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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第一部 第二章 境界に立つ者たち
59/79

答え:針の筵のよう

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

梓達が入った扉が閉まるのを確認し、伸ばした手を下ろす。


死神の影に梓が飲み込まれたので、全員で一緒に引っ張られて落ちたところまでは良いのだが、その先がとにかく暗かった。

すぐに灯してくれた和の明かりでも、先が見えない程に…


そしてそこにいた知らない男は、影を使い再び梓だけを引き寄せた。

イザベルには梓との距離に魔法で制御が入っている為に勝手に引っ張られ、圭は反射神経でそれを追いかける。

圭の動きが分かっている和もとっさに圭を掴み、そのまま梓の元へ近寄る事ができたようだ。


最後に和がこちらにも手を伸ばしてくれたが、残念ながらギリギリ届かなかった。

影で引き寄せた先は、恐らくあいつの疑似通路か交渉人のドアだったのだろう。

4人はそのままどこかへ、移動してしまった。


まぁ最悪を考えると、バラけて捕まるよりは、まだマシだ。

なのであっちはもちろん追うとしても、まずは自分の事をどうにかしないといけないだろう。


「ブラッド・オルティースか。」


影を操る死神で

こちらの動向がある程度分かっていて、こんなことができるとなると…

直近でもさっきまで話題にもなっていた、その男しか思いつかなかった。


「・・・まぁ分かっているか。お前はここがどこだか分かっているのか?」

「その女、恐らくは悪魔。悪魔の世界ということかな?」


さっきガーネットだったか?

呼んだ時に彼女が、男の方に何かを付与した様に見えた。

そして雰囲気的にも、ブライアンとヴェラの様な状態に似ている。


多少はまだ死神の世界であることを期待していたが、この男が未だ失踪状態という事もあり、その期待は薄かった。

それなら悪い方向を先に確認した方が早いだろう。


「流石だな。知識だけは豊富なようだ。」


非常に残念な答えだ。


だが、そうするとあの4人もこの世界にいるのだろうか?

それはかなりまずい。

別の世界へ移動してくれていればいいが、ここが悪魔の世界だと分かった以上は、私の方からすぐに追いかけるのはより難しそうだ。


「梓をどこへやった?」

「あれは別の場所だ。本来は彼女だけを送りたかったが、仕方があるまい。」

「アリス・フォーラスの魂があっても、山本梓の魂がまだ無いのだろう?」

「それはお前には関係ない。」


なるほど。

彼は死神だから、今日私達が来ることを踏んで、罠を張って待っていたのだろうか。

さて、まず私はどうしたものか。


「なら私の役目は終わりか。帰してもらえると助かるのだが。」

「お前をある意味ここに連れてこられたのは、こちらとしては運が良い。このままブライアンにでも引き渡そうか。」

「ふむ。やはりここにブライアンはいるのか。アディール・クラーレンも一緒?」


「興味はない。」

「お前はもう死神へは戻れなさそうだな。その悪魔と契約したのか。肉体を提供できない以上、何を提供するのかはしらんが、あまり良い判断とは思えんな。」


「お前のせいだ・・・。お前があんな事言わなければ・・・こんな事には・・・」

「改ざんも含めて、自己責任だろう。」

「!・・・まぁ知っているか。」

「消そうとしたのか。他の誰かに書き換えようとして失敗したか。」

「お前・・・」


2つ目の反応が近そうだ。

つまり、死亡履歴の改ざんをしたのはこの男。

恐らくの意図としては、山本梓とアリス・フォーラスの二人分消そうとしたが、同時発生した為か何かで別の人間に書き換えようとしたことを失敗。


アリス・フォーラスの魂の接触についても、いち早く情報収集しようとしたが、何も知らない若い死神をこちらに寄こし、それも含めて改ざんした犯人としてバレた。

その結果、居場所がなくなったというところだろう。


最近の死神は誰かのせいにするのが、好きだな。

今の上層部は、予想以上に若い者が多かった。


「・・・あら。あんまりいじめないであげて?なんなら私がちょっといじめてあげましょうか?旦那様?」

「特に普通の事を言っただけだ。ブライアンの元にいけるのなら、そもそも暴れる気もない。」

「あら。可愛いじゃない。あなたwalkerって聞いたけど本当なの?」

「だから殺せば普通に死ぬ。君たちにとっては、都合がいいだろう。」

「そうね。でも今殺しちゃうとヴェラが怒るから、暴れないならまずは行きましょう。ね。旦那様?」


「・・・・あぁ。こっちだ」


暗すぎる部屋かと思ったが、どうやら地下の廊下の端のようだ。

階段脇の壁にある扉はさっき、まさに梓達が移動につかったものだが、あれを見に行かせては貰えないだろう。


ブラッド・オルティースが進む階段の方へついていく、そして女の悪魔が私の後ろから見張る。

よりにもよってではあるが、まぁどこかのタイミングでは、ここへ来る事にはなっただろう。


――悪魔の世界。


ここは地下だと思われる為、窓もないから外の様子は分からない。

まぁ見えたところで、逃げる為の扉を無事に探せるかは不明。

さっきの扉が交渉人ドアではなく、もしアディールの疑似通路なら、条件として整っている筈なので逃げ道として使う事もできるだろう。

ひとまず道は覚えておこう。

地下の階段を3階分上がったが、未だに地上には辿りつかない。

どこまで深い地下なんだ。


ここで確認できればしたいのは、ブラッド・オルティースとこの女の契約内容。

悪魔は本来は、単独では他の世界へ行く事はできない。

だが、契約内容によっては、その契約者の世界に行けたり移動したりすることができるようになる。

なので、契約そのものを目的にしている者も多少いるが、そんなことは面倒だと、早々に餌にしてしまう者の方が多い。


そして、契約内容自体についても比較的単純な場合が多い。

目的を達成したら、交換条件で何を支払えるかという事。

だが、悪魔が欲しがるものなど分かっての通り、人間の欲や人間そのもの。


ここで問題なのは、ブラッド・オルティースの場合は死神。

彼ら死神は、人間ではない。

影を媒体に人間の様に見せているだけで、その肉体を持たない事からも悪魔との契約でも、自身の肉体を提供できない。


なら、何を提供するのか・・・

魂を抜いた後に、梓の肉体でも提供するつもりだったのか。

それとも他に既に用意しているのか、これから用意できる生者がいるのか。


目的についてもさっきの様子では、梓を連れていく事に彼女の手を借りていた。

それなら目的達成は梓の捕獲に近い感じはするが、捕獲が目的なら再び他の場所に送る理由が分からない。

梓・・・アリス・フォーラスの魂だけでなく、山本梓の魂の両方の捕獲までが最終目的?

いまいち繋がらない。


「ここで待っていろ。」

「分かった。」


案内された場所は、相変わらず地下のようだ。

ブラッドが開いた扉の先は、広い寝室。


綺麗なベッドとクローゼット。

机と椅子。

部屋の奥の方に扉が見える。


私が部屋に入るとブラッドは出て行くようで、もちろん扉には鍵をかけられ、私を部屋へ置いて行ってしまった。


……ふむ。


本当に言葉通り、待たされるという事か。

念の為、walkerの鍵で扉を確認するが、流石に条件に合っていなかった。


部屋の中を探索する。


ベッドはいたって普通。

寝っ転がってみても何も起きない。

下も覗いてみたが、綺麗に掃除されてるな。

次にクローゼットを開く。

両開き扉を両方開き、全体を確認すると殆ど中身は入っていない。

洋服が一部。

趣味の悪そうなネグリジェ。

そして箱?


こういった箱は開けたくないし、開けたところで何か得られるとも思えないので無視。


下の引き出しもまともに物は入っておらず、一番上の引き出しにだけ数セットの下着が入っていた。

隣の机の上も何もない。

もちろんその引き出しの中も空。

この部屋の中には、碌な物がなさそうだ。


最後に部屋の奥の扉を開く。

この感じでは、風呂場とトイレというところだろうか。


一応、確認。


・・・・・・・。


見なかったことにしようか少し悩む。


・・・これはいわゆる拷問道具というものだろう。


まぁ悪魔の世界だし、それが遊戯になるのかもしれない。

だが、これを使われれば——和に怒られる程度では済まない。

寝室と拷問部屋。趣味が悪いどころではない。


長居はできない。

ブライアン相手なら強姦程度で済むかもしれないが、悪魔相手ではそんな生温いものを期待できない。

その中を見て回っても、他の部屋への扉や窓は見当たらない。

一応、拷問道具自体もそれぞれ確認してみたが、使用済みなのは一目で分かった。

臭いと、乾いた跡がある。

……触りたくない。


再び入ってきた時の扉に戻る。


やはり、鍵が掛かっている・・・


鍵は普通の鍵も掛かっているようだが、それとは別に外から押されているような気配がある。

死神の影で、出られないようにしているのだろうか。


--バンッ!!!!


椅子を扉に向けて投げつける。

扉自体を壊そうとしてみたが、椅子の方は崩れてしまったというのに、扉は無傷。

魔法の場合は結界のように、扉自体に魔力による防護が張られる事もある。

それなら、魔力をどうにかしないといけないのだが、死神の力による影の場合はどうなのだろうか。


だが、もし方法が分かったとしても――手持ちは何もない。

つまり何もできない。


「仕方ない。こっちは最低、怒られるだけで済ませなくてはいけないんだ。」


死んでしまっては・・・

恐らくまた泣かせてしまうかもしれない。


それに今フォーラスやあの男が、魂なのか記憶なのかどちらにしても、別の媒体に保管する等の方法を持っていた場合。

最悪は生まれ変わる事もできない可能性すらある。


「…そうなったら。どうなるんだろうか。」


私達には先が見えない。


この先どうなるのかも分からない。


ずっとこのままかもしれない。


それをどこかで諦めていたのかもしれない。

どこかで終わる事を期待しているのかもしれない。


だが・・・・


まだ終止符を打つ場所じゃない。

今はここで終わってはいけない。


「私にはあなたのように流されてるだけなのに、ちゃんと自分を残して生きている。そんな生き方はできないわ。」


私はどこかに残ってるんだろうか。

私を私とするものは、どこにあるんだろうか。

姿も変え、場所も変え、考え方も変えて。


それでも残る“私”とは、何だ。


–ガチャ。


「あれ?ここに入れるって言ってなかった?」

「そのように聞いておりましたが・・・ん。血の匂いがしますね。」

「あっちにいるのかな?おーい。僕が来たよー。」

「開きませんね・・・。旦那様ちょっと下がってていただけますか?」


ブライアン・フォーラスとヴェラとかいう悪魔。


私は静かに、床を下りる。

息を止める。

二人は奥の扉に意識を向けている。


今。


部屋を出る。

元来た道へ戻る。


–バゴォン


奥の扉が壊された音。

その騒音に紛れて、少し足を速める。


階段を下りる間、まだ会話が聞こえる。

だが階を1つ下りた瞬間、音が消えた。


だが、悪魔の本質は動物に近い部分もある。

嗅覚で追われる可能性やあるいは他の何かで追ってくる可能性もあるので、何かとっさに誤魔化せそうな道具や物があればいいのだが・・・あたりを見渡す。


・・・これはまずい


ここは別の場所だ。

来た道ではない。

どこかで道を間違えたか?

それにしてもおかしい。

上った階段はここだった。

なのに、降りた途端に景色が違う。


繋がっていない。

あるいは、移動させられた。

現在地が分からない。

戻り方も分からない。


「・・・。」


先ほどの部屋。

拷問部屋を道具で無理やり閉じ、扉に自分の血を塗った。


切った手首は、動脈を抑えやすくして、洋服で拭い、強く止血した。

血の匂いを最小限にする。

そうしてベッドの淵を足場にして、扉の真上に張り付いた。


無事、二人は気付かなかった。


奥の部屋に行ってくれた為に、そのまま部屋を出られたまでは良かった。


だが――今の問題は帰れない事。


上に戻るにはリスクがあるので、ひとまずこの良くわからない階を探索するか。

地下にしても、比較的綺麗な廊下になっている。

カーペットも敷かれていて、いくつか部屋が並んでいる。

明かりこそ廊下に設置された蝋燭のみとやや薄暗い。

人や何か生き物がいる気配はない。


「・・・」


だが、全くの無音という感じでもないな。

どこからか風が流れ込んでいるようだ。

地下全体が彼らの住処なら、あの扉へ戻れない場合、地下から地上へ出られる道を探してみるか。

外に出れば、あるいは違う方法で帰れる手段を得られるかもしれない。


–ヒョォォォォォォ・・・・


念の為、すぐに隠れられるように進む扉を一つ一つ開いては、中の様子だけ確認しておく。

人がいた場合はどうしようもないが、どうも人の気配どころかネズミ一匹すら見当たらない。

この階は客室用なのか。

似たような部屋がいくつか続く。

そして、リネン庫のようにシーツが仕舞ってある部屋。

次は目的不明のガラガラの部屋。

応接室の様な部屋。

そして・・・

ヒュォ・・・・ん?


–カツカツカツ


「!」


遠くから聞こえる足音を拾い、目の前の部屋へそのまま静かに入る。

天井は低く、棚は天井近くまで積み上げられている。


この部屋は・・・霊安室?

というより冷蔵庫?

廊下と比べてかなり寒く、吐く息も白い。

肉。

というか人の遺体が、保管されているということなのだろうか。

袋や布に包まれたそれらを確認しようとは思わないが、それぐらいのサイズの袋や布が棚に並んで置かれている。

おかげで匂いなどは、ごまかせそうだ。

余っている布を一つ頂き、空いている棚の上に隠れる。


「どうだ?」

「こっちは見当たらない。」

「一応部屋を全部確認するべきか?」

「そうだな所々見て行こう。逃がせば俺らが殺される。」


「くっそ・・こんなことさせられる為に来たわけじゃねぇのに・・」

「逃げる機会があれば良いんだがな・・・。」

「だけど、俺たちは・・・魔法世界にはもう戻れねぇよ?」

「・・・・他の世界に、だな。」


廊下の音は、部屋の中へかなり響くようだ。

3人分ほどの人の会話が、しっかり聞こえる。

魔法世界に帰れない、ということからも3人は魔法使いなのだろう。

だが、ここにいるのは嫌なようだ。

そりゃいつ殺されてもおかしくはないだろうし。


声と足音が無くなるのを、待つ。


はぁ寒い・・・


寝てしまわないように気を付けないと…

最近は久しぶりに会う人が多い気がする。

精霊や妖精もお願い事をするのは、久しぶりだった。


死神の世界も、当分来ることはないだろうと思っていたし…


フィーにも会った…


–ゴン


「っ・・」


寝ないように頭を上げていたので、頭が棚に落ちた拍子に額をぶつける。


誰か来てしまうだろうか・・・?


「・・・」


しばらく待っても来る様子も音も聞こえないので、ゆっくり棚を下り再び外の廊下へ出る。


…とても、寒かった。


誰もいなさそうだ、風の音だと思っていたのは、この冷凍庫からのものだったのだろうか?

だとしたら、地上に行く方法はこの階には無さそうだし、別の階へ移動しよう。

再び部屋をそのまま三つ進むと、最後に階段が見つけられたので、階の両端にそれぞれ廊下がある感じなのかもしれない。


再び階段を下りる。


…やっぱり知らない場所だ。


折角だし念の為、今降りたばかりの同じ階段を上ってみる。


……また違う場所。

これでは法則が、読めない。


魔法の様な力で階段を起点に、ランダムにどこかへ繋がるようにでもなっているのだろうか?

どこかで良い感じの扉が、一つ見つかるだけでもいいのだけど、わざわざ同じサイズに固定しているようでその期待は薄そうだ。


お昼ご飯を食べておいて良かった。

食べていなければ、お腹の音で見つかったかもしれない。


「・・・・・」


思考に霞がかかる。

もしかしたらちょっと貧血なのかもしれない。

エルに血を上げた事もあるし、その後にレバニラ炒めを進めてくるあたり、配慮されたような気がする。

さらにさっきも血を使ってしまったし、どこかで一度休むか・・・


この階は、さっきのホテルの様な部屋が多い廊下とは少し違う。

ちょっと洞窟っぽい様子。

それぞれ部屋のような空間はあれど、そこに扉はついてないので洞穴のようだ。

最初の空間は檻の様な格子がかかっており、次には何もない空間。

その次は解体場なのだろうか?

手術の時に乗るような、何かで汚れた台が3つ。

脇には、包丁やら斧やらチェーンソーがある。


凄く嫌だが、これなら匂い隠しにもなるし、隠れる場所として適している・・・


脇にある棚をいくつか探る。

上下を分ける間の板を外せば、人一人入れそうなサイズだな。

ちょっとこの先、どこまで探索が必要かも予想がつかないので、一旦休憩。


–ガタガタ


棚を内側から閉める。


はぁ。

梓たちは大丈夫だろうか?

相談所にさえ戻れれば、探しに行けるのだが・・・

あっちには和も圭もいるし、どうにかなっている事を期待するしかない。

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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