夜空の星と水宙の炎
「おいそこで何してる」
「いっ!?あはは…クエリー…何って…別に!あの…なんでもないんだよ??」
「じゃあその後ろに持ってるのは何?」
クエリーは赤髪を短くまとめた不審極まる挙動の彼女に問いかける、
「…つい、渡したくなって…あはは、迷惑だろ。すぐ持って帰るから…」
後ろめたそうに彼女は隠してたその青い花束を目の前に明かしてから、後ろを向いた。
「いや、何だよつれねぇじゃねぇかよ。ほら、『一緒に過ごしたい』って言えばいいじゃねぇかよ」
クエリーは肩をつかんで強引に互いの顔を向かい合わせた。
目と目が近い――細く鋭い彼女の視線は、ますますその髪と同じように色を同様のものへと染めさせる。
(や、やめてくれよ~~~!ただでさえ目の前にして意識しちゃうんだからさぁぁぁあl!)
住民はそのいつもの光景を一瞥しつつ、『あぁまたいつものだ』『微笑ましいものだ』と目の前の二人を避けて水宙のデパートへと入っていく。
「ん…ほら、いつまでもいないで、サイアのところにいくよ」
呆気に取られているブレイザの手を掴んで、クエリーはデパートへ引きづる。何度か強引な歩みで転びそうになりながらも、徐々に慣れてきて、同じ歩幅で歩き始める。
「…」
「ほんとにまぁ拾ってきた子猫見てぇになっちまって…」
振り返らずクエリーは、誰に言うでもなく、けれど聞こえていてほしい思いを含意させてポソリと呟いた。