後日談だそうです。
「ーーとまぁそんなことが、昨日あったんですよ。」
時刻はちょうどおやつの時間である3時ぐらいーーちなみにこの世界の時間は、地球と変わらず1日24時間365日だ。月の数え方も変わらず1月から12月までという、全く同じものだ。
そんなわけでおやつであるクレープをーーもちろん俺が作ったーー食べながら、家の客間でブラッド家の主人であるコーリンさんとむかいあっていた。
ちなみに二人きりだ。
奥さんである、エレナさんは貴族のご婦人方のお茶会に参加しないといけないそうで、これていない。
そしてカレンは仕事、ルークさんは朝まで待っていたのが堪えたのか或いは心労がなくなってどっと疲れたのか知らないが寝てしまっている。
レイナは何故かあのあと、起きて直ぐに、俺に対して信じられないくらいベタベタと・・・こう凄く積極的にアプローチし始めたがまだ安静にしてないと駄目ということで部屋にいる。
「はぁ、成る程、ーーってうまっ!クレープうまっ!」
「あの、話聞いてます?」
真面目な顔で納得したあと、いきなり笑顔でうまっ!って・・・そんなに美味しいのなら作った方としては嬉しいんだが・・・
「もちろん、聞いてるさ。と言うか相変わらずトールは料理が上手いな、料理人になったらさぞ有名にーーいやトールは別に料理じゃなくても全てのことで大成するか。」
「いやいや、さすがにそこまでじゃあ・・・否定できないところがつらい。」
うんまぁ、どうでもいいスキルでも学習と成長は発動するから、本職の人より出来る自信がある・・・なんか凄く申し訳ない。
それに、とコーリンさんは続けて
「殆ど、今朝からの事情聴取で分かっていたことばかりだしな。」
実は昨日の件に関しての後片付けは、ほぼブラッド家がやってくれたのだ。
俺も少しは協力したが、ブラッド家が大体やってくれたため特にすることはなかった。
それでようやく片がつき、コーリンさんと今、直接話しているというわけだ。
「そうでしたか。」
「それにしても、また随分派手にやったな。雇われていたもの達はほとんどが冒険者くずれや盗賊達だったからよかったものを、下手に普通の冒険者だったりしたら大変なことになってたぞ。おまけに奴自身もほぼ全身骨折にちかく回復魔法をかけてもしばらくは動けないそうだ」
と少し、ジト目で見てくる。
「まぁ、正直やり過ぎたかなとは思うんですけどね・・・でっでもほら治安も良くなるから一石二鳥じゃないですか。」
俺が慌てて言い繕うと
「やはり、血は争えんのか?」
と小声で呟かれた。
やめてくれぇ、あの両親よりはまだましなはずだぁあああ。
でもーー
「でもあそこまでやった一番の理由は、許嫁の危機に乗り込めないような男ではいたくなかったからですね。」
と少しカッコつけて言った。
すると、コーリンさんは少し、ポカンとしたあと、
「ぷっ、ガハハハハハハハーー」
とひとしきり笑ったあと
「やっぱり親にそっくりだな。」
と言ってきたので
「断固、違うと主張します‼」
と嫌そうにしていると
「いやいや、やつもーーカルロスも昔、スカーレットが囚われの身になったとき、似たようなことを言っていた。お前と同じくキメ顔で。」
と言われ、かなり恥ずかしくなってきたーーそのとき
バンッ!!
とドアが開いたかと思うとそこにはーー
レイナがいた。
「えっ、まだ安静にしてないといけないんじゃ?」
「大丈夫よ、トール。少しお父様にお話しなければいけないことがあって。」
なんか凄く真剣な顔をどっちもしている。
邪魔しちゃ駄目なやつかな?
じゃあ少し部屋から出ていったほうがいいかな、と思って出ようとしたらーー
「どこいくの?トールこれはあなたにも関係あるのよ。」
なんだろう?俺なんかしたかな?なんて思っていると
「その様子では答えは出たんだな?」
とコーリンさんが真剣な表情で問う、するとレイナは笑顔で
「ええ、私はーートールを許嫁として認めました。」
「本当にいいのだな?」
「ええ、むしろ私のほうから求婚申し込みたいくらいには、惚れさせられました。」
「だそうだが?」
肩をすくめるようにコーリンさんが言ってくるが、俺は戸惑っていてよく状況がわからない。
そんな様子を見かねたのかレイナが
「しっかりしなさい。私が貴方を認めたって話でしょうが。なにも戸惑うことなんてないでしょ?」
なんて片目を瞑りながら言ってくる。
だがそんなことよりも
「ちょっちょっとまて、どこに惚れる要素があった!?」
俺はそっちに疑問をもつ。
だって俺特に何もしてないよ。
もしかして、危機を救ったから?なんて考えていると
「別に、只助けてもらったから惚れたわけじゃないわよ。」
と、少し拗ねた感じでぷいっと顔をそらした
その様子を微笑ましそうに見ながら、コーリンさんは
「実はな初め、許嫁が決まった時、レイナはいやがっていたんだよ。」
コーリンさんは何気なく言うが、少しショックだった。
「そこで一週間修業という名目で、どんな人間か分からせようと思ってなーーまぁ、まさか一週間で心を掴むとは思わなかったが。ほとんど予想通りでよかったよかった。」
「という訳でトールこれからもよろしく頼むわね♪」
そう笑顔でレイナは言ったのだった。
次にちょっと閑話を入れたら次の章となります。感想で誤字のご指摘がありましたが、他にもありましたら教えてもらえるとありがたいです。