答え:風雲急を告げずに
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
–コーンコーン
「「はーい」」
「荷物?スズにだね。」
「スズー!」
思ったよりもかなり早い。
まさか年内に手配してくれるとは・・・
先日フォーラス家を探索した際に見つけた部屋にあったが、ひとまずミランダに預けた書物が、無事届いたようだ。
荷物を確認するため、地上へ上がる。
「あ。スズー?これスズの荷物?」
宅配の魔法使いから、ヒナとヒデが荷物を受け取っている。
私に気づいて、二人一緒にこちらに振り返る。
「そうだね。下までお願いできる?」
「「はーい」」
「大事なものだから落とさないようにね。」
「何が入ってるのー?」
「結構重いみたい。」
「本とかだよ。」
「「えぇーなんだぁ」」
まだ背丈の低い二人だが、魔法の身体強化でかなり軽そうに運んでいるのを、後ろから見守る。
二人にとって本はあまり面白い物ではないらしい。
面白いのに…
そういえば、先日、年の最後の日だから、夕飯ぐらい時間合わせようかなと思って、三階に上がったら何故か話しかけてこないのに、皆がやたらと笑顔でずっとこっちを見てきたり、和も変な顔をしてたな。
まぁ楽しそうだからいいんだろうけど、全体的におかしな空気の中、蕎麦を食べたのを思い出した。
さらには珍しくイザベルが話しかけてきて、やたらと答えづらい質問を投げてきた。
「好きな色は?」「気に入ってる服は?」「梓のネックレスのデザインどう思う?」
正直どれも本当に答えづらく
「特に」「特に?」「梓は首元がすっきりしてるからアクセントとして似合ってる。」
という感じのやりとりが続いて、最終的にはイザベルに「もうちょっと好きなモノとかハッキリしなさいよ!」と怒られた。
…あれは、一体なんだったのだろうか?
好きな物や面白い物。
一般的にそういう対象になりやすいのは、お菓子や食べ物だろう。
和が作る料理は大抵美味しいし、嫌いだと思うものはほとんどない。
ただし、チーズと辛い物は除く。あれは味覚というより刺激に近い。
極端な例で言えば、虫のように見た目の時点で抵抗を覚えるものもある。
今の時代で、わざわざ好んで食べたいとは思わない。
……となると、それらの逆が好きな物だと言えるのだろうか。
いや、違う気がする。これは単なる消去法だ。
では面白い物はどうか。
本のように時代を内包したものは、情報の見直しや過去の価値観の比較ができる点で興味深い。
音楽も同様だ。形は違えど、人間の思想や感情が驚くほど率直に表れる。
……だが、これも違う。
私が語っているのは対象の特性であって、「好き」という感情の説明にはなっていない。
そもそもイザベルは、なぜあんな質問をした?
好みを知りたいだけなら、あそこまで踏み込んだ聞き方はしない。
服、色、装飾品——外側に表れるものばかりだった。
つまりあれは、私の価値基準を測ろうとしていたのかもしれない。
何に惹かれ、何を選ぶ人間なのかを。
もしそうだとしたら。
私は、ひどくつまらない答えを返してしまった気がする。
今度また機会があれば確認してみようか?
…結局、イザベルに怒られそうだ。
まぁ今は新しい年を無事迎えた日に、待っていた書物が届いたので、ゆっくり見る時間もある。
これはタイミングが良い。
「・・・」
ヒナとヒデと目が合う。
「スズ・・ま・・まさか・・・。このまま読み入るの?」
「そ・・そんな・・・。お正月なのに・・え?スズ?」
「あー・・・・お昼まで・・・どうでしょう?」
「どうする?」「どうする?」
「まぁお昼までって言ってるし・・・」
「無理やり連れてったらずっと本の事考えてそう・・」
「・・・・あ。まって・・・・・おやつまで・・?」
「「分かった!お昼までね!!」」
制限時間は、昼までになった。
まぁ仕方がない、和のおせちも楽しみだ。
早速、荷物を確認したところ、あの場にあった書物や物は、ほぼ揃っていそう。
巻物、和綴じ、紙だけのもの。
そしていくつか机に載っていた木箱等。
書物は一部だけ中身を確認しながら、内容毎に分けていく、こっちは手記みたいだな。
これが今回の目的になっている、イヴの世界についてにも多少触れてそうだ。
こっちは・・・
–パラ
んー・・・これは・・・日記みたいだ・・・
その内容は、最初のhistorywalkerであるファストの事についてが殆ど。
時代的にしても書いてある文字は、ほとんどが昔の言語なので、今ではちょっと読みづらいが、日記と思われる、それは1ページ毎の量は少なく、視線が紙の上を流れる。
『一緒に草原でランチを食べた。夕飯はフィフ達も誘ってみんなでって・・・二人がいいのに・・・』
『生まれ変わった体によっても多少好みが変わるって言ってた。今の好みはなんだろう?』
『今日はお出かけに行ってるから、ちょっと寂しい・・・いつ帰って来るかな?』
『ねぇどうして一緒に出掛けてくれないの?』
『今日は一緒に星を見に誘ってみる!』
『ねぇどうしてスーとばかり行くの?』
『一緒にいるのは私なのに、あなたは今どこを見てるの?』
『フィーの事は可愛いって言ってるのに・・・今日も頑張ったのに・・・』
『ねぇ。フィフの事を誘わないで』
『好きって言ってた本をやっと見つけたの!明日渡そう!』
『私の本よりスーの本が良かったみたい・・・』
『ねぇ、どうしてこっちを見てくれないの?』
『どうして最近ずっと出かけるの・・・?』
『ねぇどうして返事をくれないの・・・・?』
『ねぇ・・・・・・』
『ねぇどうして・・・・私の事好きになってくれないの・・・?私はこんなに・・・』
『・・・・・・・・・・・・どうして・・・?』
『どうして・・・・?なんで・・・?』
『どうして・・』
『ねぇ・・・・アダム』
「・・・・・」
……内容は、想像できると思う。
イヴはファスト・・・最初のwalkerの事が好きだった。
それはもう誰が見ても分かるぐらいに。
だからファストがいなくなったと分かった、あの日から、イヴは生きる事を止めてしまった時期があった。
――といっても自殺したりといった、即効的に死ぬ行為をしたわけではない。
何もせず。
何も食べず。
何も飲まず。
イヴが作った、時間の流れがとにかく遅い世界で、ただただ居る。
フィーがどんなに話しかけても、フィフがどんなに怒鳴り散らしても何も反応せず、ただただ餓死するまでそこに居続けた。
それがだいたい500年ぐらいだっただろうか。
その後、生まれ変わってからのイヴは以前のイヴと違い、かなり極端な生き方をするようになった。
まず好きな物または好きな人を見つけると、それだけしか見えなくなる。
その人の言っていることが絶対で、それ以外の言葉をほぼ受け付けない。
物の場合は、ずっとそれだけと過ごすようになる。
ぬいぐるみなどならまだしも、椅子でも本でも、とにかくずっと・・・
体のどこかが張り付いたように、それを持ち続け過ごし続け、100年だろうが300年だろうが、その物の形状が壊れダメになるまで…
そしてそれが無くなると、最初あの世界に入り長い自殺をする。
その繰り返し。
だから、あの男に執着してしまった時は、最初はもうどうしようもないと思ってしまった。
男の為に世界を作り、男が望めば世界へ連れていく。
walkerの通路の事を分かる限り教え、魔法ならどうすればいいか一緒に考え・・・
そうしてイヴは・・・・
――ルールを犯した。
「・・・・・やめよう。」
ここにある書物はきっと色々なところに色々な形で、イヴの気持ちが載っている。
それらに揺さぶられながら見ても、大事な情報を見逃してしまう。
これらはフォーラス家が必要か不必要だったのかは分からないけど、わざわざ保管していたのだから、何かヒントになる事があるかもしれない。
そういえば、これらを見つけた時の男もまだ見つかっていない。
あの場所へ、何をしに来たんだろうか、比較的若い男だった。
和よりも若い、見た目は雑な感じで適当な長袖とズボン、リュックを背負っていたな。
髪も切り揃えているというよりは、自分で適当に切ったような感じで、中東系の魔法使い。
ブライアンとは、だいぶ地方の魔法使いだと思うが…
そして、こちらに驚いていたし、特別私に対してや和に対しての反応に、違いがある感じはなかった。
男が発動しようとした、壁の奥に埋まった設置魔法についても、後から和に確認してもらったが、確かにどこかへ転移するタイプのもののようだったが、その場所までは分からないまま。
それ以外にも、そういったトラップ等が無いか、深めに探ってもらったが、残念ながら確認できたのはその一つだけだった。
――これは予想になる。
悪魔の世界へ移動させるつもりだったんじゃないだろうか。
悪魔の世界。
それは、およそ2000年前にその存在が確認されたとされている世界。
明確な創造主については分かっていない。
ただし、基本世界の様子を見れば一目瞭然だが、根本にある思想や構造を見る限り、恐らくはキリスト教に付随する存在という推測が有力。
その悪魔の世界には、大きく分けて二つの層がある。
上の層には、神に敵対する存在――サタンや堕天使、異教の神々、人間を誘惑し試練を与えるとされる者たち。
下の層には、魔物や妖精といった、人間の欲や罪といった概念を主にして生み出された存在がいる。
悪魔は魔法使いと比べると、そもそも力の成り立ちが違う。
彼らは魔法とも神力とも異なる根源を持ち、性質だけを見れば神に近い部分すらある。
だから魔法使いと同じやり方で対応しようとするのは、まず無理だと考えた方がいい。
今、こちらを手伝ってくれている妖精や精霊は、基本的に自然物を力の源としている。
風や水、土や光といったものだ。
だが悪魔たちはそれとは真逆で、人間という創造物そのものからエネルギーを得る。
欲という思念的なものも、血や肉といった物体的なものも、すべてが彼らの力になる。
私が、魔法使いに対抗しやすい理由の一つは、力の源が自然物である点だ。
だからこそ、精霊や妖精の力を借りて、それを自然へと還すこともできる。
だが悪魔の場合、話は別だ。
根源となる「欲」を消滅させるのは難しいし、血や肉を別のものへ変換することも簡単ではない。
前回、ブライアンの時に使った神の力を宿した鎖も、一部は彼らの力と同質だし、血や肉といったもの自体が神の保護対象の一部に含まれる。
なので力の源をどうこうできない以上、やるとすれば、その流れ元を断ち切る。
エネルギーの供給を止める方法になる。
だが結局、それも難問であることには変わりない。
つまり――正面から来られたら、とても困る、ということだ。
先日、ブライアンと一緒に来たあの男が悪魔なのだとしたら。
なぜ、魔法を使ってきたのだろうか。
暴れられると困るから、ブライアンとの契約にそういった制約があるのか。
それとも、別で何かしらの制限が課されているのかもしれない。
もしそうなら、こちらとしては助かるが、拠点が悪魔の世界という点については問題だ。
行くというより、奈落へ一歩踏み出すに等しい。
いや、それよりも悪い。
いつ殺されるかも分からない扱いで、長い時間をかけて血や肉を貪られる未来が、簡単に想像できてしまう。
その上、エルフやドラゴンがいるというのはどういうことなんだ……
あの男が、ここまで自由に動いてきた結果なのだろうか。
魔法が使えない魔法使い。
イヴと別れてからのあいつは、ほとんど放置状態だった。
少し前のブライアンと同じで、何のアクションも起こさない相手を追うのは、非常に難しい。
しかも相手は、イヴの世界だけでなく、長い時間をかけて普及し、創造が広がった世界にいる。
基本世界の人間に、どうこうできる話じゃない。
……だが、もう行くしかない段階なんだろうか。
おっさんも心配していたらしいし、ここまでの状況を聞けば、もしかしたら神も手を貸してくれるかもしれない。
ただ、それはある意味で最終手段だ。
一歩間違えれば、世界の破壊神になるのはこちら側。
ルール違反をぶっちぎる、最短で最悪の方法になる可能性が高い。
・・・。
思考の糸を一度、静かに手放した。
「スズー!!お昼だよー!!!!」
「早くー!!!!あ。圭も呼ぶ?」
「「いいねぇ!」」
「圭は準備中だから邪魔しちゃ駄目。ほら行こう。」
「「えーっ!」」
「夕方様子を見て、誘ってみるよ。」
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




