漫才「新聞」
ナンセンス要素の入った漫才になっております。どうぞよろしくお願いいたします。
駅のホーム。 紳士がやってきてベンチに座り、新聞を広げる。
紳 士「今日は午後から雨なのかあ」
おっさん「え?」
隣で新聞を見ていたおっさんがびっくりして紳士の方へと目をやる。
紳 士「何か?」
おっさん「いやいや、雨じゃないだろう」
紳 士「でもほらここに」
紳士が天気予報欄を指さす。おっさんが覗き込む。
おっさん「おいおい、あんた新聞が逆さまじゃないか。なんだよ。あー驚いた」
紳 士「ほんとだ。これは失礼しました」
おっさん「読む前に気づかないかなあ? 頼むよお」
紳 士「すみません。また老眼がすすんだようですな」
紳士が新聞の上下を変える。
紳 士「ああ、晴れに変わりました」
おっさん「え? まってくれよ、雪のはずだけどなあ。ちょっと見せてみなよ」
おっさんが紳士の新聞を覗き込む。
おっさん「あれえ? 確かに晴れになってるな」
紳 士「そうでしょ」
おっさん「おっかしいなあ。ああ、なんだよ。これ、昨日の新聞じゃないかよ」
紳 士「え?」
おっさん「ほら、日付を見てみなよ」
紳 士「あ、ほんとだ」
おっさん「ダメだよ、ちゃんと見て買わないと」
紳 士「私の不注意でしたね。気をつけるようにします」
おっさん「おいらの新聞を見せてやるよ。ほら、雪になっているだろ」
紳 士「確かに」
おっさん「これから雪が降るんだよ。寒くなるぞお」
紳 士「でも、そんな空模様には見えませんなあ」
おっさん「気象庁っていうのはさあ、なんでもお見通しなんだよね」
紳 士「でも、風も暖かいですしねえ。本当に雪が降るのかなあ。ちょっと、もう一度見せてください」
紳士がおっさんの新聞を覗き込む。
紳 士「ああ、旦那さん、これ、明日の新聞ですよ」
おっさん「え? うそ」
紳 士「ほら、ここ」
おっさん「あ、ほんとだ」
紳 士「お互い、気を付けて買わないといけないようですなあ」
おっさん「確かにそうだな。他人のことは言えなかったな。ははは」
紳 士「私、今日の新聞を買い直してきます」
紳士が立ち上がる。
おっさん「だったらついでに俺の分も頼むよ。この新聞は明日見ることにしよう」
読んでいただき、どうもありがとうございました。