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メタルの支配領域  作者: 我輩は猫である
2/7

ダンジョンを作った

 気がつくと真っ暗だった。


(ええと、なんで?・・・・・・いや、そういや自称神にあって、光に包まれて・・・・・・・・・どうなったんだ?)


 思い出そうとするが原因が分からない。つーか、


(あれ?俺の名前・・・なんだっけ?)


 思い出そうとして気がついた。友人の名前や親の名前はハッキリと思い出せるのに自分の名前だけが思い出せないことに気がついた。


(オイオイ!マジか!自分の名前以外は思い出せるって変な気分だな。・・・・・・・・・自分の名前を思い出せないはずないから、あの自称神がなんかしたのかねぇ。)


 つーか、それくらいしか心当たりがないし。まぁ、それはいいとして。ここ、どこだよ?



ウィーン



 なんかパソコンが立ちあがるような音が聞こえた。


『ダンジョンの構築を開始。・・・・・・完了。ダンジョンの構築の完了を確認。ダンジョンマスターの登録をお願いします。』


 機械的な声が聞こえたと思ったら『完了。』と聞こえたあたりで真っ暗な空間が一瞬で辺りが俺の部屋になった。正確に言えば俺が住んでいた部屋とその中心に頭くらいの大きさがある真珠が浮いた空間だが。ちなみに外は真っ白でドアや窓は開かない。つか、


「ダンジョン?なぜダンジョンなんだ?俺の想像しているダンジョンなら、ダンジョンはどちらかと言うと防衛に向いてるぞ。神の言っていた異世界人の抹殺するならおかしい。やっぱり、なにか別の目的でもあるのか?それとも俺の想像しているダンジョンではないか、か。まぁ、いずれにしても情報が少なすぎるか。それはそれとしてダンジョンマスターの登録は理解できるがどうやってするんだ?」


 考え事をしながら早口に呟いていると、


『ダンジョンコアに触れ、触れた存在の解析が完了すると同時にダンジョンマスターとなります。尚、ダンジョンマスターの登録は一人のみです。』


 聞いてもいない疑問に答えてくれた。


「・・・疑問は解消したがお前、誰だ?もしかしてだがダンジョンコアの意識か?」


 この手の話は小説やらアニメやらではお約束だ。


『肯定。私はダンジョンコアの自我意識No.3です。』


「No. 3?随分初期に作られてるんだな。」


 俺は少し驚いていた。作られた順の番号が名前だと勝手に思ったからだ。


『肯定。接続予定の世界ではダンジョンというものは存在しません。あなた方が世界に降り立つと同時に発生するシステムです。』


 そして、勝手に思ったことは正解だったようだ。しかし、


(接続予定?まだ異世界には繋がっていないということか。)


「いくつか聞きたいことがある。他のやつらはどこにいて何をしているんだ?」


 何となくは想像できる。恐らくだが俺と同じ状況なのだろう。


『分かりません。』


「は?」


『分かりません。』


「・・・・・・。」


 分からないのか。答えられないではなく。なら別の質問、いや聞き方を変えてみるか。


「他のやつらは俺と同じ状況なのか?」


『否。』


 分からないんじゃないのかよ。


「何故断定できる?分からないのではないのか?」


『一人一人適性のあったものが与えられます。あなた様はダンジョンマスターの適正とその体があるように他の方々の適性も千差万別です。よって、他の方々の状況は分かりませんがあなた様と同じ状況はあり得ません。』


 納得はできるが、俺のから・・・だ・・・・・・。


「・・・・・・・・・・・・。」


『・・・・・・・・・・・・。』


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁっ!?」


 ちょ、ちょ、ちょ、ちょい待て、待て待て待て待て待て待て、いや、待った!!


「な、なんだコレ!!なんで、なんで俺の体、銀なんだよ!」


 俺の体は全身銀色で真っ裸だった。俺はすぐさま部屋にあった鏡を見て見ると。顔がなかった。いや、頭はあるんだが目や口、鼻、髪、がなかった。それと、男の象徴がキレイサッパリなくなっていた。客観的に見ると男の体型をしているが象徴がなく顔もない全身銀色の男だ。


「な、なんだってこんなことに・・・。」


 原因は先程聞いていたのだが思わず呟いてしまった。


『先程も説明した通り適性にあっ』


「すまん。説明はいい。」


『・・・。』


 さっき聞いたことを何度も聞く気はない。つーか、


(さっきは驚きもしたし呆然としたが、不思議と嫌悪感はないな。神がなんかしたかねぇ。)


「すまん。聞きたいことが増えた。俺は生まれ変わったのか?生き返ったのではなく?名前が思い出せないのもそのせいなのか?」


『一つずつ説明します。まず、最初の質問ですが生まれ変わりました。第二はその通りです。名前以外の記憶があるのは記憶を所持したいと願ったもののみが与えられた結果です。』


「そうか。わかった。接続予定と言っていたが異世界のどこに繋がるんだ?」


 地味に気になっていたことだった。


『ランダムです。』


「マジで。」


『肯定。』


 マジかよ。とりあえず人里から離れたところで戦力を揃えようと思ってたんだが。


「今さらだが、なんで俺の部屋なんだ?」


 さっきも言ったが何故か俺の部屋だ。まぁ、知ってなにか変わるわけじゃないが気になっていた。


『これはあなた様の馴染みぶかい景色が投影された結果です。落ち着く空間を作り出すためと思われます。』


 訂正。知って変わったわ。確かに他の空間よりは落ち着くわ。・・・ん?


(それじゃあ、ノートとかに俺の名前載ってるかな。・・・・・・ねぇな。)


 もしかしてだが名前が載ってるかもしれないと淡い期待を抱いたのだが名前の部分だけ消されていた。

 あとは、他に聞きたいことは・・・。


「じゃあ、神は世界に干渉するのか?」


 かなり気になっていたことだった。俺は自由気まま生きていこうと思っているので異世界人抹殺しなきゃ消されるとか考えたくもない。


『直接は干渉しないそうです。間接的には干渉する可能性はありますが極力避けるようです。』


「・・・。」


 その言い分を信じたいが信じられるような根拠はないから保留だな。さて、


「最後にひとつ、俺は好き勝手やっていいのか?」


 これは重要だ。俺は俺のために俺だけのために生きる。自由気ままに生き、世界を楽しむ。


『肯定。ただし、自分の行動には自分で責任を背負って欲しいそうです。』


 神には言いたいことが山ほどあるがそれを聞いて安心した。だから俺は覚悟を決めた。別の世界で生きていく覚悟を。そして、己の行動に責任を持つことを。


「覚悟は決めた。これから長い付き合いになる。よろしくな。」


 そう言って俺は真珠、いやダンジョンコアに触れた。


『解析を開始。・・・・・・完了。ダンジョンコアに登録が完了。よろしく、マスター。』


 そう言って微笑んだような気がした。

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