答え:私の目に水見えず、あなたの目に空見えず
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
「・・・・・」
自分の寝室だ。
めったに入ることはないが、ヒナやヒデが定期的にシーツを変えたり掃除してくれている事や、私も普段から物を置かないようにしている事もあり、いつも綺麗な部屋。
ひとまずは自分の体の状況を確認する。
頭・首・右腕・左腕・お腹・右足・左足。
うん。
骨は折れていない。
まぁまぁ大丈夫そうだ。
起きられそうだ。
「うっ・・・しょ・・・」
体を起こすと頭の鈍い痛みに気が付く。
やや眠気も残る。
貧血だろうな。
右腕に繋がっている輸血パックと一緒にもう一つ別の薬品も注入しているらしい。
ここからじゃ良く見えない。
まぁそれはいい。
「あーあー・・・誰かいるー・・・?」
「あ!起きた?気分は?」
部屋の外にいたのだろう。ナオがすぐに部屋へ入って来た。
「それはそれはもう最悪。いろんなところが痛い。重い。だるい。」
「ははは。そりゃそうだ。でも良かった。それだけ元気なら大丈夫だね。
あ。ちょっと待ってて、和を呼ばないと僕殺される。」
「…それは私も対象?」
「うーん。まぁそうかもね。あんな口が悪い和を見たのは久しぶりだよ。」
「まぁ元々結構攻撃的というかひねくれた性格を修正して、普段のあの状態だからな。」
「じゃあ。やっぱ素があっちなんだ。」
体温を測ったり血圧を確認しながら、尚弥といつも通りのゆったりとした話を続けていく。
「ナオ。ブライアンが来た日から、何日経った?」
「え?一応翌日だよ。・・・え。やめてよ?今から追いかけるとかは・・。」
「私は後からでいいが、ちょっと追跡のお願いは出したい。」
「・・・それ多分、和が来た後に落ち着いてからが良いと思うよ。
・・・マジで僕は初めて見る動揺だったから、ここで喧嘩は控えて欲しい。」
「…分かった。すまん。」
「それより腕はどうかな?左腕と右腕はどう?どちらもだいぶやけども酷かった。
皮膚については和が復元魔法をかけてくれたけど、一部は皮膚下層に影響が残りそうな部分もありそうだったし、右腕は脱臼したりでかなり酷い状態だったよ。
神経の状態については、起きてからスズの様子を見て、検査するかどうかを決めようかと思ってた。」
「この辺はちょっと感覚が怪しい。でも今は包帯のせいでよくわからん。ひとまず関節は動きそうだし、様子見かな。・・・来たかな。」
がちがちに包帯が巻かれ、見た目からも状態がさっぱり分からないし、動作確認をしようにも全く動かせない。
痺れはない。
神経は生きていそうだ。
本当に関節がちゃんと動くかは、後日改めて確認かな。
「スズ!!!」
珍しく足音も気にせずに、和が寝室へ駆け込んできた。
「やぁ。その後どうなった?」
「いや・・・あぁ。分かった。」
和は、私がその話を聞かないと取り合わないと分かっているのか、まずはあの後の事から話し始めた。
「お前の事に気が付いた日向と秀人に呼ばれて、庭の魔法使いの拘束は二人に任せた。
で、そいつらはさっきミランダが手配した回収班に引き渡した。
前回同様に雇われただけの様子だったが、もっと雑な感じで情報も何も持っていない。
依頼主からは集まる時間だけが、唯一指定されていたらしいけど、いくつかの魔法使いの入ってくるタイミングが適当だったから、ミランダやイザベルも言っていたが、多分俺や日向たち用の時間稼ぎだったんだろう。」
「依頼主の情報や連絡手段は?」
「スズの治療後に、押し込めた小屋へ大体1時間後ぐらいに確認しに行ったら、何らかの経過魔法がかかっていたようで全員正気不明状態だった。
すぐに解除を入れたが、何も情報回収できなかったから、ひとまずミランダの方でも治癒対応をしてみて様子を見るとの事だけど、それでも情報解析は難しそうだ。」
「扱いが雑だな。処分する気しかなかったのが目に見える。」
まさに時間稼ぎか。
「あぁ。お前を止血対応中、圭の方では圭が見たやつの事やお前のドアの痕跡を確認して、ブライアン・フォーラスをすぐに追跡し始めた。
圭が最後に感じた気配からは怪異世界だろうと。あと、もう一人の男も以前お前と梓さんが見た執事の男で間違いないか?」
「そうだな。正直そっちは途中から割り込んできたと思ったら、圭に殴り飛ばされてたから、ちゃんとした確認はしてないが、双子とかじゃなければ同一人物だと思う。」
「そうか。圭の見解だが交渉人ドアかその他の方法で他世界からの介入をしたとして、ミランダの方にも対応を求めた。walkerの通路については、ドアの指定がやや雑ということもあり可能性は薄いだろうと。」
「そうだな。その順でひとまず良いと思う。あのドアから再び来てくれれば早いが、今回そこまで確認する余裕が無かったな。
それに多分ブライアンもあそこから出たのは、予想外みたいな様子だった。梓だけを近場でさらって逃げるつもりが、ドアの先に私が居た事に多分驚いてた。
それにそうと分かっていれば最初に執事の方を私に当てるとか、もう少し戦略を考えた筈。本人の突発的な対応はやはり優秀だったが、暗殺業務を請け負っていたとなると作戦が雑な感じになる。」
「そういえば、あのドアはあのままで大丈夫か?一応今は開かないようにはしておいてるが、壊すわけにもいかないだろ?」
「後で、通路を固定しておこう。どこから来たのかしらんが、もしwalkerの通路なら私の方で入口と出口を固定しておけば、それ以外の介入は難しい筈。
まぁ交渉人ドアや他の場合はどうしようもないが。ともかく圭は怪我はないと思うが、ヒナ達は?」
「ない。全員無傷だ。家も軽いヒビ程度で既に修復済。大怪我をしたのはお前だけだ。」
「まぁまぁ。こっちも包帯がまかれていて関節の可動範囲はまだ分からんが、五体ともに残っている。
いやぁ神様には借りを作っておいて良かった。防護の護符は現状最強でいらっしゃる。そういえば、先日の薬上菩薩様関係のお礼もあるかもかもしれないな。回復がかなり早い方だと思う。」
体には痛みがそれぞれあるものの、あれだけ出血ややけどをして指先一つなくなってはいないし、右肩も違和感は残るが、体がこうしてすぐに起こせるのはそういった理由だろう。
感謝しておこう。
「・・・・分かった。尚弥。」
「そうだね。スズの言う通り脈も安定してるし、体温が高いのは怪我による熱だから、やや風邪気味っぽさは続くと思うけど、深い傷もなかった事と止血が早かったから、正直最初の見た目からはびっくりだと思うけど、多分数日で歩けると思うよ。様子を見て、再検査するかは相談しようか。」
「ナオもありがと。助かったよ。今回はブライアンも驚いたように、私もかなりびっくりだったから、本当にこれだけで済んだことはみんなのおかげだ。」
「はいよー。さて、みんなかなり心配してるから、僕は先に上に上がって報告してくるよ。スズ。
一応言っとくけど最低でも、今日明日は絶対布団からは出ずに、安静第一だからここには誰も来させないし、絶対に入らせないようにね。
運動ももちろん禁止。僕も暫く滞在して、こまめに経過観察に来るからね。」
「分かった。悪い。皆にもよろしく。」
「はいよーお大事にー。」
–パタン
「・・・・」
「・・・・」
尚弥が部屋を出て扉が閉まると、音は布に吸い込まれたみたいに消えた。
…これは説教ターンということになるのでしょうか?
いやでも、最善を尽くしたよ?
スマホをいじる余裕もなかったし、仕方なくない?
ダメかな?
でも心配してるだろうから。
まずは受け止める方向で、話を…
「分かってる。お前がやったことは間違ってない。圭を呼び、圭も気づくのが遅れたとは言っていたけど、圭なりに狐を急いで檻に入れて助けに入ったんだそうだ。」
あぁそういうところでは、確かに狐の立ち位置はちょっと面倒だな。
すぐに圭が動ける状態は欲しい。
「お前はブライアン・フォーラスの目的が梓である以上、1階へのドアを自分から開ける事はしないことも分かってる。
防護も重ねたり、神魔法の鎖もあったな。あの技力・肉体ともに優秀とされるフォーラス家に対抗できる基本世界の人間なんて、世界中捜しまわったってお前ぐらいだ。
怪我も大怪我には至らず、正直とっさの対応としては、満点だと思う・・・。分かってる。」
「・・・・」
まぁそれが分かっていても、ってヤツなんだろう。
私だって、大事な仲間がどんなに良い成果を出したとしても死んで帰ってきたら、そんな成果に意味がないと感じる事もある。
求めている結果は人それぞれだ。
前回も言っていた発言や、過保護な様子から和は恐らくは、二つ前に私がかなりアレな形で死んだ事をかなり悔んでいると思われる。
まぁそれなりにやることやった結果だし、私的には気にも留めてなかったから、正直気が付いておらず、最近の和の様子からようやく気が付く事になったんだけど…
「心配させて悪かった。」
「・・・気を遣わせてるな・・・」
「場面によってお互い様だろう。私も普段は色々気を遣わせてる事は分かってる。お前の気持ちを全て汲んでやる事はできないが、今の相談所のような状況を私は楽しんでいるし、それができたのはお前のおかげ。」
「・・・それは、まぁ良かった。」
「あぁ。長く生きた中でも、お前に会えたのは僥倖だった。あとは長く歩いていなければ会えなかった事に、少し恨みながらもそれもどこか感謝してる。」
ベッドへ和が近づいてきて、力を入れないように気を付けながら私を抱きしめてくる。
抱きしめる腕が、壊れ物に触れるみたいに慎重だった。
元気な事を分からせる為に、無理がない程度に力を込めて抱きしめ返す。
――これで3度目。
和は最初から、少し遠い場所から大人達を見ている人だった。
当時はまだ若い青年だったはずなのに、和は大人になることを強要され、無理やりしっかりした人間という型を維持しようと必死にしているように私には見えた。
それが、全てを失った時。
そして私が死ぬ時。
そして今。
…誰も居ないのだから気にしなければ良いのに、頑張って抑えている小さな声。
「・・・・・無事で良かった。」
「あぁおかげさまで。」
「俺も、お前に会えて・・・あの日・・、会えたことに感謝してる・・・。」
「おお、それは珍しく同意見ということだな。」
「・・・ふ。あぁ。今回は長生きしてくれよ。その次も・・・その次も・・・ずっとだ。」
「お前、どこまで生きる気だ。」
「さぁ。おれも知りてぇよ・・・。」
まぁお互い、無理がない程度にやっていこうじゃないか。
–
「…大丈夫?」
「・・・あぁ。悪ぃ寝てた。」
あの後、暫くしていると和は落ち着いたのか疲れていたのか、珍しく寝落ちた。
ちょっとした準備の為に、ベッドの上の引き出しにある金平糖等が入ったお菓子を取り出そうと、一人苦戦していただけだというのに、寝起き早々ちょっと不機嫌にこっちを見る。
「何やってんだ・・・?」
「運よくブライアンがここへ来たからな。最終手段を隠した甲斐があった。」
「・・・お前。そんな余裕あったのか?」
「いや、結構ギリギリだったとは思う。だが、これを逃す手はない。」
「・・・はぁ。まぁそれでこそ、おまえなんだろうけど・・・全く。で?」
寝起きな顔で、和は少しあきれた声を上げる。
まぁ、そういうことだ。
「和やヒナとヒデには最初の頃に少し教えた事があると思うが、元々ここにあった家はある世界の一部と繋げていたんだ。」
「・・・あぁ・・・なんか言ってたな。他の世界とは言ってたけど、怪異とか?」
「いや。妖精と精霊の二つの世界が交わる場所の間。」
「・・・特に見た事はないな。」
「認識がないからな、今こうしていれば・・・」
和にも掛けていた掛布団をめくり、小さな風を起こす。
--ふわ
部屋の空気がふっと軽くなり、カーテンも揺れていないのに淡い緑の光だけが漂った。
恐らく和も見えただろうか――視覚的な風のように見える薄い緑色をした流れる線が。
「・・・これが妖精とかってこと?」
「いやこれは・・。」
見せた方が早いか。
一息おいて、静かに声を発する。
【今良いかな?】
「!」
さっきの見えた風と共に羽根をつけた、緑色や赤色と黄色の等の小さいけど人間のような形をした生き物が集まって来た。
【いいよー】
【スー】
【びっくりしたー!】
【そうびっくり!】
【生きてる?】
【死んでないー?】
【えー本当に?】
「・・・妖精?」
「そう、こっちはね。さっきの視覚的な風は精霊に近い。本体はここにないが、こっちの様子は分かっている筈。」
【驚かせたね。さて、君たちにお願いがあるんだ】
【驚いた!】
【そうそう!】
【何?お菓子ー!】
【わーい!】
【お願い事?】
用意したお菓子を開く。
妖精たちは早速気づき、一つ一つ受け取っていく。
【これは前払い。昨日ここに来た金髪の男達を覚えてる?】
【わーい!】
【みんな!お菓子ー!】
【わーお菓子ー】
【菓子ー!】
【金髪!覚えてるよー】
【スーに怪我させたー!】
【そうそう!】
【あれはやな感じー】
【きらーい】
【魔法の子ー!】
良かった。
妖精達はブライアンを認知している。
ブライアンはあちこちの世界に踏み込んでるようだったから、不認知判定されることはないと思っていたが、これで認知してなかったら残念な話になる。
【あれを追いかけたい。どの世界で見たかをみんなに聞いてくれないかな?】
【追いかけるー?】
【えー】
【あいつやな奴ー】
【でもお菓子ー】
【スーのためー】
【お菓子ー】
【スー・・・】
【お菓子ー・・】
みんなで集まってコソコソ相談を始めた。
緑の風も妖精たちの周りをくるくる回っている。
【【【【【【分かったー】】】】】】
悩んだようだが、お菓子の誘惑には勝てなかったようだ。
【お願い事だよ。その男を見た世界を全部教えて。】
【【【【【【お願い事。】】】】】】
【【【【【【何を払う?】】】】】】
【今のと同じ量の菓子。それとハチミツやケーキも用意しておくよ。】
【【【【【【いいよ。】】】】】】
–ふわっ
そういうと、妖精と踊り遊んでいた緑の風も、妖精達も、一緒に春の匂いだけ残して空気にほどけた。
「・・・あの妖精達が探せるのか?」
「彼らと精霊は自然の中にほぼ必ず存在する。風や水などの自然物がない宇宙のような世界の場合は難しいが、大体の世界を認知してそしてお互いにその情報を共有している。」
「ブライアンがここに来たからできる事って事なのか?」
「そう。もしくはブライアンが一度でも妖精や精霊の世界に入り、認知しているかどうか。」
「・・・まぁ確かに、隠す必要はあったかもな。」
「納得いってないな」
「魔法を最終的に止める時は、彼らへのお願いが方法としては取りやすかったから、俺や日向達の時は使っていたんだろ?
その方法をわざわざ隠してたって事は、ある程度魔法を受ける前提に対応したって事だろ。」
「…まぁそういう見方もある。もちろん、他にもこの部屋なら色々使える物があったから。」
「・・・もう少し、伝わって欲しいものだ。」
「心配させてる事は分かってる。でもここであいつを逃がしたら、もっと被害が大きいだろう?」
天秤にかける土台が違いすぎる。
「俺は例えその見知らぬ連中が何人傷つこうと、お前が怪我する事の方が嫌な時があるんだ。」
「…分かった。これが私の精一杯だと思ってくれ。」
「・・・・・・・・・・・今は・・分かった事にする。ひとまず何か用意するか?」
「あぁ菓子を焼いてくれ、日持ちするやつ。あとは長持ちしそうな甘味もいくつか買って・・・」
「そっちじゃない。」
どうやら間違ったらしい。
失礼。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




