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姉の為に。  作者: たかだひろき
第八章 【天の塔】編
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第六話 【戦いの後始末】




「……」


 誰かに呼ばれたような気がして、眠っていた意識が覚醒を始める。

 瞼を開くと、視界の大半は土と木で埋まっていた。

 残りの部分には空があり、体に伝わる感触から左肩を下にして眠りこけていたのだと理解する。

 確か、天の塔の壁を背に眠りについたはずなので、いつの間にか脱力し横たわったのだろう。

 横たわった際の小さな衝撃に見舞われた記憶もないから、よほど深い眠りについていたのだと推測できる。


「あ、綾乃葵! 起こしてすまない!」

「あー……勇者か。すまん、爆睡してた」


 ここまでぐっすり眠れたのはいつ以来だろうか。

 結愛と再開する以前では考えられないくらいの快眠に少しばかりの感激を覚えつつ、手早く体を起こす。


「――何があった?」


 寝呆けていた頭を意識的に回転させようとする前に、勇者の慌てた表情と言葉遣いに気がついた。

 勇者が慌てる要素を考えた時に真っ先に浮かんだのは、結愛のことだ。

 それを理解した瞬間、脳は急激な活性化を始め、同時に体も臨戦態勢を整えるかのように血が巡る。


「――あの男、何者だ?」

「……ああ」


 森の真っ只中に存在する天の塔の周辺十メートルほどに木々は存在しない。

 木々が自生しないその範囲こそが、雲を貫く高さを誇る天の塔を、外から視認できなくする結界の齎した結果だ。

 その森と結界のちょうど境。

 木の幹に体を預け、腕を組み、立ったまま黙想する竜人は、閉じていた目をゆっくりと開けた。


「起きたか」

「ああ。あんたが戻ってきてるってことは、かなり長い間寝てたのか?」

「半日は経っていないが、人間を基準に考えるとかなり眠った方なのだろう?」

「まぁ熟睡って言えるレベルだな」


 十メートルも離れた相手と話すのはなんだか違和感が凄いが、会話できているのなら問題はないだろう。

 そう言い聞かせて、落ち着かない様子で視線を彷徨かせる勇者に答える。


「あれは竜人だ。今は敵対してないから、そこまで警戒する必要はないぞ」

「今は……ってことは、やっぱり葵は竜人と戦ったんだな」

「やっぱり? ……ああ、戦闘の痕でも見たのか」


 結界の境に刻まれた斬撃の傷痕や衝撃で折れた木の幹など、戦闘があったと理解するには十分すぎる証拠が残っている。

 が、俺の考えは違ったようで、勇者は首を横に振った。


「気づいていないってことは、相当疲れてるんだな」

「気づいてないって――ああそういう……なんで隠れてるんだー?」


 少しだけ声を張り上げて、俺の円周の天の塔を利用し死角に隠れていた四人へと声をかけた。

 俺の声を聞いて、その四人――二宮翔、小野日菜子、木村舞、佐伯雪菜は、バツの悪そうな表情をして姿を表す。


「言っておくがな勇者。“魔力感知”はあくまで意識的に常用してるだけだからな?」

「綾乃葵ほどの才能があっても無意識的にとはいかないのか……勉強になったよ」

「――けっ」


 言い訳じみた――実際言い訳なのだが――反論に、勇者は殊勝な心掛けを言葉で示して見せた。

 その反応に自分の子供っぽさが浮き彫りになった感じがして、小さく悪態を吐く。


「だ、大丈夫なのか? 綾乃……体調とか」

「体調も半日寝たから万全だな。竜人と五体満足でいられてるし大丈夫、だ」


 既に義手である俺はもう五体満足などではないが、義手を失わなかったと言う意味では五体満足と言っていいだろう。


「……会長の髪が少しだけ白くなってるのは……?」

「ああ、それは魔力枯渇の弊害だよ。と言っても、俺が処置したからそっちも問題ない」


 勇者にもキチンと伝わるように、わかりやすくハッキリと説明する。

 後でもう一度同じ説明をするのも面倒だしな。


「魔力枯渇の処置ってどうやるんだ……?」

「それは後で説明するから、ちょっと待っててくれ。それで二宮くん。今度は俺が質問していいか?」

「あ、ああ」

「何かあったのか? 森の外に伏兵でもいたか?」


 曲がりなりにも、精霊と契約した者たちだ。

 伏兵程度は造作もなくひねれると思うが、逆に考えれば引き返すほどの何かがあったと言うこと。

 半日程度の休息を取りはしたが、万全の状態とはいかない。

 体力回復の早い魔力は十分な蓄えがあるし、ぐっすり眠れたことで性神的な部分も余裕ができている。

 しかし体の方はそう上手くはいかないようで、まだ多少の疲労感が残っている。

 それでも大体の相手に負けるつもりはないが、つい今しがた――と言っても半日前だが――竜人とか言うイレギュラーと出会ったばかりだ。

 伏兵が竜人に次ぐレベルだと、苦戦は免れないだろう。


「いや、森を出ようと歩いてたんだが、急に塔の方から戦闘音が聞こえてきて……心配になって戻ってきたんだ」

「……なーる」


 二宮くんの言葉に納得して頷く。

 あれだけの戦闘を繰り広げれば周りにどんな影響が及ぶかなんて考えるまでもなくわかるはずなのに、今の俺はそんなところにも頭が回っていないらしい。

 寝起きを言い訳にして、頭を振る。


「心配してくれてありがとうな。でも見ての通り大丈夫だから、神聖国に戻ってみんなの牽引、よろしく頼むよ」

「……半日も爆睡してるのは大丈夫なの?」

「ぐっ、痛いトコ突いてくるね、小野さん……でも大丈夫。次会う時は死体でした、なんてことには絶対にしないから」

「……そっか」


 小野さんは小さく微笑んで、納得したように頷いた。

 二宮くんも木村さんも佐伯さんも、まだ半信半疑と言った様子だが一応は納得してくれたらしい。


「それじゃあ、気をつけてね。あと、時々でいいから報告はしにきてよ?」

「んー……そうだね。ラティーフへの報告ついでに小野さんたちの方にも行くよ。そっちこそ、気をつけて」


 互いの無事の再会を願って、小野さんたちは再び森へと入っていった。

 しばらくすれば、待たせている教皇の従者の一人と合流し、馬車の見守りをしている従者の一人とも合流して神聖国へと向かうだろう。

 行きと同じペースを保てるなら、ニ週間後にでも天の塔(ここ)へ様子を見に行けば会えるだろうか。


「ん? ってことは勇者、半日ちょいで天の塔攻略したの?」

「あ、ああ」

「八個目の試練も?」

「あ、いや、八個目の試練はやってない……結愛やパトリシアが心配だったから」


 そりゃそうかと納得する。

 もしこれで八個目の試練まで突破して、神様に謁見してきた上で戻ってきていたのなら驚きだった。

 いや、半日で七つの試練を全て突破してきたことに驚かないわけではないが。


「他のみんなは?」

「中で結愛たちが来るのを待ってる。入れ違いにならないように、攻略を順調に進めてたオレが外に出てきただけだよ」

「なーるほど。じゃあ結愛が起き次第、天の塔に入って貰えばいいんだな」

「パティでも問題ないよ。こっちが無事ってことを伝えるだけだから」

「……その言い方だと、攻略済みの俺たちはもう入れないのか?」

「うん。その通りだよ。オレが塔に触れても何も起きなかった。挑戦が一度きりなのか、攻略したからもう挑めないのかはわからないけどね」


 そこは試行回数を重ねていかなければわからないものだ。

 尤も、試練に失敗の有無があるのかが不明なので、“挑戦が一度きり説”が今のところ濃厚だ。


「じゃあ……結愛とパトリシアさん起こす?」

「んー……そうだね」


 俺と同じで半日以上も寝ているのなら、疲労の完全回復も兼ねて自然に起きるまで寝かせてあげたいが、事情が事情なので起こすことにする。

 天の塔の硬い壁を背凭(せもた)れに、少しだけ体を傾けて眠っているパトリシアさん。

 そのパトリシアさんに膝枕される形で地面に横たわる結愛と、ばっちり目が合う。


「おうっ? お、おはよう……」

「おはよう。驚かせちゃった?」

「うんまぁ……それなりにね?」


 寝ていると思っていた相手とばっちり目が合うのは割と驚きが大きかった。

 昼間の太陽が出ているのでまだマシだ。

 パトリシアさんの膝枕から起き上がり、結愛は地面に座ったまま大きく伸びをする。


「起きて早々悪いんだけど、どこまで聞いてた?」

「日菜ちゃんと話してる時から」


 どうやら割と前に目覚めていたらしい。

 起きてる起きてないは、“魔力感知”で判別できないので仕方がない。

 結愛のように“気”でも扱えたら別なのかもしれないが、俺にはできないので言っても詮無いことだ。


「じゃあ、これからの説明は要らない?」

「私が天の塔に入って、待ってる皆に無事を説明すればいいのよね?」

「うん。頼め――あっ」


 そこまで言ってから、結愛に聞きたいことがあったことを思い出した。

 急に大きな声を上げたことで少しだけ肩を跳ねさせた結愛に、気軽な口調で訊ねてみる。


「あの竜人が結愛のことを魔人だって言った理由、何か心当たりない?」

「あー……」


 バツが悪そうに視線を逸らし、頬をポリポリと掻いた。

 言いたくないことを比較的はっきり言うタイプの結愛にしては珍しい反応だ。


「えーと、その……あのね、葵くん」

「あ、いや、言いたくないなら別にいいんだけど……」


 思いのほか言いたくなさそうな様子なので、念のために断っておく。

 別に今すぐ聞かなければならない話でもないだろうし、竜人から話を聞くことだってできる。

 もちろん、竜人から聞く話は推測程度のものになるだろうが。


「結愛。俺から説明をしてもいいか?」

「……うん。お願いするわ。葵くんも、それで大丈夫?」

「ああ、うん。説明できるなら、勇者でも大丈夫。じゃあさっきの通り、結愛は大地さんたちに無事の報告をお願いね」

「それは任せて」


 やる気を滾らせた結愛は、素早く振り返って天の塔に触れる。

 俺の説明の通り魔力を流すと、もう何度か見た青白い線が奔り、同色の入り口が生成される。

 それに触れると入り口に波紋が広がり、手が入り口の向こうへ通り抜ける。

 入り口が機能していることを確認してから、結愛は手を入り口に突っ込んだままこちらに振り向く。


「じゃあ、行ってくるね」

「うん。いってらっしゃい」

「ご両親によろしく」


 俺と勇者の返事を聞いて微笑んだ結愛は、入り口を潜って天の塔へと入っていった。

 数秒後、入り口がスーッと消えていき、元の黒の石材でできた塔へと元通りになる。

 それを確認してから、改めて勇者へと向き直る。


「じゃあ説明、よろし頼む」

「わかった。と言っても、そんな難しい話をするわけじゃないよ。あーいや、難しいっちゃ難しいのかもしれない」

「まぁいいから。難しい難しくないの判断は聞いてから俺がするよ」

「……それもそうだね。じゃあ話すけど……結愛は昔、俺と出会うより前に、魔獣を食べたことがあるらしいんだ」

「――はぁ」


 想定外も想定外の説明に、すっとぼけたような声を上げてしまった。

 確かに、魔人の原点は魔獣――総じて“魔物”を食べた人間だという話は聞いたことがあるが、実際そんなことを言われても即座に『なるほどね』と理解は出来なかった。

 ましてやそれが結愛のことともなれば、理解より先に困惑が来る。


「え、いやっ、でもさ。俺、魔人の魔力って言うか、気配はわかるつもりなんだよ。実際に過去にはわかってるわけで。でも結愛から魔人の気配なんて一度も感じ取れたことないよ?」

「そうなのか……だけど、結愛からは魔獣を食べたと聞いてるよ。情報の裏取りもしてもらったけど、多分間違いない」

「…………あーそういや共和国の組合で話聞いたな。魔物が生まれないはずの森から魔獣を連れてきた人が居た、って」


 共和国で結愛の情報を探っていた時に、黒髪黒目の美人な少女の話と一緒に聞いた話だ。

 やはり、あの時に得ていた情報の少女は結愛で間違いなかったようだ。

 その情報のおかげで、なんとなく頭にあっただけの情報が繋がり、少しの達成感のようなものを得る。


「じゃあそれが事実だとして、俺が結愛の気配を探り切れなかったのも……まぁ何かしらの弊害があったとして。どうして今まで黙ってたんだ?」


 ついさっき、このことを言いたくなかった結愛に『言いたくないなら別にいい』と言ったが、聞いた今ではそれは間違いだと感じた。

 魔人の血――というのは少し違うかもしれないが、魔人の要素を少なからず孕んでいると知っていれば、今後の行動も少しは変えていられたかもしれない。

 あくまで机上の空論だが、それを知っていれば竜人と対峙することもなかったかもしれないのだ。


「結愛から言わないで欲しいとお願いされていたんだ。『葵くんは魔人にいい印象を持っていないだろうから』って」

「……そっか」


 結愛が俺のことを想ってそう言ってくれていたのなら、納得するしかない。

 その程度の要素で嫌いになるほど結愛への信頼は小さくないのだが。

 他人の気持ちなど、他人にはわからない。

 今の結愛が俺のことを考えて行動してくれていた、と言う事実を噛み締めて、話に戻るために意識を切り替える。


「よし。……なぁ竜人」

「なんだ?」

「いくつか聞きたいことがあるんだが、いいか?」

「構わない」

「あんた、名前なんて言うんだ?」


 ずっと、“あの男”とか、“この男”とか呼んでいて、名前を聞いていないことを思い出した。

 本来なら初対面時に聞くのだが、何せこの男との初対面は殺意剥き出しで対話どころではなかった。

 だから仕方ないんだと自分に言い聞かせ、男の返答を待つ。


「……まだ信用ならん貴様に名乗るつもりはない」

「――まぁいいけどさ。もうちょい歩み寄る努力ってものを……って、これも余計なお世話か。んじゃ何て呼べばいい?」

「何でも構わん」

「じゃあ弟子で」


 食い気味の返答に、男は腕組のままピクリと眉を動かした。

 何か反論があるかと少し身構えたが、小さく息を吐くと――


「貴様の弟子になった覚えはないが、それでも構わん」


 ――と不機嫌そうに答えた。

 隣の勇者が『正気かお前』と言わんばかりの瞳で見つめてくる。

 もちろん、本気でそう呼ぶつもりはない。


「冗談だよ冗談。そうだな……髪の毛真っ赤だし、安直に“アカ”でどうだ?」

「それでいい」


 今度は眉一つ動かさずに、俺の案を飲み込んだ。

 わかりやすく、二文字なので呼びやすい。

 クソダサネーミグセンスの持ち主にしては存外いい名前をつけられたのではないだろうかと自画自賛しつつ、話を進める。


「んでアカ。聞きたいことなんだけど、まずアカはどうやって結愛が魔人だと見抜いたんだ?」

「竜眼だ」

「やっぱりか」


 竜眼という眼は、思いの外便利であるらしい。

 流石、世界最強の種族が持つ眼だ。

 今度その検証をしてみなければならないな、と新たなタスクを追加する。


「んじゃ次。どうして結愛を――魔人を狙う? アカと、アカの師匠さんが言っていた“ワシらの種族の恨み”と何か関係があるのか?」

「――ああ」

「話すつもりは?」

「貴様が信頼を置けると判断したら、真名とともに伝える」

「……そっか。じゃ、今後の俺の行動次第ってことだな」


 ある程度あたりを付けていた答えに小さく溜息をついて、ひらひらと手を振って前向きな言葉を残しておく。

 その行動――というか言葉に驚いたような目を、アカは向けてくる。


「なんだよ?」

「――問いただす気はないのか?」

「あぁ……問いただして答えてくれそうならそうするけど、アカは強情っぽいからね。無理強いするより自分から言わせる方が手っ取り早い――いや嘘。全然、これっぽっちもそんなこと思ってないから。いやマジで」

「……」


 物凄いジト目を向けられるが、お得意のスルースキルを発動して気を逸らす。

 ついでに、次の話題を提供して話そのものを逸らすことにする。


「さ、ソウファも起きたみたいだし、今後の行動について話しを詰めておこうぜ!」

「んむぅ……? あるじさまぁなにぃ?」

「何でもないよ、ソウファ。おはよう」

「んー、おはよーあるじさまぁ」


 寝ぼけながらも起床したソウファで気を逸らし、ついでに話題の逸らしにも成功した。

 したことにしておこう。


「俺の目的だと、天の塔(ここ)の攻略が終わったら大森林に行って、師匠のことをエルフの里に伝えるつもりだったんだが……アカって行っても大丈夫なの?」

「問題ない」

「おっけーい? 勇者もそれでいい?」

「問題ないよ。でも大森林って魔素が濃いし、方向感覚もおかしくなるんでしょ? 大丈夫なの?」


 大森林とは、獣人が暮らす森の総称で、一国家と同じかそれ以上の面積を誇る森のことだ。

 森林らしく大量の魔素で溢れ、生息する魔物や魔獣の強さもかなりのものになる。

 魔素があればあるほど強くなれるのが魔物の性質ゆえに当然と言えば当然だが。


「大丈夫だ。大森林は多分このコンパスが機能するし、獣人の街の場所は初代勇者の記憶から引き出してるから、変わってなければ大丈夫だ」

「初代勇者って……五千年前の情報がどこまで正しいのかにもよると思うけど」

「そこはまぁ“魔力探査”でも使って探し出すよ。と言っても、獣人は木々をくり抜いて住居にしてるらしいから、人が暮らせるほどの巨大な樹木が生えてる場所を探していけば大丈夫だよ、きっと」

「……まぁ、綾乃葵に任せるけどさ」


 両手を上げ降参のポーズを取って、勇者は全面的に俺の行動方針に納得してくれた。

 結愛たちは、勇者が納得したのなら大丈夫と言うだろう。

 アカも、反対をしないと言うことは許可した、とみていいはずだ。

 ここで『やっぱ嫌でーす』なんて言われたぶん殴ってやりたくなるが、硬派っぽい雰囲気があるしそんなことはしないと信じたい。


「じゃ、みんなが攻略を終えて出てくるまで自由待機で」


 俺の言葉に、それぞれが頷いた。

 それを確認し、天の塔を背凭れに座り俺も日課の“魔力操作”の練習に移る。

 ソウファが子供の姿で近くに寄ってきて、俺の肩を枕にスヤスヤと寝息を立て始めた。

 堂々と二度寝を始めたが、今は切羽詰まっている状況でもないのでそのままにしておく。

 起きたらソウファと組み手をやるか、と合間のタスクを定めて、“魔力操作”の練習をしながら考える。


 今回の件。

 アカが襲ってきた理由や、アカが持っている因縁などの疑問は残ったままだ。

 今まで積もりに積もったものたちのほとんどが消化ができていない現状で、更に消化できないタスクを抱え込むのはよくない。

 それをわかってはいるが、時間が経てば解決できるものも少なくないとも思っている。

 だからこそ焦らず、一つ一つしっかりと消化していこうと、そう決めて大人しく、集中の沼へと浸かっていった。




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