状況確認だそうです。
遅くなってすいません。
「なっ、なんですって!レイナ様が誘拐されたですって!?」
そう声を張り上げるのは、もぬけの殻のようになっていたルークさんだ。
流石に主の危機となれば、覚醒するようで、今さっきまで口を開けて天井を見つめていた人とは思えないぐらいだ。
「そっそれでレイナ様は誰に拐われたのですか?」
「・・・恥ずかしながら、私の叔父達です。ですが安心してください。襲ってきた残りの奴等に脅迫して、場所も警備まで全て分かっていますから。すぐに私が助けに向かいます。」
「・・・お願いですか?」
「脅迫ですよ」
そうあの後、襲撃者達はなかなか吐いてくれなかったが、ちょっと脅迫したらあっさり教えてくれた。
ちなみに警備の方は元々カレンに調べて貰っていた。
「・・・敵の警備とはどの程度ものですか?」
「ざっと、正門に百人待機しており、屋敷のなかにもそこそこ残っているかと思われます。ですが知っての通り、私にとってその程度では相手にすらなりません。また、カレンも連れていくので絶対に大丈夫です。」
「人形族であるカレン殿まで行かれるのならば・・・。」
人形族ーー祖がゴーレムと人造人間が祖とされている種族で攻撃力と防御力が圧倒的に高く、なおかつ種族固有のスキルがかなり特殊な上強力で、人形族一人で一騎当千と言われるほど。更に若干無表情なため無愛想だが、自分が主と認めたものには一生ついていくため、世の権力者達はこぞって人形族の主になりたがる。ーーカレンはそんな人形族の一員だ。
ちなみになんやかんやあって俺はカレンに認められた。
とりあえず今はその話はおいておくとして
結論を言うならば、あの叔父共も本気で警戒してるんだろうが俺ーー多分、警備をガチガチにしたのは俺ではなくカレンを警戒してだろうがーーとカレンが居ればあっさり倒せるぐらいの兵力でしかない。
放心するぐらいには、俺の規格外っぷりを見て知っているルークさんは
「・・本当に任させて貰っても大丈夫ですか?」
「ええ任せてください、今晩中には片付けますよ。」
「では信じて待たせていただきます。私もいきたいですがどんなに取り繕っても足手まといにしかなりませんし。」
と自分も助けに行けないことを悔しそうにしながらも、俺を信じてくれた。
さてそれでは行くとするか。
「では明朝までにはつれて戻りますので、ゆっくりはーー出来なそうなので信じてお待ちください。
行くぞ、カレン。」
「はい、主」
「どいつの許嫁に手を出したか、きっちりと後悔するほど分からせてやる!」
俺は抑えていた怒りを解放し、ここからあまり離れていないーーそれでも6キロはある。ーーに向かうのだった。
時は少し遡り、叔父達の屋敷では
「こちらが例の小娘でございます。」
そういってマーリンの執事が指すのは檻に入れられて気絶しているレイナだった。
その首には奴隷用の魔力を制限するなどの効果がある、首輪がある。
「ほう、こやつが・・・ところで、こいつを拐ってきたあの盗賊はどうした?」
「それが、あんな餓鬼がいるなんて聞いてない!と怒鳴って慌てて報酬を受け取って帰っていきました。」
トールが盗賊を撃退したなど夢にも思わないマーリンは
「ふん、大方あの人形族の娘にやられたのだろう。それよりもーーフフフ、もうすぐワシの手に莫大な金が入るのだ、酒の一つでももってこい。」
とかなりあっさりと受け止めていた。
「分かりました。ところでマーリン様、エムリー様にはーー」
「奴には連絡しなくともよい、元々あやつが新事業を失敗したせいなのだからなーーそれにそろそろ奴には消えてもらおうと思っていたところだしな。」
「かしこまりました。ではワインの一つでも持ってきますので、しばらくお待ちを。」
そういって執事は広間から出ていった。
そうしてマーリンは広間の真ん中で檻に入れられたレイナを見ながら
「フフフ、ようやくだ。ようやく手にはいる。」
そういって、気色の悪い高笑いをはじめたのだった。