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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
25/33

答え:簡明直截

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

私が何者か?


それは今の私自身にも分からない。

これが梓が求めている答えではないことは分かっている。


私の存在はあくまで時代と世界が勝手に評価している。

そういった評価に対して…


騙されていなくなった者。

愛想が尽き、いなくなった者。

その不変とは真逆なものに振り回された者。

終わりがないことに絶望した者。


運良く?運悪く?

崩れた山の中で、偶然立ったまま残った私。

梓はどう感じるだろうか。

恐れ多いとして神のように扱うか、自分に照らし合わせ同情の目を向けるか、よく分からないものとして恐怖を感じるか。


何でもいい。

もう本来の私を知っているモノは誰もいないのだから――


「スズ」

「ん。すまん。ちょっとぼーっとした。」

「昨日も遅かったからな、日中はミーティングもないし少し寝たらどうだ?昼ご飯ができたら起こしに行くよ。」

「んーそうだなぁ。ちょっと寝る。じゃあ後は宜しく頼む。」

「分かった。」

「「はーい!」」


 梓の死亡履歴について死神からの返事がまだ来ない。

なので山本梓の魂回収担当者との日程調整についても、同じく返答待ち。

現場についてはアンジェラの連絡を待ってからで良いだろう。

日本酒の注文はした。

圭はまだ起きないだろう。

アイザックについては情報が揃い次第に・・・


いつもの階段下のソファに身を置いた時

意識は、湯に沈めた砂糖みたいに静かに溶けていった…


いつもの場所。


いつもの彼女。


いつもの・・・


多少落ち着きを取り戻したと感じられてきたところで、あの男が現れた。

当初からとにかく『それはやめておいた方が良い』と促してきていたが、それを聞くならそもそもこんなことにはなっていない。


「どうして、あんなに喜んでくれていたのに・・・」

「彼は彼で自分のやり方をみつけたのだろう。」


「そんな・・・それならまた戻ってきてくれるのかしら?」

「それは分からない。そこに執着するのはやめた方が良い。」

「いや!そんなの無理よ・・・。私が、私にとってやっと見つけられた生き方なのに・・・・・・そんなの今さら・・・」

「それでも。そこに執着していてはそのままこの先進めない。」


「・・・・・もしも・・進めないとどうなるのかしら?ねぇ?」


彼女が聞く耳を持たない事はもはや分かり切っている。


「イヴお姉さん!おやつ作ってみたのー!一緒に食べましょうー!」

「フィー。・・・ありがとう。でも、また今度ね。」

「お姉さん?スーまた喧嘩してるの?」


喧嘩ね。

喧嘩になればいいのだけれど。


「スー。あなたは強いわ。私にはあなたのように流されてるだけなのに、ちゃんと自分を残して生きている。そんな生き方はできないわ。」

「・・イヴ。すぐには出ない答えもある。」

「私は・・・多分。いえ、私はあなたが羨ましいわ。だからきっと彼もあなたを・・・」

「イヴ。」

「イヴお姉さん?」



『私はあなたが憎い。』

「!・・・・・はぁ」


夢を見たようだ。


時計を見れば1時間も経っていない。

汗だくで息が苦しい。

私は私の事が好きではない。

状況に合わせた意見が最適解だったとしても、人を救うかは別だ。

でも人を慮って考えた言葉ですらも人を傷つける。

上手くいかない事と上手くいった事が、それぞれあるのは当たり前だという事は分かっている。


だが、上手くいかなかった場合の人間はどうなる?


運が悪かった?

たまたま?

仕方がない?

過去の事?


「うっ・・・」


胃の奥から、後悔だけが逆流してくる。

トイレに駆け込む。


 考えても仕方ないことでも、考え続けてしまう。

誰かを助けることでそれが楽になると本気で思っているわけでもないのに…

こういうことをやらなければ、多分。

私は何もない部屋で何もせずにずっと同じことを考えるだけの

『何か』

になってしまうと確信してる…


それなら、運よく助かった人間が一人でも居た方がまだマシだと。

効率的だと?

私は変わらない。

変われない。

イヴ――今でもあなたにかけられる言葉が見つけられない。


「はぁ・・・」


「スズー?起きてるのかー?・・・・大丈夫か?体調悪そうか?」


トイレにうずくまる私を見つけて、和が声をかけてきた。


「いや、眠りが浅かった。大丈夫。」

「今日はミーティングはやめた方が良いんじゃないか?」

「いや。あった方が助かる。」

「・・・はぁ。一先ず上のメンバーは問題なさそうだし、俺の方で面倒みれる。」

「そうか。助かる。」

「梓さんの事では何があるか分からないんだ、休める時にはちゃんと休め。」

「そうだなぁ。昼ご飯はスキップして、もう一度寝てみる。」

「・・・その方が良さそうだな。後でおかゆを持ってくる。」

「別に、体調が悪いわけじゃない。」

「吐いておいて何を言ってるんだ。尚弥に土曜日診てもらえ。」

「体調からくるものじゃない。」

「精神的にもな。分かってるなら、なおさら今は休め。眠れないなら精神魔法でもかけてやる。」

「・・・物好きだ。」

「おかげさまで。」


トイレの床ですっかり体が冷えてしまった。

戻るか。


この数日で色々ありすぎて考えすぎたついでに、他の記憶も呼び起こしてしまったんだろう。

やがて200年以上前の事になるのに、いまだ後悔している事を自覚させられる。

彼女の魂は今どこにあるんだろうか…



スズは布団に入った途端に寝てしまったようで、深い呼吸に入っている様子。

暫く様子を見てもこのままなら、魔法をかける必要もなさそうだ。


 スズはいや、スズ達は魔法世界では一般的に『historywalker』と呼ばれ、歴史の歩行者という名前通りの生き方をしている。


基本的には梓さん達と同じ基本世界に生まれる事が殆どで約60~90年ぐらいの人間の人生を生き、そしてそれを繰り返しているという。

俺は最初その事については、文献程度の知識しかなく正直伝説や昔の語り事程度に考えていたから、実際に存在している本人を見てもまず信じられなかった。


 だが、彼女のその知識量や現在も生きている、1000年近い魔法使いでも知りえない過去の事についての細かな内容、魔法世界での500年台層も含めた広い関わりを見て、改めて信じ難いと思いつつも信じるしかなかった。

スズ曰く、スズ以外にも当時historywalkerは5人居たと言っていたが、何故いなくなったかは分からないが2人は消え去り、今残っているのは3人だけらしい。


 地球そのものが生まれ、人類らしいものが生まれてから繰り返してきていたのは、今はその残った3名。

言語の文化が生まれた事は人類が生まれてからかなり後になるから、実際には人類らしいものが生まれてからの、全ての経験や知識を明確に維持しているわけではないとの事だが、それでもホモ・サピエンスという人として生きる段階から、もしも繰り返していた場合それはおよそ30万前だ。


それは魔法使いの俺にとっても、一人で干上がらない海を渡り続けているような…


永久としか言いようがない長さだ。


 彼女がそれを繰り返しながら、人の手助けをしようとしているのは何故なんだろうか。

活かせるもんは活かす。

どうせ暇だから。

とか色々言っていたが、まぁそれも一部では本当なんだろうけど、それは狂ってしまいそうな時間を生きてまで、やることなのかどうかという理由としては、薄い気がしてしまう。


別に止めたっていいんじゃ?

とか、それこそその時代の人間で解決するべき事だし、放っておいてもいいのでは?

とも思ってしまう。


…やめよう。

俺にはどうせ推し量れない事だろう。


「・・ん・・・」


 スズが夢を見ているようだ。

簡易魔法をかけて眠りを落とす。

これで暫くは夢を見ることはないだろう。

再び深い呼吸に入った事を確認して上に上がる。


…階段を上がりながら、昔の事を思い出す。


 攻撃系魔法使いとして気が付けば天才の名を受け、高い評価を受ける事が多くなった。

家族からもその家名が急に有名になった事で、勝手に特別視して周囲と同じく、まるで奇跡だとか神童とか勝手にまつり上げてきた。

それは、正直ただ魔法を勉強してそれが一部上手くいったな、とぐらいに思っていた俺には、かなり過大評価に感じていたし、正直鬱陶しかった。


 その後も常に高い結果を期待するような視線・言葉を受ける続け、ただただ興味がある事を知りたかった学びたかっただけの俺としては、酷くその扱いにストレスが溜まってきていたし、焦っていたと思う。

追い詰められた結果、自分の魔法に限界を感じ、もうこの先成長できない可能性に不安感が募っていた。


そんなある日。


数少ない誰にも声かけられない場所として、通っていた図書館を出た時にスズと会った。


「おや?なんか見た事がある。どこかで会ったかな?」

「さぁ?俺は知らん。」

「なんだ、凹んでるのか?不貞腐れた子供のようだな。」

「うるせぇ。」


そうして彼女も興味が失せたのか、最初はそれだけだった。


だが、次の日。

また彼女に会ってしまった。


「へぇ?彼が例の天才魔法使い?」

「まだ若いからね。周りがそうはやし立ててるんだろう。」

「・・・・」

「やぁ?昨日ぶりだね。初めまして。」

「お前ここの人間だったのか・・・」


いち名門大学の学長が

「もし良ければここで勉強してみない?」

と声をかけてくれたので、一応勉強はしたかった気持ちも残っていた事から、挨拶に来てみたら…


何故か、昨日の女が居た。


「いや?私は部外者だよ。彼女が会わせたい人が居るというからちょっと興味がてら待っていただけ。」

「・・・あんたらも俺が天才だとかだと思ってんのか」

「まぁそう評価するものもいるらしいね。ヴィンセント。君は自分をどう評価している?」


学長のエリーザ・グラッツェルは軽い挨拶が終わって、早々に昨日の女を呼び、今そう質問をしてきた。


「さぁ。そういう奴がいるって事はそういう奴よりは多少できるんじゃねぇの。」

「ひねくれた意見だね。まぁ無理もない。

急にそんな評価をされ、家族からも特別視されては君も大変だっただろうね。

こちらはそういう評価は気にしない。あくまで実力のみを評価している。」

「はぁ・・」

「なので、君がただ単純に魔法を勉強したいと望むなら、我々は歓迎するよ。」


正直、その言葉はかなり嬉しかった。

ずっと思っていた望みの声に近かったし、やっぱり素直に勉強したかった。

そうして、隣の女はともかく、ここで学べることを素直に受け入れた。


「おや。結構よく会うね。真面目に学んでいるそうじゃないか。」

「・・・あんたか。部外者って言ってなかったか?」

「そうなんだけどね、ちょっと今は彼女の手伝いをしているからたまに来てるんだ。」

「手伝い?あんたは研究員とかなのか?」

「んーそれは正確には違う。私はあくまで知っているだけだからね。」

「・・・・?魔法の事に詳しいなら、この先の魔法なんて調べるだけ無駄だって分かってるだろ。」


戦闘となれば、魔力が強い方または容量が多い方が勝つ。

保護・サポートだって、どれだけ先読みして早くくみ上げるかの問題だ。

結局、本人の生まれ持った能力と多少相手の考えを先読みする能力をつけるかだ。

俺の場合はスピードを重視し、短縮方法を特化させたりそのおかげで同時発動を加えられたから評価されただけ。


「なるほどね。確かによく勉強してるようだ。だからこそ勝手に限界を感じてしまっているのかな。」

「限界だろ・・・。相手に勝つだけなら、結局は生まれ持った能力次第だ。」

「君はまだちょっと攻撃魔法を習得して、勉強しただけだろう?」

「・・・・」


そんな感じのやりとりを何度かした気がする。


でも彼女は基本的に明確な否定も肯定もせず、曖昧な反応ばかりだと感じていた。

それでも天才だの言ってくる奴らと違って、俺とちゃんと話してくれる彼女との会話は多分気に入っていたんだと思う。


だけど…


「きゃ!!すみません!!防御してください!」

「っ・・・」


大学の広場で攻撃系魔法を練習していたようで流れ弾が彼女に当たり、彼女はそのまま怪我をした。

急ぎ看護室で治療を受けたので、幸い大きなことにはならなかったが、散々魔法の事について限界を決めるのはどうだろうか、みたいな反応ばかりしていた彼女が、怪我をしたことに。


何故か勝手にショックを受けてしまった。


「お前、なんで防御しなかった。」

「流石に、急には何の用意もなかったからね。私は魔法は使えないよ。」

「はぁぁぁぁ!?お前・・まさか、同居人なのか!?」

「そうだ。」

「・・・・・魔法も使えないくせに、限界がどうとか・・・てめぇ何もしらねぇんじゃねぇかよ!」

「勝手に限界を決めてるお前よりは分かっていると思うけどね。」


「ああ!?っもういい!!!」


それを最後に、彼女を見かけても声をかける事はなくなってしまった。

…あの時の俺は、正しさよりも悔しさの声が大きかった。


そうして5年ぐらい経ったか何かのタイミングで、たまたま彼女と学長が話しているのを立ち聞きしてしまった。


「もう少しすれば長い戦争の時代が始まってしまうだろう。

一応、500年代層には掛け合ってみるが、もうここへは戻ってこないと思っていておいて。」

「サーズ。あなたは基本世界の人間なのだから、自分の世界に戻ってくれてもいい。

これは私達の問題だよ。」

「まぁ世話にはなったし、色々学ばせてもらった恩義だとでも思ってくれ。」


「・・・・無理はするなと言ったところで・・・お前には通じない言葉だろうな。

ここの子供たちは戦争になれば必ず駆り出される事になるだろう。少しでもどうにかできるのなら・・・頼む。」

「努力はする。また会えることを祈っている。」

「あぁ。」


――そうして、その世代としては5つぐらい前の、その姿の彼女を見たのがこれが最後だった。


 後からスズに聞けば、あの後すぐは戦争の勃発のきっかけとして名高い国のお偉いさんに掛け合って、すぐに殺されてしまったそうだ。


それがあり直接の説得は諦め。

その後――

2代かけて相手方に入ってみたり、輸出入制限などもやってみたり、と色々やってみていたそうだが、あまりいい結果にできず凹んだ。

…と言っていた。


後から聞かされたこちらとしては、3回も殺されながらも止めようとしたんだからもう十分だ。

と思うのだが、自分の死に対しての価値が低いようで、本人としてはそれは自己犠牲精神ではないらしい事など、やっぱりどこか感覚に違いはあるようだ。


こちらが単純に心配している事に対しても

『あ。これ通じてないな。』と思う事も多いので

梓さんや日向、秀人達とは違った部分で心配になる。


「スズまだ寝てる?」

「大丈夫?」


 3階でお昼ご飯を待っていた日向と秀人が、スズと一緒に上がってこなかったのを見て心配したようだ。

こういうのが伝わらないんだよなぁ。

多分昼ご飯食べる事を待たせて悪かった、ぐらいに受け取る。


「いや、昨日は夜中に本当に疲れて帰ってきてたから、まだ眠いんだそうだ。もう少し寝かしておこう。後でご飯は持っていくよ。」

「わかったー。」

「良かった。」


そろそろご飯も炊けるし、最後の仕上げをしようか。

台所のふちにノックをして、止めていた部分から再び続きが再生する。


「あれ?梓さんは?」

「イザベルと一緒に6階でまずは英語の勉強するって言ってたよー。」

「ああ、早速頑張ってくれてるんだ。真面目だね彼女。」

「梓真面目ー。」

「アイザックは?」

「あ。はい。」

「ごめんごめん。そっちに居たんだね。」


 日向と秀人は元気のあまりやりすぎてしまう事は多少あるけれど基本的には言った事は守るし、黒い子達も家事をところどころ手伝ってくれたりもしてくれて、問題を起こす感じは全くしない。

アイザックについてはまだ心配だけど、今はひとまず落ち着いてるし、事件については順を追って俺の方で調べられるだけ調べてみよう。


今回は俺のせいで受けることになった相談ともいえるし、昔トルストイの人にはかなり良くしてもらったのは本当だ。

借りは返そう。


俺からは永遠を生きているくせに、誰よりも息を詰めて走っているように見える。


そんなあいつがやりたいように…

でも時々は勝手にこちらで調整して、人生の1/10000の時間でも楽に生きてくれればいいよ。


俺達には次はないんだから、俺も俺なりに好きにさせてもらうさ。

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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