警戒しながら俺に訪ねてきた。
「どういうことだ。ただの土砂崩れで運悪く、俺たちからすれば運良くゴブリンが巻き込まれただけじゃないのか?」
「それともこれは罠であたしたちを殺すためのものだって言いたいの?それは考えすぎじゃない。コレだけのゴブリンの死体があるのよ。油断させるためとはいえ、多すぎよ!」
土砂に混じれてゴブリンの死体も大量に混じっていたのだ。
「いや、罠じゃぁ無い。俺が言いてぇのは土砂崩れが起きた時の状況だ。」
「状況?」
「ああ。まず、この土砂崩れは何故起きたんだ?」
俺は一つずつ説明していくために周りにくどいことをする。頭のわりぃ奴が一人いるしな。
「何故って、そりゃあ偶然じゃあないのか?」
「前回来たときは周りは木に囲まれ、大雨の降った様子もねぇ。こんな状況で、しかもゴブリンの巣の上で土砂崩れが起きる可能性なんてぇのは、ほぼ無ぇ」
「・・・つまり、こう言いたいのか。何者かが意図的にゴブリンを壊滅させる為に土砂崩れを起こした、と・・・」
「そうだ。しかも、俺はコレを起こしたやつは一人、いや、1体だと思ってる」
「?何故、1体だと・・・?」
「数が多けりゃ俺たちも気づくし、死体も何体か出るだろ。・・・土砂崩れでゴブリンを壊滅させるだけの知恵があり、それを実行するだけの力も持ち合わせてる化け物がいるってことだ」
「ヤバイじゃん!!」
「ああ。だから、とっとと戻るぞ。こんなところに長居したくねぇ」
俺たちはすぐにここから離脱することを決定した。
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「あっハハハハハハッッハハハハハハハーーーーハハハハッッッ!!!完成!完成だ!!トゥースの完成!!くくっくっく、さぁ、トゥースの起動だ!」
見た目は全く変わらないが中身はもはや別物。メタルが作ったゴーレムが動き出そうとしていた。
ステータス
名前:メタル
Lv.22
種族:進化金属生命体
能力:自己再生Lv.15、ボディチェンジ(人型)、進化金属の統括、身体能力強化Lv.8
ユニーク能力:破壊スル者
耐性:物理耐性、自然環境無効
称号:転生者、破壊者
DP:3456