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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第一部 第一章 境界に立つ者たち
50/80

疑問:過去も大事?未来も大事?

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

「・・・・・・あの。あれは心配してるって感じかな?」

「恐らくね。ストレスとかを料理をしたりすることで発散する人もいるからね。」


 こたつを堪能しながらイザベルと英語の勉強をしているのだけど、朝食後に圭さんとスズを車で送って戻って来た和さんは、台所に立って何かをずっと黙々と作り続けている。

日向やウーノ達は家庭菜園のある庭へ出ていて、三階にはただ包丁の音だけが、静かな家の鼓動のように響いている。


 準備中は圭さんやスズに、ずっと何かを言い聞かせ続けていたようだし、かなり心配して見送った事は想像できるけど、予定では二人とも今日の夕方に帰って来る。

でも時間の流れが違うのなら、あっちはどのぐらい過ごすんだろう?


「怪異の世界ってそんなに危ないところなの?」

「さぁ?知ってはいるけど、私も本物を見たのは、あの吸血鬼と狐が初めてよ。」


「そっか・・・。でもあの感じだと魔法世界より危ないって感じなのかな。」

「まぁ私の魔法が、どこまで通用するのか分からないけど、魔法すら持たない同居人なら、魔法世界と同じように対抗手段をかなり工夫しないといけないかもしれないわね。」

「確かに。怪異って幽霊とかお化けって感じなら、物理的には難しそう。」

「まぁ色々いる感じではあるから、現に圭って吸血鬼は物理の方が強いみたいじゃない。」


「た・・・確かに。ぶん殴るって言ってたし、こないだもブライアンを殴ったんだもんね。」

「まぁいずれにしても何が起こってもおかしくないから、ついていけない和はああやって料理に集中する事で、落ち着こうとしてるのかもね。」


 過度な心配という感じでもないよねぇ。

私も心配だし、怪我をしたのにこないだは魔法世界に行って、すぐに怪異世界に行ってるんだし。

しかもそこはブライアン達の逃走経路の可能性もあるわけで、またブライアンやあの執事男に会うかもしれない。

もし隠れているフォーカス家の関係者までまとめて現れたら——かなりまずい。

圭さんは凄く強いみたいだけど、たった二人だけなんだし大人数が相手だったら・・・


ダメダメ。

やめよ。


心配してしまうと、不安が、頭の中で黒いインクみたいに広がっていく。


だいたい、私よりもスズの方がその辺よく考えてるんだから、準備とかもしてるって言ってたし、今は心配して何もしないよりも、少しでも勉強した方が良いよね。

多分。


「そういえばこないだの客。あの後どうなったの?」

「あぁ魔法世界の?あれは和さんが対応してくれてたから分からないけど、まだ文句のメールがたまに入って来るよ。」


 そう年末に仕事納め前でメールを片付けていたら「条件見直し求む。」ってタイトルで私のメールボックスにメールが届いた。

何かと思って開くとアドレスが文字化けしたような感じになっていて、メールの内容はこうだった。


「我々の協力依頼に対して、何故そちらが条件をだすのか。ボランティアとして活動していると提示しているのであれば、そちらはこちらの依頼を受けしっかりと対応するべきではないだろうか?

先日より何度かその旨を連絡させて頂いているが、最初の返信以降の返信がなかった為、一先ずそちらの世界側にわざわざ依頼し、送らせていただいた次第だ。

早急に条件の見直しと返信を求む。」


 和さんにこの内容を確認したところ、魔法世界の一貴族からのメールだったらしい。

条件が飲めないと相談や連絡をしてくるお客様は結構いらっしゃるのだけど、基本世界のお客様はだいたいは、「お客様の対応数にも限りがあるので、条件に即した方のみ対応させて頂いております。」

とか「条件金額の変更はできませんので、ご意向に合わない場合はお見送りください。」

とかで返信すると、だいたい納得してもらう事が多い。

まぁそれでも何度かやりとりを繰り返すのだけど・・・


 そして今回のお客様も条件に対して見直せと言っているわけですが。

和さんも私同様に何度か理由や見送りの連絡をして、それでもそこからも10回以上対応し続けてそれでもまだ納得がいかないようだったから、時間がもったいないと放置したそうだ。納得。

それなら私の方で対応してもどうにもならないだろうしと、私も放置する事にしたのだけど、いまだに一日に一回メールが来る。

暇なのだろうか。


「そういう貴族は同居人の事を基本は下に見てるから。なんとしても条件なしで依頼を受けさせたいのかもね。」

「別にそれ自体は直接的に私達に影響があるわけじゃないから、こっちの世界からは別に良いんだけどさ、日向達への電話とか実際のスズのミーティングとかでもかなり問題ある対応をしてきてる感じなんだよね。普通の作業にも影響がでるぐらい頻度としても多いし、なんかいい方法ないかなぁ・・・」

「それができたら、お母さまももっと楽なんだけどねぇ。」

「だよねぇ。実際アイザック君みたいな子もいるわけだし・・・考え方は人それぞれだよねぇ」

「・・・・私もここに来た時はそういう視点もあったわ。」

「イザベル?」


 メールの件は魔法世界のお客様だったから気になっていたようだったけど、イザベルは何かを気にしているみたい。


「最初、あなたの事をお母さまから聞いた時、なんで私が魔法も使えない同居人の世話をしないといけないのかって思って『断らせてください。』って言ったのよ。」

「・・・・うん。」

「でもお母さまは私にこう言ったの『魔法使いという人間を外から見てみなさい。そうすればあなたがこの先どんな魔法使いになろうとしたいかが自分で分かるわ』って」

「・・・・・どんな魔法使い。」

「私は強くて、色々な魔法が使えて、誰よりも素晴らしい魔法使いになれれば良いとざっくりしたイメージで思ってたの。でもそうなる為の方法が分からなかった。いくら本を読んでも、いくら練習しても進まない事が嫌で、その時は部屋に引きこもっていたの。」


うまくいかない。

練習しても出来ない。

どうすればいいのか分からない。

それは誰もが一度は抱える事かもしれない。


「そんな時そんなことを言われて、それに・・・お母さまからのお願いだったしちょっと行って、もしダメだったらすぐ帰ろうって思ってた。・・・・・梓。私と最初に話した時の事を覚えてる?」


「…うん。私はかなり凹んでて、気が付いたら入って来てたイザベルに悲しい事も悩んでることも色々、全部話したね。」

「そう。私ね。それを聞いて。こんなひどい事をする魔法使いが居るんだって初めて知ったの。」


「・・・・そっか。」

「私の周りはみんな凄い人ばかりで、お母さまを尊敬していて魔法使いとしても有名な方ばかりで。

だからみんな私にも『きっと凄い魔法使いになれる』『もっと頑張れば、お母さんのようになれる』とか好き勝手言ってくれたわ。

でも私もきっとそうだって思って信じてたし、今も信じてる。」

「イザベルはお母さんが目標なんだね。」

「ふん!それ以上よ!」


彼女は周りのプレッシャーを受けながら、それでも努力し、行き詰まり、悩みながら進んでいた。

それでも負けずにお母さんの声を聞いて、偶然にもここにきてくれた。


「とにかく、私はなりたい魔法使いというゴールが、偉くて強い魔法使いってイメージで固まっていて、でもそんな魔法使いがそんな酷い事をしたことに対して、ゴールが分からなくなったわ。

それに和や日向と秀人や他の魔法使いを見ていたら、凄い魔法使いとか強い魔法使いとか本当にどうでも良くなったのかも。」

「今は目標を探し中?」

「そうね。・・・そうかもしれないわ。

美味しい料理が作れて、守りたい人を守って、大切な人が過ごす家を常に綺麗にしてる。こんな場所を作り上げてる事を魔法の力でも人の手でもきっと同じ答えになる。

きっと私にもできるし、梓にもできるわ。」

「それ自体もそもそも凄い事だけど、頑張れば・・・そうだと私も思うよ。」

「なんで、自信なさげなのよ・・・もぉ。でも、私もまだちゃんとしたイメージが湧かないけど、一緒に探してくれない?梓のおかげで、ちょっとだけだけど進めてきた気がする。」

「もちろん。私も分からないことだらけだから、一緒に考えようね。」

「そうね。未熟者だと言われる事がここに来て良く分かったし、私じゃきっとスズにも敵わないんでしょうね・・・。」


スズかぁ・・・

そういえば聞く機会がなくなってしまったけど。


「ねぇ今さらな事だと思うけど、聞いて良い?」


「・・・な、なによ?分かる事なら教えるけど?」

「あのね。結局スズって・・・何?walkerっていう生き物って事?」


「はぁぁぁぁぁ?!え?何?知らないで、話聞いてたの?」

「やぁ・・・聞く機会がね、一度聞いた時もその日も色々驚く話が多い時だったから、そんなこんなで・・・。」


「はぁ・・・サーズ自体の事は本人に聞きなさい。

でもwalker。historywalkerと呼ばれるものについてはね。その名の通り歴史を歩く者って意味よ。

他にもいろいろ呼び名はあるみたいだけど、魔法世界では主にそう呼ばれているわ。昔はworldwalkerとかvisitorとか色々あったみだいだけど。」

「なるほど?でもスズは基本世界のそっちからすると、同居人ってことではあるんだよね?」

「えぇそうよ。historywalkerの生き方は、基本的に同居人としてが殆どだって聞いてるわ。私もお母様から聞いたり、書籍からの情報が殆どだけど、彼らはそれこそ人間としたものが生まれるその時から記憶を重ねて、生まれ変わりながら生きているというわ。」


「人間が生まれた時・・・?え?それって何万年前とかって事!?」


生まれ変わってるんだろうなぁとは思ってたけど、人類が生まれた時から・・・?

それってかなり壮大というか・・・膨大というか、もう予想もつかない程昔…


「えぇでもその時期は文化はもちろん言語も最初はなかったから、本人も覚えてないらしいし確認のしようがないけどね。」


「そ・・・そうだよね。確かに・・・。」

「だから大体は10万年ぐらい前から記憶としてはあるのかしらね?」


「いや。流石にそこまではないらしいですよ。」


和さんが休憩だろうか。

飲み物を手に、こたつへやってきた。


「でも、神という存在を確認するかなり前からって言ってたから、1万年ぐらいはあるのかもしれませんね。」


「えぇぇぇ・・・それでも長すぎる・・・・。というより神様より長いんですか?」

「まぁ神という存在も創造的な形で生まれたとされているので、最初のキリスト教からだとしても2500~2000年前とかですよね。」


「・・・・なるほど。」


キリスト様よりも昔。

もうそれは神話の世界ぐらい、過去というには手を伸ばしても触れられない、星の向こう側の話みたい。


「生まれ変わり続ける・・・。」


それこそこないだ、かるたの時も話したけど、1000年前なんてちょっと前っていう感じなんだろうか。


「・・・でもなんというか、死が終わりっていうのは人の捉え方にもよると思うんですが、スズにとっては死は終わりじゃないんですね・・・。」

「そうですねぇ。だから自分の死に対して軽いというか安く考えてる事が多くて。」

「・・・そういう事なんですね。」


え?

魔法使いとの経験が多いって、それって単純にトライアンドエラーって事なんじゃ…

私だったら・・・・・無理。

流石に分からない。全く想像もつかない。


「スズって和さんが出会った頃から、今と比べてどうですか?」

「・・・どう?性格とかですか?」

「性格とか・・・なんか成長っていうか、考え方とか?変化があったりするんでしょうか?」

「もう。それだけ生きてたら500年程度じゃ何も変わらないんじゃないの?」


私達は生きてから死ぬまでに、その生き方を色々考えて生きていると思う。

でもそれはどこかで死ぬ事を前提に30代だからこうとか、50代だからこうしようとか、逆算してる部分もある気がする。

それが無い時、イザベルの話じゃないけど何をゴールに・・・。

生きがいに生きられるんだろう・・・。


「多分、梓さんが思う人間としての生き方では生きていないような気はします。

スズって一部頑固な部分はあるんですけど、結構一歩後ろからみてるというか流されてるっていうより流れたような見方をしている事が多い気がします。

だからその時代や生き方に対しても結構柔軟で、良くも悪くもそういう意味では本人自体はあんまり変化なく生きている気がしますよ。

アンジェラや圭は一度別のwalkerに会った事があるみたいなんですが、どちらも基本世界以外で基本的には生活してるみたいで、あんまり話は聞きませんね。」

「あ。そうでした。他にもwalkerの方はいらっしゃるんですよね・・・。確かにスズしか知らないので、あんまり他のwalkerの方のイメージがありませんでした。」

「お母様からもサーズの話しか聞いたことがないわね。」

「積極的に交流してるのはスズだけみたいですね。だからhistorywalkerとかって結局スズの事をさしてるのかもしれないです。

あ。でも確か圭が以前暫く居た場所もwalkerの場所だったみたいです。ちょっとその辺りはあまりしらないんですが」

「他のwalkerさんかぁ。」


 そうか。

私はスズしか知らないから、walkerの生き方がスズ基準になっているけど、他にもいらっしゃるんだったら、walkerの方も様々な生き方があるのかもしれない。

でも興味本位で聞くにはいろいろ重そうだよねぇ。


「梓さんはあんまり気にしなくて良いと思いますよ。スズも俺たちも結局はそれを土台に考えている訳じゃないですし、基本世界と魔法世界だってそういう意味では生き方は様々です。

圭もかなり昔から生きているようですが、それをお互いにどうこうするってこともないので。」

「そうですよね。確かに・・・」


 基本世界だって人間じゃないけど、人間と動物だって寿命は全く違う。

それを基準に相手に合わせるなんて無理だし、そういう発想だってしたことない。

確かに、気にしてもしょうがない事ではあるよね。

それなら今目の前の事を地道に進めて行こうかな、同じ1時間という時間は同じだしそれが無駄になる事はきっとないと思う。


「でも、そう考えると言語も色々あるんだろうなぁ・・・」

「そうですね。昔の言葉まで含めると大変な数あると思いますよ。」

「・・・・流石に古文や漢文よりもまずは英語で頑張ります。」

「はは。そうですね。基本世界の殆どは英語でどうにかなりますから、無理せずに。」


確かに、基本世界の現時点でも色々な言語があるけど、今は英語を理解しておけばある程度通じる国も多いだろうし、お客様リストの方も海外だとだいたい英語圏が多い気がする。


「そうね。読み書きはだいぶ分かってきている気がするし、後はヒアリングと喋っていって慣れた方が良いと思うわ。」

「そこなんだよねぇ・・・。喋るとなると急に言葉が出てこないというか。」


さっきから全く進んでいない教材を見返す。

流石に学校の英語の教科書とかがあるわけではないので、比較的読みやすそうな短い本や資料で勉強しているけど、1冊読み進めるにはまだまだ時間がかかりそう。


あれ?


これなんか。


ふと、目に入った一つの文章が何故か気になった。


It's no・・・これってどっかで聞いた感じがする。


「ねぇイザベル。これってどういう意味?」


――It's no use crying over spilt milk.


「あぁこれはことわざね。日本で言うと・・・・」

「あずっ・・・!」

「!!」

「?」


こたつでイザベルに言われた言葉を口にした瞬間――

誰かに世界を裏返されたみたいに、景色が一瞬で入れ替わった。


「え?あれ?!!イザベル!」

「梓!私から離れないで!!」


「おっと、ん。これは。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?!?!?」


「え?!スズ?圭さん!!」

「なんであんた達まで・・・だいたい・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・移動・・させられた?」


 とっさにイザベルに抱きつき、あたりの様子を確認する。

と周りの風景が目に入る前に、2メートルぐらいのすぐ傍に、何故かびしょ濡れで下着姿のスズ。

そして圭さんが居た。


これってどういう状況??

怪異世界?

そしてなんで二人は濡れてて、スズは下着なの?


「ふむ。なるほど。・・・久しぶり。フィー」

「お久しぶり。スー。」


スズは私達を確認した後、視線を変えた。

その視線を追って、前を向く。


あれ?

ここって・・・確か前に一度来たことがある。

あれは・・・そうだ。

執事男に連れられている時にドアから出た途端、急に移動した場所。

途中で来た、バラの庭園。

全く同じ風景のままだ。


あの時と同じようにテラスのようで、白い机と椅子の前に立っていた。

でも椅子はあの時は、私と相手の2つ分の椅子しかなかったけど、今はこっち側に4つある。

そして反対側は相変わらず、何も座っていないし見えない感じだけど1つだけ。


「どうぞ、お掛けください。」


そう。

そんなに時間が経っていないはずなのにかなり昔の記憶のように感じる。

でも、あの時と同じ声、言葉。

少女のような声、でもその姿はない。

スズは気にする様子もなく、すすめられるままに椅子に座る。

その様子を見て、一応私もイザベルを抱えたまま椅子に着く。

圭さんは立ったままなんだ。


結局私はここがどういう所かしらない。

でも、この様子だとスズは知っているのかもしれない。


「やぁ。ここにいたんだね。元気そうで何より。」


「・・・・・・・あんたは可愛らしくなったわね。」

「おかげさまで。私はいつも通り。」


「いつも通り・・ね・・・・。・・・・そうね。あんたは・・・本当にいつもそう!っ」

「君はだいぶそちら側になっているようだ。」


「・・・そうよ。私はここに・・・・ここが私の場所なの!なによ?!文句でもあるわけ!?」


少女は前話した声とやっぱり同じ声の主だと思うけど、前回より少し感情的な声になっている。

スズと知り合いってことなんだろうな。

でも好かれてはいなさそう。


「いや?好きにすればいい。・・でもここにわざわざ梓を招き、そして『覆水盆に返らず』か。なるほどね。つまり分かってるじゃない。」


「・・・。何が言いたいの。」

「もう取り戻せないと分かっているから、わざわざ梓に鍵を預けた上、保険の為なのか書き残しなのか分からないけど、恐らく最後使用のドアにメッセージまでそのまま残した。」


「・・・・・」


言葉を落とせば、割れてしまいそうな沈黙だった。


前にも感じた草木の音やバラの匂いに意識が向く。

話が分からない。

でもこの声の主が私をここに呼んだのかな?

前回もそんな感じだった気がするし、でもその時も特に目的は分からなかった。


「・・・・・っ、しょうがないじゃない・・・私はイヴお姉さんじゃない。・・・・・一人で居るのが・・・・こんなに・・・・・・。」


「フィー。ここに山本梓の魂がある?」


「!!」

「はぁ!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!」


 声の主は前回同様に苦しそうな声を出すけど、何が苦しくて何が伝えたいのかは相変わらず要領を得ない感じ…

そんなことも全く気にしないで、さらには爆弾発言をしたスズの方にみんな振り向く。


「・・・そーよ。どうせ分かってたでしょ。・・・ムカつくからわざわざ確認しないでくれる?」

「それをどうするつもり?」


「・・・・・・・・・・・・・どうせ。」

「…そう。イヴが帰ってくることはないし、分かっている通り止めた方がいい。」


「・・あんた本当嫌い!!凄い嫌い!本当に、反吐が出るほど嫌い!!・・・・何でもかんでも分かったような顔して!!ずっと遠くから見てるだけだったくせして・・・肝心なところだけ!勝手に!!!」


「・・・悪かったと思ってる。少しフィーにも時間が必要だと思ったから、今は放っておいていたけど、必ずまた謝りに行くつもりだった。悪かった。」


「ねぇ!!ちょっと!ちょっと!なんの痴話げんかかは知らないけど!ここに山本梓の魂があるって本当なの!?」


わぁ。

イザベルすごーい。

良く分からないから見守ってるだけだったけど、確かにその部分は私も気になってたよ。

でも割り込めない感じだったじゃん?


・・・イザベルさん。


「ごめん。私も不確かだったんだが、ここに来て分かった。

恐らく、山本梓とアリス・フォーラスの魂はイヴの魂を分割させた魂だと考えられる。」

「・・っはぁぁぁぁぁ!?」

「!!??」

「・・・・・・・・・・・・・・・ぼきょごげごろしさだらのよわよs!?!?!?!」


「それは一応ちゃんと確認したいんだけど、間違えない?フィー。」

「・・・そうよ。そこの子の魂もこの庭園にある魂もどちらもイヴお姉さん。私にとって大事な魂・・・。」

「それをブルースから奪うとはね。」

「ふん!あんたの場所を教えるついでに、足跡を付けておいたのよ。」

「なるほどね。それで?」


「・・・・は?・・・あ・・謝らないわよ。・・あんたが悪いんじゃない」

「あぁそっちじゃない。フィーはこの先どうする?・・いずれ見つかる日も来る。」


「・・・分からない。・・・・・・・・・・・・スー。」

「ん?」


「・・・あんたは正しいわ。本当に・・・これでもかってぐらい正しい。だからこそ心底っムカつくし!殺したいほどムカつく!!!!」

「それはどうも。」


「むかつく・・・・っ今は時間がないから、・・・ねぇ・・もう一度ここに来て。なんなら謝りにきて・・・いいわ。」

「分かった。」


「その時に・・・あんたと・・・ちゃんと話がしたい。」


なんか最後の方は怒ってもいたけど、声が震えているようにも聞こえた。

何がそんなに苦しいのか、悲しいのか、怒ってるのか。

全くわからない。

スズはいつもの言い方だけど、でもちゃんと考えてる気がする。

声の主もきっとそれは分かってるのかもしれない。

その言葉を最後にまた景色が変わる。


「!!」


「また!!」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・スズ」

「梓たちと。」


スズが私達に伸ばそうとした腕を圭が握り、圭は私の腕もすぐに掴んだ。

イザベルは私がずっと抱きしめたまま。


そうして再び、戻って来た?

気が付けば相談所の玄関前で4人とも。


なぜ外?

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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