第一章:孫ジャック
暗闇の中から低い足音が響いてくる。足音が次第に小さくなり、やがて止んだと思った瞬間、一筋の光が闇を切り裂いた。その光源は、スマホだった。
スマホの光が、まあまあ整った顔立ちを照らし出す。彼は疲れ切った様子で顔色も悪く、明らかに機嫌が悪かった。
「4番目の録画開始、時間は午後3時51分」
孫ジャックは録画を開始した。
「出口はまだ見つからない。ここは何もかも金属で囲まれている。床も天井も、全部だ」
孫ジャックは隣の壁に手を伸ばし、指先でその独特な感触を確かめた。冷たく、滑らかで、硬い。
続いて彼はスマホのフラッシュを金属壁に向けて点灯させ、できる限りその冷たく無機質な銀灰色を隅々まで録画した。
「この金属の廊下は全体が四角形で、互いにつながって巨大な金属迷路になっている。金属壁にはいくつも金属の扉があるが、ほとんど開かない。俺はそのうちの一つの部屋の冷蔵庫の中から這い出したんだ」
「ここがどこなのか分からない。今まで見たこともないし、ネットでも見た記憶がない。ここでは何の情報も得られなかった」
「どうやってここに送り込まれたのかも分からない。記憶が途切れている。最後に覚えているのは、大学入試が終わった夏のことだ」
「それ以前の記憶ははっきりしている。家で飼っていた大きな犬、両親、遊んだゲームの一つ一つ……全部覚えている。だがその後は……何もかも消えてしまった」
「きっと何かがあったから、冷蔵庫に詰め込まれてここに送られたんだ。だが一体何があったのか、全然思い出せない!」
孫ジャックは焦りを込めて言い、一度深呼吸して続けた。
「ポケットのスマホの時間は2030年になっている。もしこれが本当なら、俺は五年間の記憶を失った可能性がある」
「この五年間、一体何があった? ここは一体どこだ?」
その時、「ピッ」という音がして、スマホ画面に通知が表示された。
「バッテリー残量不足、フラッシュを使用できません」
孫ジャックは、もう時間を無駄にできないと悟った。過去に何があったにせよ、まずはここから脱出しなければ意味がない。もしここで死んでしまったら、過去の一切が無駄になってしまう。
孫ジャックは唇を噛み締め、気を引き締めて再びスマホに向かって話し始めた。
「……さっき金属壁にいくつか扉があるって言っただろう? だが妙なことに、壁だけじゃない。天井にも床にも扉があるんだ。そしてそのうちの一つから、何か変な音が聞こえた。今から確認しに行く」
彼は言い終わると、冷たい金属壁に手を添えて左側へ進んだ。一分後、立ち止まって頭を上げ、スマホを頭上にある真っ黒な大きな扉に向けた。
「聞こえるか? 天井の扉の奥から、かすかな「チッチッ」という音がする。遠くから届いているようだ」
「スマホのバッテリーがもたない。先に中に入ってみる」
孫ジャックは録画を終了した。
高さをおおよそ測り、孫ジャックはゆっくり後退してから全力で跳び、四本の指を扉の枠にしがみついた。
最後に全身の力を振り絞り、手足を使ってなんとかその扉の中に這い入った。
扉の枠に足をかけ、首を伸ばしてスマホの光で内部を照らすと、そこには得体の知れない高精度の機械装置が並んでいた。多くの筐体は剥がれ落ちている。
奇妙な形の機械アームが枝のように左右の壁から伸び、まるで金属の森だ。そして上方の機械アームの先には、新たな扉が孫ジャックの頭上真上に現れていた。あの「チッチッ」という音は、最奥から届いている。
「こんな変な場所、一体どこなんだ?」
孫ジャックは機械アームを踏みしめ、慎重に上方へと登っていった。
そして扉の中に入ると、孫ジャックはついに「チッチッ」という音の発生源を見つけた。それは赤い点滅灯で、音に合わせて明滅を繰り返し、まるで待機中のコンピューターの信号のようだった。
孫ジャックがスマホのライトで赤い点の周囲を照らすと、この場所は円弧状のアーチ型の部屋で、椅子が数脚あるだけで他には何もなかった。
孫ジャックは再び録画モードを起動し、その赤い点にカメラを向けた。
「見てくれ。この赤い点の上には画面があるようだ。これから起こることを全部スマホに記録しておく。もしまた未知の理由で記憶を失ったら、この記録が俺の……」
孫ジャックが言いかけた瞬間、少し熱を持っていたスマホが突然画面を暗転させ、続いて端末のロゴが表示された。
「大事な時にバッテリー切れ! クソ、こんなガラクタスマホ!」
苛立ちを抑えきれない孫ジャックはスマホを左ズボンのポケットにしまい、目の前の赤い点を見つめて深く息を吸い込んだ。彼には選択肢がなかった。
彼はこの赤い点に触れたら何か悪いことが起こるのではないかと恐れ、同時に何も起こらないことも恐れていた。
なぜなら、これが彼の唯一の選択肢だったから。他の場所は全部探し終わっている。もしこの赤い点に反応がなければ、彼はこの金属迷宮の中で永遠に閉じ込められてしまう。
目を閉じて気持ちを落ち着けた後、孫ジャックは息を止め、指を赤い点に伸ばして軽く突いた。
赤い点が消え、周囲の闇と完全に一体化したのを見て、孫ジャックの心拍は一瞬止まったかのようだった。
だがすぐに、周囲のすべてが震え始め、共鳴するような低い唸り声が足元から響いてきた。
突然の変化に孫ジャックは極限まで緊張し、暗闇の中をじっと見つめ、あらゆる変化に警戒した。
しかし周囲には何の変化もなく、最初に変化したのは彼自身だった。赤いボタンを押したことで、彼の両足は次第に地面から離れ、最終的には空中に浮いてしまったのだ!
この奇妙な変化に孫ジャックは呆然とした。
「俺は一体どんな世界にいるんだ? 飛べるのか? 魔法? 特殊能力?」
だが喜ぶ間もなく鈍い音と共に、孫ジャックのいるアーチ型の部屋の正面の壁が突然亀裂を生じ、非常にまぶしい光が隙間から差し込み、部屋の中を照らし出した。
目を細めて強い光に慣れた孫ジャックは、アーチ型の壁がその亀裂を中心に左右にスライドして開いていくのを見た。
そして壁が完全に開いた瞬間、巨大な惑星が彼の視界いっぱいに広がった。
孫ジャックは心臓が激しく鼓動するのを感じ、喉を締め付けられたようになり、呼吸するたびに窒息しそうな思いがした。
「惑星」——当たり前の概念だが、目の前に現実として目の当たりにした時、その言葉の重みを痛感した。
恒星の光が惑星の片側を照らし、漆黒に沈んだ反対側は深淵の口のようで、孫ジャックには天蓋の巨獣に睨まれているような戦慄が走った。
孫ジャックは突然何かに気づき、浮き上がった自分の両足を見下ろし、続いてガラス越しの巨大な惑星を見上げた。
「クソッ! 俺はずっと宇宙空間にいたのか!?」
私はフランス出身の作家です。独学で日本語を学んでいますが、まだ熟練していないため、翻訳ツールを使用しています。もし誤りがあれば、ぜひご指摘ください。ありがとうございます。




