表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

諦められるはず

桜佳と出会った日の夜が明けた。つまり次の日になったと言う事だ。

彼には私の部屋の、隣の客室をあげた。

そして今、彼を起こそうと、彼の客室の前に来ている。私は、部屋に入る。

「おはよう!桜佳!」

そう言うとともに気づく。彼のはだけた着物から、大きな傷痕が複数個見えた。

_______________________________


あれ、、、。ここ、、、どこだ?

目覚めたてのぼんやりした頭で一生懸命思い出す。

すると、すぐに昨日の出来事を思い出せた。

そうか、、、。夢じゃなかったのか、、、。よかった、、、。

ようやく完全に目が覚めた俺は、とりあえず、立ち上がれないので、布団に座っておく事にする。

すると、千莉が部屋に入ってきた。

「おはよう!桜佳!」

そう言った彼女は、一瞬で怯んだような顔になる。

正気に戻ったのか?こんな俺を貰った事を後悔したのか?

どうしたらいい、、、。どうしたら手放されない、、、。どうしたら嫌われない、、、。どうしたら、、、、、、。

涙が出てきた。

俺は、隠すように目を抑える。

「大丈夫?」

千莉が言うが、返事ができない。

不安で押しつぶされそうになっていると、千莉が抱きしめてきた。

「大丈夫大丈夫。」

千莉は、俺が落ち着くまで抱きしめてくれていた。

俺が落ち着いてきたからか、千莉の身体が離れていく。名残惜しく思ってしまう。こう思うのは多分、もう抱きしめてなんか貰えないからなんだろうな。

我ながら、女々しくなってしまった。

_______________________________


桜佳が泣いた。

ほんとに焦った。

「大丈夫?」

「、、、、、、あぁ」

「そう、、、。それならいいんだけど、、、。何かあったら遠慮なく言ってね。」

「、、、わかった。」

「じゃあ、朝ごはん持ってくるね!」

私は空気を変えるように言った。

桜佳は何故か分からないといったような顔をしていた。

_______________________________


朝ごはんを2人分持ってくると、桜佳は言ってくる。

「あんた、食べる量多いんだな。」

「そんな事ないと思うけど、、、。はいこれ、桜佳の分。」

そう言って、私は桜佳の分を差し出す。

「俺の分なんかあるのか、、、?」

何故か桜佳はそう言ってくる。

「当たり前じゃない。ほら、早く食べましょ!」

私は、彼の布団を跨ぐように、近くにあった机を置いて、そこに2人分の朝ごはんをおく。そして、座布団を持ってきて、座る。

「いただきまーす。」

「い、、、いただきます。」

2人で朝ごはんを食べる。

いやー、イケメンと朝ごはん。最高ですねー。

_______________________________


その日から、日々桜佳と一緒にいた。

そうする事で、彼のことをよく知れた。

例えば、彼は意外と臆病だったり、自分に自信がなかったり、もっと簡単なものを言うと、彼は勉強熱心だったり、食べるのが好きだったり、食べてる姿が可愛かったり。

やばい、、、。思い返してきたら、自分の思いを自覚しざるを得なくなってきた。

正直に言おう。

私は、桜佳が好きだ。それも、恋愛的な意味で、、、。

多分、この思いは叶わない。だって、彼にとって私は彼を買った奴だもの。

まぁでも私は大人なので、諦められるはず。多分、、、。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ