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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第一部 境界に立つ者たち
30/49

疑問:私達の時間は短い?

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

「梓さん。やる時にはちゃんとやって貰うんで、休みの日はちゃんと休んでくださいね。」


「い、イエッサー・・・」

「そうそう。焦らず地道にコツコツね。和がおやつ作るってくれるってー。」

「おやつ!梓!おやつは行くわよ。」


 昨日金曜日は、水曜と木曜にスズのスケジュールの日程調整の依頼をかけまくった分の対応に追われて、なんだかんだと和さんも手が空かない状態だった。

日本語以外の言語対応できない中でも、せめて英語対応ならと、頑張って知っている限りの単語を使いつくし説明したものの結局はお客様に怒鳴られ、最終的に和さんにパスという結果を受けて凹んだ。

まだまだ数日勉強した程度の英語では、流石にかなり厳しいというのは分かっているので、週末はイザベルと一緒に本の揃った6階のフロアに引きこもっていたのだけど。

土曜日はまぁ多少なら、とほっといてくれていた和さんと尚弥さんも、ずっと勉強し続ける私に気遣いから、今日は声をかけてきてくれた。


「そうだね。イザベルもずっとごめん・・・。

基本的な単語までなら、なんとか大丈夫なんだけど、目的語とか形容詞とかって話になると本当・・・。

伝えたいことがあるのに、言葉が追いつかないなぁ・・・」

「まぁ急に身に着くものでもないわ。同居人は私達と比べてその人生が短いけど、真面目で習得力があるから大丈夫よ。どちらかというと、私的には梓はもう少し力を抜く事を覚えた方が良いかもしれないわね。」


「人生・・・。そういえば魔法使いは凄い長生きなんだよね。イザベルは若いって言われてるけど人間でいうとどのぐらいの年齢なの?」

「私は来年で確か80歳かしら?人間でいうとどうなのかしら、800歳を前提にした場合1/10ぐらい?人間だといくつかしら?」

「1/10・・・仮に100歳生きる人間の場合だと10歳!?・・・そんなに違うの?」


「まぁ時間軸も違うから正直比べるのが難しいと思うわ。魔法世界では私は約80年生きてるんだし、精神年齢を同じにした場合、私は同居人でいう80歳のおばあちゃんになるのよ?」

「そ、れは確かに・・・。え、まって日向と秀人、それに和さんっていくつ・・・?」

「日向と秀人は分からないわ。あの子達雰囲気からして私より下っぽいけど、でも技力や経験はあるっぽいのよねぇ。

和は私よりもずっと上の筈よ。私の通ってた学校の文献に載ったり、教材として取り入れられたりしてるし、でも500年代層とは聞いたことがないから、その手前とかじゃないかしらね?」

「500年・・・うん。分かった。確かに気にしても無理だね。」


年齢の基準があまりに大きすぎて、考える事を止めて階段を下りる。


「お、きたね。おやつはチーズケーキだって、一緒に食べよう。」

「え?凄い、いい匂いですね!わぁ!凄い!」

「チーズケーキいいわね!」


甘い香りが、階段を上って迎えに来た。

こ、これは・・・ベイクドチーズケーキのようです。

一緒に生クリームも添えられていて、カフェで出される様な完璧な出来栄え。

流石は和さん。

これは絶対美味しいやつ。

おやつは特に嬉しそうなイザベルを見て、私もついテンションが上がってしまう。


「はいはーい。ウーノ達の分と尚弥もいるからかなり多めに焼いてはいるけど、日向と秀人と尚弥に食べられないうちにどうぞー。」

「僕だってそれぐらいは配慮してるよ。うん。紅茶も良いね。」

「そういえば日向と秀人呼びましょうか?」

「大丈夫ですよ。ちょっと今二人には、片付けしてもらってるだけなので、この後すぐに来ると思います。」


おやつには必ず時間通りに現れる二人が居ないので、確認してみたけど大丈夫なら良かった。

それなら、先に頂いちゃおうかな?

既に用意済みのお皿に、視線が縫い留められてしまう。


「いただきます。」


そんな私の葛藤を気にせず、イザベルは食べ始める。


「いただきまーす。」

「い、いただきます。」


尚弥さんも食べるんだし、いいよね。


…うん。

これは見た目通りにすごく美味しい。

焼き目の香ばしさ、チーズの濃厚な味わい。

甘さ控えめで紅茶との相性もいい。

私もお代わりできる分あるかな・・・?


「和さん。凄く美味しいです。本当に凄いです。」

「ありがとうございます。喜んでくれてよかったです。」

「和さんって普段の料理も美味しくて、更にケーキまで作れるなんて・・・。苦手な事ってあるんですか?」


「え?あーそうですねぇ。魔法世界だと混ぜて焼くとか、全部一緒に煮込むといった料理が多いので、ロールキャベツとか餃子といった作業が必要な料理は、あんまり作った事が無かったので、最初はかなり苦戦してましたね。」

「そうなんですね。でも確かに餃子とかって結構手間がかかる料理ですよね。私餃子包むのめっちゃ下手なんですよね。」


「あ。ねぇこの時期だしシュトーレン作って欲しいわ。」

「あぁそうだね。まとめて作っておいて、たまに食べるようにしましょうか。」


「・・・シュトーレン?」


イザベルがリクエストを出したケーキの名前?

だと思うけどなんだろう。


「シュトーレンはドイツの洋菓子で、ドライフルーツや洋酒等が入っているので、比較的日持ちするお菓子ですね。この季節は特にクリスマスシュトーレンとして、クリスマスの日に向けて少しずつ食べて、日々の少しずつ違う味わいを楽しんでいったりするお菓子として言われていますよ。」

「ほぇ。それは確かに楽しそうですし、美味しそうですね!」


なるほど。

最近よくあるアドベントカレンダーみたいに、クリスマスまでの期間を楽しむものってことだよね。

そういえばクリスマスも近いんだなぁ。


日頃のお礼もかねて、皆さんに簡単なプレゼントでも用意できたらいいのだけど、その為には買い物に行けないしなぁ。

なにかいい方法ないかな。


「あー!もう食べてる!!」

「チーズケーキだー!」

「!・・・ケーキ」


「はいはい。片付けお疲れ様。座って待ってて。」

「キー!キー!」「キュウ!」「キュッキュッキュッー」

「タベタイ。オイシソウ。」

「皆、セキニついて。和。テツダウ」


そういえば見ないと思っていたけど、黒い子達もみんなで下にいたのね。

アイザック君ってば、私よりずっと馴染んでる感じ。


「僕もおかわりー!」

「私も頂けるかしら?」

「…は!!わ。私も・・・いいでしょうか?」


尚弥さんとイザベルさんのおかわりに追随して、一応聞いてみる。


「お。梓さんは珍しいですね。本当に気に入って貰えたようで良かったです。

大丈夫ですよ。沢山焼きましたから、お皿ください。」

「はい。凄い美味しいです。本当にいつもありがとうございます。」


頂いた2つ目をゆっくり味わって食べていると、ふと増えた大人数に目が行く。

みんなも凄く美味しそうに食べているのを、こうして見ていると…空いた椅子が一つ、気になってしまう。


スズ上がってこないかなぁ・・・


スケジュールも入ってたし、何となくスズ本人が上がって来るまでは、あんまり呼びに行くって事とかをしないみたいだから、つい私もそういう空気を読んでしまうけど。

逆にこないだみたいに、たま~にここにいる姿を見ると嬉しいし、話してみるとなんだかんだで、色々話をしてくれるだよねぇ。


「あぁ。多分今さっき寝ちゃったと思います。チーズケーキはちゃんと取っておいてるので、気にせずに食べちゃって下さい。」

「!すみません・・・つい。」


いまだに表情が読まれやすい私。

スズの様に無表情とまではいかないまでも、顔に出しすぎないようにしないと…

なんだか、無闇矢鱈と変な気遣いさせてしまっている気がする。


でも、そうかぁ。

寝てるなら仕方ない。

そもそも平日の日中は会社に出社してるから、普段の相談所でのミーティングのメイン時間は、ほぼ夜だもんね。

結構、生活スタイルが昼夜逆転してるのかも。


「和ー!あのね。ウーノ達に家庭菜園手伝って貰っても良いー?」

「家庭菜園?良いけどどうしたの?」

「ウーノ達、凄いよ。何でナスが元気ないかとか、水の量が丁度いいとか分かるんだって。」


「ソウ。水がタリナイ。エイヨウがタリナイ。クサがオオイ。ショクブツが言う。ダカラ、手伝える?」

「へぇ?植物の声が聞こえるの?」

「ショクブツが人間ミタイに言うノトバとは、少しチガウけどソウ。イウ。」

「ほう、そうなんだ。まぁ元々気まぐれで始めてたから、ちょっとたまに手を抜いてしまっていたし、手伝って見てくれるなら助かるよ。でも、無理ない程度でいいからね。」


「大丈夫。三人ズツ交互やる。順番に世話スル。休みナガらちゃんとヤル。スズみたいにムリ。」

「その通り!」

「「そうだそうだー!」」

「いいぞー言ってやれー」

「もっと言っちゃおうー」

「…それは俺もそう思うかも。」


まさかの家庭菜園から、スズの働き過ぎについてまで波及していくとは…

それにしてもウーノ達もよく見てるなぁ。

更にはこんな最近来たばっかりの、アイザック君にまで言われてるよ。

スズ。

君、働き過ぎにも程があるんだよ。

ブラック企業も真っ青。


「ははは。分かった。家庭菜園して、何か必要な物があったら言ってね。」

「へぇ?この子達凄いね。家事も手伝えて、家庭菜園もできるんだ。

最近は言葉も読めるようになったんでしょ?かなり賢いんだね。」

「新しいコトはタノシイ。世話にナッテル手伝イタイ。とリョウリツしてる。」


「・・・何か僕。今の現代社会に必要な言葉に聞こえて来た。」

「尚弥さん。同感です。」


この子達、本当に凄い。

早く帰る場所が見つかればいいのにね。

まぁ、それはそれで寂しいのだけど。


–ピンポーン


「「はーい。」」


お?このインターホンの音は普通のお客様って事?

日向と秀人が、インターホンを聞くと同時に、おやつを後回しにして階段を降りて行った。

こういう時にワガママ言ったりしないのは、普通の子供とは違ってちゃんとしてるよね。

さっきイザベルとした年齢の話もあったけど、仮にイザベルよりも若い場合でも50〜60歳とかだったら、基本世界の時間経過から例え半分の時間として考えても25~30歳。

それって、私と同じぐらいの時間を過ごしてる事になるんだよねぇ。


「おや。もしや良いタイミングできたかね?良いもん食べてるじゃん。」


だっ!誰だろう?!

このカッコいい系女性!

ライダースーツで、両腕に抱きつく日向と秀人を振り上げたまま、階段を上がって来た。


「アンジェラか。どうした?こないだ来たばっかりだろう。」

「そうそう。スズは?一応、あいつの依頼に中間報告で来たんだけど、もう一つの依頼をする前にちょっとカイルの報告にあった事も気になった事があったから、場所も近かったしメールでやり取りするのも面倒だったんでそのまま来た。でも、今日はすぐに行くよ。」


「「ええぇぇぇ!!!」」

「分かった。呼んでくるから、食べて待っておいて。」

「あいよー。いっただきま~す。・・・ってさすがに食べづらいよ。ユリ、アイ。」


「「はーい。」」


チーズケーキを食べようとする両腕に日向と秀人がずっとぶら下がっていたので、流石に二人とも降ろされてしまった。

きっとこの感じが、いつも通りって事なんだろうなぁ。

特にそれを気にすることもなく、二人共改めて自分のケーキがある椅子に戻っていく。


「なんかまぁ、色々ここも増えたねぇ。あ。あんたは覚えてるよ。お医者さんだね。いつもありがとね。」

「いえいえ、お久しぶりです。お元気そうで何よりです。」

「私は元気が取り柄だからね。でも何かあった時は、宜しく!

んで、あんたが山本梓さんだね。直接会うのはこれが初めてだけど、あんたの事を調べるのを手伝ってるアンジェラって言う。カイルと同じ交渉人として働いていて、ついでにスズにこき使われてるよ。」

「は!初めまして!山本梓といいます!・・・?交渉人?ですか?」


「…あれ?言ったらダメなやつ?」


聞き慣れない単語が出た。

はてなを浮かべる私に、アンジェラさんもちょっとマズイ?って感じだ。


「うーん。多分言う機会が無かっただけだと思いますよ。和は基本的にずっとここに居るので。」

「だったら良いがねぇ。はは!まぁ言っちゃったものは仕方ないか。まぁ気にせずに、気になるならカイルにでも後から聞いて頂戴なー!」

「ふふ。分かりましたー。」


見た目と合わせて、話し方すらも豪快って言葉が似合う女性だなぁ。

着物のオーダーメイドをして下さった、薫さんとはまた違う感じに、場の空気を変える方。

アンジェラってお名前だし、和さんの事も「カイル」さん呼びだから、多分魔法使いの方なんだろうなぁ。


「んで、君は?」

「あ。俺はアイザックと言います。暫くの間、ここでお世話になってます。」

「そうかそうか。アイリスとユリアスとも仲良くしてやってくれ。」

「「既に仲良しでーす!!」」


「まぁお前達の場合は、親しい仲にも礼儀を忘れずにな!んでー?この不思議ちゃん達は?」

「んー。スズが拾ってきた」

「帰る場所を探してるー」

「キュウ?」「キー!」「キュキュ!」

「世話にナッテル。」


「?!おおお。デカいね。こんにちは。」


気付けば黒い子の中でも一番大きいウーノが、いつの間にか紅茶のおかわりを用意していて、台所から返事をした。

そ。そんな気まで利くなんて・・・主婦力の差を突きつけられた気がした。

ウーノを見習わなきゃ。


「・・・あいつ自身も自分で拾うのか。まぁそういう性分なんだろうかねぇ。

そんで、そこの子猫ちゃんはミランダのとこの子だね。イザ・・・?」

「イザベルよ。あなたは交渉人なのね、よろしく。」

「あいよ。ミランダは元気かい?あの人も自分では合理的な方って言ってるが、その割には人情深いというか根は優しい人だからねぇ。

個別に連絡が取りやすい娘をここにおいているのはかなり納得できるねぇ。」

「あなたはお母様とも知り合いなの?多分元気よ。私からの報告をいつも嫌そうには聞いてるみたいだけど。」

「はは。それはスズの問題が大概面倒事だから仕方ないね。私もその嫌そうな顔をする一人だね!」


日向と秀人はアンジェラさんの話の邪魔はしないものの、横で楽しそうに話を聞いてる。

なんだかちょっと二人にとってアンジェラさんは、特別な人って感じなのかな?

そんな雰囲気。


「やぁ。アンジェラ。てっきり報告はメールかと思った。」

「おや。もしかして寝てたのかい?悪かったね。そりゃあ、あたしも本当はそのつもりだったさー。」

「まぁいや、良いよ。みんなとの挨拶の途中?」

「残念ながら、今日はゆっくりする時間もないから、挨拶はまた今度ゆっくりさせてもらうよ。

ではでは、騒がせて悪かったね。また会う日まで元気に!」


「「次も早く来てねー!」」

「まぁ期待するなー。でもまた来るよ!」


最後にアンジェラさんは日向と秀人の頭を撫でて、去っていった。

二人とも嬉しそう。

そして、去っていくのもカッコいい人だ。アンジェラさん。

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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