答え:折に触れて、心養生になれば
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
–ニャ(これはあなたに確認してもらうか迷ったものよ。正直見ない方が良いし、事件とは関係ない気がしているわ。)
ミランダが、いつもの猫の姿で、一つの本を持ってきた。
非常に渡しづらそうにしていたが、一応受け取った。
地下へ降り、いつものソファに座り、その本を確認したところ…
確かにこれは確認しなくても良かったかもしれない。
イヴには、一時期。
何度も殺され続けたことがある。
それはファストとの問題で、イヴの怒りが制御を失い、そういう事が起きた。
これはその時の、いわゆる殺人詳細報告書のようになっているようだ。
ページをめくるたび、乾いた血の匂いが喉の奥に貼り付くようだった。
殺し方や死ぬまでの様子が、事細かに記載されている。
更にイヴの怒りの言葉も混ざっており、内容はかなり言葉にしづらいものだった。
ミランダも確認しづらかった事だろう。
申し訳ない…
「はぁ・・・」
とにかく明日からはしばらく電車巡り。
ここで私が動揺してしまってもしょうがない。
でもこの本が、あのフォーラスの家に関係する地下にあったという事は、あの男アディール・クラーレンはもちろんの事、フォーラスの一部の人間もこれを見ているのだろう。
イヴの経歴と一緒に、ファストや私の過去の出来事を――
書物は基本的にかなり良い保存環境を維持できない限り、その形状は長くもたない。
それなのにわざわざ調べたい情報とは別に、こういった書物まで残してくるあたり、あいつらはやっぱり悪趣味と言わざるを得ない。
手の中の本は、燃えない灰のように重かった。
本の処分に悩みながら、体はいつの間にかソファに沈み込んでいく。
人間誰しも生きていれば、流してしまいたい過去の一つや二つあるだろう。
この本をどう処理したものか。
燃やしてしまってもいいのだが、一応フォーラス関係の証拠物。
ミランダに後で怒られるのも嫌だし…
だからといって普通に返して、魔法世界で保管される事になるのも気が進まない…
どうしようか…
・・・
・
・
「スズ!」
「・・・・」
「スズー!」
「・・・・」
「スズ!!流石に起きてくれ!俺にはよく分からねぇんだよ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・起きないと。今年のスケジュール全部リスケする。」
「・・・・・・・・・・・・なに?」
…考えているうちに寝ていた。
どうやら和が起こしに来たらしいが、眠いものは眠い。
というかいつもより眠い気がする。
妙に眠り心地が良い。
空気が綺麗で、傷の痛みが和らぐ・・・・?
……何故
変な違和感に引かれ、目を開くと視界の端が白く滲み、意識がふわりと浮く。
≪あら。やっと起きそうかしら?≫
≪寝坊助≫
≪お寝坊さん~≫
≪おや?めずらしい魔法の子と一緒かい?≫
≪そうなのよぉこの子の大切な子よー≫
–・・・・なんでここにいる。
–いや、お前を起こしに来たら、お前に用があるって言うから・・・
–承諾したのか・・・。まったく・・・。何か用ですか?
光は木々の隙間から溶けるように落ち、地面は柔らかな夢のように揺れていた。
どう見ても、精霊と妖精の間の世界にきている。
≪ふふふ。不機嫌そうねぇー≫
≪そんなに怒らないで~。あなたのお願い事にも関係しそうよ?≫
≪そうそう。勝手にとったりしないからー≫
≪へぇ。そんなにお気に入りなのか。これまた珍しい≫
≪きいて~きいて~≫
≪ダーメ。ダメよー。もっと怒られるわよー≫
–はい。もっと怒ります。何ですか?
–・・・・・・。静かに・・・。
≪ほらおいで~。この子にもう一度話してみて。きっと聞いてくれるわ≫
≪こっちだこっち。≫
–グルルルル・・・(人間の子か。)
–はぁ・・・。何でドラゴンがここにいるんですか。
–ドラゴン!?あ。悪い。
寝起き早々に妖精と精霊の世界にいて、再び精霊にはいじられる上に、何故か目の前には森の木にも並ぶ大きさのドラゴンがいる。
これは、どういう寝起きだろうか。
はぁ・・・眠い。
場所は先日の花畑とは違うようで、明るい森の中。
足元には草木が全体に生え茂り、その地面まで太陽の光も届いている温かで過ごしやすい環境。
なのだが、だからといっていきなり連れてこられても困る。
そしてドラゴン。
≪こないだあなたの探してる、魔法の子と一緒にドラゴンがいるっていったでしょう?≫
≪そうそう≫
……フォーラス側にいたと言っていたドラゴンか。
–あぁ言いましたね。それで?
–スズ・・・。
≪この子が言うには、そのドラゴンはその一緒にいる魔法の子に、連れ去られたドラゴンらしいのよ≫
–グルルルル(左様。我が一族から魔法の男が、悪魔の手を借り子供を連れて行った。)
–なるほど?それで?
–グルル(……我らでも多少は他の世界は巡れるが、その子供の居場所も分からぬ世界を、いくつも探し回ることは叶わぬ。
……探せる者の手を借りたい。)
–そうですか。私達もその魔法の男を恐らくは探しています。
その時に確保できれば、返還できる可能性はありますが、私は所詮人間です。
ドラゴンに対抗するとなると簡単にはいきませんし、最悪の場合は殺してしまうかもしれません。
淡々と答えた瞬間。
森の奥で低い唸り声が重なった。
枝が弾け飛び、巨大な影が木々の間を走る。
和が息を呑む。
–グルァァッ!!
若いドラゴンが一体、木々を薙ぎ倒しながら割って入り、こちらを威嚇した。
目は血走り、魔力が荒れている。
–スズ……?
–グルルルルル(待て!やめよ!)
和が不安そうに、こちらを見てくる。
最初のドラゴンが、翼で若い個体を押し止める。
森が軋む。
–そのドラゴンが、絶対にこちらを襲ってこないと?
–グルルルルル(我々は弱きものを殺さぬ。)
–グルルル(・・・・・・・)
–…そちらの相談は分かりました。
ですが過去にドラゴンを無事に確保したことはありません。
何か方法がなければ現実的に難しいという事を、ご了承ください。
最初のドラゴンは目を伏せる。
–グルルルルルル(おぬしの言い分は分かった。……すまぬ。連れ去られたドラゴンはまだ子供ゆえ、我のように言葉を交わせぬやもしれぬ。)
–そうですか。
ドラゴンといえば、私が知っている範囲での野生動物の中でも、最強の部類に入れても良い。
そんなものを生きたまま回収しろなど、基本世界の人間の力でできる気がしない。
なんならフォーラスや悪魔と関係なしに、殺されるだけという結果になるだろう。
–グルル(・・・・我ら一族の力を示せるものを用意しよう。あやつが正気であれば、それに反応し声を持つやもしれん。我は・・・できれば無事に戻ってきて欲しいのだ。)
–…分かりました。ご用意いただけるそちらは受け取りましょう。
そしてこちらももし出会った際には、できる限りは努力します。
今ここに用意されているのですか?
–グルル(これから用意する。別日に受け取りに来られるか。)
森の空気がわずかに歪む。
空間が揺れた。
–…分かりました。場所を教えて下さい。そしてその際、お仲間にも私が来ることをお伝えください。
–グルル(分かった。場所と時間は改めて妖精に伝言する。頼み申す。)
森の気配が、ようやく落ち着ついてきた。
だが、さきほどの“歪み”だけは消えない。
話は以上のようだ。
最後の言葉と共に、二体のドラゴンは翼を広げる。
–ブァサァァァァァァ
大きな羽ばたき音を森全体に響かせ、大きく上空へ上がっていく。
和と一緒にそれを見送りながら、私がついあくびをしてしまうのは仕方がない。
–だそうだ。和
–・・・いや無理だろ。話を聞いてくれなかったら殺されるじゃないか。
–その通り。だがまぁこれもある種の相談だし、一応目的は同じ。
≪ドラゴンねぇ・・・。フェニックスとかにお願いしてみるとか?≫
–神獣同士をぶつけても、どちらかが死んでしまうんじゃないでしょうか?
≪しかし連れ去られたとなると、ドラゴンより強いモノがいるのかもしれないぞ?≫
–まぁその可能性もありますね。一旦、こちらでも考えてみます。
もし他にもいい方法がありそうでしたら、その時は改めてお願いします。
≪はーい≫
≪また来てねー≫
≪魔法の子も一緒よぉー≫
最後は、お願いなのか何なのか分からない言葉が続きながらフェードアウト。
景色もホワイトアウト。
徐々に現実的な暗さを感じる。
静かな相談所の地下に、無事戻って来た。
「はぁぁ・・和。声をかけられても無視していい。」
「・・・すまん。」
「彼らは良い意味でも悪い意味でも、平等な存在だ。
人間ではない以上、何が起こるかは予測がつかないこともある。
今日はあっちの願いだったからいいものの。こちらから何かをお願いする場合には、必ずそれに見合うと判断された対価が必要。とにかく会話には注意した方が良い。
彼らは隣人であって、友人ではないよ。」
「分かった・・・気を付ける。すまん。」
まぁこの辺で良いだろう。
私も気やすく関与させてしまったし、もっと注意するべきだった。
さて、まず朝食だ。
「まぁおかげで、やたらと出入りしてるから傷の治りは良い。朝食にしよう。3階へ。」
圭には今日の都内の電車の立ち寄り先は確認してもらったし、朝食を食べて向かうぐらいで十分に間に合うだろう。
今回の電車巡り。
基本過ごす場所は電車内だとしても、多少は他の世界に立ち寄る事になるから、交差する場所だけは注意が必要。
梓達と朝食を終え、圭に確認してもらった最初の立ち寄り先へは、普通の電車で向かう。
「梓さん。一応こまめに確認はしますが、体調が悪いと感じた場合は、すぐに言って下さい。」
「分かりました!」
そうだな。
ガルシアの話からも、梓の肉体については心配すぎて困ることはないだろう。
「何時ごろー?」
「もう来るよ。」
「初めて見るわ。」
「私も!」「僕も!」
まぁそもそもそんな頻繁に見るべきモノではないからな。
「あ。基本的には乗客にはあっちから声をかけられるまでは、こちらからは話しかけてはいけない。
そして、・・・一応言っとくけど、食べ物や飲み物を貰っても口にしないように。」
「「はーい」」
「分かった。日向と秀人は絶対食べるなよ?」
「わ、分かりました!」
「はいはい。分かったわ。」
流石に知らない人から食べ物をもらうような事は・・・無いと思うけども、一応。
「あれ?でもそしたらどうやって関係者っぽい人を探すの?」
「まずは魔法使いと思われるモノを探してみよう。魔法世界以外の他の世界で回収される魔法使いという時点で、確認しても良いと思う。」
「なるほど。確かに・・・」
風が吹く。
『まもなくーまもなくー、4番線に武蔵国橘樹郡行きが到着いたします。白線の内側でお待ちください』
横浜方面か。
今回梓の案である、この電車巡りをしても良いと思ったのは・・・
梓を・・・仕方がないとはいえ、ずっとあの相談所に押し込み続けている状況。
そして和にも言った通り、どうせ来る時は来るのだから、それで不安な状態が続いてしまう事は、梓の精神的にも宜しくないと判断したこともある。
そもそも悪くない案だという事もあったし、この際だからと誘ってみたが…
誘うタイミングが悪かった。
日向と秀人が来たがるのは予想がつく事だった。
確かに途中で襲われる事を想定すれば、これでも人数は足りないのかもしれないが、何事もないよう願っておこう。
風がホームを撫で、死の匂いを運んでくる――そうして電車に乗ったところで、早々に声をかけられた。
見覚えのある死神だが、前に会ったのは確か紀元前だった気がする。
暦の感覚が壊れて久しい。
死神の引退はいつなのだろうか・・・?
「スズさん。いくつか乗り継ぎするなら、気を付けてください。最近予測がつかない動きをする火車が増えてきてます。」
「予測がつかない?死者以外の場所に行くとか?」
「・・・そういう事もあります。そうやって乗ったまま連れていかれて、帰れなくなり遭難する死神が僅かですが出ています。
それに関してはスズさんは大丈夫でしょうが、一応は伝えておきますよ。」
「分かった。助かる。あと3日後ぐらいに死神の方にも行く予定。もし面倒事が嫌なら真面目に仕事していればいい。」
「マジっすか・・・。また揉めそうな予感しかしないッス。」
「最近ガーディは来るの?」
「えっ・・・ガーディ元議長っすか。どうっすかねー俺はあんまり見ないっすけど、そんな確認するって事は、マジでヤバい感じじゃないっすか。」
「いや。あれに会いたくない。ともかく、ありがとう。」
「うぃ~。じゃあまたそのうちお会いしましょ。」
この死神とは何で知り合ったんだったか。
向こうも忘れていそうだ・・・
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




