答え:待てば海路の日和もある
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
「・・・・」
和が布団に寝ている。
……一瞬、状況が飲み込めない。
いや、違う。
ここは現実だ。
昨日みたいに、何かがねじれているわけじゃない。
無事睡眠がとれたこともあり、昨日の事を思い出しながら整理していく。
はぁ。
大分参っていたらしい。
相談所の玄関までは、意識がハッキリしているのだけど、そこから気絶したり吐いたり気絶したりを繰り返していたし、最終的には和にも要らんことも喋ってしまったな。
「・・・まぁ話してしまった事は仕方ない。」
この状況の解決策――
私には死ぬことが一番楽で早いとしか見えていなかった。
今までそうしてきた事も理由だろうし、心理的に冷静に選択肢を考える余裕が無かった。
だから、それの懸念点である和に、どうしたら説明できるかと思った結果。
今回の原因と合わせて、イヴの事やファストの事。
白い世界の事。
話し始めると意外と覚えてた。
まぁ最近イヴの書物ばっかり読んでたし、色々思い出すことも多かった。
「・・・ん。」
「起きた。大丈夫?」
「・・・んん?」
「おはよう。」
「・・・・ん。おはよう・・・。」
和の顔を眺めていたら、眼が開いた。
眠そうだ。
「・・・・・体調は?」
「おかげさまで無事睡眠もとれたから、昨日に比べればかなりマシ。」
「そうみたいだな・・・。普通に見える。」
「まぁ大きな理由は、睡眠不足だったから。こんだけ寝れば逆に十分。」
「・・・・こんだけ・・・?今何時だ?」
「また、ヒナ達には何か言われるかも。」
「・・・はぁ・・・まぁいいや。お前・・・本当に大丈夫か?」
昨日はだいぶ混乱してたからな、心配するのも無理はない。
「あぁ。昨日の事もだいたい覚えてるし、言った事も覚えてる。ここはあの世界じゃない事も分かってるし、和がいたおかげで助かったのも分かってる。」
「・・・まぁ夢が原因ならな。」
「…そっちじゃない。まぁいい。だが、直結した解決にはなってないから、どっちにしろ対応を考えないといけない。」
「・・・・俺がわがまま、だとは・・・・思う・・・・。」
私が相談した最終選択についてだろう。
切迫した思考の人間の言葉をあまり真に受けられても困る。
ちゃんと伝えよう。
「それは違う。その選択肢は抜きにしよう。……多分だけど、これは呪いだ。」
「呪い……?人間が人間を恨む時の、あれか。」
「そういう類い。悪意みたいなものが、夢や感覚に貼り付いてる。……断定はできないけど、接触のあとから症状が揃いすぎてる。」
「……呪いって、どうするんだよ。」
呪いは、祈りだとか言葉だとか――形は色々ある。
だが結局は、“相手に悪意を届ける仕組み”だ。
アディールはそれを持っているか、意図的に私に移した可能性がある。
「一番早い方法がある。……ただし、お前は今回は連れて行かない。」
「? ……あ。精霊とか妖精の世界いけばいいのか?」
「そ。あの領域は清浄だから、入り込んだものが弾かれるかもしれない。」
「……本当、原因は睡眠不足って事なんだろうな。」
「睡眠不足“だけ”じゃない。……でも、引き金にはなった。まずはそこを戻す。」
まぁその夢の中身が白い世界って事もあり、睡眠不足以上にPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症していたとは思う。
だからこそ、和に助けられたと思っているんだけど、まぁいい。
「そういえば梓は?爺のところに迎えに行ったのか?」
「いや。今日行こうかと思ってるが、大丈夫か?」
「…できれば、もうしばらく預けたい。」
「やっぱまだ厳しいか?」
「気になる事がある。」
「・・・梓さんに関連する事って事だよな?」
「あぁ。だから、彼女をもうしばらく爺に預けたい。」
これも偶然としてはおかしかった。
でもまぁそれは優先順位で急ぐとしても、今だけはあと少しぐらい良いだろう。
–バサ
「・・・なんだ?気分悪くなったか?」
「違う。」
一拍置いて、息を整える。
「……今日は、私から。そうしたかった。」
ブルースの事で、和が怒った理由は分かっている。
そして、和という人間が私にとって大切だと、あんな状況だからこそ嫌でも気が付かされた。
それに世話好きの妖精にも、嫌って程言われるし、エルにも言われたし、日向達はずっと言っていたことだ。
でも怖がっていた。
見ないふりをした。
同じものが返せない、と諦めてた。
元々大切に考えては、いたつもりだけど、これはそういうものではないんだと思う。
こんな風に思ったことが初めて。
だから、きっとこの男がいなくなると私は寂しい。
だが、いつかは必ずその日はくる。
それを先んじてしまい、このわずかな時間を無駄にしたくはない。
――思い出は残る
なら今を大切にすることに変わりはない。
和が抱き返してくれた。
この間の怪我した時よりも強く。
「・・・スズ。今回は・・・」
「謝るな。謝罪が必要な出来事はなかった。和。日向達が攫われて私もより分かった。」
「・・・・」
「日向達の事が、無事な姿が確認できる、その時まで心配だった。
何が起こるか分からなくて不安だった。
だから一秒でも早く取り返したくて焦った。
どこも怪我をせず帰って来た事がなによりも嬉しかった。」
「・・・そうだな。」
「だから和に怒られる事をしたことも、分かってる。」
「・・・・お前は前提が違うからな・・仕方ない事も分かってる。」
「…まぁそれはどうしてもあるな。二度と戻らない君たちとは、比べようがない。」
いざって時には、どうしても生まれ変われる私とヒナやヒデ、和、圭、梓、イザベル、ナオみんなと比べれば、私はその選択肢を選んでしまう。
「私も君が大切。君の一生になってしまうかもしれないけど、飽きるまで一緒にいてくれたら嬉しい。」
「・・・・・・・・」
?
流石にダメだったのだろうか?
気が付いた気持ちを、できるだけ伝えてみたのだが…
顔を伺って…
あ。見られたくないだろう。
もう一度抱きしめる。
言葉より確かな温度が伝わる。
ダメじゃないようだ。
まぁもう少しだけこのままで…
その後に、布団の上で過ごしている訳にもいかないので、騒がしい場所に行こうか。
「「スズ!!!」」
「キュウ!!!!!!」
「キキーキー!」「キュキュ!!」
「スズ。心配シタ。」
「元気カ?」
「ヤセタ。」
「心配かけた。ひとまず、どうにかなったよ。」
和にも見てもらって、問題ないということだったので大丈夫だろう。
たしかにここ数週間は、まともに胃に入らなかった。
入れても出てしまっていたから、そりゃ痩せもするだろう。
「良かった良かった。顔色はまだ少し悪そうだけど、昨日よりは遥かに良さそう。でも、今日の食事はおかゆか雑炊だね。」
「そうだな。昼飯作ろうか。ここ最近作り置きばっかりだったし、材料があればだがリクエストを聞こうか?」
「なんか和の顔色も良くなってない?!酢豚!」
「ほうほう。これはなんかありましたねー。角煮!」
「まぁ昨日は大変だったから。今日ぐらい大目にみてあげて。チャーハン?」
「キュウ!」「キー!」「キュ!」
「みんな中華ダナ・・・。」
「よしありそうだな。作るか。」
「スズ・・・本当に大丈夫?」
「昨日・・・1階で倒れて・・・」
こたつに入ると、二人が改めて心配そうな声を上げながら、近寄ってきた。
「大丈夫だよ。睡眠不足が大きかったし、さっきまで寝てたから、問題ないと思うよ。」
「そうだね。また土日は休みだけど、無理しなければすぐ元気になるよ。」
「「・・・良かった・・・。」」
「キュウ・・・」「キーキ?」「キュ」
「心配かけて悪かった。二人にはドワーフの時から頑張ってもらってるし、私も様子を見れなくてごめん。」
「「うえぇぇぇぇぇぇん・・・」」
アディール・クラーレンの件も含めて、責任を感じていたのだろう。
本当に心配をかけてしまったようだ。
泣きつく二人を撫でる。
「ナオも昨日からありがとう。多分いろいろ聞いたと思うけど、あんまり気にしないで欲しい。」
「患者の情報は守るよ。それにスズは凄いと思うよ。とにかく、無理し過ぎないようにね。」
「助かる。」
記憶の途中にナオがいた事からも、まぁ昨日の話は恐らく聞かれてしまっているだろうと思った。
彼からはそういう意味でも、未だ私は患者なんだろう。
「キュウキュウ?」
「梓を迎エに行く?」
「あぁそれについてなんだが、もう少しだけ爺に預けたいと、さっき和にも相談したんだ。」
「・・・ふぇ?梓迎えに行かないの?」
「・・・ぶへ。梓もなんかあったの?」
「違うよ。でも先に確認しておかないと、ちょっと下手に移動させるのが、よくないかもしれないと思ったんだ。まだ、可能性だからもう一つだけ確認したら、みんなにも相談させて欲しい。」
「「・・・分かった。待ってる。」」
二人ともあれから何にもないようで、良かった。
本当のところ呪いかどうかは分からないが、薫からも二人から、何かが弾かれた思念が見えたといっていたから、アディール・クラーレンは二人にも何かをしていたことは間違いない。
「そういえばすっかり忘れていたんだが、狐はどうなった?」
「「圭のところにいるよー。」」
「檻に二匹入れてるの?」
「そう。圭が無理やり詰めてるって。」
「一応話を聞くかな・・・。でも情報は、カルと変わらなさそう。裏がアディール・クラーレンだってことももう分かってるし。」
「スズ。彼らの魔法?制限?も同じように、どうにかならないのか?」
「あれは魔法なのだろう?梓のと似てるって言ってたし、違うモノな可能性があるし、あと怪異はまず嫌がられる・・・。」
「そうなのか・・・。」
まぁ圭のように勝手に入ってきて、困らされていることもあったが。
圧力鍋の空気が上に出ているのが見える、いい匂いがしてきているが、私は食べられないのが残念・・・。
多少は数日残るだろうか?
多分梓も羨ましがるだろう。
ガルシアには連絡してみたが、どうだろうか。
爺の家とはいえ、ずっと置いておきたいわけではないから、早めには迎えに行ってあげたいんだが。
改めて、優先順位を整理する。
梓の事についてとフィーの探索。
多分フィーの世界については、やっぱりイヴの書物を探してみた方がいい。
あいつの作った世界は、完全な無秩序じゃない。
何かしら現実のモチーフを参考にしているものが多いし、
入口の条件にも一定の“傾向”があるはずだ。
つまり――
世界ごとに違うようでいて、「誰に来てほしいか」 がルールになっている可能性。
「日向、秀人。これはちょっと相談。」
「ん?」
「なぁに?」
「二人が仮に世界を作るとしたら、どういったルールで入れる条件を作る?」
「・・・・ふむむ。新しい世界・・・・。」
「・・・花火みたいにキラキラしてる?」
「海欲しい!・・砂浜とー・・・・」
「世界の中身は良いとして、そういう好きなものを作った世界に入るルールの方。」
「んー。良いところだからぁ・・・良いルールが良いよねー。」
「良い人なら来れるルールとかが、あったら良いかもー。」
「キュウキュウ?」「キュー」
なるほど。来てほしい人間像に合わせた条件。
年齢、性別、種族、趣味――あるいは性格。
イヴの創る世界も、多分同じ発想だ。
嫌いな人間を弾くためじゃなく、“好きなものと合う存在”を選ぶためのルール。
じゃあイヴが来てほしい相手は誰か。
――あの男。
だが単純に「男」では雑すぎる。
イヴにとってのあいつは、女好きでも軽薄でもなく、“楽しくて、自由で、近くにいてくれる存在”だった。
属性ではなく、関係性。
「友達とかと一緒に入れたいいかも。」
「あぁー。一人では入れないようにして、二人以上で入れる?」
「そうそう。あとは遊びに来て欲しいって感じだからー。」
「武器携帯禁止?あ。逆に良い物持ってくる?」
二人の意見は、かなり近い気がする。
複数入室制。
・・・だがこれはあの世界をフィーだけで入っている以上違う気もする。
良い物・・・?
良い物ってなんだろうか。
イヴの好きなモノ・・・
かつ、あの軽い男が持っていそうな物・・・?
「お菓子?」
「アイス?」
「キュウ!」
「キュ!」
「おもちゃ?」
「綺麗なモノ?」
「お花とか?」
お花・・・
花・・・
イヴは花が好きだった。
そして、あの男もよく持っていた。
……いや、花束じゃない。
栞で見た・・・クワ――マルベリー。
入口条件の候補としては、かなり自然だ。
となると、残るのは場所。
世界の基準も、やっぱりあの男に紐づいている気がする。
「ほらできたよー。こたつの上片付けて。」
「「わーい!!」」
「結局二人に相談したのは、なんの相談だったの?スズ?」
「あぁ。フィーの世界に行くルールが、多分イヴの世界の中であるんじゃないかと思って、いまいちそういう発想力には弱いから、二人に聞いてみた。」
「なるほどね。ルール。確かに基準探しで行くスズと二人の発想だと、どっちが先にあたるかはあるかもね。」
そう。
そして今回、あまり外れな感じもしない。
「はい。肉は少なめで薄切りなら多少いけるんじゃないか?ダメそうなら無理はしないように。」
「ありがとう。和。」
いつもの美味しい雑炊に、角煮の薄切りなのか少し盛ってくれたようだ。
「そうだね。お。この酢豚は絶対美味しい!」
「ウーノそっちに頼む。」
「ワカッた。」
基準があいつ。
なら世界は・・・
そうか・・・
ルールは確認するまでハッキリしないけど、基準と思える場所が一つ明確にあった。
一度確認しに行きたいところだが、果たして了承をもらえるのだろうか。
食後。
まずここまでの説明の為に、和にはイヴの書物の事を説明しながら、気になる部分を見てもらった。
そんな時――日向達から声がかかった。
チャットを確認すると梓からのメッセージ。
細かい部分は分からないが、夢で会っていたフィーとの接触に、アディール・クラーレンが介入してきたのかもしれない。
今確認中だったフィーの居る場所へ行く方法を、すぐにでも試してみるしかない。
「和。ミランダ達には?」
「連絡した。こちらの招待もできるから、ドアがあれば交渉人ドアから呼べる。」
「じゃあ。どうせ魔法世界とは繋ぐことになるだろうし、行こうか。圭は狐は?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・檻の中。うるさい」
「一応檻ももう一つ用意したんだけども。まぁそれでも文句はあるか。」
「日向と秀人はウーノ達をお願い。何かあればメッセージを送って、あと梓からも。」
「「分かった。気を付けてね。」」
「分かった。」
あの夢の後に、ここに入るのは思うところもあるが、入らなければならない。
白い私の通路。
その景色はイヴに閉じ込められ、自殺を図った次の生からこうなってしまった。
そして今の今までいつも変わらずに常に壁も天井も床も、どこまでも白い。
目の奥に冷たく残る、何もない色。
「・・・・大丈夫か?」
「大丈夫だ。行こう。」
扉に入り、動かない私に和から声がかかる。
ここで止まっていても何も解決はしない。
後ろに和と圭が付いてくる音が聞こえる。
ここはあそことは全く違う。
「スズ。今向かう世界って・・・。」
「あぁ、さっきの続きだな。世界が“創られる”ものだと私達も知らなかった頃――最初にそれを作ったのがファストだ。」
最初はファストぐらいしか、作れなかっただろう。
「最初はただの話だった。あいつが女に聞かせていた空想が、いつの間にか広がって――
ある時、気付いたら鍵がポケットに入っていた。」
「鍵。お前がいつも使ってるやつか。」
「あぁ。全員が同じように持っていた。
無くしても、気付けば今着ている服のポケットに戻っている。」
「・・・不思議な鍵だな。」
「形が“鍵”だったからな。扉を探して開けてみたら――通路があった。
そしてその先にあった扉の向こうが、ファストが話していた通りの世界だった。」
最初はみんな興奮していた。
実際に歩ける空想の世界なんて、誰も想像していなかったからな。
だが中身は、いかにもファストらしい場所だった。
花も服も街並みも、女を喜ばせるための装飾ばかり。
そして住んでいる人間も、あいつに似た気質の者が多かった。
世界としては未完成だった。
基礎が曖昧で、秩序も弱かった。
争いが続き、やがて人類はほぼ消えたと聞いている。
今残っているのは、廃墟が自然に飲まれただけの静かな土地だ。
基本世界では、この出来事はしばしば“最初の楽園”の伝承として語られている。
だが実態は――ただ一人の男の空想から始まり、完成しきる前に朽ちた、最初の世界。
ファストがいなくなった後も、イヴはたまに行っていた様子だったが、何をしていたのかはしらない。
–ギシッ
古びた木造の扉を開き、中へ入る。
その世界の中でも書物から確認するに、特にイヴが気に入っていた場所はここだろう。
外に出ると、虫や小動物が逃げていくのが見える。
当時は教会という宗教的なものはなかったが、大きな教会のように広い石に囲まれた建物があった。
それも石以外は殆ど残っておらず、建物の内側と思われる場所は、日差しの差す花畑になっている。
「ここか?」
「多分な。あぁ・・・やっぱりバラもある。」
梓の情報からクワではなく、バラなのではという話もあったが、どちらも普通に用意するには難しい季節だった。
だが、この花畑の中には多分あるんだろうと、思った。
扉から離れ、進んだ花畑の先にバラを見つけたのでそれを一輪だけ頂く。
「普通にルールが合っていて、入口としての機能をしているのなら、これで入れるだろう。」
「あ。おい。」
「・・・・・」
バラを手に花畑の中を進んでいく。
石造も時間の経過により、その形を成していない。
そこにはくぐれるようになっていたアーチだったもの。
静かにくぐる。
–ふわっ
空気の質が変わった。
「条件はあっていたようだ。」
「ここが・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ここだ」
音が一段、沈んだ。
風も、葉擦れも、遠くの気配すら
どこか布を一枚挟んだように遠い。
先日、フィーに招かれたばかりの庭園の入口。
二、三メートルはある生垣が壁のように連なり、迷路のように奥へ続いている。
中へ足を踏み入れる。
「こっちだな。」
「覚えてるのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・匂いがする。」
構造を記憶しているわけじゃない。
だが中央へ向かう流れだけは、この場所そのものが教えてくる。
生垣の影をいくつか曲がった先。
――視界が、開けた。
「…来ていたか。」
梓の言葉は正しかった。
場所は、もう知られている。
中央の石のテーブル。
そこに腰掛けているのは――フィーではない。
一瞬遅れて、認識が追いつく。
ブライアン・フォーラス。
そしてその斜め後ろ、まるで影の延長のように立っているのが
悪魔、ヴェラ。
庭園の静けさが、その二人のためだけに保たれているようだった。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




