Episode3 ギルド登録と目利きと相棒
ガチャッ、ギィィ・・・
誠は、扉を開けて商人ギルドへ足を踏み入れた。
館の中には、多くの商人がおり、売り物であろう品物も置かれていた。
「ま、誠、さん・・・受付はこっちですよ! 」
「エレイン、待って(そんな恥ずかしそうに言われるとこっちまで)」
受付の前まできて少し戸惑っている誠に窓口に立つ女性が聞いた
「初めての方ですか?もしギルド登録なら、この窓口でできますよ。申し遅れました、私はここ商人ギルドで受付をやっていますロゼといいます。」
「ありがとうございます。ロゼさんですね、よろしくお願いします。ギルド登録をお願いしてもいいですか?」
「わかりました!では、この用紙にお名前と魔眼の能力、あとは登録料を5ダルいただきます」
誠はロゼに言われるがまま記入したが、困ったことにこの世界の通貨が分からない。
「5ダル、5ダル、5ダル・・・(どうやってお金を出すんだ?っていうか所持金ゼロとかないよな)」
「お客様、どうされました?」
心配しているロゼの見て、「一か八かでメニュー開け!」と心の中で叫んだ誠の前にメニューウインドウが開いた。
少し驚いたが、メニューの右隅に所持金1000ダルと書かれていたこともあり、ひとまず安心した誠だった。
「えーっと、5ダルですよね。この袋から出せばいいのかな?よいしょっと。これでいいですか?」
「はい、大丈夫です!お名前は誠さまですね。魔眼は・・・鑑定眼?!」
驚いて大きな声を出してしまったロゼの言葉を聞き、周りもざわついているのが分かった。
(たしかに最低ランクの魔眼だけど、そんなに騒がなくてもいいと思うんだけどな)
「ロゼさーん、手続きを進めてもらっても大丈夫ですかね?」
「あっ、すいません!登録してきます!」ロゼはあわてて隣の部屋に入っていった。
少し待つと、ロゼがカードを持って帰ってきた。
「こちらが登録証になります。この登録証があれば、それぞれの街への入場料は無料になりますし、他の街のギルドで売り買いができますので、なくさないようにしてくださいね。色々とご苦労されるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう!」
「(なんでオレは会ったばかりの人に励まされてるんだ)そ、そうですね。ありがとうございます。困ったら、また来ますね〜」
なんだか少し騒がしくなったギルドを後にして、誠とエレインは市場に向かっていた。
ロゼのギルド登録を待っている間にエレインと話していた時に興味が湧いた場所が市場だった。
なんとなく鑑定眼が使えそうな場所だと感じたからだ。
エレインに連れられて到着した市場には、想像より遥かに多くの店が並んでいた。
食料品から衣類、生活用品など様々なジャンルの店があった。
誠はそれぞれの品物を鑑定眼で見ながら各店舗を見て回っていたが、ある店の前で足を止めた。
売っている品物の効果や内容が?で表示され、謎の箱など名前もあまりピンとこない品物ばかり並べている怪しい店だったためだ。
「いらっしゃいませ、うちの店に来るなんて見る目があるよ。なんか買っていくかい?」
「えっ、そんなつもりじゃなかったんだけど・・・この謎のキューブとかはいくらするんですか?」
「だんなはお目が高いですね、そいつはかなり珍しいものですよ。今なら500ダルでお売りしますよ!」
「500ダル?!もうちょっと安くなりません?」
「いや〜、希少な品なんでねー。これ以上は安くできなくて」
(500ダルかぁ、全財産のほぼ半分だもんなぁ・・・でも鑑定眼でも中身がわからないし、なんだかすごいオーラを感じるんだよなー)よし分かった!買います!」
「毎度あり!返品はなしですよ、だんな笑」
「男が一度決めたからには、二言はない!なんてね笑」
「さすがです、また機会があれば寄ってくださいね」
怪しい店の店主に見送られながら、市場を出て教会へ戻った誠はエレインと別れて自分の部屋に戻った。
そして、買ってきた謎のキューブを眺めていた。
「うーん、このキューブどうやって使うんだろ?ボタンがついてるわけでもないし・・・。ん?よく見ると変な文字が書いてあるな。なんだこれ?」
誠が変な文字に気づいて、文字に触れた瞬間。急にキューブが光り出して目を開けていられないほどの眩しさが部屋中に届いた。誠は思わず目をつぶった。
眩しさが少しおさまった気がした誠が目を開けると、目の前には小さな体で尻尾が3本に分かれた猫がいた。
「ふわ〜、よく寝た〜。どれくらい寝たかなぁ。君は誰?」
「猫がしゃべった?!」
続く