答え:お隣さん
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
梓を探す為に、一先ず和が彼女に電話をしてみるが圏外時のアナウンスが流れる。
–おかけになった電話をお呼びしましたが、お出になりません。
圭には今、先輩の住むマンションの監視カメラを確認してもらっている。あの二人に任せればこちら側の確認は大丈夫だろう。
となれば、私はやはり別の場所から確認していくとしよう。
地下1階に降り、階段の反対側にある木造の古びた扉を開く。
ここは魔法とは違うものだけれど、色々な場所へつながる通路になる。
扉を開き、中へ入ると先ほどまでの室内と一転。明るいものの風景というものが全くない、どこまでも続く白い通路となっている。
–ピピ
スマホの音。
先輩の基本世界での経歴は確認中だが、先日来た死神の事から更に一つ追加で確認しておきたかった事について返事が来たらしい。
上下左右すら分からなくなるような白い通路を黙々と歩きながら、スマホを開くと予想通りメールだった。そうしてそこに書かれた返答はおおむね、予想からはずれていないことが改めて確認できた。予想が大きな可能性に変わる。
問題は先輩は恐らくそれらを忘れてしまっているのか、または本当に知らないという事だからこれをどうやって、確認あるいは伝えるべきかどうかだ。
正直、私は感情の機微には疎い。いや正確にはそういった感情的なものに対して、少し優先順位が低い。
人の感情というものは色々な事にとても揺さぶられやすく、どんな大事な事であったとしても、1年もすれば1年前とは全く違う回答や反応に変化することも多々ある。
そんな終始変化していく感情を軸に大事な事を決めたとしても、安定性が見込めないまま流れていくのを見てきた。
それなら、そんな物を軸から外してしまう方がついつい効率的に感じられてしまう。
もちろん、だからといって雑に扱って良いという事ではない事は分かっている。
けれどもそこに100人居れば100人の考え方があり、それら全体の最後の判断を下す人間にも感情がある。その判断に100人の意思が詰まっているとは思いづらい。
極端に言ってしまえば、感情を優先する人間程、ただ綺麗事を言いたいだけの非平等者に見えてしまうのだ。
そうやって穿った見方、考え方をしてきてしまった事で上手くいった事もあれば、失敗した事もあるので、結局はバランスが大事と言われてしまえばそれまでだが、そんなバランスの良い人間なんていないもんだ。
しばらく歩いていると白い通路の幅はどんどん広がっていき、そしてだんだん薄暗くなっていく。
そのまま暫く歩いていると、ここに入った最初のドアに比べて、一回りほど小さい黒い扉が現れる。
ポケットに入っている鍵をドアの鍵穴にさし、無事鍵が開いた事を確認し中に入る。
この先にあると分かっている世界がいつできて、そしていつ無くなるかを私は知らない。
人の感情、記憶、思想と同じように生み出され、そして消えていく。
「失礼」
「!」
ドアの向こうに人がいる場合の為に、念の為声をかけて中へ入る。そこには犬ぐらいのサイズで一つ目の黒い何かが居た。
その黒いものは私に気が付くと同時にびっくりしたようで、そそくさと逃げて行った。
あたりは夕暮れ時のように薄暗く、空は絵の具の水が混ざったようにぐちゃぐちゃと色々な色が混ざりあいそうで混ざらない色をしている。
改めてスマホを開き、現在地を確認。目的地までは5分となっているので、空と同じく色々な色をして水底がみえない川向うにある、遠くから見てもかなり大きな目的地を確認。
流石にこの川に入りたくはないので、橋か川を渡してくれる人が居ないか見渡すとやや離れているがしばらく先に深い緑色の橋が見える。
足元はところどころに大きな石や小さな石と様々なサイズの石がある河原なのでかなり歩きづらいが、一応急いでいるのだしできる限り急ぎながら橋の方へ向かう。
暫く歩き、橋も近くなってきたところで、さっきドアの前で会った黒い何かが橋の向こう側からこちらを伺っているのに気が付く。
特に害もなさそうなので気にせず橋を渡り始めると、その黒い何かの後ろにさらに小さい猫ぐらいや鳥ぐらいのサイズの黒い一つ目の何かが複数いるようで、それら全員でこちらを観察してくる。
こういった生き物は人間とも犬や鳥ともそもそもの考え方が全く違う事があるのでこちらの常識で動いては痛い目を見る事もある。
予想がしづらいので、正直対応に困る。
「キキッ」「キ」「キュ」
橋を渡っているので徐々に黒い生き物との距離が近くなっていくと、鳴き声らしいものが聞こえる。
口がないのに音を発生できるのか。威嚇している感じではないし、黒い生き物もこちらが近づいてくるのを見て、最低限の距離を取り続けているので気にせず橋を渡りきる。
すると今度は目的の建物の脇に群がっている草むらの方に身をひそめながら、こちらを追いかけてくる。無視無視。
目的の大きな建物の中央にある小さな入り口の方に更に向かう。
引き続き、河原の歩きづらさに苦戦しながら進んでいると遠くに小さい子供の姿が見える。
特に気にせずその大きく赤黒い厳かな建物の裏口にあたる小さなドアに立ち、ドアノブに手をかけたところで止まる。
前回怒られた事を思い出した。一旦手を放し、ノックをする。
ノックをしたところで、その赤黒く立っている場所からは建物の端が確認できない程に大きい建物は、その中もかなり広い事は知っているので暫く待つしかない。
さっき黒い生き物が居た方向に目を向ければまだこちらをジッと見つめている様子だ。
ん?草むらの影で分からなかったが、最初の犬のサイズよりもさらに大きい熊サイズの奴もいる。
まぁ草むらから出てくる様子もなく距離もあるので、気にせず視線をドアに戻すが、未だに開かない。
さらにさっきより強めにノックをする。
急いでるのにじれったい。
待っている時間のもどかしさからスマホを開き、さっきのメールを改めて確認する。最初から最後まで目を通していると
「ん?」
もう一つ気になることが生まれた。
確認してほしいとそのメールに、すぐに返信を返した。すると、その最中にもう一つメールが届く、先輩の家の監視カメラを確認していた圭からだ。
–彼女は帰宅後、外出が確認出来ない。魔法感知
既に彼女の部屋には魔法の設置があることは分かっているが、それとは別に感知したという事だろう。ちょっかいが早い。
メールを確認し終わったところで、まだ開かないドアを睨み、もう一度さっきより強くノックする。
「三回ノックしても出てこないなら、もう入っても文句はなかろう。」
ドアノブに手をかけ開こうとすると、急にドアが開いた。
「ちょっと!今、忙しいのに誰ですか!?」
「お客様だよ」
「ああん?お前か、何しに来た?」
「メールは先に送った。人を探しているんだ。」
「人探しにわざわざここまで来たん?」
「どの世界かも分からない。可能性としては魔法世界が高いけど、その場合は更に探す場所が多すぎる。」
「東の離れが開いてるから、この通路をまっすぐ行って寄り道せずに早く出ていけ。最近人気の日本酒でいいぞー。」
「分かった、分かった。いつも忙しそうだけど、今日はそんなに忙しいのか」
大体の場所が分かっている私に対しての扱いはこんなもんだと思うが、それでも部外者を勝手に移動させるのはコイツにしては珍しい。案内する暇もないほど忙しいということだろう。
「お天道さんが荒れているようで、こっちの上の者も全員連れまわされているんだわ。その分、こちらの作業も増えるわ、進まないわ。そんな訳で、こちとらお前の相手をしている余裕はない!」
「どこもそんなもんか。はいはい、お邪魔するよ。」
開かれたドアに入り、先ほど男が指した先に進む。男はこちらに見向きもせずに仕事部屋へ戻っていった。
外見と同じく赤黒い色をした廊下を進んでいくと、忙しそうに書物やらなんやらを持ち運ぶ人とすれ違っていく。
見知った顔もあるが知らない顔も多く、一応こちらを気にしているようだが、そんな事より忙しい方が優先なのだろう。
途中、止められる事もなくそのまま廊下を進んでいく。
和の電話で圏外が確認された事や先ほどの圭の連絡からもし先輩が居るとしたら、ほぼ魔法世界だろうと目星が立ったが、魔法関連に関して、感知ができない私では、もし魔法によって空間を遮断されていたりした場合等はその場所を認知することも入る事も出来ない。
なので、和には一足先に魔法世界に行くようにメールを送る。魔法の世界に対応できるのは、基本は魔法使いだけだ。
だがいくら優秀な和でも、広い魔法の世界から一つの空間や場所を探し出すのは、かなりの時間がかかる。なので、大体の場所を探し出す為に来たわけだが、無駄足にならなくてよかった。
廊下を進んだ先に内庭が見えてきた。
一旦、廊下から庭園におり石畳にそって進み、正面に見える小さな小屋に入る。
小屋の中央には大きな机とその上に水が張った大きな盆があり、その水面は風も音もしないこの部屋でまるで鏡のように室内を映している。
それを覗き、先輩の事を考える。
3年前、何かと色々ある事を考えると、もしもの時に履歴書が空なのも困るので、一先ず入社することにした会社に彼女は居た。
恐らく先輩にとって、私は初めての部下だったのだろう(後からも確認した)。
緊張した様子で会社内のビルの中を案内してくれたり、作業の説明をしてくれていた。
時折こちらの顔色を伺ってくるので、当初は慣れない笑顔を作り普段より大きめの声で返事を繰り返すのには、本当に苦労した。
先輩は比較的丁寧ではあるが、感情的なタイプのようで、こちらが明るく返せば、テンションも上がっていき、徐々に話し方からも硬さが抜けていく。言葉遣いがその日の内にどんどん変わっていった。
だが、そんな先輩とちゃんと話したのは入社して最初の1カ月ぐらいだけで、その後は色々な部署に移ると共に、顔を見る機会も殆どなかった。
なので、正直ちょっと忘れてた。
先輩の事を考えていると、盆の水面の景色が私の顔から違う場所を映し出す。
映った景色の中で先輩と知らない男が建物のドアから出てきた。
先輩は不安そうな顔をしてあたりをキョロキョロと見ているが、男に声をかけられたようでその後ろを着いていこうと振り返る――
「!」
急に先輩が消えた。
先を進んでいた男も彼女が居ない事に気が付いたようで、あたりを見渡し焦った様子で先ほど出てきた扉の中に再び入っていく。
水面がホワイトアウトし、波打ちながら他の場所を映そうとしているようだが、映らない。
盆の様子は目に留めながら、スマホを取り出し、さっきまで見ていた景色からどうにか場所を探してみる。
見えていた建物の外見、ドアのデザイン。建物に当たる太陽の光と影の位置。緯度と経度がだいたい特定出来れば、おのずと見えていた建物も見つかりやすくなる。
ひたすらに、スマホから場所を探していると真っ白だった盆の水面が再び景色を映す。
先ほどとは違う場所だ。だが、建物の雰囲気からあまり違う場所に移動した訳でもなさそうだ。
水面の景色も引き続き確認しながら、スマホを操作し続ける。
暫くして、どうにか先ほど見た建物と似た建物がいくつか見つかり、それを全て和に送る。
これで和が場所を特定出来れば、和の魔法で彼女に連絡をとることが出来る。
魔法が一本繋がれば、それは遮断された空間への入り口になる。
用は済んだ。
直接迎えに行く為にも、身を翻し急ぎ外に向かう。
目的地がだいたい分かったおかげで、来た時よりも早足で廊下を進み、入ってきた扉を出たところで、来た時に見た黒い一つ目の生き物が立っている。
「ッチ」
いかんいかん。つい舌打ちをしてしまった。
ここで面倒ごとは起こしたくないので、無視して来た道を進み始める。
走りたいのは山々だが河原は本当に歩きづらい。
黒い何かも付いてくるがとにかく無視。
来た時に渡った橋を再度渡り、その先にある小さなオンボロ小屋に進む。
来る時には確認しなかったが、あそこがドアになって、ここへ入って来たのだろう。
再度、持っている鍵を鍵穴に差し、扉を開くとともに中へ入ろうとした。
–トン
背中を押された。
そのおかげで扉の中には入れたが、振り返るとずっとついてきていた。黒い生き物が小・中・大と何匹かまとめて一緒に入ってきた。
「えー・・・」
追い出すべきか一瞬悩むが、そんな場合ではない。
最後に水面に映っていた景色を思い返す。
先輩と一緒に居た男には見覚えがあった。
その瞬間にメールで確認した事やいくつかの仮説・予想がまとめて繋がる。
まだ分からない事もあるが、いずれにしても先輩とあの男を一緒に居させる事は危ない。
仕方なく、黒い生き物をほっておいて薄暗い通路を走り出す。
走り続けると本来であれば、もと来た道に戻るはずの通路は最初の白い通路にはならず、徐々に白からベージュ、ダークブラウンと色を変えていき、最後には通路全体が黒くなった先に鉄のドアが現れる。
–ピピ
扉の前でスマホを確認する。和からのメール。無事に場所が分かったようで、送って貰った明確な住所を確認。
そしてさっき使っていた鍵と同じ鍵で重い扉を押し開く。
押し開いた時の力のまま、勢いよく外に出ると、さっきの水盆で最初に見た景色の場所に出たようだ。
振り返ると、先輩と知らない男が出てきたドアだ。住所は合っているようだ。
だが、次に見た先輩の場所はどこかの喫茶店のようだったので、恐らくはこの近くだろうけどもどこだろうか。
あたりを見渡し、スマホで現在地を確認。
街の中心地へ進みながら、恐らく近くだろうと思われる場所で和に通知を入れる。
不審な動きをしている事や道路の真ん中を進んでいたりしているので、歩いている人や建物の窓からはこちらを怪しげに見てくる。
気にせず道の真ん中で立っていると
急に音が消えた。
と同時にカフェに座る二人を見つける。
無事な先輩の姿に一先ず一息。だが、警戒したまま先輩の背後から近づいていく。
ブライアン・フォーラス
現在は失踪扱いとなっている、フォーラス家の次男。
魔法使いとしての能力が高い事はもちろんの事、フィジカル面でも優秀な一族だ。
ここで先輩を無理に連れていかれた場合、私だけではこの男をくい止めることはかなり大変。
だが、もちろんここで先輩を連れて行かせる訳にもいかないので、和が場所を特定したのと合わせて、とある人物に空間遮断の解除をお願いしておいた。
既に空間に入ってきた時から私の事は気付いている筈だというのに、ブライアンはわざわざ今気づきましたというわざとらしい驚きの顔を見せてくる。
「旦那様。お下がりください。」
最初に先輩とドアを出てきた男が、ブライアンに声をかける。
執事?事件の関係者は一族まるごとに、その殆どが適切に処理されたと聞いているが、この男も失踪者だろうか?調べておこう。
「今回はだいぶ可愛らしいね。趣味だよ。」
「残念だ。言い残すことは?」
「彼女は兄の遺産だ。丁重に扱うように。」
「知らん」
兄の遺産ね。アリス・フォーラス。
これもまたフォーラス家を処理するにあたって、フォーラス家の家の中を探した時にはすでに亡くなっていたという事が報告として残っていた。
これについて私が知っているのは、ニュースや告知情報だけだったので魔法世界のそういう事が調べられそうな人には、出来るだけ内密にもう一度確認するようお願いしている。
だが、知り合いの死神からのメールでも恐らく載って”いた”らしいと言っていた。
しかも『山本梓』の死亡履歴が載っている場所に、なんらかの形で書き換えられた履歴のようなものがあり、どちらも現在確認中となってしまっている。
今回、失踪者となっていたブライアンが出てくることは予想していたが、兄のブルースを含め他の関係者についても調べなおした方が良いだろう。
山本梓としての先輩についても、すでに関係者の一人である以上は放っておくという選択肢はない。
被害者か加害者かはさておき、”先輩”としては既に戻せない場所まできてしまった。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




