ジェノサイド パート2
俺は今、ダンジョンの外を歩いている。いや、正確には視界だけがそうなっている。視界以外の全てはダンジョン内だ。
これはゴーレム、トゥースの進化金属の端末の能力だ。視界だけだがトゥースが見ている景色を見ることが出来る。まぁ、集中しないと見れないから周りに気をつけなきゃいけないがな。
(さてさて、ここにいるモンスターやら地域を知るいい機会だし、トゥースの性能テストも出来る。まさに一石二鳥だな。)
しかし、木が多いな。ここが山だとゆうことはダンジョンを接続して分かったがそれだけだ。それしか知らない。
(お!あれは・・・ゴブリン・・・かな。)
俺の見えている限りでは5体いる。ファンタジー世界では定番のモンスターだ。しかし、アニメやマンガ、ファンタジー小説ではよくでるが現実だとキモいな!できるなら近寄りたくないな、あんまり。
(トゥースには生命体は殺せ!と命じてるから闘うだろうが、どんな戦い方をするかね。)
どんな戦い方をするのか結構興味があった。土で作ったゴーレムは動きが単調だったがトゥースはどうかな。
(!動いた!)
と思った瞬間には先頭に立っていたゴブリンの目の前にいた。
パンッ
風船が割れる音が聞こえたような気がした。実際には聞こえなかったがそう勘違いしそうなくらい簡単に頭が吹き飛んだ。ゴブリンの頭が。
派手な死に方ではあったがトゥースがしたのはただのパンチだ。ま、生物の頭を吹き飛ばすようなパンチをただのパンチと呼んでいいのか分からんが。
そして、あまりの出来事に呆然としている2体のゴブリンに接近し、一匹は手刀で頭と胴体を切り離し、もう一匹は胴体に風穴を開けた。ちなみに返り血で結構、濡れてる。
ここまできて、ようやく立ち直り残っていたゴブリンはトゥースから逃げ出した。
(あー、それは下策だ。)
正直な話、逃げ出したのはいい判断だといえる。が、逃げ出した方向が同じだった。それでは殺してくださいと言っているようなものだ。
(あー、ゴメン。今の撤回するわ。違う方向に逃げても無理っぽい。)
今、トゥースがしたのはそこら辺にあった石を投げつけたのだ。そして、投げた石は見事にゴブリンを貫いた。いや、破裂した。投げた石の振動で。
(つえぇぇぇーーーーー。強すぎじゃね。性能。でも、あれだ。高度な動きは一切してない。やっぱ、コアの問題かな。それとも他に必要なものでもあるのか?)
全てのゴブリンを殺したトゥースは返り血で濡れたまま探索を再開した。
(そういや、結構グロイもの見たのに全然平気だな。以前の俺なら100%吐いてたぞ。)
生き物を殺すとゆう忌避感もなかった。
(冷静に考えればおかしいな。生き物を殺すことに躊躇してもおかしくないはずなのに全くない。まさか神が精神も弄ったのか。)
肉体を強くしてくれたのには感謝するが精神まで弄くられたくなかった。まぁ、生き返らせてくれたんだから文句の言いようも無いんだが。
そんなことを考えているとまた、ゴブリンに出会った。また5体だが今度はちゃんとした装備をしている。そして、トゥースに何か話しかけてきた。が、トゥースは容赦なく話しかけてきたゴブリンを引きちぎった。
(容赦ねぇぇーー。いや、普通のゴーレムだからしょうがないけど。)
引きちぎられたゴブリンを見るなり、弓を持っていたゴブリンがトゥースに矢を放つが効果が全くなかった。それどころか傷一つ無い。
(ま、普通の矢じゃ無理だろ。)
トゥースは弓を持っている奴ではなく近くにいた剣を持っている2体のゴブリンと盾を持っているゴブリンを狙った。
まず、剣を持っているゴブリンに殴りかかったのだが盾を持っているゴブリンに邪魔せれた。ま、盾ごと体を貫通したが。そして、別のゴブリンが剣を振るってきた。が、逆に剣が折れてしまった。固すぎて。それはゴブリンを硬直させるのに充分な衝撃だ。その隙に剣を失ったゴブリンを殺し、もう一匹のゴブリンを掴んで弓を持っているゴブリンに投げつけた。結果、両方とも死亡。
(・・・・・・こりゃ本気でやんないとな。ゴーレムの動きを。)
ハッキリ言って圧倒的だ。傷一つ無いことからもそれが分かるだろう。しかし、それは基本性能に差がありすぎるからだ。技術に関しては駄目過ぎる。トゥースの性能なら一度も攻撃を食らわずに勝つことも可能なのだ。
(DPがたまったらゴーレムの応用知識を買おう!独学にも限界がある。)
~~~
何でだよ!何で、何でこんなにゴブリンいるんだよぉっ!!(イラッ)
本トにゴブリンしかいない。あれから8時間くらいたったのだが、他の生物に一切会わない。さらにゴブリンのエンカウント率が異常だ。十分間くらいに必ず会うぐらいだ。しかも決まって5体一組。つまり、同じような戦闘ばかりでつまらん。まぁ、獲得経験値とDPは凄い量になってるが。つーか、DPで作られたモンスターが敵を倒すとDP貰えることは知ってたけどゴーレムでも貰えるとは思ってなかった。
(ま、これでゴーレムの応用知識を手に入れられるDPは貯まったからいいんだが。うーん、少し早いがこっちに呼んで改造するか?)
そして、見つけた。恐らく、ゴブリンが5体一組で行動していた理由とゴブリンしか出会わなかった理由を。
洞窟があった。しかし、ただの洞窟ではない。外部からじゃ見えにくい場所で、その周りには4体のゴブリン。しかもそのゴブリンはあきらかに他のゴブリンたちと違った。まず、今まで出会ったゴブリンは一メートルくらいの伸長だったが、そのゴブリンは五十センチくらい高い。つまり、体格が全然違うのだ。さらに持っている得物も今までのものと比べて良いと素人目から見ても分かるぐらいだ。
(100パー、ゴブリンの住みかだな。ゴブリンの巣があったから、他の生物がいなかったのかな?それとも、他の生物がいなかったからゴブリンが住みかに選んだのかな?まぁ、どちらにせよ、殺ることにかわりはないが・・・。が、)
俺はゴブリンを皆殺しにするつもりだ。理由は単純。めんどいから。ハッキリ言って外に出るたび、ゴブリンを殺すのが大変だからだ。なら、停戦条約みたいな決めごとをするかというとこれも却下。理由は数の上では間違いなく向こうが上、こちらが不利になるのは目に見えてる。力を見せつけてから持っていくのも無理だ。殺せば必ず後々、禍根になるから。一匹も殺さずに制圧するならともかくな。俺やゴーレムがそんな器用なことが出来るほど戦闘になれていないし。
(とりあえず、トゥースをこちらに呼ぶか。さすがになんの技術も持たないままじゃ罠に掛けられて殺される、いや壊されるだけだしな。)
「トゥース。今日はここまでで良い。戻ってこい。」
俺は進化金属の統括の能力で声をトゥースに伝えた。
トゥースは命じた通りに俺のダンジョンに向かって歩み出した。
さて、トゥースの性能テストはこれで完了だ。あとは、ゴーレムの応用知識を購入してトゥースを改造するだけだがそれでもまだDPが余るな。ちなみに現在のDPは5278である。ゴーレムの応用知識は3000DPだ。使っても2278DP余るのだ。
「このまま。改造してトゥースをゴブリンの巣に送りこむかね。今でも被害覚悟で挑めば倒せそうな気がするしな。いや、」
今のところトゥースの性能テストはしていたが自分自身の性能を試していなかった。なら、
「俺が殺るか。でも、念には念をで能力取ろうかな。それに。」
自分自身が本当に精神が変わっているかどうか確かめる良い機会でもある。俺はトゥースに殺せと命じ、トゥースはそれにこたえてくれた。そこで俺はトゥースが殺す場面を見ていたが全く罪悪感も忌避感も感じなかった。なら、自分自身で殺した場合は?これで何も感じなければ間違いなく俺は精神が変わっているだろう。それが分かったところでどうしようも無いが気にはなる。
「じゃ、何取るかな。うーん。」
俺は平原から俺の部屋に向かいながら考えていた。そこに、
『では、身体能力強化はどうでしょう。』
ダンジョンコア、もといドライさんが提案をしてきた。
「うん?何故、身体能力強化なんだ?他にも良さそうな能力はあったような気がしたが。」
『確かにありますが有用な能力はDPが高いです。身体能力強化は最初こそ程度はしれてますがレベルを上げていけば有用な能力になります。それにDPも2000程です。』
確かにいいかも知れないな。別に有用な能力が欲しい訳じゃない。いや、欲しいちゃ欲しいが今回は気休めが欲しい。なので取るかな。それにもう一体ゴーレムを作ろうとしたさい、自身の体を多少でも壊しやすくなるなら是非、欲しい。
「決まりだ。身体能力強化を取ろう!」
ちょうど、俺の部屋に着いて身体能力強化を会得した。
【能力:身体能力強化Lv.1を習得しました。】
俺はすぐに平原に向かい着くとすでにトゥースは帰ってきていた。
「トゥース。ここで待機、いや侵入者が来たら迎撃しろ!」
トゥースは俺が最初に命じた時と同じように縦に頷いた。
「ふぅ。少し緊張するな。」
考えてみれば、俺がダンジョンから出るのはこれが初めてだ。まぁ、ダンジョンが出来て2日も経っていないのに何言ってんだ。と思うかも知れないが俺にとっては随分長い間いたような気がする。睡眠が必要ないから長く感じるだけかも知れないが。
「ん、じゃあ。行ってきます。」
俺はダンジョンの外に出ていった。
ステータス
名前:メタル
Lv.6
種族:進化金属生命体
能力:自己再生Lv.13、ボディチェンジ(人型)、進化金属の統括、身体能力強化Lv.1
耐性:物理耐性、自然影響無効
称号:転生者
DP:3278