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アトランティス -天空の剣-  作者: ハリー堀田ー
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アトランティス -天空の剣- 1話

第一話「小説家を目指す少女」


俺は伝説の勇者!かつて世界を滅ぼそうとした魔王を倒したことがある。

人々からは英雄と呼ばれ慕われていた。

街に行けば道行く人に握手を求められることもあるくらいだ。


ある日の朝、新聞を取りに郵便受けに行くと郵便受けの近くに伝説の剣が置いてあったんだ。

剣のそばには手紙が添えられていた。

「私は神の遣いです。新たなる魔の手が世界を滅ぼそうとしています。

あなたに伝説の剣を託します。この聖剣でどうか世界を救ってください」

なるほどな・・・。

俺は新聞を取り、部屋に戻るとコーヒーを飲んで一服した。

身支度をして家を出て聖剣を手に取る。

「さあて、辻斬りにでも行くかな!!!!!!ひゃっはあああああああああ!!!!!!!」



授業中、先生の講義を半ば受け流し気味に聴き

その教科とは別にもう一冊のノートを机に広げ小説を書いていた。

名前は舞鶴由美。泉野村高校に通う3年生だ。

3年のこの時期にもなると受験を控えているため、生徒達はピリピリしている。

由美は将来小説家を志している。

小説を書くことが好きであるが故、本当はこの時期危機感を持たなければいけないはずだが

つい授業そっちのけで小説用のノートに対してペンが動いてしまう。

小説を書く事が好きなのだが話の展開がいつも滅茶苦茶でセンスが無い。

仲の良い友達に見せるも小説家目指すのマジでやめた方がいいと言われる始末である。

授業中由美の席近くを通りかかった先生からは

下手くそな小説を書いてる暇があったら勉強しろと言われる。

由美としてはなんで自分の小説がなんで評価されないんだろうと悩み

それでいてセンスが無いという自覚は一切ない。


「勇者がいつも勇者してると思うなよ!!ってことをこの小説で訴えてるんだよ!?

なんでみんな私の小説の才能に気付いてくれないの!!!」

「キレんなよ・・・」

休み時間、うんざりした表情で由美の友達の朋子が呟いた。

「だいたいあんたの話は突然思いもしない展開が立て続けに起こるから

読んでるこっちの理解が追い付かないのよ。

勇者とか言いつつやってること思いっきり大魔王だよね!?なによ、辻斬りって。

神の遣い思いっきり人選ミスしてるよ。そして勇者どこでどう慕われたんだよ。

勇者の名前もテキトーだしね、なんだよマイケル・トム・ソムーヤって。おかしいよ、こんなの。」

朋子が呆れ返る。

「うるっさいわね!この小説はね?いつもいつも使命ばっかり押し付けてくる

神様に対しての勇者の逆襲劇なのよ!

ほら、『いつも偉そうに俺に命令下しやがって!!なんでお前みたいなハゲが神様なんだよ!!

キサマは365日24時間ずっと育毛剤でもかけてろ!!!』

って言って神に対して剣を向け戦いを挑む姿なんて名シーンじゃない!?」

「いや、ただのハゲの人へのヘイトだよね、それ・・・」

「なんで分かってくれないのよ!!朋子のバカ!!」

由美はそう言って教室を出た。

「私一度も由美の小説に理解を示したことないけど・・・」

朋子はその場にぽつんと取り残された。



放課後川の土手を歩いていた。

「どうやったら周りの人に私の小説を認めてもらえるんだろう・・・」

「知りたいか?」

由美の後ろで低い男の声が聞こえた。

男は30代後半、ツーブロックの短髪で身長も高い。顔立ちの良い白人の男だ。

「私は小説を書いている者でね。作家と言うべきか。過去にベストセラーを何冊も出したこともあるよ。」

「本当ですか!?お名前はなんていうんですか!?」

由美は目をキラキラさせながら作家と名乗る男に質問した。

「私の名はマイケル・トム・ソムーヤだ。

アラスカ冒険記という小説を書いたことがある。聞いたことないか?」

(マイケル・トム・ソムーヤ本当にいるのかよ!!!!!!)

テキトーに名付けた筈の外国人が実在するとは。由美は気まずい思いをする。

「良ければ私に小説を見せてくれないか?」

引きつった笑顔で否定を試みる。

「え・・・いや・・その・・私・・ぶ、文才なんてないから・・・あはははは~・・・」

「Show a novel!!!!!!!!!!!!!」

突然英語でキレてきた。キレると母国語が出るタイプの人なのか。

(いやいやいや、怒りの沸点低すぎでしょこの人。怖いわ。)

やむなく見せる羽目になった。

一通り見てもらった後、マイケルは呟いた。

「なんで俺出てくんねん。」

マイケルは冷静にツッコミをいれた。

さっきのキレ方を見るともっと怒ってくるのかと少し身構えていたがキレてこなかった。

(なんでこの人今関西弁だったの・・・)

マイケルの言動が少しも読めない。

「これほど滅茶苦茶な展開をする小説は初めて見た。」

お前の言動も大概だろ。由美は口に出さず心の中でボソッと思う。

「普通の人ならこれほど滅茶苦茶なストーリー展開にしないだろう。だが聞いてくれ。

私が思うにこれは一つの才能だ。先の読めないストーリーほど読者を飽きさせないものはない。」

由美の両肩を掴み、マイケルは熱弁を振るう。

「え・・・?私の小説を見て才能が無いとか小説書くのやめた方がいいとか言わないの・・・?」

目をキョトンとさせて由美はマイケルに問う。

「何故だ?むしろ小説家を目指すべきだ。君は良い才能を持っている。

君はアトランティスを題材に小説を書いているんだな。

良ければ俺と一緒にアトランティスに行ってみないか?

そして君の体験した出来事をヒントに今の小説を書き直してみると良い。」

(この男は何を訳の分からないことを言っているんだ・・・?)


続く

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