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黄道を刻む二十四の時の詩

柔らかく 鮮やかに

作者: 日浦海里

地に突き立った無数の緑の刃は

戦い続けた日々を終えて

黄金色の穂に包まれて

地上に広がる白雲の上に浮かんでる


労るように

愛おしむように

鈴の音が静かに響いて


遠くからこの世界を撫でるように

朝の光が届けられる


優しくて

柔らかな


宴のように賑やかで

争うように激しい日々を終え

近づく命の継ぐ日を前に

誰もがみな穏やかでいる


火照る身体を風で癒やし

濡れた汗を雨で清め

一面に広がる澄んだ青のような心で

耐えるのではなく

受け入れるように

風に揺れ

命を輝かせている


惜しむように互いの名を呼ぶ我が子らよ

時折慈しむように空を見上げる子らよ

支え合った互いを慈しみながら

それでも時に惜別の声を上げてくれる


遙かな地より訪れる

雁の声のように哀しげに


あなた達の感謝は、その愛は

私ではなく、私だけでなく

これまであなた達の側にいた

今ここには居ないもの達へ

それがまだ叶うのなら……

今日は寒露。

露が冷たく感じるほどに

夏の熱は遠のき

冬の足音が遠くから聞こえてくる

そんな季節です


春とは違った鮮やかさで

地と空は彩られ

けれど舞い散る葉は

春とは違うもの悲しさを感じます



【登場人物紹介】




○秋姫/春姫

 秋姫。春姫でもあります。

 彼女自身は熱を操る力をは持ちません。

 彼女はただ、世界に水を与えることが出来るだけです。

 命がより強く育つために長い時間をかけて熱された大地を

 次の命が育つまでの間優しいゆりかごの温もりとなるように

 雨と風で冷ましていきます。


 彼女自身は温もりを持たないために、

 陽ざしの君の事も冬姫の事も、そして夏姫の事も、

 冷静な立場で眺めることが出来ます。


 彼らが皆、一様にして生命を慈しみたいと思いながら、

 思い通りにいかないことを悩んでいることを知り、

 彼女はただ、その心が乾かないように、

 潤いを与えたい、そう願っています。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >鈴の音が静かに響いて  戸を閉めれば聴こえぬ程度に、風に靡き擦れる穂のささやかな音と共に冷たい夜風に露をつけ、明ける陽を待つ表現が素敵です。
[良い点]  その感謝を自分ではなく、というところが秋姫らしいところなのかなぁ、と思いながら。 >耐えるのではなく  受け入れるように  もう次の世代にバトンを渡し、穏やかに今までと周りを見守る…
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