疑問:そうだけど。そうじゃないんだよ?
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
「やぁ。ちょっといなかった程度で、揃いもそろって元気がないそうじゃないか。」
無表情で声のトーンも相変わらず単調だけど、そのいつもの喋り方が耳に入り
弾かれたみたいに、全員の視線が階段へ跳ねた。
「「うわぁぁぁぁぁぁ!!」」
「スズ!」
「良かった!」
「キュウキュウ!!」「キー!キキー!!」「キュ!キュ!!!」
「スズ。ヨカッタ。」
「元気?ケガアル?」
「ケガ・・・ニオイある。」
「・・・ふん。思ったより元気そうじゃない。」
「こらお前ら!!絶対抱きつくな!!」
「「っは!!アイアイサー!!」」
「キュ!?」「キーキーキー?」「キュウゥゥ・・・」
和さんに怒られて、日向と秀人と黒い子三匹が動きを止める。
まさに抱き着くために、今動き出した体勢のまま・・・
「多少は大丈夫。まだ関節の動きが鈍いけど、皮膚の状態はいいし感覚も右腕以外はほぼ元通り。」
「右腕どうしたの!?」
「右腕動かないの?」
「え。スズ・・・?」
「いやいや。ごめん。言い方が悪かった。」
そうしてスズは、みんなの目の前で右腕をちゃんと動かしてくれた。
「ちょっとこのあたりの感覚が鈍いけど、基本的な動作に問題はない。」
スズの服の隙間から、包帯やガーゼが見える。
それに、髪も少し短くなっていた。
それでも自分で階段を上り、腕も動いている。
それを見て、胸の奥で固まっていたものが、ようやくほどけた。
診てくれている尚弥さんは「凄く快調だよ」ってずっと言ってくれていたけど、それでも数日は安静にしないといけないって、実際の様子を見る事もできなかったから、この数日はみんなずっと心配状態だった。
やっぱり直接見ないと安心しづらいよね。
本当に良かった。
「ほら、おいで。肩にのるぐらいならなんの問題ない。多少筋トレしながら、筋肉は慣らしていくけど元気。それよりも仕事はどうなってる?私がいないだけで休業にはしてないよ。」
「キュウ?!キュキュゥゥゥ!」
「「うぇぇぇワーホリィィ」」
「いつも思っているけど、それって誉め言葉として受け取ってるから。」
「うううう。スズのばかぁぁぁ・・・」
「でも良かったよぉぉ。いつも通りぃぃ」
「・・・あぁ。あんたがいないと俺も困るんだからな。ちゃんとしてくれ。」
「悪かった。魔法省から届いたトルストイ家の報告書もこれから確認するし、日曜には予定通りトルストイ家に行く。」
「そういう意味じゃねぇ。・・・無理すんじゃねぇ。」
アイザック君ってイザベルとはまたちょっと違う感じだけど、怒ってるのに心配してるのが分かる。
とにかく、みんなが一気に明るくなったのを感じて、私は嬉しかった。
「仕事もそうだけど、あの後のフォーラス家の動向や進捗確認。圭も呼んだからミランダを併せて整理しようか。」
「まてまて、先に朝ごはんだ。イザベル。ミランダはもう来るのか?」
「さっき家を出たって。一応精神体だけだから、暫くすれば来ると思うけど・・・」
早々にいつも通りのスズのようです。
みんなの抱きしめようとしたまま固まっているこの姿勢、どうすればいいのだろう。
まったく、そういうところだよ!
もう!だからこそ安心できるんだけども!
そんなこんなで本日は、みんなで元気にいつものダイニングテーブルで朝ごはんを頂けました。
(スズはまだ熱があるという事で、おかゆだったけど。)
食後は、各自コーヒーやらミルクやらを用意して席に戻る。
尚弥さんはスズとみんなの様子を確認次第、すぐに仕事に行ってしまった。
3日間も滞在してくれたけど、結構無理やりだったんだろうなぁ・・・
すぐ来てくれるし、元気がない間も張り詰めた空気に、静かに毛布をかけるみたいな人だった。
治療は無理だけど、私もちゃんとああいう風に周りを助けられるように見習わなきゃ。
–ニャ(あら?ちょっと早かったかしら?)
黒猫さんが窓から入って来た!
と思ったけど、最初のイザベルの時のようだったのですぐにミランダさんだと分かった。
そういえば、なんで猫なんだろう。
魔法が使えないって言ってたけど、アンジェラさんとかは普通だったよね?
「大丈夫。そろそろ進捗確認しようと思ってた。それに週末魔法世界に行く予定だから、ついでに確認したい。」
–ニャー(あんた。大丈夫なのかい?すぐまた怪我したら、こっちも困るよ。)
「まぁ今回は和にもずっと同行してもらうし、それにもう一人爺に声かけてるから、魔法世界の中であればほぼ問題はない筈。」
–ニャ?(まぁそういうならこれ以上はあんまり言わないけど、少しはこいつらの事も考えてやんなさいよ。)
「ミランダは本当に魔法使いっぽくないね。分かってる。これ以上心配させるつもりはない。それにやられっぱなしは私も嫌。今回死神側の話も聞いて、まだ不明瞭なところはあるが、多少行動をしてみようかと。」
–ニャー(うむ。分かったわ。じゃあ先に最近のこっちの状況から伝えるわ。
最近そっちに魔法使いが行く事については、スズが言った通り、アリス・フォーラスの件が徐々に漏れて、あなたを敵対する貴族が集まったコミュニティができている動きが確認できた。
保守派という形にはなるけど、基本的には政治的な立ち位置や貴族の立場を守りたい貴族や政治家を中心にした、反同居人団体という感じね。
それが単発的に相談所を襲い、こちらの方でも度々それらしい行動が見つかるから、その度に拘束したりしている状態よ。)
は・・反同居人団体・・・。
私達は魔法世界に干渉できるわけでもないのに、なんでそんなに嫌われるんだろう。
魔法も使えない下等種族と思うなら、放っておけばいいのに…
「まぁそうか。早めに収束できるように、私の方でも何名か上の方にアクションをとってみている。お互いにあんまり強引には、進めないだろうから時間はかかるだろうが、引き続きミランダの方でも対応を頼む。」
–ニャ(分かったわ。私の方でも先日のアリス・フォーラスの責任所在等の件で、少しでも政治的なメンバーとの折り合いをつけてきているから、外堀から埋めていきましょう。)
話が一つまとまったところで、ミランダさんが「ん?」というしぐさをした。
–ニャ!(・・・そういえばあんた!上の方って500年代層ってことだったの?)
「ん?今の上部の大臣はあんまり面識ないよ。それに至上主義的にもその方が早いだろう?」
–ニャァァ・・・(最近やたらとそっちの出入りが多いと思ってたけど・・・そういう事なのね。
はぁ・・・。気をつけなさいよ。特に最近の者だとブラン・アーケン。)
「なんで?」
–ニャ(あいつは変態も変態。会う度に、あんたのことばっか聞いてくるストーカー野郎よ。喋り出すと全部あんたの事ばっかりで、最近もなんか言ってたわね。
・・・・・まさか会いに行ったんじゃないでしょうね?)
「・・・」
–ニャア(いいわ。後で少し話しましょ。)
スズは表情は変わらないけど、めずらしく言葉が止まった。
和さんからちょっと不穏な雰囲気が漏れましたよ。
スズさん・・・
みんな心配してただけに、針みたいな視線が一斉にスズへ向いた。
そして気が付かないのか、それを気にも留めない様子のスズさん。
–ニャ(まぁ話を戻すわ。そして、先日のブライアン・フォーラスの事から、交渉人を優先して調査を行ったわ。元々少し前の彼女をさらった問題と交渉人の履歴については聞いてるかしら?)
「あぁ。アンジェラから先日聞いた。逃走したノア・スミスは見つかったのか?」
–ニャ(あぁ。あなたなら同じ交渉人として確かに話は分かってるわよね。
同じく怪異担当の交渉人にも個別に捜索させていたのだけど、その交渉人は昨日大怪我をして帰ってきたのよ。
今は意識不明だから目が覚めたら話を聞く予定だけど、もしかしたらどこかでスミスを見つけたのかもしれないわ。)
「分かった。それで今回はこちら側、基本世界側の担当も調査したってことか?」
交渉人。
こないだアンジェラさんの時に言っていた言葉だよね。
和さんやアンジェラさん以外にも何人もいる感じなんだろうか。
名前の通りだとすると、外交官的な感じなのかな?
–ニャ(えぇ。カイルやアンジェラ、リュース等のスズに既に協力的に動いているメンバーは、一旦おいといて、他約50名弱の直近の交渉人ドアの使用履歴と移動動向等を調査して、他世界の干渉を含む可能性がある交渉人から、一人ずつ話を聞いている。
まだ明確な結果は出ていないので、そちらは引き続き調べながら各検問所についても調査を始めた段階。)
「検問所の空間移動法や変更には、全て制約がかかってるんだろ?」
–ニャ(そうよ。許可証が無い限り、その変更や移動はできないはず。)
カイルさんも微妙な表情で、ミランダさんに聞く。
「なら、あまり調べたところで可能性としては高くなさそうだ。その他の候補は?」
–ニャ(私達の様な政治側の外交官としての位置で、他の世界との政治的管理を図る立場の者になるけど、内部のものでありながら申し訳ないけどさっきの二つ以上に調べるのが難しいわ。
そもそもそのせいでフォーラス家に過去依頼をした者たちを、今も探し出せずに未だコネのある政治家や貴族が残っているのが現状よ。こっち側がフォーラスの関係者だと言われても今さら驚きもしないわ。)
そうなんだ。
フォーラス家サイドの政治家は今も居る・・・
何をしてもらったのかはしらないけど、そんな敵か味方か分からない状態。
ミランダさんってかなり危ない橋を渡っているんじゃ。
「そのあたりは本当に進まないねぇ。圭は?」
スズの肩がわずかに揺れた。
呼吸が少し浅い気がする。
「・・・・・・・・・・怪異は・・・通った。・・・・・その先が・・・・分からない。」
「前回の回線介入といい、怪異からどこかに繋がってるのかもしれないね。」
「・・・・・・・・・俺。・・・・・・・直接調べにいく?」
「んー。・・・それは、もちろん年明け頃に行こうかと思ってたけど、圭はいいのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・当ては。まだわからない・・・・・・・・・・でも何もしないよりいい。」
「分かった。ありがとう。狐の件もあるし、早めに日程調整をしよう。もしいくつか先に連絡できるなら、そっちの候補日も合わせるから教えて。」
「・・・・・・・・・・・・・・分かった。・・・・・・・・・・・・・・マジやる。」
「無理なくな。」
「・・・・・・・・・・・・・・ウッス。」
今回、圭さんも今回の事は、かなり凹んでいたそうだ。
すぐに気がつけず気づいてもすぐに向かえなかったから、血まみれのスズを見た時にかなりのショックを受け、それでも流石に相手を殺してしまったり、家を壊すわけにはいかないと力加減をして、建物全体が揺れるほど凄まじい威力だったけど、ブライアンと執事の男をぶん殴ったそうだ。
あ。
すでにしてくれていたぁぁ。
私もぶん殴りたい。
その後も和さんが治療に入った事を確認して、すぐにドアの状態や見た男の情報から解析や追跡をして、あのスピードで分かった状況をミランダに連絡してきてたらしい、素晴らしい。
「ひとまずこんなところかな?あぁ。他にもあればと思ってたけど、いずれにしても日曜に魔法世界行く時には、フォーラス家の居住があった場所にも立ち寄るつもりだ。一応内密に頼む。」
–ニャ
黒猫は夜の切れ端みたいに、窓の向こうへ溶けた。
「あと。もう一つ出てきた事がある。梓。」
「え?私!?」
スズが急にこちらに話を切り替えたので、つい驚く。
そして同時にその指先が、わずかに震えている事に気が付く。
「いや、梓がって意味じゃない。先日のガルシアの言葉を思い出して欲しい。」
「ガルシアさん?先日の死神の女性の方?」
「あの後、見落としがあり、ほっといてしまってた。」
「え?なんだろう。魔法媒体とか?」
「そう。彼女の説明ではその肉体の劣化が基本世界で過ごしたことで起こり、電車の対象とみなされたのではないかと仮説を立てていた。
そして、偶然にもこの魔法世界や怪異世界を含む介入が可能なこのエリアでそれは修復していっていると。」
「・・・・?うん、そんな感じでお話頂いた事は覚えてるよ。」
「梓。そんな偶然あるんだろうか?私が梓と偶然同じ職場で、あの帰宅時私が偶然乗ろうとした電車に梓が死者と判断され関与、そして偶然にこの相談所にいる。」
「・・・・・・」
そー・・・それは。
言われてみればその通りかも。
あまりにも奇跡に近い偶然が重なり、私は生き長らえてここに居る事になる?
「キュウ・・・?」
・・・っていうかスズさんや?大丈夫?少し熱っぽそう。
ずっと話してたし結構キツいのでは?
でも話がこのまま進むと繋がる先は・・・
「待って。でもそれは本当に偶然って事じゃないと・・・」
「私はあの会社にはある相談を受けて、入社することにした。」
「・・・・・うん。」
「その相談依頼は売上方針や人材育成等を内部目線から感想を頂けないだろうかと、その男は海外、正確にはマレーシア在住の資産家であの会社の株主の一人。」
「・・うん。・・・・・スズ。」
「その辺りを調べた。だが男は先日の梓の退職を確認後、あの会社の株からも手を放し所在不明。圭に追ってもらっている。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まだ。分からない・・・・。」
「え・・でも私は流石に株主の人とかまで知らないよ?あの会社に入社したのもたまたまで・・・?」
あれ?
何で入社したんだっけ?
やっぱり家族同様に5年以上前の若い記憶は白く塗りつぶされている。
もしかして紹介されたのかな?
スズがテーブルの縁に、そっと指先を置いた。
体重を預けるほどではない。だが、支えているのが分かる。
「男の名は野村宗一郎。」
「そういちろう・・・。聞いたことがある気が・・・・でも、野村・・・?」
「それは恐らく旧姓を名乗っている。今の名前は山本宗一郎。」
スズが一瞬だけ言葉を選ぶように沈黙した。
「…梓の祖父にあたる方となっている。」
――頭の奥で、何かが嫌な音を立てた。
その瞬間、スズの体がわずかに揺れた。
和さんが気づいたように、眉を寄せる。
「え?おじいちゃんが・・・なんで?・・・全然思い出せないし、そもそも喋った記憶もないし・・・」
そして思考に頭が行き過ぎてしまったけど・・・
やっぱりスズ。
血の気が抜けて、紙みたいに白い。
ダメ!
こっちは後回し!
「スズ!ちょっと休憩しよう?ごめん。話し込んじゃった。」
「あぁ・・・すまん。そうだな一先ずここまでに。落ち着いてからまた話そう。」
うん。そうしよ!
まだ、寝てるべきだよ!
ごめん、私も止めどころを見つけられなかった。
大けがをしてまだ3日なんだよ。
いつも通り過ぎて、見逃してたよ。
結構仕事といい、自分の限界を知らないタイプだね。君。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




