答え:若き分別は老人に問う者多し
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
梓の退職については、彼女の元上司が朝礼で伝えた時には職員で顔見知りの方々からは驚きや悲しみの声があがったり、疑問や質問も多く上がっていたが、その上司もその更に上からの指示だけを伝えているので残念ながら答えられることはないだろう。
ならば仕方ないとばかりにそれぞれが、考えることを止めるように仕事へ戻っていった。
彼女は約8年この会社で働いていたらしいので、ところどころで惜しまれる声を一日中耳にした。
もしも全てがスムーズに進み良い解決策が出た時には、この会社への復職もできたら良いのだろうけど、あまり可能性が高いとはとても思えない。
会社の屋上でお昼ご飯を食べながら、スマホを確認すると、待っていた連絡が入っていた。
内容を確認した瞬間、胸の奥で嫌な歯車が噛み合った。
『アリス・フォーラス』は死んだと一度登録があった後、何者かによってその名前は書き換えられて、その場所には『山本梓』の名前があったそうだ。
魂の移し替えの際にタイミングの良い体が偶然『山本梓』という人間だったのかという可能性も考えていたが、明らかになったこの書き換え情報からはもともと予定または計画していた可能性の方が高いだろう。
だが何故、山本梓の履歴を消してアリス・フォーラスの履歴にしなかったのか?
彼女の経歴を調べる際に『山本梓』の出生から今に至る前の経緯を確認していたが、その時にはこれといって不審な点はなかった気がしていた。
19歳の時に「人間関係が原因の自殺」という事で、こちらの警察側の書類に記載があった。
一応その時の書類や現場情報をできる範囲で見せてもらったが、流石に個人情報ということもあり全ては確認できなかった。
山本梓の両親はともに存命で、彼女には兄もいるとのこと。
青森県出身。
東京に上京してきたのは大学に上がる18歳の時、その時の記載内容を思い出しながら引き続きメールを確認していく。
–山本梓の死後、魂の回収担当者「アンドレイ・チェジール」
報告では『回収後、門の担当者に引渡し済。』とあるとの事。
山本梓の魂は死後、回収され地獄の引き取り担当者に引き渡しまで完了したということ。
当たり前だが体が生きている事については触れていない。
魂が回収された後にまさか体が普通に生きているとは思わないだろう。
偶然ではなく二人にもしも関係があるとしたら、山本梓が死んだ直後からアリス・フォーラスの魂が入るまでの状況について、もう少し確認がしたいが流石に自殺時の警察の報告に葬式などの事についてまで記載があるわけもないし。
基本世界の人間側の記録としては、警察の資料がある。
警察では対象者の死因が自殺の場合、他殺の可能性もあると考えてまずは捜査する。
なので死亡時の現場の状況や第一発見者の事、医者からの死亡時の詳細までは大まかには確認できる。
その後、何事もなければ彼女の体は葬式のある場所に移され、葬式後に現在の日本では火葬される筈。
問題は、肉体側だ。
火葬された場合、肉体を戻すとなるとその辺の魔法使いではまず出来ない。
火葬前に接触があったと考える方がその場合は可能性は高いと思うが、いずれにしてもこの辺りはこちらの世界の資料では調べきれないだろう。
一応先日調べた時に用意した。
病院の資料ももう少し細かい部分まで確認するか。
そしてもう一度、お隣さんの方に行くしかない。
彼らはこちらを同居人と呼ぶように、現世界とは違う場所で同じものを見ている。
もしも『山本梓』を追いかけていたとしたら、どこかにヒントはあるかもしれない。
お昼時間が終わり、思考を畳んで仕事場に戻る。
いつの時代も仕事というのは山のようにある、人間は楽してはいけない制約でも負っているのだろうか。
「池田。ここ日付と次のミーティングの内容に修正して、PDFにしておいてくれ。」
「分かりましたー!今日の議事録と合わせて、先輩に後でまとめてお送りしますねー。」
お前、ミーティング中ずっと寝ていたからな。
話聞いてなかっただろ、お客様に突っつかれる前にこいつには議事録を確認させなくては。
—プルルルル。プルルルル。プルルルル
3コール目で電話を取る。
「はい!××××会社受付担当の池田です。」
「・・・はい。入り口までいらっしゃるんですね。かしこまりました!今からお迎えに上がりますので今しばらくお待ちください。」
カチャン
「先輩。ちょっとお客様が下にいらっしゃってないか、見に行ってきますー!」
と言って、部屋を出た。
エレベーターで移動し1階のフロアを出ると、入り口の方に男が立っているのが確認できる。
恐らくあれだろう。
自動ドアをくぐり、脇に居た男性に声をかける。
「こんにちは、お客様でしょうか?」
「・・・お前が3番目のwalkerか?」
「どちら様でしょうか?」
「知る必要はない。」
「市原様ですね!どうぞこちらへ。会議室は5階となりますのでご案内いたしますね。」
電話で言われた内容と同じ事を言ってきたので、迎えに来た男で間違いはないようだ。
他の人が電話に対応していたら、ただの迷惑電話だろう。全く。
男を連れて、エレベーターホールの脇を進み奥の方へ向かう。
裏側の出入り口へ案内を続けていくが、普通の会社だ。
他のフロアの会社員や管理人も多く行き交っている。
この状況で派手なことは出来ないだろう。
そう判断して、背後の男を案内しながら様子を見る。
黒のスーツの下にはナイフはあるようだが、流石に銃などの飛び道具はなさそうだ。
持っているスーツケースは10キロ前後といった様子、爆弾などの可能性があるが男が自分で持っている間は様子見だ。
40代前半といった所か、ガタイが良いな。身長は170㎝前半。
先ほどの声のトーンは緊張している様子もなく、男もこちらを観察しているようだ?
何かがおかしい。人形の目をしている。
目の焦点が定まっていないような…
これは操作系で操られている可能性がありそうだ。
walkerと呼ばれるのは久しぶりだ。
ポケットに入れたスマホをポケットから出さずにそのまま操作し、このあたりで対応できる警察の知り合いに一報入れる。
そうしているうちに裏口にたどり着いたのでドアを開けて、男の方に先に出るように促す。
男が出る為に私の横を潜り抜けたタイミングで、肩が並んだ刹那、半歩だけ踏み込んで真横から頸動脈洞を強く圧迫。
「・・・!」
男が何かを言おうとするのを無視し、圧迫した状態を維持。
流石にデカいので、体勢を崩させる為に足で男の後ろ側から膝カックン。
まずは男は気絶した事を確認し、スマホをポケットから出す。
もうすぐ来るであろう警察に引き渡すとしよう。
その後、無事に予定のお客様はいらっしゃっていたようだ。
現在会議中の会議室を確認しつつ、頼まれていた資料や議事録その他の作業を先輩がいないうちにと終わらせ、先輩が戻ってきたころにメールを送り、すぐに確認するよう促し、仕事が残らないよう進めた結果、無事17時4分には会社を出た。
相談所へ戻る前に、男の事について警察署に顔を出して事情聴取の内容を確認する。
ややチンピラのような羽柴という男が言うには、男は『東賢一』と言い、あのビルに何故行ったのか、何の用があったのか何も分からないと言っているそうだ。
理由もなく、6㎝以上のナイフを持っていたので一先ずは銃刀法違反として扱われているようだが、そのナイフも自分の物ではないと言っているとのこと。
魔法や怪異からの記憶操作や憑依といった介入の場合、正式な法律内では裁けない可能性もあるので、過去の経歴を確認してもらい目立った犯罪や問題を起こしていないようであれば、様子を見て帰してやるように伝えた。
念の為、男の住所を聞いておいて、圭に暫くは観察しておくように伝えておこう。
警察署で思ったより時間を食ってしまったので、相談所に帰ってもゆっくりご飯を食べる時間はなさそうだ。
相談所へ到着するなり地下へ降りる。
ミーティング中に昼に確認したメールに山本梓の魂の回収担当との記載があった「アンドレイ・チェジール」に会いたいので調整してくれと返信を出す。
あとは山本梓の自殺場所の確認とその後に、遺体が移動したであろう青森県にある両親の住所を確認する。
こっちの世界とお隣さんといずれにしても和を連れて、現地を確認しておいた方がいいだろう。
ミーティングではそれぞれの会社の経営者や代理人といった方々が参加しているので、調べたりメールを出している事ははバレないように一応気を付けているが、予想範囲外の質問がどのミーティングでも今回は特になかったので、今回は資料と別に添付資料を追加するぐらいの対応でも良かったかもしれない。
ようやく時間が空いたので、お腹を空かせて3階に上がると待っていたとばかりに黒い小さいのが3階の階段の淵からジャンプしてきて、肩にのる。
「キュウ!」
「ただいま」
「かずさんやー、夕飯は残っているかね?」
「あ、和はお風呂に行ってるー!夕飯あるよー。」
「日向、おにぎり温めてー僕お味噌汁用意するよ。」
「はーい。」
3階はヒナとヒデだけだったので、二人が用意してくれ始めた。
ダイニングテーブルの上のノートを見てみると、どうやら黒いのの名前を考えてくれていたようだ。
「ありがとー。おにぎりは二つぐらいで良いよー。」
和室の方へ行くと、肩にいる一番小さいの以外の小さい奴が手を振っている。
「ただいま。」
「マッテタ、スズ!」
「お?」
「コイツラもスコシオボエた、コトバ」
三番目に大きい(犬ぐらい)のが、急に喋った。
「スズ、タダイマ?」
「ただいまは私が言う方だな、”お帰り”と言ってくれたら嬉しい。」
「オカエリ!オカエリ!」
「オカ・・エリ?」
「キュウ!」「キーキ!」「キュキュ?」
二番目の人間ぐらいのサイズのやつも喋れるようだ。
「凄いな、一日でちゃんと覚えたんだな。」
「ミンナ、ガンバってオボエタ。」
「そうか、お疲れ様。」
「モットオシエテ?クレルカ?」
「すまん。今日は時間が無いからなぁ。それまでは良かったら、このあたりを見てみると良い。」
「ナンダロウ?」
朝いくつか見繕って壁際の棚に置いておいた絵本を出す。
絵本は基本ひらがな表記だし、話も短いので最初に読む本として最適だ。
桃太郎と白雪姫。
「いいなぁ!喋ってるんでしょ?いいなぁー。」
「僕たちには本当に見えないし、聞こえないんだねー」
「今、言葉を読めるように教えてるんだ、覚えるのもかなり早いから、ヒナやヒデも見えるようになったらカタカナとか漢字も徐々に教えてあげてくれ。」
「「分かったー」」
温めてくれたおにぎりと味噌汁。
合わせて、ほうれん草のお浸しをテーブルに置いてくれたので、早速頂く事にする。
相変わらず、身体の奥に静かに染みる味だ。
魔法といえど、細かい味付け等の人に合わせた微調整は和がみんなに合わせて準備してくれている。
味噌汁も味噌を色々変えたり、料理に合わせたりしているようだ。
毎日毎日そんな食事が楽しい時間と感じられるのは和のおかげだな。
「いつ見えるのかなー。早く話したいなぁ」
「楽しみだねー」
「そういえば、今日は誰か来た?」
「あ。今さっきアンジェラさんが来たー。あと午後に薫さんー。」
「アンジェラ何か言ってた?」
「こき使いすぎだって文句言ってたー。」
「薫さんは作った服がちゃんと合うかどうか、梓さんの部屋で確認してからすぐ帰っちゃったよー」
「そうか。分かった。アンジェラはまだ帰ってないの?」
「今日は泊まるって、多分部屋にいるかな?でも朝にはすぐ行くって言ってたから、多分今声かけるとめっちゃ怒られるー」
「絶対怒られるー」
「お帰り」
後ろから和が声をかけてくる。
「ただいま、ご飯頂いてるよ。ありがとう。」
「ああ。どういたしまして。」
「後片付けは俺がするから、二人も早くお風呂に入っておいで」
「「はーい」」
ドタバタと二人とも階段を上っていく。
「「わっ、梓だ!」」
上に梓がいるらしい、談話室にでもいたのだろうか。
三人で何やら話し始めた。
もうそろそろ日付も変わる頃だし早く風呂に行きたまえ。
「ごちそうさま。」
「はい、お粗末様。お前も風呂入ってきな。」
「すまんねー。助かるよ。」
「今日梓さんに一通りの説明をしたところで、お前の事ワーカーホリックって引いてたぞ。」
「それだけお困りの人が多いって事。」
和も普段はトラブルがある場合はそういった話から優先してするので、梓の様子を報告するあたり特に今日は問題なかったんだろう。
何より何より。
階段を上がっていくと目の前の談話室のソファにイザベルだけが残っていた。
梓は双子に風呂へ連れていかれてしまったんだろうな。
そこまではついていかないのか。
まぁあの二人に合わせたら大変だからな、梓も断る事を頑張れ。
「ねぇ」
「ん?」
「あの和って男は有名な魔法使い?」
なるほど。
わざわざ話しかけてきたのか。
「そうだね。知る人ぞ知るってぐらいには有名。」
「私は自分がまだ未熟だって分かっているけど、それなりに頑張ってきたつもり。」
「分かってる。君はひたすらに魔法書や文献書の難しい文字を解読しながら、一生懸命に読んでた。」
「学校でも一番になることもあるわ。」
「それは凄い。イザベルが努力した結果。素直に受け止めると良い。イザベルが今焦っているのは分かる。魔法世界は歴史相応に個人の寿命も長いから時間での経験値の差は出やすい。」
「・・・・」
「でも、焦ってはいけない。とにかく力を得たい魔法使いが人の魔法を見様見真似に適当な知識で起動し、失敗してきたことは多い。イザベルが今現在に至るまでに得た知識・経験は必ずこれからに繋がる。」
「やっぱり時間がかかるって事よね。」
若者ならではの悩みだが、そういったことを簡単にとらえてはいけない。
才能がある事を奢ってはいけないけど、彼女は同時に努力家な部分もある。
努力が実を結ぶ前に自己評価を下げてしまうと、彼女はきっと母親のミランダという評価のプレッシャーに負けてしまう。
「いいかい?和の魔力特性は元々かなり攻撃系寄りだった。アテネ系統に近いとされていて、私が最初にあった時は攻撃系以外は点でダメ。」
「・・・苦手なタイプって本当に克服できるの?」
「克服というと少し違うが、魔法というのは瞬発魔法では自己の特性に左右されてしまうが、和の場合は設置系の魔法をとにかく勉強してみてた。設置系というのは魔法使いにとって事前準備が必要だから、日常生活魔法としての範囲にその殆どが留まり、あまり積極的に学ばれる事が少ない。」
「そうね。何かあった時に急に設置魔法を選ぶなんて選択肢はないわ。」
「そこに彼は目をつけたのかもね。和の場合は日常魔法はもちろんの事、魔法世界にあるほぼ全ての設置魔法を習得して、更に自分で新しく生成する事もしてみてた。その結果、魔法の基礎は瞬発でも設置でもある程度同じ。だから、相手が起動する魔法を魔力の導線を確認することで起動時の構築から逆算して、ほぼ8~9割は対抗魔法を同時に作り出すことができるようになった。だから、どんなタイプの魔法使いにもほぼほぼ対抗できる魔法使いとして名を挙げた。結局、魔法は発動しなければどうしようもない――そういうものだ。」
まぁ、双子の魔法に関しては突飛なチョイスをするから、和が対抗魔法に成功する確率は6~7割といったところだけど。
「イザベル。決して焦るな。そして一つの考えに捕らわれないようにしてみたらいい。和のは一つの例だけど、君はこれからも色々な魔法使いや人間と出会う。1000年以上前の魔法使いでは加護や身体強化という概念に馴染みが薄く、ほぼ攻撃同士での殴り合いだった。その攻撃系の知識をイザベルは十分に持っている。ならあの時の彼らに対抗するのは簡単だと思わない?これからの魔法を広げていくのはイザベル達。和も含め、いい教材が近くに居ると思ってしっかり学んでいけばいい。」
苦手とかで諦めずに色々な方法を試してみれば、彼女の基礎をしっかり生かせるし必ず強い魔法使いになるだろう。
「・・・ありがとう。そうね、確かに必要ないと思って読んでない本も沢山あるわ。ちょっと偏らずに勉強してみるわ。」
「こっちも梓や鉱石の件で世話になってる。暫くは同じ同居人同士仲良く頼む。」
「分かったわ。サーズのおばさん。」
頑張り給え若者。
そしておばさんはできればやめてほしい。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




