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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第一部 第一章 境界に立つ者たち
47/79

答え:風雲急を告げずに

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

–コーンコーン


「「はーい」」

「荷物?スズにだね。」

「スズー!」


思ったよりもかなり早い。

まさか年内に手配してくれるとは・・・

先日フォーラス家を探索した際に見つけた部屋にあったが、ひとまずミランダに預けた書物が、無事届いたようだ。


荷物を確認するため、地上へ上がる。


「あ。スズー?これスズの荷物?」


宅配の魔法使いから、ヒナとヒデが荷物を受け取っている。

私に気づいて、二人一緒にこちらに振り返る。


「そうだね。下までお願いできる?」

「「はーい」」


「大事なものだから落とさないようにね。」

「何が入ってるのー?」

「結構重いみたい。」

「本とかだよ。」

「「えぇーなんだぁ」」


まだ背丈の低い二人だが、魔法の身体強化でかなり軽そうに運んでいるのを、後ろから見守る。

二人にとって本はあまり面白い物ではないらしい。


面白いのに…


 そういえば、先日、年の最後の日だから、夕飯ぐらい時間合わせようかなと思って、三階に上がったら何故か話しかけてこないのに、皆がやたらと笑顔でずっとこっちを見てきたり、和も変な顔をしてたな。

まぁ楽しそうだからいいんだろうけど、全体的におかしな空気の中、蕎麦を食べたのを思い出した。


さらには珍しくイザベルが話しかけてきて、やたらと答えづらい質問を投げてきた。

「好きな色は?」「気に入ってる服は?」「梓のネックレスのデザインどう思う?」

正直どれも本当に答えづらく

「特に」「特に?」「梓は首元がすっきりしてるからアクセントとして似合ってる。」

という感じのやりとりが続いて、最終的にはイザベルに「もうちょっと好きなモノとかハッキリしなさいよ!」と怒られた。


…あれは、一体なんだったのだろうか?


好きな物や面白い物。

一般的にそういう対象になりやすいのは、お菓子や食べ物だろう。

和が作る料理は大抵美味しいし、嫌いだと思うものはほとんどない。

ただし、チーズと辛い物は除く。あれは味覚というより刺激に近い。


極端な例で言えば、虫のように見た目の時点で抵抗を覚えるものもある。

今の時代で、わざわざ好んで食べたいとは思わない。

……となると、それらの逆が好きな物だと言えるのだろうか。

いや、違う気がする。これは単なる消去法だ。


では面白い物はどうか。

本のように時代を内包したものは、情報の見直しや過去の価値観の比較ができる点で興味深い。

音楽も同様だ。形は違えど、人間の思想や感情が驚くほど率直に表れる。


……だが、これも違う。

私が語っているのは対象の特性であって、「好き」という感情の説明にはなっていない。


そもそもイザベルは、なぜあんな質問をした?


好みを知りたいだけなら、あそこまで踏み込んだ聞き方はしない。

服、色、装飾品——外側に表れるものばかりだった。

つまりあれは、私の価値基準を測ろうとしていたのかもしれない。

何に惹かれ、何を選ぶ人間なのかを。


もしそうだとしたら。

私は、ひどくつまらない答えを返してしまった気がする。

今度また機会があれば確認してみようか?


…結局、イザベルに怒られそうだ。


まぁ今は新しい年を無事迎えた日に、待っていた書物が届いたので、ゆっくり見る時間もある。

これはタイミングが良い。


「・・・」


ヒナとヒデと目が合う。


「スズ・・ま・・まさか・・・。このまま読み入るの?」

「そ・・そんな・・・。お正月なのに・・え?スズ?」


「あー・・・・お昼まで・・・どうでしょう?」

「どうする?」「どうする?」

「まぁお昼までって言ってるし・・・」

「無理やり連れてったらずっと本の事考えてそう・・」


「・・・・あ。まって・・・・・おやつまで・・?」

「「分かった!お昼までね!!」」


制限時間は、昼までになった。

まぁ仕方がない、和のおせちも楽しみだ。


早速、荷物を確認したところ、あの場にあった書物や物は、ほぼ揃っていそう。

巻物、和綴じ、紙だけのもの。

そしていくつか机に載っていた木箱等。

書物は一部だけ中身を確認しながら、内容毎に分けていく、こっちは手記みたいだな。

これが今回の目的になっている、イヴの世界についてにも多少触れてそうだ。


こっちは・・・


–パラ


んー・・・これは・・・日記みたいだ・・・


その内容は、最初のhistorywalkerであるファストの事についてが殆ど。

時代的にしても書いてある文字は、ほとんどが昔の言語なので、今ではちょっと読みづらいが、日記と思われる、それは1ページ毎の量は少なく、視線が紙の上を流れる。


『一緒に草原でランチを食べた。夕飯はフィフ達も誘ってみんなでって・・・二人がいいのに・・・』

『生まれ変わった体によっても多少好みが変わるって言ってた。今の好みはなんだろう?』

『今日はお出かけに行ってるから、ちょっと寂しい・・・いつ帰って来るかな?』

『ねぇどうして一緒に出掛けてくれないの?』

『今日は一緒に星を見に誘ってみる!』

『ねぇどうしてスーとばかり行くの?』

『一緒にいるのは私なのに、あなたは今どこを見てるの?』

『フィーの事は可愛いって言ってるのに・・・今日も頑張ったのに・・・』

『ねぇ。フィフの事を誘わないで』

『好きって言ってた本をやっと見つけたの!明日渡そう!』

『私の本よりスーの本が良かったみたい・・・』

『ねぇ、どうしてこっちを見てくれないの?』

『どうして最近ずっと出かけるの・・・?』

『ねぇどうして返事をくれないの・・・・?』


『ねぇ・・・・・・』


『ねぇどうして・・・・私の事好きになってくれないの・・・?私はこんなに・・・』


『・・・・・・・・・・・・どうして・・・?』


『どうして・・・・?なんで・・・?』


『どうして・・』


『ねぇ・・・・アダム』


「・・・・・」


……内容は、想像できると思う。


イヴはファスト・・・最初のwalkerの事が好きだった。

それはもう誰が見ても分かるぐらいに。


 だからファストがいなくなったと分かった、あの日から、イヴは生きる事を止めてしまった時期があった。

――といっても自殺したりといった、即効的に死ぬ行為をしたわけではない。


何もせず。

何も食べず。

何も飲まず。

イヴが作った、時間の流れがとにかく遅い世界で、ただただ居る。

フィーがどんなに話しかけても、フィフがどんなに怒鳴り散らしても何も反応せず、ただただ餓死するまでそこに居続けた。


それがだいたい500年ぐらいだっただろうか。

その後、生まれ変わってからのイヴは以前のイヴと違い、かなり極端な生き方をするようになった。


まず好きな物または好きな人を見つけると、それだけしか見えなくなる。

その人の言っていることが絶対で、それ以外の言葉をほぼ受け付けない。

物の場合は、ずっとそれだけと過ごすようになる。

ぬいぐるみなどならまだしも、椅子でも本でも、とにかくずっと・・・

体のどこかが張り付いたように、それを持ち続け過ごし続け、100年だろうが300年だろうが、その物の形状が壊れダメになるまで…


そしてそれが無くなると、最初あの世界に入り長い自殺をする。


その繰り返し。


だから、あの男に執着してしまった時は、最初はもうどうしようもないと思ってしまった。

男の為に世界を作り、男が望めば世界へ連れていく。

walkerの通路の事を分かる限り教え、魔法ならどうすればいいか一緒に考え・・・

そうしてイヴは・・・・


――ルールを犯した。



「・・・・・やめよう。」


 ここにある書物はきっと色々なところに色々な形で、イヴの気持ちが載っている。

それらに揺さぶられながら見ても、大事な情報を見逃してしまう。

これらはフォーラス家が必要か不必要だったのかは分からないけど、わざわざ保管していたのだから、何かヒントになる事があるかもしれない。


そういえば、これらを見つけた時の男もまだ見つかっていない。


あの場所へ、何をしに来たんだろうか、比較的若い男だった。

和よりも若い、見た目は雑な感じで適当な長袖とズボン、リュックを背負っていたな。

髪も切り揃えているというよりは、自分で適当に切ったような感じで、中東系の魔法使い。

ブライアンとは、だいぶ地方の魔法使いだと思うが…


そして、こちらに驚いていたし、特別私に対してや和に対しての反応に、違いがある感じはなかった。

男が発動しようとした、壁の奥に埋まった設置魔法についても、後から和に確認してもらったが、確かにどこかへ転移するタイプのもののようだったが、その場所までは分からないまま。

それ以外にも、そういったトラップ等が無いか、深めに探ってもらったが、残念ながら確認できたのはその一つだけだった。


――これは予想になる。


悪魔の世界へ移動させるつもりだったんじゃないだろうか。


悪魔の世界。

それは、およそ2000年前にその存在が確認されたとされている世界。

明確な創造主については分かっていない。

ただし、基本世界の様子を見れば一目瞭然だが、根本にある思想や構造を見る限り、恐らくはキリスト教に付随する存在という推測が有力。


その悪魔の世界には、大きく分けて二つの層がある。

上の層には、神に敵対する存在――サタンや堕天使、異教の神々、人間を誘惑し試練を与えるとされる者たち。

下の層には、魔物や妖精といった、人間の欲や罪といった概念を主にして生み出された存在がいる。


悪魔は魔法使いと比べると、そもそも力の成り立ちが違う。

彼らは魔法とも神力とも異なる根源を持ち、性質だけを見れば神に近い部分すらある。

だから魔法使いと同じやり方で対応しようとするのは、まず無理だと考えた方がいい。


今、こちらを手伝ってくれている妖精や精霊は、基本的に自然物を力の源としている。

風や水、土や光といったものだ。

だが悪魔たちはそれとは真逆で、人間という創造物そのものからエネルギーを得る。


欲という思念的なものも、血や肉といった物体的なものも、すべてが彼らの力になる。


私が、魔法使いに対抗しやすい理由の一つは、力の源が自然物である点だ。

だからこそ、精霊や妖精の力を借りて、それを自然へと還すこともできる。


だが悪魔の場合、話は別だ。

根源となる「欲」を消滅させるのは難しいし、血や肉を別のものへ変換することも簡単ではない。

前回、ブライアンの時に使った神の力を宿した鎖も、一部は彼らの力と同質だし、血や肉といったもの自体が神の保護対象の一部に含まれる。


なので力の源をどうこうできない以上、やるとすれば、その流れ元を断ち切る。

エネルギーの供給を止める方法になる。

だが結局、それも難問であることには変わりない。


つまり――正面から来られたら、とても困る、ということだ。


先日、ブライアンと一緒に来たあの男が悪魔なのだとしたら。

なぜ、魔法を使ってきたのだろうか。


暴れられると困るから、ブライアンとの契約にそういった制約があるのか。

それとも、別で何かしらの制限が課されているのかもしれない。

もしそうなら、こちらとしては助かるが、拠点が悪魔の世界という点については問題だ。


行くというより、奈落へ一歩踏み出すに等しい。

いや、それよりも悪い。

いつ殺されるかも分からない扱いで、長い時間をかけて血や肉を貪られる未来が、簡単に想像できてしまう。


その上、エルフやドラゴンがいるというのはどういうことなんだ……


あの男が、ここまで自由に動いてきた結果なのだろうか。


魔法が使えない魔法使い。


イヴと別れてからのあいつは、ほとんど放置状態だった。

少し前のブライアンと同じで、何のアクションも起こさない相手を追うのは、非常に難しい。

しかも相手は、イヴの世界だけでなく、長い時間をかけて普及し、創造が広がった世界にいる。

基本世界の人間に、どうこうできる話じゃない。


……だが、もう行くしかない段階なんだろうか。


おっさんも心配していたらしいし、ここまでの状況を聞けば、もしかしたら神も手を貸してくれるかもしれない。

ただ、それはある意味で最終手段だ。


一歩間違えれば、世界の破壊神になるのはこちら側。

ルール違反をぶっちぎる、最短で最悪の方法になる可能性が高い。


・・・。


思考の糸を一度、静かに手放した。


「スズー!!お昼だよー!!!!」

「早くー!!!!あ。圭も呼ぶ?」

「「いいねぇ!」」


「圭は準備中だから邪魔しちゃ駄目。ほら行こう。」

「「えーっ!」」

「夕方様子を見て、誘ってみるよ。」

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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