1/5
幻春
窓から差込む日差しが暖かくなって
優しく僕を包む。
桃色の匂いが、僕の鼻をくすぐって
気持ちがいい。
こんな僕にでも春は、平等に来たみたいだ。
僕に何か、新しいことが起きて、
僕の現状は、変わる。
そんな期待を抱いてしまうことも
春は、肯定してくれた。
優しかった。
夢でも見ているような安心感で、目を瞑ったら寝てしまいそう。
ずっと春にいたい。
確かに僕の心がそう感じている。
でもさ、散っていく桜を見てると
思い出してしまうんだ。
僕の中の記憶の音を。
もうここには居ない君たちの声を。
寂しそうに鳴っている音は、どんどん膨らんで僕を壊してしまいそうになるんだけれど、春はそんな僕ですらも包んで魅せた。
でも
春で音が消えたわけじゃない。
春で寂しさが埋まったわけじゃない。
と、僕が気付くまでどれだけかかったことか。
そして、傷ついてどれだけ泣いただろうか。
これからの僕の全部が
春に魅せられていたんだ。
僕が壊れないように。
全部を壊さないように。
まだ、僕は、幻春の中に眠っている。
散ってしまうその時まで
読んで下さってありがとうございます。
春は、何だか期待してしまいますよね。
いい評価でも悪い評価でも
頂けたら嬉しいです!!




