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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第一部 境界に立つ者たち
27/36

答え:努力の形は十人十色

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

「で、これってお母さまになんて伝えればいいのよ・・・」


「ミランダだけにまずは伝えてみて、狐を絶対に引き取るっていう事になるなら、もう一回こちらの条件として狐を差し出す代わりに、梓からの手を引けって言うのはどうかな?」


「本当に・・・それを言うの?・・・はぁ分かったわ。私は知らないわ。」


 イザベルはミランダに似て、あまり魔法至上主義な感じは強い方ではないようだ。

魔法使いの方が上位種だと宣う奴らからすれば、私たちのような基本世界の人間が好き勝手するのは、許せないんだろう。

とはいえ、昨日の魔法使いの件といい手は打っておかないといけないだろうし、500年代側へは誰からが良いだろうか。

一つ前に席を外したブランあたりにでも声をかけてみるか?

だがあまり関わり合いは少ないし、前回の感じではかなりこちらを見てくるものの距離もある様子。

その時も殆ど話さなかった筈、あまり良く思われている気はしないなぁ…


「今日はみんなで一緒に夕飯食べようか。アイザックは?」


「「わーい!!」」

「ウーノ達と和室にいるよー。」

「アイザックー!一緒にご飯食べようってー。」

「あぁ。こいつら可愛いな。」

「キュー」「キーキー」

「ヨロコンデル。カンジもオシエテクレテ、アリガトウ」

「いいよ。なんか暇だったし」


「キュウ?キュキュ?」


 和室側へ移動すると、いつもの一番小さい黒い子が肩に乗ってきた。

ちょっと心配されてる感じだ。

まだ、顔色悪いのだろうか?

睡眠自体は珍しく長くとれたと思うが…


「大丈夫。昨日久しぶりにかなり運動したから疲れたんだ。色々手伝ってくれてるんだって?ありがとう。」

「キュウ!」


そうだ、今のうちに確認しておこう。

双子と絡んでる圭の方に顔を向ける。


「あ。圭。そういえば無くし物どうなった?」


「暗闇があたりを包み、その体すら映さぬ深い深いそこにある亡者蔓延るとある池にて、ある時一つの道を照らすには弱く、だが月とも違うそれは朧気な明かりを纏っていた。先々見えぬこの場所で確かな温かみをもつそれは冷めた心にも緩やかな支えとなりだした。そんな所を不思議に思ったある男はその池を本来のものに戻そうと試み、そして行先分からぬそれを、ああ・・これは。ここが居場所ではない、早々な・・・」


「それはかなり良かった。分かった。明日にでも回収しにいく。連絡を入れておいてくれ。ありがとう。」


 神様の落し物は地獄の池まで落ちていたらしい、無事見つけてくれたようなので、日本酒片手に明日にでも取りに行こう。


「そいつ。怪異なんだな。」

「あぁ。アイザックも初めて見るのか。圭っていう怪異世界のもので吸血鬼だけど、こいつを怪異の基準にするのは止めた方が良い。私が見てる中でも大分変わり者の部類にはいる。」

「…そうか。怪異に魔法はきくのか?」

「魔法使いと同様に個々の強さ次第だ。

圭は吸血鬼の中でもフィジカルが高いから、魔法を何故かそのまま殴る。

だが、本来は炎が苦手な妖怪に火の魔法は基本有効だ。だから、お前の探してるヤツが魔法使いなのかそれ以外なのかも今はまだ分からん。どちらでもそれ以外でも可能性はある。」


 基本世界の人間が魔法世界を知らないように、魔法世界の人間は怪異が居るとは聞いているものの、その殆どが姿を見たこともない者が多いだろう。

そして魔法至上主義にとって、それは脅威的な存在と感じる者もいる。

アイザックもイザベルと同じく、まだ若い魔法使いだからそういった考えは少ないようだが、もしも魔法が通用しない場合、アイザックの家の結界を潜り抜けたモノの対象者としても含まれるだろう。

だが、まだ情報不足な状況では肯定も否定もできない。

現にフォーラス家は怪異と繋がっているようだし。


「そうか。あ。家には一応行く連絡は取れそうだ。日程はどうすればいい?」

「そうだな。行くとなったらスケジュール・・・・和。私と和だけで良いと思うがいつ頃が空いてる?」

「ん?あー。待って。梓さん。これちょっと見ててください。」

「はいはーい!」


 夕飯の仕上げに入っていた忙しそうな和に声をかけたので、サポーター梓が入ったようだ。

今まで、そういう事は本当に和に頼り切りだったので、とても助かる。

最初の「手伝いを依頼」という和の提案は、和の言う通りだったと言わざるを得ない結果だな。

現に梓だけでも足りないと、手伝いを求めているのは私の方だ。


こんな大ごとになるとは予想してなかったとはいえ、気付けば空いていた部屋はほとんど灯りが入り、住居フロアはすっかり息づいていた。

最初は一人でなんとなく数件請け負っていた相談事だった筈なのに、何故ここまで大きくなってしまったのだろうか。


これも時代の流れなのか…


気が付けばここには基本世界と魔法世界だけでなく、怪異――

そしてそれ以外の世界のものが共存している。

それが各世界において許されないとされているが、その結果進まない魔法世界を見ていると、もちろん悪い部分もある事は確かだが、一部ではそういうルールが邪魔している部分もあるのかもしれない。


「俺とスズなら来週の土日とかが無難だろうな。もしくはスズの仕事納め後」

「それで良いか?アイザック。一先ずそれまでには報告書あたりも分かるはずだろう。」

「分かった。連絡入れとく。」

「あぁそうだ。アイザックは来なくても良い。わざわざ嫌な場所に行きたくないだろ?」


「大丈夫なのか?・・・お前、同居人だろ?」

「大丈夫。和もいるし、お前の家に迷惑をかけるつもりもない。」

「…分かった。ありがとう。」


 アイザックはそれを見栄えとは言っていたが、トルストイ家はその家系を見る限りでは、子孫繫栄に対し前向きな方だろう。

つまり血縁には困ってないはずだ。

それでもアイザックを家の名前から外さずにそのまま置いているのは、父親のおかげかまたは感情的なものなのか。

それは実際確認してみないと分からんが、もしまだ戻れる可能性があるのであれば、今は少し離れてもいいから、もしも犯人が見つけられた時等の何かのタイミングで帰り場所としては残しておきたい。


――先日の彼女の雰囲気からも、十分にそれが可能だと感じられた。


まだ事件が経って日が浅い、今は嫌な態度や表情を向けてくる者もいるだろうが、それも時間が進めば変わる事もある。


「そういえば結界魔法として、多発多重の限界を超えた事で少し前にニュースになってたな。あれはエドモンド氏が考えたのか?」

「!!そうなんだよ!元々低出力長期維持とのバランス調整を中心に、名前が上がったのがうちだったからさ、最大出力の限界に対してはネガティブになりがちだったのを、親父が色々考えてさ!

出力が既に多いと分かっていれば・・・・って、あ。何か悪い・・・。」

「なんで?私が聞いたんだ。魔法には魔法ならではの成長の仕方がある。長命な魔法使いはそういったチャレンジが苦手な者も多い。エドモンド氏にはできれば会いたかった。」


「・・・・・・・あぁ。親父は本当に凄いやつで・・・・・ありがとう。・・・・ぐずっ。」


 結界魔法というのはそもそも固さと、様々な種類の攻撃に対して合わせた対抗法を組み合わせる必要があるという点から、魔力の出力量もさることながら難易度も高く、結果として高精度を極めれば極めるほどに難解とされている。

つまりそんな面倒なことするぐらいなら、避ける方が良いと考える方が楽となる。


そんな中、和の基礎的魔法ルールも参考にしながら、というのもあったのかもしれないが、出力を調整しながら低出力長期維持を研究してきたのが、元々のあの家の積み重ねてきた成果だった。

それが少し前に高出力ではあるものの多発多重、要は数多く重ね掛けした魔法を設置方式。

高出力ではあるものの作り上げる結界は、個人向けではないものの広い範囲の緊急時対策として有効だと、魔法省が認めた。


 そんな経緯を残しているあの家は、経歴と相まっても努力の家とも言えるだろう。

アイザックは確かに父親であるエドモンドを尊敬し、悲しむ機会を失って怒りに感情を寄せることで、今は落としどころにしていたんだろう。

違う落としを整理する。

それには少し時間は必要だろうが、悲しむ時間を確保しながら向き合っていければ、ただの憎しみや復讐以外の解決方法も見つけてくれると、ひとまずは期待しておこう。


「なぁ・・・。最初に怒鳴って・・・悪かったよ。お願いしてんのはこっちなのに、お前達の状況を見ようともしてなかった。」

「いいよ。それだけ切羽詰まってたんだろう。お前が嘘をついてない事は十分分かった。なら、お前が見た男はいる。

お前はお前を容疑者だとか、犯人だとか言う奴の言葉に振り回されないように、しっかり地に足をつけて前を見ろ。そうすればおのずと前に進める。」


「・・・そうだな・・・・分かった。」

「キュウ!キュキュキュ!!」


 若い魔法使いが世界に触れるたび、まだ柔らかい枝がゆっくりと伸びていく。

それは、基本世界の基準ではかなり長くなる事にはなるが、500年後1000年後の魔法世界が少しでも良くなることもついでに期待しておこう。

このあたりはミランダやエリーザの功績だな。


あまり固定観念の強い家だけの狭い環境下で、育ち続ける事がなくなるように学校規則を見直し、平等に、だが実力主義とのバランスもとる等を丁寧に見直した結果。

イザベルやアイザックのような子が増えてきたのであれば、大きな変化に繋がっている。


正直、少し前までは、和のようなタイプはかなりのレアだった。

いままで家名として全くの功績が無かった家から、いきなり天才として急激な評価を受け、本人も知らないところで、どんどんそれが膨れ上がってしまったが故に、勝手な期待と評価を負わされる。

和は和なりに苦労もしてきてたみたいだったから、良い意味では魔法使い独特の固定観念に影響されづらかったのかもしれない。


「・・・そういえば、お前らが話してたフォーラス家って、魔法使いの”あの”フォーラス家だよな?」

「あぁ。事件自体は大きいからな、どこかで耳にしたことぐらいはあるだろう。」


「あーいや、俺はあんまりニュースとかも見なかったから。その・・だから、事件自体はあんまし知らないんだけどさ、昔その家の人間がうちに来たことがあるんだ。」


「…いつ頃か覚えてる?」

「んーええと、オレはその時はまだかなり小さい頃で・・・確かその家の奴が来た時、確か・・・オレぐらいの女の子も一緒に居たなぁぐらいで。確か・・・・アリス?」

「…アリスを連れて来たのか。何しに来たか、話してた内容とか、その時の言葉とか、何か覚えてる?」


 フォーラス家は本来が暗殺業やスパイ、秘匿な荷物運びといった、あまり公にできない仕事を受けていたことからも、事件以前の事について明るみに出ている情報がかなり少ない。

その為、調べる対象としては、かなり探しづらいので、正直全てを探しきることは諦めている。


そんなところで、まさかの話だった。


「かなりあやふやで、所々なんだけど魂とか。保管とか。何か雰囲気は凄ぇ怖い感じだった。

なんかその女の子の事についてみたいだった感じ?なんだろう多分うちの結界で、どうにかできないか?みたいな?

・・・ごめんダメだ。俺はその時怖くて親父の足元に隠れてたんだ。」

「いや、助かった。もちろんこれを確証にはしないが、フォーラス家については事件前の情報が少ないから助かる。

でもあんまり色々なところで、この事は話すな。特に魔法世界では。

因みに覚えてたらでいいが、その時のエドモンド氏はどんな感じだった?」

「あぁ分かった。あー・・・親父はすげぇ申し訳なさそうな感じで、無理だ無理だって言ってた・・・かな?」


それが今回の殺害にも関連する可能性はあるのか?

いや、でも流石にラグがありすぎる。

わざわざ今になって、目立つような事をするのはリスクだと思うし、無関係か?


「ほら!夕飯出来たぞー!」

「キュウ!キューキュー!!」

「!!キーキー」

「ゴハン!ゴハン!」


いつの間にか、夕飯の仕上げに戻っていた和が声を張った。

みんな待っていたと言わんばかりに、反対側のダイニングテーブルへ集まっていく。


「私達も行こうか。」

「あぁ。」


その後、夕食も終えひと段落。


今日は昼間は寝てしまったので、本当に一日ずっと何かの話を聞く事にはなったが、無事に全員の話が確認できたか。

それぞれのこちら側の提案に対しての、落とどころも無事つけられたのは良かった。

その上、狐の事やアイザックからは、フォーラス関連についての話や一部関連まで確認できたのは、本人も意図してないだろうけど、和と圭のおかげだな。

日向と秀人も昨日は殆ど眠れなかったようで、食後は風呂も珍しく早めに済ませ、部屋に戻っていったみたいだ。

それなら梓も今日はゆっくり風呂に入って寝られるだろう。


「…あ。スズまだここに居たんだね。珍しい?」

「まだ珍しくミーティングまでは時間がある。」

「そっか。何か飲み物を入れようと思ったんだけど、スズも何か飲む?」

「いや、私はいいよ。ありがとう。」


「キュウキュウ」

「キョウはヒト、イッパイダッタ。」

「そうだな。ウーノ?だったか?みんなもお疲れ。」

「そう。ウーノ。ヒナタとヒデトが名前ツケテくれた。」

「珍しく片仮名というか、イタリア語か。」

「キュウキュウ?」


「あぁこの世界の違う国の・・・違う場所の言葉だ。」

「ああ。ソウいっていた。キニイッテル。」

「キニイッタ」


日向と秀人は昔から日本語の古い言葉や名前が結構好きなようで、この相談所の名前もあの二人がこっちが良いと言って、今の名前になったんだが…

最近は少し違うようだ。


「スゴイ喋るヤツ。スゴイ喋ってた。」

「スゴカッタ。ワカラナカッタ。」

「あぁ圭が言っている言葉は、そのままでは言葉も多いし、少しウーノ達には分かりにくいな。」


「・・・いやあれは。私にも分からなかったです・・・。」

「そうだね。まぁ大目に見てあげてくれると嬉しい。」

「キュウ?」


梓がお茶を持って戻って来た。

まぁあの人数でも、確かに圭は目立っただろうな。


「圭は思考が普通に私達が考えている順番と違うようで、思ったことが言葉になる前にイメージとか風景に繋がってしまうようだ。」


「あぁ・・・だから小説みたいなストーリーになるんだね。」

「昔はそれもできなかったから、同じ種族からはコミュニケーションが取れず、あまり話さなかったらしい。」


「・・・そうなんだ。でも遅くてもゆっくりだけど普通に話すこともできてたよね?」

「あれも最近では早くなったが、最初に会った時は返事が来るまでに15~30分かかった。遅い時は1時間待ち。」


「そ、そうなんだ。それは・・・確かに待っている間に前の話を忘れてしまって、大変かもしれない・・・。」

「そうそう。大体こっちからの質問内容とかは、圭が答える頃には忘れてしまっていた。でもああやって喋るようになって、そのイメージしている事を砕いて聞いていると、意外と考えてることはシンプルで普通の奴だから、まぁ時間がある時は付き合ってくれれば嬉しい。」

「分かった。今度また話すときは色々聞いてみたい。でも、スズみたいに理解するのは少し時間がかかりそうかも・・・。」


 圭は本を読むのが、とにかく好きだった。

だから、私が持っている本を読ませたりしているうちに、いつからかああいった話し方をするようになった。

まぁそれが圭が圭なりに、コミュニケーションをとる方法として、努力した結果という事だ。

なので、無理に修正させる気もないし、皆が分からない分は私が説明すればいい。


「まぁヒナとヒデは話がかみ合わなくても、結構ノリで話してるから気楽に付き合ってくれるぐらいでいいよ。」

「ふふ。あの二人っぽい。分かった。スズも昨日も今日もお疲れ様。」

「梓もね。慣れない事は多いと思うから、あまり自分を急かさないように。」


「ありがと。スズって意外と面倒見良いよね。なんだかんだでアイザック君とも仲良く話してたし。」

「基本的に私は良い奴にはちゃんとした対応する。」

「なるほど。因みに嫌な奴には?」


「・・・状況によるけど、苛立たせてみたり、焚きつけてみたりって意地悪するな。」

「あぁ!確かにちょっと納得。・・・さて、私は寝ようかな。スズは無理しないでね。」

「ありがと。おやすみ。」

「おやすみなさーい。」

「キュウキュウ~。」

「オヤスミ。」

「オヤスミナサイ。」


「お前たちもゆっくりおやすみ。」


 梓は今回色々な部分でサポートしてくれて、私が見えてない努力もしているようだ。

良い奴というのは、結局そういう事をしてくれる奴らだ。

和も日向も秀人も圭もみんなそれぞれで努力をした結果、上手くいく結果に繋がっている。


最近は、流れ着く縁に温度がある。

イザベルやアイザックもそうだな。


皆の努力を無駄にしない為にも、私も頑張ろうか。

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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