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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第一部 第二章 境界に立つ者たち
53/83

答え:折に触れて、心養生になれば

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

–ニャ(これはあなたに確認してもらうか迷ったものよ。正直見ない方が良いし、事件とは関係ない気がしているわ。)


ミランダが、いつもの猫の姿で、一つの本を持ってきた。

非常に渡しづらそうにしていたが、一応受け取った。


地下へ降り、いつものソファに座り、その本を確認したところ…

確かにこれは確認しなくても良かったかもしれない。


イヴには、一時期。

何度も殺され続けたことがある。

それはファストとの問題で、イヴの怒りが制御を失い、そういう事が起きた。

これはその時の、いわゆる殺人詳細報告書のようになっているようだ。


ページをめくるたび、乾いた血の匂いが喉の奥に貼り付くようだった。


殺し方や死ぬまでの様子が、事細かに記載されている。

更にイヴの怒りの言葉も混ざっており、内容はかなり言葉にしづらいものだった。

ミランダも確認しづらかった事だろう。


申し訳ない…


「はぁ・・・」


とにかく明日からはしばらく電車巡り。

ここで私が動揺してしまってもしょうがない。

でもこの本が、あのフォーラスの家に関係する地下にあったという事は、あの男アディール・クラーレンはもちろんの事、フォーラスの一部の人間もこれを見ているのだろう。


イヴの経歴と一緒に、ファストや私の過去の出来事を――


書物は基本的にかなり良い保存環境を維持できない限り、その形状は長くもたない。

それなのにわざわざ調べたい情報とは別に、こういった書物まで残してくるあたり、あいつらはやっぱり悪趣味と言わざるを得ない。


手の中の本は、燃えない灰のように重かった。


本の処分に悩みながら、体はいつの間にかソファに沈み込んでいく。


人間誰しも生きていれば、流してしまいたい過去の一つや二つあるだろう。


この本をどう処理したものか。

燃やしてしまってもいいのだが、一応フォーラス関係の証拠物。

ミランダに後で怒られるのも嫌だし…

だからといって普通に返して、魔法世界で保管される事になるのも気が進まない…

どうしようか…

・・・



「スズ!」

「・・・・」

「スズー!」

「・・・・」

「スズ!!流石に起きてくれ!俺にはよく分からねぇんだよ!!」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・起きないと。今年のスケジュール全部リスケする。」


「・・・・・・・・・・・・なに?」


…考えているうちに寝ていた。

どうやら和が起こしに来たらしいが、眠いものは眠い。

というかいつもより眠い気がする。


妙に眠り心地が良い。

空気が綺麗で、傷の痛みが和らぐ・・・・?


……何故


変な違和感に引かれ、目を開くと視界の端が白く滲み、意識がふわりと浮く。


≪あら。やっと起きそうかしら?≫

≪寝坊助≫

≪お寝坊さん~≫

≪おや?めずらしい魔法の子と一緒かい?≫

≪そうなのよぉこの子の大切な子よー≫


–・・・・なんでここにいる。

–いや、お前を起こしに来たら、お前に用があるって言うから・・・

–承諾したのか・・・。まったく・・・。何か用ですか?


光は木々の隙間から溶けるように落ち、地面は柔らかな夢のように揺れていた。

どう見ても、精霊と妖精の間の世界にきている。


≪ふふふ。不機嫌そうねぇー≫

≪そんなに怒らないで~。あなたのお願い事にも関係しそうよ?≫

≪そうそう。勝手にとったりしないからー≫

≪へぇ。そんなにお気に入りなのか。これまた珍しい≫

≪きいて~きいて~≫

≪ダーメ。ダメよー。もっと怒られるわよー≫


–はい。もっと怒ります。何ですか?

–・・・・・・。静かに・・・。


≪ほらおいで~。この子にもう一度話してみて。きっと聞いてくれるわ≫

≪こっちだこっち。≫


–グルルルル・・・(人間の子か。)

–はぁ・・・。何でドラゴンがここにいるんですか。

–ドラゴン!?あ。悪い。


寝起き早々に妖精と精霊の世界にいて、再び精霊にはいじられる上に、何故か目の前には森の木にも並ぶ大きさのドラゴンがいる。

これは、どういう寝起きだろうか。


はぁ・・・眠い。


場所は先日の花畑とは違うようで、明るい森の中。

足元には草木が全体に生え茂り、その地面まで太陽の光も届いている温かで過ごしやすい環境。

なのだが、だからといっていきなり連れてこられても困る。

そしてドラゴン。


≪こないだあなたの探してる、魔法の子と一緒にドラゴンがいるっていったでしょう?≫

≪そうそう≫


……フォーラス側にいたと言っていたドラゴンか。


–あぁ言いましたね。それで?

–スズ・・・。


≪この子が言うには、そのドラゴンはその一緒にいる魔法の子に、連れ去られたドラゴンらしいのよ≫


–グルルルル(左様。我が一族から魔法の男が、悪魔の手を借り子供を連れて行った。)

–なるほど?それで?


–グルル(……我らでも多少は他の世界は巡れるが、その子供の居場所も分からぬ世界を、いくつも探し回ることは叶わぬ。

……探せる者の手を借りたい。)

–そうですか。私達もその魔法の男を恐らくは探しています。

その時に確保できれば、返還できる可能性はありますが、私は所詮人間です。

ドラゴンに対抗するとなると簡単にはいきませんし、最悪の場合は殺してしまうかもしれません。


淡々と答えた瞬間。

森の奥で低い唸り声が重なった。

枝が弾け飛び、巨大な影が木々の間を走る。

和が息を呑む。


–グルァァッ!!


若いドラゴンが一体、木々を薙ぎ倒しながら割って入り、こちらを威嚇した。

目は血走り、魔力が荒れている。


–スズ……?


–グルルルルル(待て!やめよ!)


和が不安そうに、こちらを見てくる。

最初のドラゴンが、翼で若い個体を押し止める。

森が軋む。


–そのドラゴンが、絶対にこちらを襲ってこないと?

–グルルルルル(我々は弱きものを殺さぬ。)

–グルルル(・・・・・・・)


–…そちらの相談は分かりました。

ですが過去にドラゴンを無事に確保したことはありません。

何か方法がなければ現実的に難しいという事を、ご了承ください。


最初のドラゴンは目を伏せる。


–グルルルルルル(おぬしの言い分は分かった。……すまぬ。連れ去られたドラゴンはまだ子供ゆえ、我のように言葉を交わせぬやもしれぬ。)

–そうですか。


ドラゴンといえば、私が知っている範囲での野生動物の中でも、最強の部類に入れても良い。

そんなものを生きたまま回収しろなど、基本世界の人間の力でできる気がしない。

なんならフォーラスや悪魔と関係なしに、殺されるだけという結果になるだろう。


–グルル(・・・・我ら一族の力を示せるものを用意しよう。あやつが正気であれば、それに反応し声を持つやもしれん。我は・・・できれば無事に戻ってきて欲しいのだ。)


–…分かりました。ご用意いただけるそちらは受け取りましょう。

そしてこちらももし出会った際には、できる限りは努力します。

今ここに用意されているのですか?


–グルル(これから用意する。別日に受け取りに来られるか。)


森の空気がわずかに歪む。

空間が揺れた。


–…分かりました。場所を教えて下さい。そしてその際、お仲間にも私が来ることをお伝えください。

–グルル(分かった。場所と時間は改めて妖精に伝言する。頼み申す。)


森の気配が、ようやく落ち着ついてきた。

だが、さきほどの“歪み”だけは消えない。


話は以上のようだ。

最後の言葉と共に、二体のドラゴンは翼を広げる。


–ブァサァァァァァァ


大きな羽ばたき音を森全体に響かせ、大きく上空へ上がっていく。

和と一緒にそれを見送りながら、私がついあくびをしてしまうのは仕方がない。


–だそうだ。和

–・・・いや無理だろ。話を聞いてくれなかったら殺されるじゃないか。

–その通り。だがまぁこれもある種の相談だし、一応目的は同じ。


≪ドラゴンねぇ・・・。フェニックスとかにお願いしてみるとか?≫


–神獣同士をぶつけても、どちらかが死んでしまうんじゃないでしょうか?


≪しかし連れ去られたとなると、ドラゴンより強いモノがいるのかもしれないぞ?≫


–まぁその可能性もありますね。一旦、こちらでも考えてみます。

もし他にもいい方法がありそうでしたら、その時は改めてお願いします。


≪はーい≫

≪また来てねー≫

≪魔法の子も一緒よぉー≫


最後は、お願いなのか何なのか分からない言葉が続きながらフェードアウト。

景色もホワイトアウト。


徐々に現実的な暗さを感じる。

静かな相談所の地下に、無事戻って来た。


「はぁぁ・・和。声をかけられても無視していい。」

「・・・すまん。」


「彼らは良い意味でも悪い意味でも、平等な存在だ。

人間ではない以上、何が起こるかは予測がつかないこともある。

今日はあっちの願いだったからいいものの。こちらから何かをお願いする場合には、必ずそれに見合うと判断された対価が必要。とにかく会話には注意した方が良い。

彼らは隣人であって、友人ではないよ。」


「分かった・・・気を付ける。すまん。」


まぁこの辺で良いだろう。

私も気やすく関与させてしまったし、もっと注意するべきだった。

さて、まず朝食だ。


「まぁおかげで、やたらと出入りしてるから傷の治りは良い。朝食にしよう。3階へ。」


 圭には今日の都内の電車の立ち寄り先は確認してもらったし、朝食を食べて向かうぐらいで十分に間に合うだろう。

今回の電車巡り。

基本過ごす場所は電車内だとしても、多少は他の世界に立ち寄る事になるから、交差する場所だけは注意が必要。


梓達と朝食を終え、圭に確認してもらった最初の立ち寄り先へは、普通の電車で向かう。


「梓さん。一応こまめに確認はしますが、体調が悪いと感じた場合は、すぐに言って下さい。」

「分かりました!」


そうだな。

ガルシアの話からも、梓の肉体については心配すぎて困ることはないだろう。


「何時ごろー?」

「もう来るよ。」

「初めて見るわ。」

「私も!」「僕も!」


まぁそもそもそんな頻繁に見るべきモノではないからな。


「あ。基本的には乗客にはあっちから声をかけられるまでは、こちらからは話しかけてはいけない。

そして、・・・一応言っとくけど、食べ物や飲み物を貰っても口にしないように。」

「「はーい」」

「分かった。日向と秀人は絶対食べるなよ?」

「わ、分かりました!」

「はいはい。分かったわ。」


流石に知らない人から食べ物をもらうような事は・・・無いと思うけども、一応。


「あれ?でもそしたらどうやって関係者っぽい人を探すの?」

「まずは魔法使いと思われるモノを探してみよう。魔法世界以外の他の世界で回収される魔法使いという時点で、確認しても良いと思う。」

「なるほど。確かに・・・」


風が吹く。


『まもなくーまもなくー、4番線に武蔵国橘樹郡行きが到着いたします。白線の内側でお待ちください』


横浜方面か。


今回梓の案である、この電車巡りをしても良いと思ったのは・・・

梓を・・・仕方がないとはいえ、ずっとあの相談所に押し込み続けている状況。

そして和にも言った通り、どうせ来る時は来るのだから、それで不安な状態が続いてしまう事は、梓の精神的にも宜しくないと判断したこともある。


そもそも悪くない案だという事もあったし、この際だからと誘ってみたが…

誘うタイミングが悪かった。

日向と秀人が来たがるのは予想がつく事だった。

確かに途中で襲われる事を想定すれば、これでも人数は足りないのかもしれないが、何事もないよう願っておこう。


風がホームを撫で、死の匂いを運んでくる――そうして電車に乗ったところで、早々に声をかけられた。


見覚えのある死神だが、前に会ったのは確か紀元前だった気がする。

暦の感覚が壊れて久しい。

死神の引退はいつなのだろうか・・・?


「スズさん。いくつか乗り継ぎするなら、気を付けてください。最近予測がつかない動きをする火車が増えてきてます。」

「予測がつかない?死者以外の場所に行くとか?」


「・・・そういう事もあります。そうやって乗ったまま連れていかれて、帰れなくなり遭難する死神が僅かですが出ています。

それに関してはスズさんは大丈夫でしょうが、一応は伝えておきますよ。」

「分かった。助かる。あと3日後ぐらいに死神の方にも行く予定。もし面倒事が嫌なら真面目に仕事していればいい。」


「マジっすか・・・。また揉めそうな予感しかしないッス。」

「最近ガーディは来るの?」

「えっ・・・ガーディ元議長っすか。どうっすかねー俺はあんまり見ないっすけど、そんな確認するって事は、マジでヤバい感じじゃないっすか。」


「いや。あれに会いたくない。ともかく、ありがとう。」

「うぃ~。じゃあまたそのうちお会いしましょ。」


この死神とは何で知り合ったんだったか。

向こうも忘れていそうだ・・・

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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