疑問:気になる事は増えていくばかり?
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
–ピンポーン
「「薫ー!」」
9時5分に鳴ったインターフォンに反応して、双子が2階から駆け降りる。
その勢いのまま玄関の戸を開く。
予想通りの人だったので、双子は更にテンションが上がる。
「こんにちは!薫ー!待ってたー!」
「こんにちは!どうぞー今用意してまーす!」
「二人とも!!開ける前にちゃんと確認しなさい!!」
「「はーい」」
「あらあら、相変わらず元気ねぇ。」
「あらあらー」
「元気ですー」
薫さんとは採寸と試着の時に会っていた。
彼女のふんわりした雰囲気で、空気が和む。
だから今日も、特に緊張はなかった。・・・のだけど。
とりあえず和室の応接室で私が出来る分だけ着替えてお待ちしていた・・・というのも質問するタイミングが無かったので聞けなかったけど、何故わざわざオーダーメイドで用意するのかとも思っていたそれが、まさか着物だとは。
自分の部屋でひとまず長襦袢を着た。
出来上がっている着物(色留袖というらしい)は、私一人では到底着られないので、そのまま薫さんを待つ。
と、なんか変な緊張をしながら待っているというこの現状。
「ふふふ、今日は楽しみね。早速準備しましょうか。」
「じゃあ、よろしくお願いします。僕も着替えてきますので、準備が出来たら声かけて下さい。」
「分かったわ。わくわく」
「薫さん。よろしくお願いします。」
薫さんはいつも楽しそう。
そんな薫さんを見ていると多少これからの緊張も・・・うーん。
早速道具を鞄から取り出しながら、わくわくと準備を進めていらっしゃる。
そういえば、一緒に行くスズも着物なのだろうか?
部屋は和さんが出た後、薫さんとイザベルと三人きり。
イザベルも基本的に他に人が居る時にはあまり話さないので、静かな空気が流れる。
でもやっぱり薫さんの雰囲気のおかげで気まずい感じはない。薫さん楽しそう。
「帯はかなり締めるのよー!だから、もし凄く苦しかったりしたら教えてね。ご飯は食べないって聞いてるから多分大丈夫だと思うけど、もしも途中で気分が悪くなったりしたらすぐに和達に言うのよ。」
「わ、分かりました。」
最後に着物を着たのはいつだろう?成人式かな?
でも振袖と違って今日の着物は凄くシンプルで大人っぽい色合いや柄になっている。
ベージュをメインに和風なデザインが入っていて帯は金色っぽいが全体で見てもそこまで派手な印象はなかった。
ただ立っていても暇だと思い、作ってくださった着物を改めて眺めていたけど、そんな事よりも薫さんの手際はかなりよく、あれ?着物ってこんなすぐ着れるものなの?と思うぐらい。
初めて着物を着た時はただひたすらに立ち続けて、それだけで疲弊してしまった苦い思い出だったけど、薫さんは10分ぐらいでどんどん進めていき、最後の帯締めに入る。
帯がぐいっと締まる。
体が自然に前に倒れそうになる。
「グゥ…」
薫さんは笑いながら、さらに締める。
「もうちょっとよー!」
返事は「はいぃぃ」しか出ない。
やっと着付けが終わったと思ったところで次に髪型、化粧と薫さんはどんどん進めていく。
再びボーっとしている中で今日のお偉いさんについて考える、というかなんだか私でも予想がつく。
最近見ているお客様リストからも有名な名前や会社、さらには専門家といったそうそうたるお名前が連なっているのに、和さんは基本的にその方々を全てお客様と言う。
では「お偉いさん」は?となるともう選択肢は限られるし、こーんな畏まった服で挨拶に行くとなるともう答えは一つと言っているようなもの。
「ふふふ。不安そうね。」
「・・・えぇまぁそうなんです・・・。」
「大丈夫よ。きっと大丈夫。」
薫さんとの空気は今はこんなに和んでいるのに、これからの事を思うと緊張感が高まってしまう。あー何もやらかしませんように。何もやらかしませんように。
「はい!お疲れ様ー。」
「あー・・・ありがとうございますぅ。」
髪型もアップヘアで着物同様にどんどん締め上げ、顔も何が起こっているか分からないぐらい違和感があるけど下手に触りたくない。
ううう。着物ってこんなに動きづらいんだっけ?
「和くーん!和くーん???」
「終わりましたか?和は今、車を回してきています。」
「あら、スズちゃん。お久しぶりね。」
「ご無沙汰しております。」
「時間ギリギリかしら?一応これが着替える場合の服ねー」
「問題ございません。分かりました。いつも誠にありがとうございます。」
「いえいえーまた御贔屓にー。」
「はい。また是非どうぞよろしくお願い申し上げます。」
–カララ
玄関の開く音のようだ、庭の方では日向の声が聞こえる。
予定通り黒い生き物達と散歩に行っているらしい。
「あ。準備できましたか?行きましょうか。」
「はーいぃ。分かりました。。」
「いってきます。」
「はーい、いってらっしゃーい!」
「・・・どうぞ神のご加護がありますように。」
移動に集中していてみると着物を引っ張りすぎないようにちょこちょこ進むのがかなり大変。
どうにか和さんやスズの方を見ると、残念ながらスズは着物ではなくフォーマルドレス?っていう感じの綺麗目の紺色のドレスだ。
私もそれが良かった…
車での移動中も帯の後ろが潰れないように、前かがみになってしまい、これは移動だけでも大変だ。
うぐぐ。
「そういえば、和。神棚を次の日曜日に庭に用意。」
「はい?」
「先週、無くし物をしたから探してほしいって相談。まだ見つかっていないけど、日曜日には返す予定。」
「あー先週、いらっしゃったお客様は神族の方だったのか。分かった。どこだっけ?倉庫探さないといけないな。」
「おおお?かっ神様もいらっしゃるんだ・・・」
「ごくたまに。どうせ断れない客だからすぐに圭にも手伝ってもらっていたりで忘れてた。」
座るのにも喋るのにも苦労しながら…はぁ
スズの話をなんとなく流していたけど…ふぅ
流石に反応してしまった。
お客様に神様も来るのか。
断れないって、そういうことか。
というか、スケジュール管理の面で考えると、断れないお客様がいらっしゃるという事は覚えておかなくては…
帰った頃には安心して忘れてそう。
そしてもう、一般的なお客様という概念は忘れよう。
きっと人の形という事ですらない事もありそうだし。
どうせ私の常識内では推し量れない事は山のようにあるだろうから。
そして、やはり予想通りのようで目的地は近かった。
ここら辺は仕事関連で近くを立ち寄ることはあったけれど、まさか中に入る事になるとは・・・
入口で車を降り、足元だけを見て進んでいると、道がやけに長く感じられた。
入口での対応やところどころニュースでしか見たことないような人からの挨拶は和さんが対応してくれているので、出来るだけ笑顔を作りつつも歩く事に集中。
コケそう。
途中途中で声もかけられ、
「あの、少しだけでもお時間いただけませんか?」とか
「良ければ名刺を受け取ってくれないでしょうか?」とか
「あの!挨拶だけでも・・・」とか
しまいには「ちょっとこれについて意見を・・・」とスズに資料を見せようとしてくる方も居たが、和さんが全てに「申し訳ございません。本日はご挨拶にお伺いいたしましたので、またの機会に」と流していく。
スズは涼しい顔をして無視してる。歩きやすそう・・・
ようやく目的の建物に到着したらしく、入口でいつもニュースで見ている完璧な笑顔をした美しい女性に近づいていく。
「ようこそ。いらっしゃいました。」
「こちらこそこの度は急なご相談にも関わらず、ご拝謁の調整をいただきました事、誠にありがとうございます。」
「いえいえ、神崎様もスズ様もお元気そうで何よりです。そちらの方が山本様でしょうか?」
正直ご本人が入口でわざわざお迎えに来て下さるとは思ってもいなかった。
どどど、どう返事すれば・・・いいんでしょうか?
内心てんやわんやで言葉に迷っていると和さんがさっきまでより遥かに丁寧な言葉で対応してくれた。
もう任せるしかない。
「日名子様もご息災のことと存じ、何よりでございます。はい、おっしゃる通りにこちらが今回ご相談させて頂きました”山本梓”さんと申します。」
「初めまして、私は日名子と申します。山本様はこの度は大変なご苦労があったことと存じます。お疲れさまでございました。」
「あ、ありがとうございます。」
「あまり堅苦しい場所ですと、皆さまもご緊張されるかと存じますのでどうぞこちらへ。」
室内はとてもシンプルだったが、埃一つなく置いてある物全てに高級感が漂っている。
恐ろしすぎて、どこも触れられない・・・。
日名子様は丁寧に部屋へ案内して下さり、他の方も丁寧に紅茶をご用意してくださる様子を、とにかく姿勢を崩さず笑顔でいる事に集中して見守る。
そして紅茶が全員分そろったところで、手配してくださった方々は静かに部屋を出て行き、部屋は日名子様を含めて4人。
あ、イザベルが静かに足元にいるので5人になった。
「さて少々言葉も崩してお話ししましょう。山本様も気楽にしてください。」
「ありがとう、ございます。」
「そうですね。本当に急遽でしたので、お時間もあまりないかと思いますので、スズ」
入口での最初の会話はビジネス経験が長い私にとっても使い慣れないほど固く、緊張に緊張を重ねほぼ思考は止まっていたけど、日名子様のお気遣いを頂きぎこちなくはなってしまうものの少し緊張が抜けた。
「日名子も元気そうでよかった。先月はアジア内陸部にかけて訪問も重ねてたみたいだったから少し心配したよ。」
あ。スズはどこまでもいつも通りなんだね。
本当にあなたの立ち位置って何?
日名子様も気にする様子はなさそうだし、いつもこんな感じなんだろうか。
「スズは相変わらずのようですね。あちらこちらで噂を耳にしますので、楽しく聞かせてもらってます。」
「まぁ噂があることは良い事だと思って貰えればいい。さて本題だけど、彼女、山本梓を正式に内のメンバーとして扱う事にするので、書類関連や個人情報についても私や和達と同様に対応して欲しい。」
「ふふ。わかりました。要件は先にいただいておりましたので、その辺は担当者にもリストに追加させていただいておりますよ。あとは海外からの質問やご相談についても、いつもと同じように対応するようも伝えてますよ。」
「話が早くて助かるよ。」
「こちらも長年色々とお世話になっておりますので、このぐらいでしたらいつでもどうぞ。でもここに招くと山本様も緊張もしてしまうかと思いますので、もっとお気軽な場所で今度はお話しましょうよ。」
「まぁ他のところからの見た目も大事だから。今日来た事やお出迎えしてくれたことは、新しい方々にとっては初めてだろうからね。最初の挨拶だけはここに来るまでが必須かな。」
「そうですね。口をはさむ方はどうしても出てきてしまいますからねぇ。」
「日名子様のおかげで僕たちも大変助かっております。いつも本当にありがとうございます。」
「そう言っていただけると私もうれしいです。良かったら本当に今度、相談所へ伺っても良いでしょうか?」
「それは、構いませんがいらっしゃるの、大変ではありませんか?」
「ふふふ、私も長年かけてここまできておりますので、隠してくれる方の1名や2名いらっしゃるのですよ。」
日名子様はテレビで見るよりもかなりお茶目なようだ。
固くない場所なら本当に仲良くできそう。
「私たちはいつでも歓迎いたしますが、タイミング次第では会ってしまうと面倒な方も一部いるので、来る前には是非ご一報ください。」
「分かりました。年明け落ち着いてからになると思いますが、すぐに調整しますね!」
要件は本当に最初の部分と挨拶という事だったらしく、その後は何か大事な話をするでもなく雑談をしていく。途中で日名子様が「練習したので是非見てください」とピアノを弾いて、スズがそれに合わせてバイオリンを弾いた時には違う意味でびっくりした。
「さて、楽しいお時間なので本当はもっとお話ししたかったのですが、そろそろこの辺にいたしましょう。」
「そうだね。また来るよ。」
「今日は貴重なお時間をありがとうございました。」
「ありがとうございます。」
部屋を出てからは再び堅苦しい状態に戻るので、再度緊張してしまうけど帰りだと思うとちょっと安心。
車に乗った時には帯も気にせず、力が抜けた。
「はぁぁぁぁぁぁ」
「梓さん、お疲れ様。でも、面倒はこれからなんだけどね。」
「へぇ?まだ何かあるんですか?」
「この世界の挨拶はひとまず、これだけで済むんだけど、次は魔法の方にも行きますよ。」
「・・・な・なるほど。え。もしかしてこの格好のままですか?」
「その恰好が一番礼儀に即してるから無難だと思うけど、着替えます?」
「えー・・・っと、それは何とも・・・」
私に聞かれても、魔法世界のお偉いさんがどんな感じなのか全く知らないし、無難ならこのまま行ったほうがいいのかなぁ。
でもほんとは今すぐにでも着替えたい。
「着物って大変そうですよね。スズは絶対に着ないって言って、いつもドレスの方にするんですよ。なので、薫さんが別に用意してくださった服の方でもいいですよ。アフタヌーンドレスだと思うので」
「スズ・・・」
「まぁ一番無難な日本の礼服は着物。第一印象としても良いし、今後も何かと着る場面があるかもしれないから元々用意しておきたかった。」
「・・・まぁ。それはそうかもしれないけど・・・なるほど。でも、あの、着替えさせてください!」
「ははは、はーい。検問所で着替えましょう。」
車はこれまたすぐに目的の場所に着いたらしく、先日退職してしまった会社の近くみたい。
ていうか普通に魔法世界って行けるの?検問所ってあるんだ。
再びあの地に行くんだ。
と思うと正直凄く嫌なんだけども、今日は前回とは違うしスズも和さんイザベルも居るから大丈夫。
でも、和さんに昨日色々言われた事をちょっと思い出す。
きっと今日の為に言ったんだろうけど、内容が不穏過ぎて先日の事とは別に不安が残る。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




