ジェノサイド パート1
結果は成功だ。しかし、
「・・・弱すぎだろ。」
今、俺はゴーレムを作るため平原にいる。そして、早速とばかり平原にあった土で土で作ったのだが、弱い。
俺の目の前には淡くも崩れ去ったゴーレムの残骸、土が積もっている。理由は簡単。俺がぶっ壊した。いやなに、どれくらい強いのか確かめるためにゴーレムに俺を倒せと命じて闘わせたんだが結果は一撃。一撃で終わった。だが、これでは俺が強いのかゴーレムが弱いのか分からんから二体ゴーレムを作り、闘わせた。結果は
「最初に作った方が勝ったが、弱すぎんな。パワーも固さも結構だったがそれ以外がダメだ。」
そうなのだ。力と固さは結構良かった。しかし、それ以外特にスピードはダメだった。つーか、前の俺にそれなりの装備を持たせて闘わせても俺が多分勝つ。素人の、しかも人間でも勝てるぐらいだからその弱さは分かるだろう。
先程のゴーレムはファンタジー世界で定番中の定番。3メートルくらいの大きさのゴーレムだ。これが弱いなら別の形で作ればいいと思うかもしれないが無理だ。多分だがこれ以外のゴーレムを作ることは可能だ。だが、土じゃ出来ん。せめて、鉄くらいじゃないと無理なのだ。
「さて、詰んだよ。どうしよう。」
DPで鉄を買えばいいじゃんと思うだろう。しかし、今は100DPしか無い。2500ほどあったんだが、魔力の扱い方の知識(2000DP)ゴーレム作りの基礎知識(400DP)で使ってしまった。ちなみにゴーレムの全ての知識もあったのだが無理だった。DPが高かった。900000000DPだ。ナニコレ、ムリゲーダロ!そう思ったよ!もう自分で身につけていくしかない。
『一つ打開策があります。』
「うお!?声が聞こえた!!」
ドライは俺の部屋から出ることが出来ないから置いていったのだが平原でも声を聞こえてきた。
『はい。ダンジョン内に限りダンジョンマスターであるものにはダンジョンコアの声を聞くことが出来ます。他のものには聞こえませんが。』
「そうなのか。・・・・・・これは緊急時に役にたつな。」
非常時に俺に連絡したり、俺が連絡したり出来る訳だしな。
『話を戻しますが打開策があります。どうしますか?』
「・・・・・・。」
実は俺も一つ思いついている。とゆーか、ゴーレムの存在を知った瞬間に思いついたことなのだが、正直やりたくない。怖いとゆーか抵抗があるとゆーか、さすがにな。
「それはもしかして、俺を材料にするってことか?」
『・・・・・・はい。』
機械的な声だがどことなく申し訳ないような感じがした。まぁ、主の体を使うんだから申し訳ないのだろう。
「・・・やっぱ、それしかないかね。」
『外に出ればあるかも知れませんが現状ではそれしかありません。』
俺には能力に自己再生Lv.1がある。なので自分の体をぶっ壊してそれを材料にするのだ。ぶっ壊した所は再生するしな。それに自己再生のレベル上げにも繋がる。まさに一石二鳥だ。が、いくら自分の体が再生すると知っていても壊すのには抵抗がある。だから、あまりやりたくはないのだが・・・。
「よし!腹くくった!やるぞ!」
ゴギン
おもいっっきり俺の左手首を殴った。鈍い音がしてヒビがはいったんだがそれだけだった。痛みはない。つーか、痛みがあったら絶対にやらないしな!
ゴギンゴギンゴギンゴギンゴギンゴギン
ゴギッッッ
八回殴ったところでやっと取れたよ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうしよう。俺、土みたいな柔らかいものでならゴーレム作れるけど鉄みたいなそれも進化金属みたいな意味わからん金属でゴーレム作れんぞ・・・。
『ボディチェンジ(人型)の応用で恐らくゴーレムを作ることは可能です。ただし、これは人型しか不可能だと思われます。そして、自身の金属でしかこの方法とれません。』
「いや!充分だ!!よしよし!希望が見えてきた!」
本トに良かった。何にも考えずやろうとしていた自分自身に呆れ、いろいろなことを考えていたドライ、いやドライさんに感服した。
「じゃあ次は左腕かな。よし!」
流石に左手首だけでは足りなすぎるので一気に左腕をやろうと思う。そして、自分の腕が再生したら、もう一度。これを繰り返す。
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1日費やした。自己再生なんだが最初レベルが低すぎて一時間もかかった。つってもレベルが上がっても10分くらいしか短縮が出来なかったがな。本当は二十時間くらいで充分な材料が集まったのだが、念には念をだ。
「これでやっとゴーレム作りの再開だ!しかし、予想外なことが起きたな。あれのせいで半日くらいで出来ると思ってたのに1日も費やした。」
左腕の八本目を取ろうとしたさい、ステータスみたいなウインドウが現れたのだ。
【耐性:"物理耐性"を取得しました。】
いやね。強くなるのは嬉しいんだけどこの場面では出てほしくなかった。物理耐性を取得してから異常に壊しにくくなった。そのせいで1日もかかったのだ。
そして、自己再生は順調にレベルが上がった。
自己再生Lv.1→自己再生Lv.13
こんな感じ。
「さて、始めるぞ!」
俺はまず、腕を作ることにした。
(ふっふっふ、俺がただ単に腕を取って再生させるだけだと思ったか!)
何故か、徹夜明けのようなテンションだ。実は再生させている時間が暇で俺は土でゴーレム作りの練習をしていた。いや、練習とゆよりは実験をしていた。
俺が最初にやったことは一つ一つパーツを分けて作ることだ。
それが意外にも性能を上げることに成功したもんだから調子にのってどんどん実験していってテンションが異常に上がったんだが・・・。
次にやったことは腕を小さくしたままパワーを上げようとしたんだがこれは結構苦労した。全てが土で出来ているものだから全く打開策が見つからなかった。なので多少パワーが落ちてもいいから小さくしようとしたところ成功。この技術を全身にやったところ俺と同じくらいのサイズにまですることが出来た。
最後にコア、心臓部分に当たるところだが完全にお手上げだ。出力を上げたり、運動性能を上げたり、逆に低出力で同じだけの性能を持たせたりすることは可能だ。だが、複雑過ぎてどう考えても土でこれ以上のコアを作るのは不可能だと思った。なら、土でなければ可能かと言われると分からない、としか答えようがない。だって、他の素材で作ったことないし。
「ふぅ。完成だ・・・。」
俺はゴーレムを完成させた。途中で狂ったように笑ってはいたが今は全て出しつくし燃え尽きている。しかし、声は満足げだ。
ゴーレムの部品を一つ一つ作り、かつ学んだ全てをこのゴーレムにつぎ込んだ!
見た目は俺が最初に変身した中世で出てくる全身甲冑の騎士だが細部、違っている。動きを遮らないように慎重に作ったのだ。
コアだが土で作ったコアと同じである。コアを改造出来なかったのではなく、しなかった。実はゴーレムを作っているうち、コアの部分を実験しないと動くか分からなかったのである。これは後々、改造しようと思っている。
「完成した・・・。」
完成した余韻に浸っていると見覚えのあるウインドウが現れた。
【能力:"進化金属の統括"を取得しました。】
はい!?なんかもう、驚いてばっかりだよ!
「ダンジョンのDPを使わなくても能力って増えるのか・・・。」
多少、呆然としながら呟いた。
「えーと、能力は・・・。」
進化金属の統括:"進化金属の端末"及び"進化金属の共有"の能力を持つものの耐性、獲得経験値の50%を獲得。通信も可。
「この能力を持った、ってことは・・・もしかして?」
俺はすぐさまゴーレムのステータスを見た。ゴーレムは所有者もしくはステータスを閲覧する能力の持ち主以外見ることが出来ない。
ステータス
名前:???
Lv.1
種族:ゴーレム(マスター:メタル)
耐性:物理耐性、自然影響無効
能力:進化金属の端末
称号:なし
(やはり、あったか!)
進化金属の統括の説明を見た瞬間もしかしてとは思ったが予想通りあった。進化金属の端末が。そして、能力は
進化金属の端末:"進化金属の統括"を持つ者に自身が見ているものを送る。"進化金属の統括"を持つ者の耐性を得ることが出来る。"進化金属の統括"を持つ者の通信を受信する。
便利過ぎじゃね。この軍隊できたら勝つ自信無いんだけど・・・。
(強いからいいが・・・。もし、他の奴等も同等レベルだったら・・・・・・考えたくもないな。)
まぁ、今は性能テストだ!今度は俺とは闘わせない。このゴーレムと闘うのが少し怖いからだ!
「トゥース。今からお前の名はトゥースだ!」
見た目はともかく中身は一般的なゴーレムなので首を縦に振ることしか出来ないが確かに頷いて見せた。
「では、お前に命令だ。トゥース、このダンジョンから半径一キロを探索しろ!生命体にであった場合は殺せ!あ、1日たったら戻ってきてね。」
これからのことを思ったせいか、また、徹夜明けみたいなテンションでトゥースに命じた。
トゥースは命じた通りにダンジョンの外に出ていった。
「さてさて、俺はゴーレムのコアの実験と高見の見物かな。」
俺に顔があったらすごくニヤけている顔をしている自信があるくらい楽しい。しばらくはトゥースの行動を見ようと思う。
ステータス
名前:メタル
Lv.1
種族:進化金属生命体
能力:自己再生Lv.13、ボディチェンジ(人型)、進化金属の統括
耐性:物理耐性、自然影響無効
称号:転生者
DP:100