答え:行雲流水の如く
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
「・・・。」
–ガゴッ
「ぐ・・・・そうだった。」
真っ暗で体が全く動かない――狭さで手足が痺れていた。
そういえば引き出しの中で寝ていたんだった。
寝苦しかったが仕方ない。
声を出してしまったが、外に気配は無さそうだ。
それにしてもやっぱり疲れていたようで、すっかり寝落ちしてしまっていた。
一体どれぐらい寝たんだろうか。
静かに引き出しを押し開ける。
ふむ・・・
まずはこの部屋の場所は、変わっていない。
ランダムに移動するのは、階段だけと考えておこう。
それなら再びフロア巡りかな。
この地下にいる間で、出口として期待できるのは、最初の扉ぐらいしか思いつかない。
それよりも地下から外に出て、違う場所を探索した方が早いのかもしれないが、出るための出口もどこか分からない。
そして外に出たところで、ここが悪魔の世界というからには、外も悪魔だらけだろう。
リスクは、どっちもどっちな気がする。
引き続き、洞窟のような雰囲気の通路を歩き進む。
突き当たりまで来たので、階段を降りた。
そういえば、同じ階段を上り下りしたら、どうなるのだろうか?
ん?何か匂うな?
試しに階段を上がってみようかと思っていたら、腐敗臭や血の匂いではない、何かいい匂い。
風呂場とかだろうか?
どうせ行き先も見えないので、匂いにつられて進んでみる。
何の匂いだろうか?
自然の匂いという感じではないが、少しサッパリしたような・・・
嗅いだことがある。
どこでだ?
嗅覚というのは、記憶に残りやすいらしい。
実は視覚の記憶よりも、残りやすいとも言われているぐらいだ。
匂いは、この扉の向こうからだ。
中に何かいるようだ・・・様子を見るか?
悩んでいると…
–ギィ
扉が、目の前で中から開いた。
まだ少し寝起きで、気が抜けている気がする。
逃げるか――いや、遅い。
「あぁ。来ましたね。」
「・・・何してんの?」
知っている顔だった。
「あなたを待ってたんですよ?」
「そうか。私がここへ来たことが、分かるモノなのか?」
「えぇあなたの魂は見間違えないですから、その古酒のような深い香り。あなたが来やすいように準備して待ってたんですよ。」
ガゼル。
何世代前か忘れたが、一度泣く泣く契約したことがある悪魔。
もし外に出られれば、こいつを探そうかとすら思っていたが、こいつにはそんなこと関係ないらしい。
部屋に入る。
廊下とは切り離された空気だ。
恐らくは魔法の扉のように、悪魔の世界の中にある、こいつの家に繋がっているのだろう。
というか、こいつが私を呼んだということなのか?
まぁ今はいい。
「折角なので、あなたの好きな香りをご用意しました。まずはお風呂でもいかがです?
おやぁ?いい香りがしますね?怪我でもしましたか?」
「・・・今回契約するつもりはない。」
「そうでしょうね。どうやらあなたも不本意のようですし、ちょっと暇つぶし眺めていようかと思ったんですが、はぁ・・・。
あなたときたら、冷蔵庫に入ったり、解体室で寝たりで相変わらず雑な様子を見てしまい、ちょっとイライラしてきたんです。」
「…本当に最初から見てたんじゃないか。はぁ・・・ひとまず風呂を頂く、何か着るモノはある?」
「ありますよ。用意しておきますので、その匂いを早く落としてきてください。さもないと美味しく頂戴いたします。」
「分かった。あ。扉は繋げといたままで、お願いできる?」
「はいはい。」
まぁ多少は話の分かる男だが、あいつにも最後は私の体を提供する羽目になったから、所詮は悪魔。
湯気の立つ浴室に入る。
血の匂いや肉とかと一緒にいた時の腐敗臭は、無事に落とせた。
そしてゆっくりしている訳にもいかないので、すぐに風呂を上がる。
着替える場所に用意してあった服は、男性物で私にはやや大きめだが、黙って着る。
「ありがと。・・・で?このままおさらばしてもいいのかな?」
「まったく!あなたは相変わらず、ゆっくりするって事ができない人ですね。
御覧なさいこのテーブルを!まずはティータイムを楽しむようにしか見えないでしょう!」
「あ。はいはい。失礼。」
真っ白い装飾もこだわっているようなテーブルクロスに、イングリッシュガーデンにありそうな縦に並んだ皿。
洒落たティーセット。
ひとまず言われた通り席に着く。
怒らせると面倒だ。
「本日はスコーンも良い出来なんです。サンドイッチの後にどうぞ。」
「はい。頂きます。」
こいつは和よりもマナーに厳しい男だ。
適当に対応して、何度叩かれた事か・・・
「だがゆっくりできるほど時間はない。すぐにでもこの世界からは抜けたい。」
「あなたじゃ、一生この地下迷宮からは出られませんよ。」
「迷宮・・・。」
「えぇここは昔の暇人上級悪魔が作った迷宮ですよ。悪魔なら行きたい場所を案内できるでしょうが、あなたのようなただの人間ではいつまで経っても、行きたい場所へはいけないでしょう。」
なるほど。
だからブラッド・オルティースもブライアン・フォーラスも悪魔を連れていたのか。
それは確かに私には無理そうだ。
こいつの言葉を鵜呑みにするわけにはいかないが、今回はその可能性もありそうな条件が見受けられるし、わざわざ嘘をつく理由もないだろう。
「…契約する気はないんだが?」
「そうですねぇ。昔の契約者が再び血や肉にまみれてしまうのを、楽しく見ていてもいいのですが、流石に他の悪魔に食べられてしまうのは、ちょっと嫌なんですよね。」
あぁそういう感じ?
自分の餌だったのにな。って事?
「それなら目的の場所までは、案内しましょうかねぇ。」
「いや、お前に案内させるのも良くない予感がする。」
「でも一人では行けないでしょう?私も他の悪魔がいる場所に、わざわざ案内するような真似はしませんよ?」
「だけどそれが目的地に案内するかどうかとは、直結してない。」
「全く流石ですね。まぁでもあなたもできれば無事に出たいのでしょう?」
「・・・・無事に出られるまでだぞ?」
「ええ、ええ。もちろんですよ。ですが何を頂けるかによって、どこまでお手伝いするか変わりますがね。」
案内だけでいい。
出口の扉まででいい。
それだけでいい。
……それだけで。
視界の右側を、指で押さえる。
失うのは、距離感か。
それとも奥行きか。
「……片目。」
「ふふふ。いいですねぇ。若い女性の眼球。ではそれを頂きましょう。」
確かにスコーンは美味しかったが、和の方が美味しいと思う。
「あなたは昔もそうでしたね。自分を削るのが好きだ。」
「……」
「でも今回は、削った分だけ戻らないかもしれませんよ?」
「…さて。じゃあ行くぞ。」
「はいはい。本当に忙しない人ですね。どうぞ?」
ガゼルが扉を開く。
ちゃんと繋いだままだった。
再び同じ通路の景色だという事を確認して、扉の外へ出る。
「こちらですね。だいぶ離れてしまっているようですので、まずは5階層ほど降りましょう。」
ガゼルのことだ。契約となれば、一応ちゃんとするはずなので、周りを多少は気にするがガゼルの案内について行く。
こいつらには、ここがどう見えてるんだろうか。
私からすれば、どこがどう繋がっているのかがさっぱり分からない。
こいつの言う通りに5階分下に降り、次は通路の反対側の階段へ向かう。
「そういえば他の悪魔には出会わなかったが、基本的にここにはいない?」
「そうですね。ここに悪魔が単独で入ったところで、特に用もない場所ですからね。
今の様に部外者が良いように使っている事の方が、多いかもしれませんね。」
こいつらとしては、ほっといても餌が寄って来るから、ある意味好都合なのだろうか。
反対側の階段に到着し、1階分降りる。
「恐らくこの階の先が目的の場所だとは思いますが、途中に何かがいますね。」
「魔法使い?」
「・・・違うようですが、なんでしょう?
殆ど生気がなさそうな感じがしますね。様子を見ながらすすみましょうか。」
ガゼルも一応注意して進むようだ。
普通の魔法使いならあまり気にしないのかもしれないが、悪魔付きとなると面倒なんだろう。
ん?
何か聞こえるな。
–・・・ルルル・・・
低い唸るような・・・鳴き声?
鳴き声となると、動物のようだな。
静かに入口に近寄る。
扉がないフロアなので、中をガゼルが先に確認する。
「・・・おや珍しい。」
「なんだ?」
ガゼルが声を出したので、大丈夫なのだろう。
ガゼルの後ろから中を伺うと…
「ドラゴンか・・・」
–グルルル(・・・・・・・)
ドラゴン?
といえば、一つ思い当たるな。
さっきも着替える時に確認した物を思い出し、ポケットから取り出す。
ドラゴンはかなり衰弱しているようで、こちらを襲ってくる様子はない。
–グルル(・・・にんげん・・・・・・何をもってる・・・?)
「これに見覚えはあるか?」
–グルル?(・・・・・・・・・暖かい。・・・・父上の匂いがする・・・)
あのドラゴンは、父親だったのか。
先日の精霊の世界で、ドラゴンの相談を受けた後。
すぐに妖精から伝達が来たので、一応取りに行った。
自分の力が籠った物だと言って、小さな水晶のような玉を受け取った。
「この力の主に、お前に帰ってきて欲しいと相談を受けた。動けるか?」
–グルウゥ(・・・・・・・・無理。お腹もすいて・・・力も出ない・・・・)
・・・問題はお腹が空いてるからなのか。
こいつを連れて帰るとなると、今の目的としている扉からは大きさから見て無理。
だが、ドラゴンなら自分の力で、隣接する世界を渡れる。
ただ、この世界は天国側ではない。
この世界が、ドラゴンの世界まで繋がっているか分からない。
んー・・・やってみるか?
まぁ折角見つけたのに、このまま見殺しにするのも後味が悪い。
「ガゼル。こいつと一緒に外に出たいんだが、いいか?」
「ドラゴンで帰るおつもりですか?」
「まぁできれば。その為には、こいつをまずは外に出さないといけない。」
「はぁ・・。その前にお腹がすいて動けないんでしょう?ちょっとこちらでお待ちください。適当に用意してきます。」
「あぁ。」
そう言うと、ガゼルが暗闇に紛れて消えた。
それは死神の影に似た冷たさを感じる。
「少し待て。多分あれが飯を持って来てくれるから。」
–グルル(・・・・かえれる・・・?)
「お前が外に出た後に、この世界を出られる場所を探せればだけどな。」
–グル!(・・それは来た時の場所がある!・・・・・外に出られさえすれば・・・)
「良かった。それもあれに任せよう。そういえば他にもエルフとか一緒だと聞いたが?」
–グルル・・(・・・・エルフは死んだ。よくわからんモノに魔力を吸い尽くされて・・)
「・・・そうか。」
使い捨てにしては雑だな。
色々な生物で、何かを試しているのか?
あの男の同僚の話を思い出す。
このドラゴンも、だいぶ力を失っているようにも見える。
魔法使い以外のエネルギーでも魔力と同じく、魂や記憶の移動ができるかどうかを試しているのだとしたら、かなり色々な種族をさらっているのかもしれない。
–ドサ
「戻りましたよ。ほら、ちゃんと焼いてきたんですから、美味しくいただいてくださいませ。」
牛だろうか?
ガゼルが肉を丸ごとこんがりと焼いて、そのまま持ってきた。
生肉のままでもドラゴンなら問題ないだろうに、この男には変なこだわりがある。
–グルル!
「まったく。これでひとまず外に出ましょう。まだ足りないようなら、外に出てから自分で用意しなさい。」
「このサイズを、どうやってこの通路から出すんだ?」
「まぁまだ小さいドラゴンですから、階段を上がれるでしょう。出口に出るだけなら、今の位置から1層ですから、ちょっと狭くても頑張っていただきましょう。」
「なるほど」
像と同じぐらいだろうか?
サイズは廊下と同じぐらいにも見える。
そして、外に出る時は1階上がるだけなのか。
早く言って欲しかった。
–グルル(・・・少し足りないけど・・・ありがとう。それと人間・・・それもいいか?)
「ん?これか?これってそのまま食べて良い物なのか?」
–グルル(あぁ。父上の力だ。そのまま取り込めるはずだ・・・)
「そうか。はい、どうぞ。」
ドラゴンの口に、持っていた球をそのまま放り込む。
「さて、動けそうですね。行きますよ。これ以上手間がかかるなら、眼球一つじゃ足りませんからね。」
「それはいかん。ドラゴン。急げ。」
–グルル(・・?・・分かった。急ぐ。)
ドラゴンが通るには、通路の大きさは本当にギリギリ通れる広さだった。
これで通れなかったら別の方法を考えるために、眼球程度じゃ済まなかったかもしれない。
危ないところだった。
階段では、ドラゴンの尻を後ろから押して、上に上がらせる。
「おい!お前も踏ん張れ・・・!」
–グルルルルルル・・・・(うぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ)
「もうちょい踏ん張りなさい!ほら!」
「「「!!」」」
ドラゴンの体が、栓が抜けるみたいに、巨体が前へ弾けた。
勢いよく前に飛び出す。
「ぐっ!」
ドラゴンはそのまま前へ進んでいったので、私は地面に正面から激突。
今日は、頭やら顔をどこかに打ってばかり・・・
–グルルル(外だ・・・。出られた・・・)
「・・・はぁ。良かったな。そのまま移動できそうか?飯は別の世界でも用意できる筈だから、まずはここを出たいんだが、乗せてもらっていい?」
–グルル(あぁ。父上の力も吸収できたから、帰るまでは大丈夫だと思う。すぐに飛ぼう。乗れるか?)
「分かった。少しだけ待ってくれ、すぐ乗る。ガゼル」
「はいはい。ここまでで宜しいですか?」
「あぁ助かった。ここでそのまま貰ってくれ。」
「それでは・・・」
–グルル・・・(契約だったのか・・・。すまない。)
ガゼルが右目に触れると同時に、右目を抜かれ、中に空気が入る感覚がする。
世界が一段、遠くなる。
視界の半分が、夜に沈む。
痛みはない。
それが、余計に気味が悪い。
空気が直接、脳に触れた気がした。
左目でガゼルの指が、右目を持っていく様子を追う。
少し血が流れる感覚がある。
帰って早めに処置をしよう。
「それでは、これにて私は失礼いたします。」
そう言ってガゼルは、再び暗闇に紛れて消えていった。
出られたのはこいつがいたおかげだし、今回は目玉一つで済んだのだから…良しとしよう。
一歩踏み出した瞬間、奥行きを誤ってよろめく。
「・・・」
急ぎ、ドラゴンに飛び乗る。
「行こう。追いかけがいつ来るかも分からない。方向は分かるか?」
–グルル(あぁ!一番近い外に繋がる場所に行こう!)
–バサァァァァァ!!!
–グルルル!(出られた!こっちだ!)
「ひとまず世界を出るまでは注意しろ。また捕まるかもしれない。」
–グルル(わ、分かった・・・嬉しくて。すまん。・・・抜けるぞ。風が強い。気をつけてくれ。)
「分かった。」
ドラゴンは分厚い雲の中へ一直線に進む。
–ゴォォォォォ!!!ザァァァァァ!!
・・・空の通路の場合はこうなのだろうか?
ドラゴンは荒れた雲の中へ進み、雲のはらわたを掻き分けるみたいに、水と風の中を突き進む。
目も開けていられない。
雲の中で一瞬失速する。
–グル・・・っ!
「……まだ安定してないな。」
とにかくドラゴンから落とされないように、首元をしっかり掴む。
今を抜けるのを待つしかない。
なんかこういう事は最近もあった。
折角風呂に入ったのにびしょ濡れだ。
–サァァァァ
–グルルル(・・・なんとか・・・抜けたぞ。)
空気が一転した。
確かに世界は無事渡れたようだ。
–グルルル(このまま、進めば帰れるはず。)
「そうか。じゃあそっち方向にそのまま向かおう。」
ドラゴンの世界でも扉があれば帰れるし、このままこいつに乗っていれば、恐らくはドラゴンに襲われることもないだろう。
しかしだいぶ空気が変わったな。
悪魔の世界の濁った空気とは、大違いだ。
だが、ドラゴンの世界と悪魔の世界に通じる間の世界なのだとしたら、ここはどこら辺なんだろうか?
他にも大きな生き物が飛んでいるな・・・
グリフォン?
神獣の世界だろうか?
–グルルル(ここまでくれば大丈夫だよな?人間!)
「そうだな。私はスズだ。まぁこのまま帰る場所が分かっているなら、真っすぐ向かおう。だが、他にも大きいのが飛んでいるから、調子に乗ってぶつからないように。」
–グルル!(へへへ!ドラゴンは空の王なんだぞー!あんなのにぶつかるかよ!)
だいぶ元気になったようで、良かった。
これならその父上とやらも喜ぶだろう。
ん?なんか白と黒?
ドラゴンの下の方の高さで何か変なモノが飛んでいる。
そして、黒い方には見覚えがある。
あれは、神獣系ではまず見かけない生き物だろう。
「すまん。ちょっとだけ高度を落としてもらえる?あそこに飛んでるの知り合いに見えるんだ。」
–グルル?(分かった。こんなところに知り合いがいるのか?)
「いや。まぁお互い不本意だ。けーーい!!」
あ。白いのの上に乗ってるのは・・・。
やっぱり知り合いのようだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ズズズズズズzzzzzzzz!?!?!」
知り合いだ。
これは間違いない。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




