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魔導剣士育成学校  作者: ショウロウ
第1章 学園のあれこれ
2/10

第1話 復活



「ふぁ〜。」

とひとつあくびをした。

俺は高咲翔琉(たかさきしょうりゅ)

魔導剣士育成学校のひとつミンティナ学園の4年生で16歳。

魔道剣士育成学校は中高一貫の6年制の学校である。


先生方の話によると才能があるらしいが、正直今は興味が無い。


俺には妹と姉がいる。

妹の名前は春奈(はるな)、俺と同じミンティナ学園の2年生、運動は苦手だが勉強はとても優秀。

姉の名前は環奈(かんな)、ファンネル学園5年生で生徒会長。成績優秀の運動神経抜群で、去年の「ブレイドソウルズ」という学校対抗の大会で「個人」「ダブルス」「団体」の全て入賞している。


それにしても授業が退屈だ。早く座学終わらないかな。




休み時間になった。

「しょうりゅー」

「伸ばすな!俺はしょうりゅうじゃなくてしょうりゅだ」

「いや、そんなことよりも次から実技で移動だぞ?」

「あ、そうか、サンキュ」

こいつは唯一の俺の話し相手である草壁雄一(くさかべゆういち)だ。

雄一はこんなやる気のあるようにも見えない俺にも色々世話を焼いてくれる。

実技は好きなほうだ。体を動かせるし、練習とはいえ対戦できる。




移動が終わり座っていると、

「今日は2人組を組んでもらって対戦して貰うね」

と1人の女性が言った。

この女性は実技の先生である立花楓(たちばなかえで)である。

「雄一、俺と組もうぜ」

「OK、んでどうする?1人前衛1人後衛か、2人とも前衛か」

「そうだな〜、今日は2人とも前衛で行ってみようぜ!」


2クラス合同である実技授業は4、5時間にかけて行われる。座学は2時間。

対戦は攻撃は基本値1000(属性ダメージ、武器で少し変わる)、2万の耐久値の削り合いで10分かけて行われる。

今回の対戦は武器は固定だから、あとは属性ダメージくらいかな。


さてさて、対戦の説明はこのくらいでいっかな~。

「では双方構え!!」

立花先生がしっかり声を張る。

「ね~仁美、対戦相手さあのぐうたらな男子よ。」

と同じクラスの東雲瑠愛(しののめるあ)さん。

「あほんとだ~、でもあの人噂で3年までは真面目で強かったらしいよ。」

と隣のクラスの坂口仁美(さかぐちひとみ)さん。

相変わらず2人は仲良しのようだ。

ただ自分ってこんなふうに思われてるんだって思うと少し恥ずかしい。

「こらこら、私語は慎むように。」

「 「はーい。」」

と雑談はおわった。


「なあ、雄一作戦なんだけどCでいいか?」

「この相手ならCが1番いいだろうね」

作戦Cとは、1対1で相手をする戦法である。

今日の2人は2人とも剣士であるから、俺たちの実力的に1人ずつ戦った方がより確実なのである。



「始め!」

先生の甲高い声が響き渡る

「そそり立て”フレイムウォール”」

俺は開始の合図とともにステージを2つに分ける炎の壁を作った。



「へー、結構いい魔法使うのね。でも私達も結構強いのよ?2人を分散させたところであなた達に勝てると思ってるの?」

と東雲が言う。


俺は言い返した。

「勝てるかどうかなんてやってみなきゃわかんないだろ。」

俺がこう言っているうちに、東雲が走って近づいて来た。

そして振りかぶった。

「はぁぁぁぁ!」

力強い言葉と共に剣を振り下ろした。俺は剣で受け流しその隙をついて

「高咲流家伝”ミラコマチ!”」

と3連撃与えた。

さらに怯んだ所を狙い1撃入れた。

ゲーム表示を見ると確かに東雲の耐久値が16000になっている。


「やってくれるわね、このぐうたらが!!」

と東雲はまた剣を振るう。

「東雲さん、動きが大きいし体のバランスが取れてなくて隙が大きいよ。」

と聞こえるか聞こえないくらいの声で言った。


キンッ ザシュッ ザシュッ キンッ

俺は東雲の隙をついて攻撃を入れていく。

そうしていると1人脱落の金が「カーン」となった。

表示を見ると雄一が負けていた。

坂口は耐久値があと3500残っている。


(こいつらどれだけ激しい攻防してたんだ?)

俺の耐久値はMAX、東雲の耐久値はい11000、こう考えるとこうやって思ってしまっても仕方ない。

2人とも女子とはいえ2対1だと分が悪い。

「しょうがない、あれを使うか。」

(姉さんはできたんだ、俺だって…)


俺が使おうとしている魔法は自身強化魔法。詠唱してもほとんどの人は効果が出ないから皆やらない。俺はA級までの魔法は使えるのに、S級以上の魔法が使えなかった…、それこそが俺のやる気がなくなってしまった原因。


だが、そろそろマイナス思考は辞める。俺はどんな魔法でも使いこなして見せる!!

「我が身に(まと)えしものは神の一節、”フィジカルドライブ”」

俺は東雲の攻撃を受けながら詠唱した。

詠唱し終わった時、体の中から力が溢れるような感覚がした。あ、この感じ、姉さんが言ってた通りの感覚。やった、成功したんだ!!

と同時に炎の壁も消えた。どうやら効果切れのようだ。


「自己流奥義”ツイングルアクション”」

この奥義は相手の攻撃より速く横に移動しながら攻撃するものである。

俺は今まで本気になれなかった。俺には才能がない、もう姉さんには届かないって…。でも違う俺は諦めてただけだ、今からなら姉さんに追いつく、いや追い越せる!!

「ごめんね東雲さん坂口さん、俺はこれから負けるわけにはいかないんだ」

5:15。勝利と同時に2人にこの言葉を贈った。





放課後…


今日の結果は3戦全勝、苦しい場面もあったがなんとか勝てた。もちろんほかの人の試合もあるから全部の時間やるのは無理だから、特訓したり試合の反省もしたり。


やっぱり数ヶ月サボっていたからブランクもあるのかなと心の中で呟いた。

「なあ翔琉よ今日の試合どうだった?」

「うーんまあ納得がいく試合はなかったけれども、まあ充実した日だったな。雄一は?」

「楽しかったかな?」

「何故に疑問形?」

と言って俺は笑った。


こんな他愛もない話をしていると、雄一が真剣な表情でこういった。

「翔琉怒らずに聞いてくれ、もう僕とはダブルス組まない方がいいと思うんだ。」

「おま、いきなり何言い出すかと思えば…」

「いいから僕の話聞いて!今日の君を見ていれば分かるよ、もう大きな1歩を踏み出せたんでしょ?なら強い人と組んで切磋琢磨しなきゃ!ね?」

「そ、そうだな…でもたまにでいいからまた2人でダブルスやろうな。」


タイミングがいいのか悪いのかこの話がちょうど終わる頃に別れる道が来た。

「じゃな雄一。」

「うん翔琉頑張れよ。」

「おう。」


家に帰って自分の部屋に入りベッドに寝転がると今日1日を振り返った。今日だけで心境の変化がありすぎて頭が追いつかない気がした。でも今日の初めの変化はやっぱりあの東雲と坂口との試合だな。


そんな考え事をしてたらいつの間にか6時を回っていた。もうご飯の時間だ、そろそろ食べに行かないと。

そう思い外食店に行った。訓練がてら走って。


すき〇へ行ってチーズが乗った牛丼を食べた。何かあれば語れたのだか、知り合いは誰もいないし食べ物も普通に美味しいくらいの感想しかなかった。


満腹とまではいかなくとも食事を取った俺は家に帰り、あまり腹に負担をかけない腕立て伏せから筋トレを開始した。

1、2、3、4…

…50、51、52 ピンポーン!

とインターホンがなった、仕方ないと思った俺は玄関に行った。するとそこに坂口がいた。


「こんな時間にごめんなさい」

「立花か、どうした?こんな時間に。」

「いえあのやっぱり私のこと覚えてない…?」

申し訳ないと思いつつ、正直分からなかった。


俺が黙っていると立花は口を開いた。

「幼馴染です。あのえっと小学3年まで一緒にいた…。」

それを聞いてやっと思い出した。確かに、こんな女の子と小学生の頃に一緒にいた記憶がある。

「ご、ごめん。綺麗になってて気づかなかった。」

と俺は言った。

坂口は頬を赤らめて、

「もうそんな冗談やめてくださいよ。」

と恥じらいを隠すように言った後、

「今日高崎君の家に泊めてくれませんか?」

と聞いて来た。


俺は愕然した。学年でも下手したら学校中で悪い評判がついてるはずの俺が女の子に泊めてくれと言われたのだから。

「俺は1人暮しだから大丈夫だけど、坂口の御両親には了承してもらえてるの?」

「う、うん。説得してたらこんなに遅くなっちゃいました。」

「あ、長々と外で話しててごめん、どうぞ中へ。」

「あ、いや大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます。」

とまあこんな感じで坂口を家に入れて部屋に座ってもらっている訳だが。


「高咲くーん、あのさ昔みたいに翔くんって呼んでもいい?」

「いや流石に恥ずかしいから辞めてくれ。」

顔が熱くなるのを感じながら否定した。

「えいいじゃん、翔くん」

「なんか無理やり固定されてるし、まあいいけどさ。」

なんか気恥しくて目を合わせられなかった。


「じゃあ、ついでに私のこともひーちゃんって呼んで!」

後ろを向いてる俺に躊躇せず更なる追い討ちをかけてきた。

「いや坂口で。」

と答えた。少し声が高くなった気がした。

と同時にこいつってこんなに親しみやすいやつだったっけと思った。


「あー翔くん、今さ私ってこんなに明るかったっけとかなとか思ってるでしょ?こんなの翔くんだけなんだからね。」

ドキッとした。


でも俺なんかが好かれるはずがないと思い込み恥じらいを軽減して、

「ひーちゃんは無理だけど、仁美なら…」

「ほんと!?、やったありがとう翔くん!」

「いいからお風呂先に入ってきて。」

そう言って俺は1人深呼吸をし部屋で腕立て伏せの続きをした。

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