諦められるはず
桜佳と出会った日の夜が明けた。つまり次の日になったと言う事だ。
彼には私の部屋の、隣の客室をあげた。
そして今、彼を起こそうと、彼の客室の前に来ている。私は、部屋に入る。
「おはよう!桜佳!」
そう言うとともに気づく。彼のはだけた着物から、大きな傷痕が複数個見えた。
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あれ、、、。ここ、、、どこだ?
目覚めたてのぼんやりした頭で一生懸命思い出す。
すると、すぐに昨日の出来事を思い出せた。
そうか、、、。夢じゃなかったのか、、、。よかった、、、。
ようやく完全に目が覚めた俺は、とりあえず、立ち上がれないので、布団に座っておく事にする。
すると、千莉が部屋に入ってきた。
「おはよう!桜佳!」
そう言った彼女は、一瞬で怯んだような顔になる。
正気に戻ったのか?こんな俺を貰った事を後悔したのか?
どうしたらいい、、、。どうしたら手放されない、、、。どうしたら嫌われない、、、。どうしたら、、、、、、。
涙が出てきた。
俺は、隠すように目を抑える。
「大丈夫?」
千莉が言うが、返事ができない。
不安で押しつぶされそうになっていると、千莉が抱きしめてきた。
「大丈夫大丈夫。」
千莉は、俺が落ち着くまで抱きしめてくれていた。
俺が落ち着いてきたからか、千莉の身体が離れていく。名残惜しく思ってしまう。こう思うのは多分、もう抱きしめてなんか貰えないからなんだろうな。
我ながら、女々しくなってしまった。
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桜佳が泣いた。
ほんとに焦った。
「大丈夫?」
「、、、、、、あぁ」
「そう、、、。それならいいんだけど、、、。何かあったら遠慮なく言ってね。」
「、、、わかった。」
「じゃあ、朝ごはん持ってくるね!」
私は空気を変えるように言った。
桜佳は何故か分からないといったような顔をしていた。
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朝ごはんを2人分持ってくると、桜佳は言ってくる。
「あんた、食べる量多いんだな。」
「そんな事ないと思うけど、、、。はいこれ、桜佳の分。」
そう言って、私は桜佳の分を差し出す。
「俺の分なんかあるのか、、、?」
何故か桜佳はそう言ってくる。
「当たり前じゃない。ほら、早く食べましょ!」
私は、彼の布団を跨ぐように、近くにあった机を置いて、そこに2人分の朝ごはんをおく。そして、座布団を持ってきて、座る。
「いただきまーす。」
「い、、、いただきます。」
2人で朝ごはんを食べる。
いやー、イケメンと朝ごはん。最高ですねー。
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その日から、日々桜佳と一緒にいた。
そうする事で、彼のことをよく知れた。
例えば、彼は意外と臆病だったり、自分に自信がなかったり、もっと簡単なものを言うと、彼は勉強熱心だったり、食べるのが好きだったり、食べてる姿が可愛かったり。
やばい、、、。思い返してきたら、自分の思いを自覚しざるを得なくなってきた。
正直に言おう。
私は、桜佳が好きだ。それも、恋愛的な意味で、、、。
多分、この思いは叶わない。だって、彼にとって私は彼を買った奴だもの。
まぁでも私は大人なので、諦められるはず。多分、、、。